場合の数の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
場合の数は、「数え上げの原則」を身につける単元です。順列と組合せの公式は2つしかありませんが、問題の設定(隣り合う・円形に並ぶ・同じものを含む・組に分ける)によって、何を数えているかが変わります。この記事では、数える前に決めるべきことと、設定ごとの考え方の違い、練習の順序を説明します。
数える前に「何を1通りと数えるか」を決める
場合の数の問題で最初にすることは、「何と何が決まれば1通りが確定するか」を言葉にすることです。「5人を1列に並べる」なら、1番目・2番目・…・5番目に誰が入るかが決まれば1通りです。「5人から3人を選ぶ」なら、選ばれた3人の集合が決まれば1通りで、選ぶ順番は関係ありません。
この違いが、順列 と組合せ の違いです。順番が意味をもつなら順列、もたないなら組合せです。「委員長と副委員長を選ぶ」は順列、「委員を2人選ぶ」は組合せ、という区別を、順列 nPrと組合せ nCrで確認してください。
数え方に迷ったら、小さい場合で全部書き出してみるのが確実です。樹形図・辞書式にすべて書き上げるは、そのための練習です。
設定ごとの考え方
隣り合う条件は、隣り合うものを「ひとかたまり」にして並べ、最後にかたまりの中の並べ方をかけます。隣り合わない条件は、先に他のものを並べて、その間と両端の「すき間」に入れます。隣り合う・隣り合わない順列で、この2つの手順を並べて練習してください。
円順列は、回転して同じになるものを1通りと数えるので、1人を固定して残りを並べます。 です。裏返しても同じとみなす(じゅず順列)なら、さらに2で割ります。円順列、標準のじゅず順列、円卓に男女が交互に座るの順に進んでください。
同じものを含む順列は、全部を区別して並べてから、同じものの並べ替えの数で割ります。「AAABB を並べる」なら です。最短経路の数は、右に進む回数と上に進む回数の並べ方なので、この型と同じです。同じものを含む順列と最短経路の数を並べて解くと、2つが同じ計算であることがわかります。
組分けは、この単元で最も間違いの多い型です。「6人を2人ずつ3組に分ける」とき、組に名前(A・B・C)がついていれば で、名前がなければそれを で割ります。「組に区別があるか」を最初に確認してください。標準の組分け(区別のある組・ない組)と応用の9人を3人ずつ3組に分けるで、この判断を固めます。
つまずきやすいところ
0を含む数字で整数を作る問題は、先頭に0が来られないので、最上位の桁を先に決めます。「偶数を作る」なら一の位を先に決め、一の位が0の場合とそうでない場合で分けます。0を含む数字で整数を作ると標準の倍数・偶奇で、「制約の強い桁から決める」順序を練習してください。
重複を許す場合の数え方は2種類あります。「3つの箱に区別のある玉を入れる」のように、それぞれが独立に選べるなら重複順列 です。「同じ種類の果物を合わせて5個買う」のように、個数の組だけが問題なら重複組合せで、仕切りを使って と数えます。重複順列と応用の重複組合せは、見た目が似ていて数え方が違う対の問題です。
「少なくとも1つ」の条件は、全体から「1つもない」を引きます。2つ以上の条件が絡むときは包除原理(応用の2つの隣接条件)で、重複して引いた分を足し戻します。
学習の順序
基礎12問は、個数定理、書き上げ、和と積の法則、約数の個数、順列、0を含む整数、隣り合う条件、円順列、重複順列、組合せ、同じものを含む順列、最短経路の順で、この単元の型を一通り並べています。標準12問は同じ型を条件を足して繰り返し、応用8問で重複組合せ、完全順列、塗り分け、通行止め、組分け、辞書式順序、整数解の個数、包除原理を扱います。
このサイトの場合の数の問題は、すべて総当たり(全パターンの列挙)で答えを検証しています。自分の答えが合わないときは、数え方のどこで重複や漏れが出たかを、解説と照らして探してください。
次の単元と入試での出方
次の「確率」は、この単元の数え上げを分母と分子に使う単元です。順列と組合せの区別、余事象、同じものを含む順列が、そのまま前提になります。
入試では、場合の数が単独で出るときは、円順列と組分けと最短経路が定番です。難関大では、カタラン数(実戦編の対角線を越えない最短経路)、包除原理による全射の数え上げ、漸化式で数える塗り分けのように、数列との融合で出題されます。最難関編には、完全順列の漸化式、格子点が作る正方形や三角形の総数など、数え上げの構造そのものを問う問題を集めました。