総合演習 / 力学の融合

円運動・単振動 × 万有引力・浮力 — 向心力・復元力を重力や浮力から作る

円運動や単振動を支える「向心力・復元力」の正体を、万有引力・浮力・エネルギー保存にさかのぼって考える問題です。振動と天体・流体をつなぎます。

全 16 問(応用 8・最難関編 8)。課程の学習順に並んでいます。

問1 ばねで結ばれた 2 球(重心の等速運動と振動の分離) 最難関編物理・運動量と力積

なめらかな水平面上に、質量 の小球AとBが、ばね定数 の軽いばねで結ばれて静止している。ばねははじめ自然長である。

いま、Aに瞬間的な力積を与え、Bから遠ざかる向き(ばねを伸ばす向き)に速さ を与えた。

(1) その後の 2 球の重心の速度を求めよ。

(2) ばねの伸びが最大になる瞬間の、AとBの速度をそれぞれ求めよ。

(3) ばねの伸びの最大値を求めよ。

(4) その後Bの速さが最大になる瞬間の、Bの速さを求めよ。

なめらかな床ABばね k初速 v₀
自然長のばねで結ばれた 2 球。A にだけ、ばねを伸ばす向きの初速を与える。
問2 鉛直面内の円運動(一般の角度) ★★★ 応用物理・円運動と万有引力

長さ の糸の先に質量 の小球をつけ、最下点で速さ を与えて鉛直面内で回す。糸が最下点から角 回った位置について、(1) 小球の速さの 2 乗 (2) 糸の張力 をそれぞれ求めよ。重力加速度の大きさを とする。

O60°Tmg高さ L(1−cosθ)
最下点で初速を与えて鉛直面内で回す。60° 回った位置を考える
問3 半球面のてっぺんから滑る球 ★★★ 応用物理・円運動と万有引力

半径 のなめらかな半球面の頂上に小球を置き、ごくわずかに押して滑らせた。小球が球面から離れるのは、頂上から測った角 (中心から見た角)がいくらのときか。 で答えよ。また、そのとき小球は頂上から鉛直方向に何 m 下がった位置にいるか( で表せ)。

OθmgN
なめらかな半球面のてっぺんから滑り出す球
問4 脱出速度(第 2 宇宙速度) ★★★ 応用物理・円運動と万有引力

地表から物体を打ち出し、無限遠まで到達させる(地球の重力を振り切る)ために必要な最小の初速(第 2 宇宙速度)を求めよ。万有引力による位置エネルギーは、無限遠を基準として で与えられる。 とする。

r/RUOU=0(無限遠)地表½mv²
重力による位置エネルギー U=−GMm/r(無限遠が基準)
問5 低軌道衛星の周期 ★★★ 応用物理・円運動と万有引力

地表すれすれの円軌道を回る人工衛星の周期を求めよ。地球の半径を 、重力加速度の大きさを とする。

地球速さ v1 周 T=?
地表すれすれの円軌道を回る人工衛星の 1 周を考える
問6 静止衛星の軌道半径(力学からの計算) ★★★ 応用物理・円運動と万有引力

静止衛星は周期 秒(1 日)で地球のまわりを回る。軌道半径 (地球の中心から)を求めよ。 の関係と、 を用いてよい。

地球静止衛星T=1 日r=?
周期 1 日(静止衛星)の円軌道。軌道半径を求める
問7 地球を回る楕円軌道(面積速度とエネルギー) 最難関編物理・円運動と万有引力

地球(半径 、地表での重力加速度の大きさ )のまわりを回る人工衛星がある。地球の中心からの距離が最も小さい点(近地点)ではその距離が (地表すれすれ)で、そこでの速さを とする。最も大きい点(遠地点)では距離が である。万有引力による位置エネルギーは無限遠を基準にとり、 を用いてよい。

(1) 遠地点での速さ で表せ。

(2) で表せ。

(3) この楕円軌道を 1 周する時間(周期) で表せ。

地球近地点 R遠地点 3R
近地点 R・遠地点 3R の楕円軌道。地球は焦点にある
問8 連星の周期(ケプラー第3法則の一般化) 最難関編物理・円運動と万有引力

宇宙空間で、質量 の星 A と質量 の星 B が、たがいの万有引力だけを受けて、共通の重心のまわりをそれぞれ等速円運動している。2 星間の距離は常に に保たれている。万有引力定数を とする。

(1) 重心から星 A、星 B までの距離をそれぞれ求めよ。

(2) 円運動の角速度 を求めよ。

(3) 周期 を、全質量 を用いた形にまとめよ。

重心星 A(m)星 B(2m)間隔 d
2 星が共通重心を挟んで回る。重心からの距離は質量の逆比
問9 中心を通らないトンネルでも単振動 最難関編物理・円運動と万有引力

密度が一様な地球(半径 、地表での重力加速度の大きさ )を考える。地球内部で中心から距離 の位置にある物体には、中心に向かって大きさ の重力がはたらくことが知られている。

