平面内の運動の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
平面内の運動は専門物理の最初の単元で、速度と加速度をベクトルとして扱い、水平投射・斜方投射(放物運動)と、平面内の相対速度(雨・川渡り)を学びます。新しい法則は出てきません。物理基礎の等加速度運動を「水平方向と鉛直方向に分けて同時に扱う」だけです。
放物運動の分解
投げ出された物体は水平方向には力を受けないので等速直線運動、鉛直方向には重力で加速度 の等加速度運動をします。この2つを独立に扱い、時刻 で結びつける、というのが放物運動の解き方です。
水平投射なら、初速度は水平方向だけです。落下時間は高さだけで決まり(自由落下と同じ)、水平距離は「初速度 × 落下時間」になります。水平投射(時間と水平距離)と水平投射と自由落下の同時着地は、「横に投げても落ちる時間は変わらない」ことを扱う問題です。
斜方投射では初速度を (水平)と (鉛直)に分解します。最高点では鉛直方向の速度が0、滞空時間は鉛直方向の投げ上げと同じ、水平到達距離は「水平速度 × 滞空時間」です。斜方投射の初速度の分解、最高点、滞空時間と水平到達距離、応用の一般式の順に進み、 が で最大になることまで確かめてください。
軌道の式は時刻 を消去して を で表したもので、放物線になります(標準の水平投射の軌道の式)。このサイトでは軌道を座標平面に描いた図を解答側に付けてあります。
放物運動の対称性
同じ高さを通る2つの時刻の中点が、最高点の時刻です。上りと下りは対称で、同じ高さでの速さは等しく、鉛直方向の速度は符号だけが逆です。放物運動の対称性と標準の同じ高さを通る2つの時刻から初速を求めるでは、この対称性を使うと計算が短くなります。
ビルや崖から投げる問題(標準の崖からの水平投射、ビルの上からの斜方投射)では、着地の高さが投げた高さと違うので対称性が崩れます。鉛直方向の式 に着地の高さを入れて の2次方程式を解く、という基本に戻るだけです。このサイトの数値は、この2次方程式が因数分解できるように設計してあります。
平面内の相対速度
「相手から見た自分の速度」は で、平面ではベクトルの引き算です。雨の問題では「地面に対する雨の速度」から「自分の速度」を引くと、自分に見える雨の向きになります。雨滴の見かけの向きと標準の雨の速さを見かけの角度から求めるで、ベクトルの三角形を描いて で角度を出す手順を練習できます。
川渡りでは、「静水に対する船の速度」と「川の流れの速度」を足したものが、岸から見た船の速度です。「最短時間で渡る」なら船首を対岸に向け(流されるが時間は最短)、「まっすぐ渡る」なら流れを打ち消す向きに船首を傾けます。川渡り(流されながら渡る)、標準の真っ直ぐ対岸に渡る、2つの作戦の比較で、2つの作戦の違いをベクトル図で確かめてください。流れが船より速いときは、まっすぐ渡ることができず、「最も流されない向き」を求める問題になります(応用の流れが速い川を渡る)。
つまずきやすいところ
よくある誤りはベクトルの合成図で「同一始点の平行四辺形」と「鎖状につなぐ三角形」を混ぜることです。どちらか1つに決めて描いてください。このサイトの図はこの2つを混在させないように描いてあります。
最高点で「速度が0」と思い込む誤りも目立ちます。最高点で0になるのは鉛直方向の速度だけで、水平方向の速度はそのまま残ります。最高点の速さは です(標準の最高点での速度と加速度)。
学習の順序と次の単元へ
基礎12問はベクトルとしての速度・加速度、水平投射、斜方投射、対称性、雨、川渡りです。標準12問では軌道の式、崖とビル、30°の投射、2時刻から初速、川渡りの作戦、2物体の相対速度、飛行機からの投下、斜面への投射を扱います。応用8問は一般式、モンキーハンティング、投射角の条件、最小の流され距離、崖とトラック、指定点の通過です。
モンキーハンティング(応用の同名の問題)は、「狙った的が落ち始めても弾は当たる」という有名な問題で、両者が同じ だけ落ちるから、という理由を式で確かめます。最難関編には、届く場所の境界(安全放物線)、斜面への最大射程、分裂しても重心は放物線を描くこと、2隻の船の最接近など、放物運動と相対速度を深く扱う問題を集めました。次の「剛体のつり合い」からは力の話に戻り、「運動量と力積」以降で、この単元の速度ベクトルの扱いが衝突の問題に使われます。