数学B / 統計的な推測
二項分布の正規近似
問題
枚の硬貨を 回投げて表が出る回数を とする。 が 回以上になる確率を、正規分布で近似して求めよ。ただし とする。
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回数の分布(二項分布)を正規分布で近似するのが主題。近似先の平均と標準偏差を二項分布から作り、あとは標準化して表を引く。『以上』の確率は全体の半分から引く形になる。
解答・解説
方針
は 。 が大きいので正規分布 で近似できる。平均 、標準偏差 を出し、標準化して表を引く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は二項分布 。 を厳密に計算するなら 項の足し算 — 現実的でない。
そこで近似の出番。 が大きい二項分布は、同じ平均・分散をもつ正規分布 でほぼ置き換えられる。
平均 、分散 、標準偏差 。あとは正規分布の問題として標準化し、表を引くだけだ。「離散の山を、なめらかな釣鐘で置き換える」— 二項分布の正規近似である。
① 平均と標準偏差を出す。 。
よって はおよそ に従う。
② 標準化する。 を標準化。
③ 確率を求める。 。これは右のすそ野の面積で、 から を引く。
まとめ:回数の多い二項分布は、 に化ける(正規近似)。平均 ・標準偏差 を出して標準化すれば、正規分布の確率として計算できる。 の形も要注意。
発展 — 一歩先へ。 「二項分布は が大きいと正規分布に近づく」はド・モアブル=ラプラスの定理と呼ばれ、さらに一般化した中心極限定理(どんな分布でも、独立な和は正規分布に近づく)は統計学全体の背骨だ。身長・測定誤差など「小さな要因の足し合わせ」が正規分布になりやすい理由もここにある。
より精密には、離散の を連続の と半目盛りずらして近似する「連続性の補正」もある(大学レベル)。高校の答え に対し補正後は約 — 近似の精度を上げる工夫まで含めて、この定理は実用の道具になっている。
約
別解
計算の前に「 回は多いのか?」を の物差しで見積もる習慣をつけたい。
回投げれば表は平均 回。ぶれの単位は 回だ。
回は「平均より 1.5 個分多い」— 珍しさで言えば中の上、という位置づけがまず読める。()にはまだ届かないから、確率は数 % 台のはず、と当たりがつく。
実際、 — 見積もりどおり約 だ。
この「まず で測る」感覚は、答えの検算になるだけではない。もし問題が「 回以上」()なら 台 — 「この硬貨は歪んでいるのでは?」と疑い始める水準で、それはまさに後で学ぶ仮説検定の考え方の入り口である。
ポイント
- ( 大)。
- 。
よくある間違い
- 近似に使う正規分布の分散を でなく や にしてしまう
- 標準化で でなく分散 で割って とする
- を表の値 のまま答える( から引く)