いま、地球の中心を通らず、中心からの距離が の直線トンネルをまっすぐ掘る(トンネルはなめらかで、空気抵抗はない)。トンネルの中央から測った位置を として、物体を静かに放す。

(1) 物体にはたらく重力の、トンネルに沿う方向の成分を で表せ。

(2) 物体の運動が単振動であることを示し、その周期 を求めよ。

(3) 周期はトンネルの位置(距離 )によるか、答えよ。

地球中心 Oトンネルb物体x
中心を通らない直線トンネル。中央から測った位置が x、中心からの距離 b は一定
問10 軌道を上げる遷移軌道(ホーマン遷移) 最難関編物理・円運動と万有引力

地球(中心からの距離 で万有引力がはたらく。)のまわりの、半径 の円軌道を回っている宇宙船を、半径 の円軌道へ移したい。そのために、まず短時間の噴射で速さを変えて、近い側の距離が ・遠い側の距離が の楕円軌道(遷移軌道)に乗せ、遠い側に着いたところで再び噴射して半径 の円軌道に乗せる。

(1) 半径 、半径 の円軌道の速さ をそれぞれ で表せ。

(2) 遷移軌道の近い側・遠い側での速さ を求めよ。

(3) 1 回目・2 回目の噴射で必要な速さの変化 を求めよ。

地球半径 R半径 4R遷移楕円
半径 R の円軌道から半径 4R の円軌道へ、遷移楕円で移る
問11 与えられた速さで軌道の形を決める 最難関編物理・円運動と万有引力

地球()の中心から距離 の点で、質量 の物体に、動径に垂直な向きの速さ を与える。

(1) この点での脱出速度(無限遠へ去るのに必要な最小の速さ)を で表せ。

(2) のとき、軌道が楕円・放物線・双曲線のどれになるか、理由とともに答えよ。

(3) (2) の楕円について、長半径 を求めよ。また、この点が近地点・遠地点のどちらかを判定し、もう一方の距離を求めよ。

問12 空気抵抗で衛星が速くなるパラドックス 最難関編物理・円運動と万有引力

地球()のまわりの半径 の円軌道を回る質量 の人工衛星がある。ごく薄い大気からわずかな空気抵抗を受けると、衛星は長い時間をかけて円軌道を保ったまま少しずつ高度を下げる(各瞬間はほぼ円軌道とみなせる)。

(1) 円軌道の速さ 、運動エネルギー 、位置エネルギー 、全エネルギー を、それぞれ を使って表せ。

(2) 空気抵抗は負の仕事をして全エネルギーを減らすのに、衛星の速さはむしろ増える。この一見矛盾する現象の理由を、(1) の関係を使って説明せよ。

(3) 高度が下がって半径が 1.0% 減ったとき、速さは何%増えるか。有効数字2桁で求めよ。

問13 引力による最接近距離(衝突径数) 最難関編物理・円運動と万有引力

質量 の恒星の近くを、小天体(質量 で恒星は動かないとする)が通り過ぎる。小天体は無限遠では速さ を持ち、もし恒星の引力がなければ、恒星の中心から距離 (衝突径数)だけ離れた直線上を等速で通り過ぎるはずであった。引力を受けた実際の軌道での、恒星への最接近距離 を求めたい。万有引力による位置エネルギーは無限遠を基準に とする。

(1) 無限遠での角運動量を を使って、最接近点での角運動量を を使って表し、両者が等しいことから最接近点の速さ を表せ。

(2) エネルギー保存と (1) を連立して、 を求めよ。

(3) とくに のとき、 で表せ。

恒星 M速さ v∞b最接近
無限遠から速さ v∞、衝突径数 b で近づく天体(点線は引力がない場合の直進路)
問14 浮体の振動の文字式 ★★★ 応用物理・単振動

断面積 の一様な柱状の物体(質量 )が、密度 の液体に鉛直に浮かんでつり合っている。これを少し押し沈めて放すと単振動する。(1) つり合いの位置から 沈めたときの合力(下向きを正)を書け。 (2) 周期 で表せ。 (3) として値を確かめよ。

問15 U字管内の液体の振動 ★★★ 応用物理・単振動

断面積が一様な U 字管に、全長 の液体(密度 、断面積 )が入っている。片方の液面を少し押し下げて放すと、液体全体が管に沿って振動した。液面が中央(つり合い)から ずれたときの復元力を考えて、振動の周期を求めよ。重力加速度の大きさを とする。

液面全長 L=4.9 m の液体
U 字管の液体。片側を押し下げて放すと全体が振動する
問16 地球を貫くトンネル ★★★ 応用物理・単振動

地球の中心を通るまっすぐなトンネルを掘り、物体を静かに落とす(摩擦・空気抵抗は無視する)。地球内部では、中心からの距離 の位置の物体にはたらく重力が (: 地球半径、: 地表の重力加速度)と表せることが知られている。(1) この物体の運動が単振動になる理由を述べ、周期 で表せ。 (2) として周期を分単位で求めよ。 (3) 反対側の地表に到達するまでの時間は何分か。

中心落とす反対側R
地球を貫くトンネル。内部の重力は中心からの距離に比例する