数学A / 確率

余事象の確率(少なくとも)

★ 基礎余事象サイコロ

問題

1個のサイコロを3回投げる。少なくとも1回は6の目が出る確率を求めよ。

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『少なくとも1回』は場合が多くて数えにくい。反対の『1回も出ない(=3回とも6以外)』を求めて、全体()から引く。各回が独立なのでかけ算。

解答・解説

方針

「少なくとも1回」は、反対を数える合図だ。

正面から『1回だけ6』『2回6』『3回6』と分けると面倒。でも反対の『1回も6が出ない(3回とも6以外)』なら、一気に計算できる。

全体の確率1から、この反対の確率を引けばよい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「少なくとも 回」を見たら、反対を考える。 これは確率の合言葉だ。

「少なくとも 回は が出る」を直接数えると、 がちょうど 回・ 回・ 通りに場合分けが必要になる。面倒だし、数え落としやすい。

ところが反対(余事象)は、たった 通りしかない。

回も が出ないのは、 回とも「 以外」が出るということ。 回あたり で、それが 回続くから

「少なくとも」の反対は「 つも ない」。 ここを取り違えないこと。

公式余事象 (「少なくとも」は反対を数えると速い)

「少なくとも1回は6」の反対は、「1回も6が出ない = 3回とも6以外の目」だ。

1回で6以外が出る確率は 。3回とも6以外になる確率は、各回が別々に起こる(独立)ので、かけ合わせて

だから求める確率は

もし正面から数えると、『ちょうど1回6』 などを3つ足すことになって大変だ。『少なくとも1つ』を見たら、まず反対の『1つもない』を計算できないか考えよう。

発展 — 一歩先へ。 回投げて「少なくとも 回は が出る」確率は

を増やすとどんどん に近づくので、この確率は に限りなく近づく(数IIIの極限)。「投げ続ければ、いつかは が出る」— 直感と一致する。

しかし決して にはならない 回投げても の確率で、 度も出ないことがありうる。 億分の 程度だが、 ではないのだ。

この「 に近づくが、 ではない」という感覚は、確率を扱ううえで決定的に重要である。めったに起こらないことは、起こらないことと同じではない。 事故も、大当たりも、確率が小さいだけで、試行回数が増えれば必ずどこかで起こる。

回あたり の事故を、 回繰り返したとき無事故で済む確率は

分の 程度しかない。「 なんて小さい」と侮ると足をすくわれる — リスク管理の基本が、この単純な計算に詰まっている。

別解

あえて正面から数えて、余事象のありがたみを味わおう。 そして「なぜ余事象がこれほど強いのか」を理解する。

正面ルート: が出る回数で場合分けする。

回のうち が出る回数は 回、 回、 回のどれか。それぞれの確率を出す。

がちょうど : どの回に出るかで 通り。その回が 、他の 回は 以外で

がちょうど : どの 回かで 通り。

:

この つは排反(同時には起こらない)なので、足す。

余事象と同じ答え ✓。ただし、手間は 倍以上かかった。

なぜ余事象が強いのか。 「少なくとも 回」の反対は、たった つのシナリオ(全部はずれ)に凝縮される。一方、正面から行くと 回・ 回・ 回とシナリオが枝分かれする。

回投げなら 通りの場合分けで済むが、 回投げたらどうなるか。 正面ルートは 通りの場合分けが必要になる。しかし余事象なら

回数が増えても、式の形はまったく変わらない。これが余事象の破壊力だ。

「少なくとも つ」型の問題は、余事象がほぼ常に正解ルートである。反対側の世界が 本道になるからだ。

ついでに面白いことを つ。 「何回投げれば、 が少なくとも 回出る確率が を超えるか?」

回投げれば、 が出るほうに賭けたほうが得になる。ちなみに「サイコロを 回投げれば 回は出るだろう」と思いがちだが、実際は 回に 回は、 回投げても が出ない。直感は、確率をしばしば見誤る。

ポイント

  • 「少なくとも1回〜」→ 反対の「1回も〜ない」を計算して1から引く
  • 反対はかけ算の形になりやすく、一気に計算できる
  • 各回が別々に起こるなら のように確率をかける

よくある間違い

  • 『少なくとも1回』を『ちょうど1回』と混同する
  • 反対を使わず場合分けして、足し忘れや重複が起きる
  • 余事象を (3回とも6)と取り違える(反対は『1度も6が出ない』)