数学A / 確率

初めて成功するまでの回数の期待値

★★★ 応用期待値反復試行

問題

1個のサイコロを、1の目が出るまで繰り返し投げる。投げる回数の期待値を求めよ。

ヒントを見る

『ちょうど 回目に初成功』=『 回失敗して 回目成功』。この確率に をかけて足すと期待値 — 無限和になるが、等比の和の技(または幾何分布の )で。

解答・解説

方針

投げる回数 は、 と無限に続きうる。

となる確率は『 回は1以外、 回目に1』で (幾何分布)。

期待値 は無限級数になるが、うまい変形(または公式 )で求まる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は無限に続きうる。有限の表は作れない。

代わりに、 が等比の形になることを利用して、無限級数の和をとる。

「構造が毎回同じなら等比になり、級数の和はずらして引く」。この道具立てを最初に予告してから計算に入るのが設計だ。

公式初めて成功するまで(幾何分布): 回目に初成功

1が出る確率は 回目に初めて1が出るのは『最初の 回は1以外(確率 )、 回目に1』なので

期待値は

この無限級数を求める。 とおくと

という公式(または のずらし算)を使うと

まとめ:結局、幾何分布の期待値は 回だ。『確率 のことは、平均6回に1度起こる』という感覚どおりの結果。初めて成功するまでの回数の期待値は成功確率の逆数、と覚えておくと速い。

発展 — 一歩先へ。 幾何分布の期待値は だが、ばらつきは意外に大きい。分散は で、 なら 、標準偏差は になる。

平均が 回なのに、標準偏差が約 回もある。「平均 回で出る」といっても、 回目で出ることも、 回投げて出ないこともざらだ、というくらい待ち時間は不確実だ。

期待値だけでなく分散まで見ると、「 の出来事は平均 回に一度」という言い方が、どれくらいの幅を持つのかまで分かる。

6回

別解

別解 — 「 回以上かかる確率」を足す(得意な人向けの高い視点)。 値が 以上の整数である回数の期待値には、次の公式がある。

」は「最初の 回がすべて 以外」ということだから

これを足すと、ただの等比級数になる。

という等差 等比の和(本解)を、 に置き換えると、公比 のふつうの等比級数だけで済む。本解と同じ答えになる。

ポイント

  • 初めて成功するまでの回数は幾何分布
  • その期待値は (成功確率の逆数)
  • 無限級数 を使う

よくある間違い

  • 有限回で打ち切って計算し、無限に続く の和を扱えない。
  • 期待値を成功確率 そのものと取り違える(正しくは逆数の )。
  • の「最初の 回は失敗」の指数を とし、 とずらして書く。