数学A / 確率
期待値の計算(賞金)
問題
10本のくじがあり、賞金は 300 円が1本、100 円が3本、残り6本は0円(はずれ)である。この中から1本を引くとき、受け取る賞金の期待値を求めよ。
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期待値は『(賞金)×(その確率)』を全部の場合について足したもの。各賞金の本数から確率を出して、加重平均を作る。
解答・解説
方針
期待値とは「1回あたり、平均していくらもらえるか」を表す値だ。
求め方は、(もらえる金額)×(その確率)を全部足す。
ここでは賞金の種類ごとに、その金額と当たる確率をかけて合計する。0円のはずれは、金額が0なので合計には効かないが、確率の分母(全10本)にはちゃんと数える。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 期待値とは「 回引いたら、平均いくらもらえるか」だ。
大事なのは、もらえる金額に、その確率という"重み"をつけて足すこと。 円は魅力的だが、当たるのは 本に 本しかない。だから 円をまるごと勘定に入れてはいけない。
はずれの 本も、忘れずに数える。 金額が 円なので計算には効かないが、確率の合計が になるかの確認に要る( ✓)。
期待値は、実際にもらえる金額ではない。 円のくじなど 本もないのに、期待値は 円になる。
賞金と、その確率を整理する。
- 300円: 確率
- 100円: 確率
- 0円: 確率
期待値は (金額) × (確率) を全部足すので
期待値60円の意味は、「このくじを1回引くと、平均して60円もらえる勘定」ということ。たとえば参加料が60円ならトントン、それより高ければ引くほど損、と判断の目安に使える。0円のはずれも確率としては数える(6本ぶんの )が、金額が0なので合計には効かない。
発展 — 一歩先へ。 期待値には、驚くほど便利な性質がある。足し算と、そのまま交換できるのだ。
しかも、 と が独立でなくても成り立つ(これが強力なところ)。
たとえば「サイコロを 回振ったときの目の合計の期待値」は、 回の期待値 を 倍して 。 通りを数える必要はない。
も成り立つ(この式は数Bで詳しく学ぶ)。期待値は "線形" — 難しい計算を、単純な部品の足し算に分解できる。
だが、期待値がすべてではない。 次の つのくじを比べてみよう。
- くじP: 必ず 円もらえる
- くじQ: の確率で 円、それ以外は 円
期待値はどちらも 円。しかし、 回だけ引くなら、まるで違うくじだ。くじQは 回に 回、何も手に入らない。
同じ期待値でも、散らばりが違う。 この散らばりを測るのが分散であり、リスクの尺度になる。投資でも保険でも、「平均リターン(期待値)」と「リスク(分散)」をセットで見る — 片方だけでは、判断を誤る。
期待値は強力だが、万能ではない。 そのことを知っているかどうかが、数学を使えるかどうかの分かれ目である。
60円
別解
期待値の正体は「平均」である。 そのことを、確率を一切使わずに確かめてみよう。
本すべての賞金を、そのまま書き出す。
この 個の数の平均を求める。
期待値と、ぴったり同じ 円 ✓。
なぜ一致するのか。 上の平均の式を、少し変形してみる。
「本数で割ってから足す」のと、「確率を掛けて足す」のは、同じ計算だったのだ。
この見方を持つと、期待値の意味がはっきりする。 「くじを 本すべて引いたら、合計 円もらえる。 本あたりにならせば 円」— これが期待値だ。 回引くだけなら 円か 円か 円のどれかで、 円がもらえることは絶対にない。しかし何度も繰り返せば、 回あたりの平均は 円に近づいていく(大数の法則)。
期待値の使いどころは、判断の道具としてである。
このくじが 本 円で売られていたらどうか。期待値は 円 — 回引くごとに、平均 円損する勘定になる。 回引けば、平均 円の損だ。「当たれば 円」という宣伝文句に踊らされず、期待値で冷静に損得を測る。
逆に 円で売られていたら? 期待値 円 > 価格 円だから、引くほど得である(そんなくじは現実にはまず存在しないが)。
宝くじ、ガチャ、保険、投資 — 世の中の「賭け」はすべて期待値で評価できる。期待値を計算する習慣は、お金と付き合ううえでの防具になる。
ポイント
- 期待値 = (もらえる値) × (その確率) を全部足す
- 確率の分母は全体(ここでは10本)。全部の確率を足すと1になる
- 値が0の場合も確率には数えるが、合計には効かない
よくある間違い
- 確率をかけず、賞金 を本数で割り忘れる/そのまま答える
- はずれ6本を分母に数え忘れ、確率の合計が1にならない
- 期待値を「いちばん出やすい金額」や「実際にもらえる金額」と誤解する(60円のくじは1本もない)