データの分析の解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

データの分析は、平均値・中央値・四分位数・分散・標準偏差・相関係数といった統計量の定義と計算、そしてそれらを使ったデータの読み取りを扱います。計算そのものは四則演算だけで、数学Iの中では最も易しく見えますが、共通テストでは毎年出題され、定義のあいまいさがそのまま失点になる単元です。この記事では、定義を確実にする順序と、読み取りの問題で問われる考え方を整理します。

代表値と四分位数は定義がすべて

平均値は「合計÷個数」、中央値は「小さい順に並べたときの真ん中(偶数個なら中央2つの平均)」、最頻値は「最も多く現れる値」です。この3つは、データに極端な値が入ったときの動き方が違います。平均値は極端な値に引きずられますが、中央値は動きません。データの追加と平均値・中央値の変化で、この違いを確かめてください。

四分位数は、データを小さい順に並べて4等分する3つの値です。第2四分位数は中央値そのもので、第1・第3四分位数は「中央値で分けた下半分・上半分のそれぞれの中央値」です。データの個数が奇数か偶数かで、中央値を半分に含めるかどうかの扱いが決まっているので、四分位数と四分位範囲箱ひげ図をかくための五数要約で、個数ごとの手順を確認してください。

外れ値は、「第1四分位数 − 1.5 × 四分位範囲」より小さいか、「第3四分位数 + 1.5 × 四分位範囲」より大きい値、と定義されます。外れ値の判定と標準の外れ値の判定と平均値への影響で、境界の計算まで含めて練習します。

分散は2通りで計算できる

分散は「偏差の2乗の平均」です。定義どおりに計算するなら、各データから平均を引いて2乗し、平均をとります。もう1つ、「2乗の平均 − 平均の2乗」という公式があり、データが多いときや、あとから式変形するときに便利です。分散と標準偏差(定義から)分散の公式を並べて解いて、2つの計算が同じ値を与えることを確かめてください。実戦編の分散の変形は、この公式の証明そのものです。

標準偏差は分散の正の平方根で、元のデータと同じ単位をもちます。「散らばりの大きさ」を元の単位で言うための量です。

変量の変換は「平均は同じ変換、分散は2乗倍」

データ全体に の変換をすると、平均は 、分散は 倍、標準偏差は 倍になります。定数 を足しても散らばりは変わらない、という感覚と一致します。変量の変換と平均・分散から標準の変量の変換(1次式)と標準化、応用の指定した平均・標準偏差になる1次式変換へ進むと、「平均0・標準偏差1に直す」(標準化)という操作が、偏差値の計算そのものであることがわかります。

相関係数は「符号」と「大きさ」を分けて読む

相関係数 は、共分散を2つの標準偏差の積で割った値で、 から の間に収まります。符号は「一方が増えると他方も増える(正)か減る(負)か」、大きさは「散布図が直線にどれだけ近いか」を表します。

計算は、偏差の表を作って共分散を求めるのが基本です(標準の相関係数の計算(偏差の表))。合計値だけが与えられているときは、分散と同じく「積の平均 − 平均の積」で共分散が求まります(標準のデータの合計値から相関係数を求める)。

相関係数は、変量を1次式で変換しても(係数が正なら)変わりません。単位を変えても相関の強さは変わらない、ということです。応用の相関係数の計算と変換後の不変性と実戦編のデータの1次変換と標準化で、この性質を確かめてください。

仮説検定の考え方

新課程で加わった仮説検定は、「偶然でも起こりうることか、それとも偶然では説明しにくいか」を、確率で判断する考え方です。コインを10回投げて9回表が出たとき、「コインは公正だ」という仮説のもとでそれが起こる確率を求め、基準(たとえば5%)より小さければ仮説を棄却します。

数学Iの範囲では、確率は問題文で与えられるか、簡単な場合の数で求められるものに限られます。問われているのは計算より「棄却するかしないかの判断の筋道」です。仮説検定の考え方(コイン投げ)、標準の効果の判断、応用の基準の違いによる判断の変化の順に進んでください。

学習の順序と入試での出方

基礎12問で定義をすべて確認し、標準12問で度数分布表・データの修正・グループの統合・箱ひげ図の正誤判定を扱います。応用8問には、平均と分散から未知のデータを決める逆算、データの追加による分散の変化、得点調整などを置きました。

共通テストでは、箱ひげ図やヒストグラムを見て正しい記述を選ぶ問題、変量の変換、相関係数の読み取りが定番です。「記述の正誤判定」型は、定義に照らして1つずつ検証する以外に方法がないので、定義の暗記が直接点になります。

このサイトのこの単元は、統計量の定義を問う基礎から、分散の下限や相関係数の不等式のような論証(最難関編)までを1本の流れにしています。数学Bの統計的な推測では、ここで学んだ平均・分散を確率変数に拡張します。

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