数学II / 軌跡と領域

領域と最大・最小

★ 基礎領域最大最小

問題

が連立不等式 の表す領域を動くとき、 の最大値を求めよ。

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領域をかいてから、 の値が同じ点の集まり(直線)を平行移動させるイメージを持とう。値が最大になるのは、直線が領域のどこに引っかかる瞬間か。頂点で調べれば確実。

解答・解説

方針

とおくと傾き一定の直線。 を大きくすると直線が動く。領域と直線が接する『頂点』で最大になる。頂点の値を全部調べる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「領域内を動く点で、 の最大値」— 線形計画法の問題だ。

発想の核心: とおいて、直線と見る。

傾き の直線で、 が変わると"平行移動"する。 が大きいほど、直線は上へ動く( 切片が だから)。

求めたいのは、「この直線が領域と共有点を持つ範囲で、 を最大にする」こと。

直線を、領域の中で上へ上へと動かしていく。 領域から離れる直前 — その瞬間の が最大値だ。

そして、離れる瞬間に直線が触れているのは、必ず「頂点」である。

領域の頂点は つ。 ここを全部調べればよい。

重要領域での1次式 の最大・最小は、領域の頂点で起こる

は傾き の直線。 を大きくすると直線は上へ動き、領域からはみ出す直前(=領域の頂点)で最大。

領域は頂点 の三角形。各頂点で を計算する。

一番大きいのは での 。よって最大値は

xyO(0,4)
x+2y=k の直線を動かすと頂点(0,4)で最大

発展 — 一歩先へ。 この解法(直線を平行移動させて、領域との接点を探す)は、目的関数が 次式でなくても使える

例: 同じ領域で、 の最大値・最小値は?

円を大きくしたり小さくしたりして、領域と接する瞬間を探す。

  • 最小: 円を小さくしていくと、原点 で領域に触れる →
  • 最大: 円を大きくしていくと、いちばん遠い頂点で領域から離れる →

定数」の図形を描いて、領域と接する瞬間を探す — これが一般的な戦略だ。

目的関数が変わると、動かす図形も変わる。

目的関数 」が表す図形 動かし方
直線 平行移動
拡大・縮小
原点を通る直線 回転
双曲線 拡大・縮小

の最大」なら、原点から領域内の点へ引いた直線の"傾き"の最大 — 図で考えれば一瞬で分かる。

この「等高線を動かす」という発想は、大学の最適化理論でも中心的な道具である。目的関数の等高線(値が等しい点の集まり)を描き、制約領域と接する点を探す — その接点で、等高線と制約の境界が接するという条件(ラグランジュの未定乗数法)が、最適性の判定条件になる。

高校でやっている「直線を動かす」作業は、その最も簡単な場合なのだ。

図形的な直感が、最適化の理論に直結する。 数式を眺めるだけでなく、「この式が のとき、どんな図形か」と問う習慣を持ちたい。

最大値 (点 のとき)

別解

「頂点を全部調べる」ルートを実行し、そのうえで「なぜ頂点でよいのか」を、直線を動かす絵で確かめよう。

頂点の値を、すべて計算する。

領域は を頂点とする三角形。 の値は

頂点 の値
最大

最大値は 、点 でとる ✓

ついでに最小値も分かる。 だ。

「頂点を全部調べるだけ」 — 微分も、複雑な計算も要らない。 個の値を比べるだけ。

なぜこれで正しいのか。直線を動かして確かめる。

という直線を、 を変えながら動かしてみよう。

  • : 直線 は原点を通る。領域と接している(原点で)
  • : 直線は少し上へ。頂点 を通り、領域を横切っている
  • : 直線は頂点 を通る。領域とギリギリ接している
  • : 直線はさらに上へ。もう領域と交わらない

が限界。 これ以上大きくすると、直線は領域から離れてしまう。

そして、その限界の瞬間、直線は頂点 に触れていた。

これが「最適解は頂点にある」ことの、視覚的な証明である。

なぜ頂点なのか。 直線を平行移動させると、領域との共有部分は「面 → 線分 → 点 → 消滅」と減っていく。最後に残る点が、頂点なのだ(領域が多角形なら、角が最後まで残る)。

特別な場合: 辺全体が最大値をとることもある。

もし目的関数が だったら?(傾き )

境界の辺 平行になる。すると、この辺の上のすべての点 となり、最大値をとる点が無数にある。

それでも「頂点を調べれば見つかる」 — 辺の端の頂点 も、ちゃんと という最大値をとっている。だから頂点だけ調べれば、最大値そのものは必ず見つかる。

この保証が、線形計画法を実用的にしている。 無限個ある領域内の点を、有限個の頂点に絞り込める — これが決定的なのだ。

答案の書き方。

「直線を動かす」という言葉を、必ず書く。 頂点の値を計算しただけでは、「なぜ最大と言えるのか」の説明になっていない — 論理の筋道を示すのが、答案である。

ポイント

  • 領域での1次式の最大最小は頂点でとる。
  • を動かして、領域に触れる最後の頂点をさがす。

よくある間違い

  • 頂点を全部調べず、目についた1つだけで答えてしまう
  • とおいたとき、 が大きいほど直線が上に動くことを意識せず、逆の頂点を選ぶ
  • 領域の頂点を求め間違える( なので、頂点は )