数学A / 確率

原点に戻る経路(負にならない条件つき)

★★★★ 難関反復試行経路の数え上げ

問題

数直線上の原点に点 P がある。硬貨を投げて、表なら 、裏なら だけ P を動かす。硬貨を 回投げるとき、「P が 回後に原点に戻り、かつ途中で一度も負の位置に来ない」確率を求めよ。

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回で原点に戻る道のうち、途中で負に沈まないものを数える。表裏の列を折れ線にして、条件を満たす道の特徴をつかめ(数え上げは工夫した列挙でも届く)。

解答・解説

方針

全体は 通りで等確率。原点に戻るには表 回・裏 回(その並べ方 通り)。このうち「累積がつねに 以上」を満たす並びを数える。折れ線グラフで見ると構造がつかみやすく、 通りからの絞り込みは系統的な列挙で届く。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 全体は 通りで等確率。まず「 回後に原点」の条件を押さえる。表 回・裏 回が必要で、その並べ方は 通り。

問題は、この 通りのうち「途中で一度も負にならない」ものを数えること。

累積和(位置)を折れ線グラフで見ると構造がつかめる。 の並びで、途中の部分和がつねに 以上。これはカタラン数で数えられる典型で、系統的に列挙すれば 通りと分かる。

① 分母と候補を整理する。 回の表裏の列は 通りで、どれも等確率。 回後に原点に戻るのは表 回・裏 回のときで、並べ方は 通り。この中から「途中の累積がつねに 以上」のものを数える。

xyOy = −1(入ると失格)24612
条件を満たす道の一例(+ + − + − −)。位置はつねに 0 以上のまま、6 回後に原点へ戻る

② 条件を満たす列を系統的に列挙する。 表を「+」、裏を「−」と書く。負にならないためには、 回目は必ず + で、どの時点でも(+ の数)(− の数)が必要。最初の + のあと、残り 手で + 個・− 個を「途中で高さが に触れない」ように並べる。高さの推移で分類すると

  • ++ から始まる:++−+−−、++−−+−、++−−−は高さ になるので不可。+++−−− と ++−+−− と ++−−+− の 通り
  • +− から始まる(高さ に戻る):残り 手が「 回で原点・非負」の道で、+−+− と ++−− の 通り → +−++−−、+−+−+− の 通り

合計 通り。

③ 確率を求める。

まとめ:「戻る」条件は枚数の勘定()、「沈まない」条件は経路の形の勘定 — 性質の違う つの条件を分けて処理する。この という個数は、 歩で非負のまま原点に戻る道の数( と続く有名な数列)の の項になっている。

発展 — 一歩先へ。 「途中で負にならない の道」の数はカタラン数 。括弧の正しい対応、木の形、多角形の三角形分割など、まったく違う見た目の数え上げが同じカタラン数になる。反射原理( に触れた道を反転して数える)は、これらを統一的に数える強力な発想だ。

別解

別解 — 反射原理でカタラン数として一撃(得意な人向けの高い視点)。 「表 ・裏 の並びで、途中の部分和がつねに 以上」の個数は、カタラン数 で数えられる。

全体は 通り。このうち「途中で負になる(位置 に触れる)」ものを、反射原理で数える。 に初めて触れた後を上下反転させると、「表 ・裏 」の並び( 通り)と に対応する。

だから条件を満たすのは 通り。

確率は 。系統的に列挙する本解に対し、反射原理は「悪い並び( に触れる)を、ずらした二項係数で数える」鮮やかな方法。 往復なら (カタラン数)で、括弧の対応や山の登り下りなど、多くの数え上げに現れる。

ポイント

  • 分母は (等確率)。戻る条件で 通りに、非負条件で 通りに絞る。
  • 列挙は「最初の 手」で分類すると漏れなく数えられる。

よくある間違い

  • 原点復帰の条件(表 ・裏 )だけで を答えにし、「途中で負にならない」を課さない。
  • 「負にならない」を「 を通らない」と取り違える( 以上=負にならない、 は通ってよい)。
  • カタラン数 の分母 ()を誤る。