数学A / 確率
2個のサイコロの目の和の期待値
問題
大小2個のサイコロを同時に投げ、出た目の和を得点とする。得点の期待値を求めよ。
ヒントを見る
和を直接分布させると大変。サイコロ1個の目の期待値を出して、それを2倍する(期待値は足せる)という近道がある。
解答・解説
方針
期待値は (値) × (確率) を全部足すのが基本だが、和の期待値には便利な性質がある。
『和の期待値は、期待値の和』だ。2個のサイコロを別々に見て、それぞれの目の期待値を足せばよい。
もちろん、和が2〜12になる確率を全部求めて計算しても、同じ答えになる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 期待値の基本は(値)×(確率)の総和だ。でも「和」の期待値には、強力な近道がある。
「和の期待値は、期待値の和」。大小のサイコロを別々に見て、それぞれの目の期待値 を足せば で終わる。
和が2から12になる確率を11個求めて足しても、もちろん同じ答えになる。近道と正面ルート、両方の存在を知っておくことが大事だ。
やり方1(期待値の和を使う)
サイコロ1個の目の期待値は
『和の期待値は期待値の和』という性質から、2個の目の和の期待値は
やり方2(定義どおり)
和 ()になる確率を全部求めて を計算しても、同じ7になる。たとえば和7がいちばん出やすく()、分布が7を中心に左右対称なので、期待値がちょうど真ん中の7になるのは自然だ。
まとめ:まじめに11通りの和で計算するより、『期待値の和 = 和の期待値』を使うほうがずっと速い。この性質は、独立でなくても成り立つ強い武器だ。
発展 — 一歩先へ。 「和の期待値=期待値の和」は、サイコロが10個に増えても一瞬で と答えられる、確率でいちばん強い道具の1つだ。数学Bでは として定理になる。
しかも、この性質は2つの試行が独立でなくても成り立つ。くじ引きのように互いに影響し合う場面でも和は分解できる。この「無条件で使える」強さが、応用問題での威力の源である。
7
別解
第3の見方として、「分布の対称性」からも答えが出る。
和の確率分布を並べると、 と 、 と 、 と 、…の確率がすべて等しい。分布全体が を中心に左右対称なのだ( と を対応させると、和 の出方と和 の出方が1対1に対応する)。
左右対称な分布の期待値は、対称の中心そのもの。だから計算せずに と分かる。
「対称の中心=平均」という見方は、データの分析で学んだ平均の感覚と同じものだ。分布の形から答えを先に見抜き、計算は検算に回す、という使い方ができる。
ポイント
- 期待値 = (値) × (確率) の合計
- 和の期待値 = 期待値の和(独立でなくても成り立つ)
- サイコロ1個の目の期待値は
よくある間違い
- 和の分布を求めるとき、 と を同じものと数えて確率を間違える
- 期待値を「いちばん出やすい値(最頻値)」と混同する
- 「期待値の和」の性質を独立のときしか使えないと誤解する(和の期待値は常に分解できる)