数学A / 場合の数
対角線を越えない最短経路(カタラン数と反射原理)
問題
格子を右または上へ1歩ずつ進んで から へ行く最短経路のうち、つねに (対角線 を上に越えない)ものの総数を求めよ。
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全経路から“ダメな経路(対角線を越える= に触れる)”を引く。触れた後を対角線で折り返す反射で、ダメな経路が別の端点への全経路と1対1に対応する。
解答・解説
方針
全経路は 。 を破る経路(直線 に触れる)を、最初に触れた後を対称移動する反射原理で → の経路 と1対1対応させ、引く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「越えない経路」を直接数えるのは難しい。全体から悪い経路を引く方針に切り替える。
全経路は右 歩・上 歩の並べ方で 。悪い経路(直線 に触れる)を数えるのが勝負だ。
急所は反射原理: 悪い経路を「最初に に触れた後の部分を、その直線について折り返す」と、 から への経路と1対1に対応する。折り返しで数えにくいものが数えやすいものに化ける。
① 全経路。 の最短経路は右 回・上 回の並べ方で 通り。
② 越える経路を反射で数える。 を破る経路は直線 に触れる。初めて触れた点以降を で折り返すと、始点 の鏡像 から への経路になる。これは右 回・上 回の並べ方で 通り。逆にたどれるので1対1対応、越える経路はちょうど 通り。
③ 引く。 よって越えない経路は これがカタラン数 。
まとめ 「対角線を越えない経路」は、全経路 から越える経路を反射原理で と数えて引く。差はカタラン数 。数え上げ・最短経路・二項係数(反射)の融合。 なら 。
発展 — 一歩先へ。 カタラン数 は、対になった括弧の列( 組)、凸多角形の三角形分割、二分木の形 — と、まるで違う顔の問題に繰り返し現れる「数え上げの王様」だ。どれも本問の経路と1対1対応が作れる。また票数の一般形(A が 票、B が 票、、開票中つねに A が優勢である確率 )は「投票の問題」と呼ばれ、反射原理がそのまま働く。
全経路 から、対角線を越える“悪い経路”を反射原理で と数え、差 (カタラン数)。
別解
「最初に対角線へ戻る場所」で分解する(カタラン数の再帰構造)。 反射原理と別の顔として、良い経路を最初に に戻る点で切る見方がある。
良い経路が最初に対角線に戻るのが だとすると、経路は「最初の右1歩+内側で対角線に触れない長さ の部分+上1歩」と「残りの長さ の良い経路」に割れる。個数を と書くと
という再帰の分解が出る()。実際 がこの式で次々に生成される。
反射原理(本解)は閉じた式 への最短路、再帰分解は「カタラン数が括弧の対応・二分木・多角形の三角形分割にも現れる」理由を説明する構造の道 — 同じ数列の2つの顔だ。
ポイント
- 全経路 から越える経路を引く(余事象)。
- 越える経路は反射原理で の経路 と1対1。
- 差はカタラン数 。
よくある間違い
- 反射の対応先を からの経路と取り違える(直線 に関する の対称点は )。
- 「触れたら悪い」の基準線を と混同する( は に触れてよい。破るのは に達したとき)。
- 反射が1対1対応であること(悪い経路のどれもが対応し、逆向きも作れる)の説明を落とす。