数学I / データの分析

四分位数と四分位範囲

★ 基礎四分位数四分位範囲

問題

9人の生徒のテストの得点は次の通りであった。

このデータの第1四分位数 、第2四分位数(中央値)、第3四分位数 、および四分位範囲を求めよ。

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四分位数は『中央値を3回とる』イメージ。まず全体のまん中、次にそれで前半・後半に分けて各組のまん中。データが奇数個のとき、まん中の1個は前半・後半のどちらに入れる?

解答・解説

方針

四分位数は、データを小さい順に並べて4等分する3つの区切りだ。手順は決まっている。

①まず中央値 を決める。②データを『中央値より前の半分(下組)』と『後の半分(上組)』に分ける。このときデータが奇数個なら、中央値そのものはどちらの組にも入れない。③ は下組の中央値、 は上組の中央値。

『中央値を3回とる』と覚えると迷わない。四分位範囲は だ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 四分位数は「データを小さい順に並べて 等分する境目」だ。

やり方は 段階でよい。

まず全体のまん中(中央値 )で、データを下組と上組に真っ二つにする。 個なら 番目が中央値。

次に、下組・上組それぞれのまん中をとる。 下組のまん中が 、上組のまん中が

急所は「奇数個のとき、中央値そのものは下組にも上組にも入れない」こと。まん中の 個を除いて、残りを 個ずつに分ける。ここを間違えると全部ずれる。

公式四分位数:中央値 で下組・上組に分け、各組の中央値が 。四分位範囲

データはもう小さい順に並んでいる( 個)。

第2四分位数(中央値)。 個のまん中は 番目の値なので

第1四分位数。 データが奇数個なので、中央値 自身は下組にも上組にも入れない。ここが最初のつまずきポイントだ。中央値を除いた下半分は 個。その中央値( 個なので 番目と 番目の平均)は

第3四分位数。 上半分は 個。その中央値は

四分位範囲。

四分位範囲は『まん中あたりの、およそ半数のデータが収まる幅』だ。端の値をばっさり切り捨てて測るので、1つだけ極端な値があっても影響を受けにくい。範囲(最大 − 最小)が外れ値ひとつで激変するのと対照的だ。

40455055606570(点)4247.55563.570
五数要約: 42、Q1 = 47.5、中央値 55、Q3 = 63.5、70(箱の長さが四分位範囲)

発展 — 一歩先へ。 「下から の位置の値」をパーセンタイルという。 は第 パーセンタイル、中央値は第 パーセンタイル、 は第 パーセンタイルだ。

健康診断でもらう成長曲線のグラフ(身長の第 ・第 ・第 パーセンタイルの線が引いてある)や、模試の成績表は、まさにこの考え方でできている。「平均より上か下か」より「全体の何%の位置にいるか」のほうが、順位の実感に近い

なお四分位数の定め方は流儀がいくつかある(データが で割り切れないときの補間の仕方が違う)。高校で学ぶのは「中央値で 分し、それぞれの中央値をとる」方式だが、統計ソフトによっては少し違う値を返すことがある。定義が一意でない量がある — これも統計を扱うときの大事な注意点だ。

点、 点、 点、四分位範囲

別解

四分位数が何のためにあるのかを、平均・標準偏差と比べて見ておこう。ここが分かると、この量を「ただの計算」でなく「道具」として使えるようになる。

四分位数は順位だけで決まる。 は「下から の位置」、 は「下から の位置」。値の大きさそのものではなく、並べたときの順番しか見ていない。

この性質がどれほど強力か、実験してみる。最高点の生徒が 点ではなく、(記録ミス)だったとしよう。

  • まったく変わらない は「いちばん上の人」のままで、順位が変わらないからだ
  • 一方、平均は 点から 点へ跳ね上がる。誰もとっていない点数が「平均」になってしまう

四分位範囲( 点)も同じく不動である。これは「まん中 の人たちが、どれくらいの幅に散らばっているか」を表す散らばりの指標で、両端の極端な値をはじめから見ていない

散らばりの指標には 系統ある。

  • 範囲・標準偏差: すべての値の大きさを使う。情報は豊かだが、極端な値に振り回される
  • 四分位範囲: 順位しか使わない。情報は粗いが、極端な値にびくともしない

「頑丈さ」を数学の言葉でロバストという。テストの点、家賃、年収 — 少数の極端な値が混じる現実のデータでは、四分位数のほうが実態をよく表すことが多い。次に学ぶ箱ひげ図が四分位数でできているのは、この頑丈さを買っているからなのだ。

ポイント

  • (中央値)を先に決め、データを下組・上組に分けてから を求める
  • データが奇数個のときは、中央値をどちらの組にも入れない
  • 四分位範囲 = 。範囲()との違いに注意

よくある間違い

  • 奇数個のデータで中央値を下組・上組に含めてしまう
  • 四分位範囲と範囲(最大値−最小値)を混同する
  • 並べ替える前のデータで位置を数えてしまう(四分位数は必ず昇順に並べてから)