統計の標準化と正規分布表 — 1つの操作がすべてに使われる
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日
統計的な推測(数学B)は、計算量が少ないのに得点が安定しない単元です。原因は、「標準化して正規分布表を引く」という手順の意味がつかめていないことにあります。この記事では、標準化とは何か、正規分布表をどう読むか、そしてそれが標本平均・信頼区間・仮説検定でどう使われるかを、1本の筋で説明します。
標準化は「ものさしをそろえる」操作
正規分布 に従う について、 とおくと、 は標準正規分布 に従います。「平均を引いて標準偏差で割る」ことで、どんな正規分布も「平均0・標準偏差1」のものさしに直せます。表は の分しかないので、この操作で表が使えるようになります。
の値は「平均から標準偏差の何倍離れているか」を表します。偏差値(平均50・標準偏差10)は、この を に直したものです。統計的な推測の基礎「正規分布の標準化」で、この操作の意味を確認してください。
正規分布表の読み方
表には、 の範囲の確率 が載っています(問題によっては の表のこともあるので、問題文で確認します)。それ以外の範囲は、対称性で組み立てます。、、 です。
このサイトでは、釣鐘型の曲線と求める確率の面積を塗った図を付けてあります。「表の値がどの面積か」を図で確かめてから式を組み立てると、対称性の使い方で迷いません。基礎の標準正規分布の確率、標準化して表、標準の区間で、面積と式の対応を練習してください。
二項分布は正規分布で近似できる
二項分布 は、 が大きいとき正規分布 で近似できます。「200回投げて表が110回以上出る確率」は、、 で標準化して表を引きます。標準の二項分布の正規近似と応用の同名の問題で確認してください。
標本平均の分布が推定の土台
母平均 、母標準偏差 の母集団から大きさ の標本をとると、標本平均 は平均 、標準偏差 の正規分布に(近似的に)従います。 で割る理由は、独立な 個の和の分散が になり、それを で割った平均の分散が になるからです。この導出を1度たどると、 のまま(または と)計算する誤りが消えます。基礎の標本平均の期待値と標準偏差と標準の標本平均の分布と確率で確認してください。
信頼区間は「標本平均の分布の真ん中95%」
母平均の95%信頼区間 は、標本平均の分布で「平均から の範囲に95%が入る」ことを、母平均を中心に置き直した式です。 は となる で、正規分布表から読めます。母比率なら、 を に置き換えます。標準の母平均の信頼区間と母比率の信頼区間で式を確認し、応用の信頼区間の幅と標本の大きさで「幅を半分にするには標本を4倍にする」関係を確かめてください。
仮説検定は「棄却域に入るか」
仮説検定は、「帰無仮説のもとで、観測された結果が起こる確率が5%より小さければ、帰無仮説を棄却する」手順です。観測値を標準化して を求め、両側検定なら 、片側なら が棄却域です。ここでも標準化と表の読みが使われます。「棄却できない」は「帰無仮説が正しい」ではなく「否定する根拠がない」という意味です。応用の仮説検定(両側)と片側で、棄却域の図を見ながら手順を固めてください。
1本の筋
この単元は、「標準化して表を引く」という1つの操作が、確率の計算、二項分布の近似、標本平均、信頼区間、仮説検定のすべてに使われています。問題ごとに公式を覚えるのではなく、「何を標準化するか( か か)」「どの面積を読むか」の2点を確認する、と考えると、問題文の言い回しが変わっても手が止まりません。
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数学Iのデータの分析(平均・分散・標準偏差の定義)が前提です。データの分析の記事を参照してください。共通テストでは統計が選択問題として出るので、共通テスト数学の対策の科目ごとの重点も参照してください。最難関編には、不偏分散(なぜ で割るか)、二項分布の再生性、有限母集団修正など、公式の背景を扱う問題を置いてあります。