確率の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
確率は、公式の数が少ないわりに、点差がつきやすい単元です。理由は単純で、「何を数えているのか」を取り違えると、計算が合っていても答えが変わるからです。
確率の問題で使う判断
まず、分母と分子は「同じ数え方」でそろえます。玉を同時に取り出すなら分母も分子も組合せ、順に取り出すなら両方とも順列で数えるということです。混ぜると必ずずれます。玉を同時に取り出す確率とカードを3枚選ぶ確率は、この「そろえる」練習です。
反対を数えるかどうかも判断が要ります。「少なくとも1つ」「1回以上」という言葉が出たら、全体から「1つもない」場合を引くほうが速いことがほとんどです。余事象の確率(少なくとも)で、この考え方を練習できます。
試行が独立かどうかも確かめます。サイコロを何回も振る、コインを何回も投げる、といった繰り返しは互いに影響しないので、確率の掛け算が使える場面です。反復試行で「 回のうちちょうど 回」のように、何回目に起こるかを指定しないときは、起こる回の選び方を組合せで数えて掛けます。反復試行の確率(サイコロ)から標準のちょうど何回目に条件が達成されるかへ進むと、「最後の1回だけ固定して、それより前を反復試行で数える」という型が見えてきます。
条件付き確率では分母に気をつけます。「〜だったとき」と条件が付いたら、分母は全体ではなく条件を満たす場合だけだからです。条件付き確率(基本)と、応用の原因の確率(ベイズの考え方)は、この分母の取り替えを扱います。
つまずきやすいところ
よくある間違いは区別のつかないものを区別して数えてしまう(またはその逆)ことです。同じ色の玉が複数あるとき、確率の計算では玉に番号を付けて全部区別するのが安全です。分母と分子で同じ区別をすれば、結果は変わりません。
じゃんけんや点の移動のように、状況を整理せずに数え始めて漏れが出る間違いも目立つところです。3人のじゃんけんは「誰が勝つか・何の手で勝つか」を分けて数え、点の移動(原点に戻る)は「右に何回・左に何回」を先に決めてから並べ方を数えます。数える前に「何と何を決めれば1通りが確定するか」を書き出す習慣が役に立ちます。
期待値は計算そのものは易しいのですが、「確率の合計が1になっているか」の確認を飛ばして失点する人が多いです。期待値の計算(賞金)と2個のサイコロの目の和の期待値で、表を作ってから計算する練習をしてください。
学習の順序
場合の数の単元で順列と組合せの区別ができていることが前提です。不安なら先にそちらを済ませてください。
確率の基礎12問は同様に確からしい試行から始めて、和事象・余事象・独立試行・反復試行・条件付き確率・期待値へと、教科書の順に並んでいます。標準12問では同じ型を、じゃんけん・点の移動・くじ引きといった、よく出る題材で繰り返す構成です。応用8問にはベイズの考え方や「〜するまでの回数の期待値」のように、条件付き確率や無限級数の考え方が入る問題を置いています。
このサイトの確率の問題はすべて総当たり計算(全パターンの列挙)で答えを検証しています。約分後の分数まで一致を確認してあるので、答えが合わないときは自分の数え方のどこがずれたかを解説と照らして探してください。
入試での出方
入試の確率は数学Aの中でもよく出題される分野です。標準的な入試では反復試行と条件付き確率が中心ですが、難関大では漸化式や数列と組み合わさります。難関(★★★★)の3人じゃんけんが ちょうど n 回目で決まる確率や原点に戻る経路(負にならない条件つき)は、一般の で答える練習になります。実戦編・最難関編には、確率漸化式、期待値の線形性、破産問題のように、東大京大で繰り返し出ている題材を集めました。
問題文を読み替える練習
確率で点差がつくのは、計算よりも「問題文をどう読み替えるか」のところです。同じ言葉が違う数え方を要求することがあるからです。
「少なくとも1回」は余事象、「ちょうど 回」は反復試行の1項、「 回目に初めて」は「 回目まで起こらず、 回目に起こる」という積、「 回以内に」は 回目から 回目までの和(または「 回とも起こらない」の余事象)です。この4つの言い回しを見てすぐに式の形が決まるようになると、標準までの問題で手が止まることは少なくなります。
条件付き確率は「〜だったとき」「〜であることがわかったとき」「〜だった。このとき」という言い回しで出ます。この言葉を見つけたら、分母をその条件に取り替えるのが合図です。応用の反復試行と条件付き確率では、反復試行の結果を条件にする問題で、分母も分子も反復試行の式になることを確認できます。
期待値の問題では「賞金の期待値」「得点の期待値」のほかに、「〜するまでの回数の期待値」という形があります。回数の期待値は 回で終わる確率、 回で終わる確率と順に足していく無限級数になるか、「最初の1回で終わるか、終わらずに振り出しに戻るか」という式で求めます。応用の当たりを引くまでの回数の期待値と初めて成功するまでの回数の期待値で、この2つの方法を比べてください。
関連する単元
期待値と分散は数学Bの統計的な推測で再登場します。確率漸化式は数学Bの漸化式が前提です。図形の確率(正多角形の頂点を選ぶなど)は、数学Aの図形の性質の知識を使います。