電場と電位の解説
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日
電場と電位は、電磁気分野の入り口であり、同時に最も混乱しやすい単元です。理由は、電場と電位という「似た名前で性質の違う量」を同時に導入するからです。この記事では、2つの量をどう区別し、コンデンサーの問題をどう進めるかを整理します。
電場と電位はどう違うか
電場 は、そこに置いた電荷 が受ける力を で割ったもので、向きをもつベクトルです。点電荷 からの距離 での大きさは で、分母が の2乗です。
電位 は、そこに置いた電荷がもつ位置エネルギーを で割ったもので、向きをもたないスカラーです。点電荷からの距離 では で、分母は の1乗です。
この2つを見分ける方法は簡単で、「ベクトルかスカラーか」「分母が2乗か1乗か」の2点だけを確認すれば足ります。重力になぞらえると、電場は重力加速度 (場の強さ)、電位は高さ (位置エネルギーの元)に対応します。電場の定義 E=F/qと点電荷のまわりの電位を並べて解くと、この対応が見えます。
一様な電場では、この2つを でつなぎます。電場は「電位の坂の傾き」で、単位 N/C と V/m が同じものを指していることを一様な電場と電位差 V=Edで確認してください。
つまずきやすいところ
最も多い誤りは、電場の重ね合わせをスカラーのように足してしまうことです。 と の中点では、電場は同じ向きなので足し算で2倍になりますが、電位は打ち消して0になります。標準の電場の重ね合わせ(±Q の中点)と電位の重ね合わせ(±Q の中点)は、この「電場は足すのに電位は消える」場面をわざと並べてあります。
次に多いのが、電場が0になる点の位置です。同符号の2電荷なら間に、異符号なら外側にあります。電場が 0 になる点では、距離の比が電荷の平方根の比になることを、2乗の式を平方根で1次に落として求めます。
コンデンサーでは、「電池をつないだまま」か「電池を切ってから」かで、固定される量が変わります。つないだままなら電圧 が固定され、切ってからなら電荷 が固定されます。最初に「何が固定されているか」を書いてから極板間隔や誘電体を変えると、混乱しません。標準の極板間隔を広げる(電池を切って)と極板間隔を広げる(電池につないだまま)は、同じ操作で結果が変わる対比の問題です。
学習の順序
基礎12問は、クーロンの法則から電場・電気力線・電位・仕事・電子の加速と進み、後半でコンデンサーの ・・エネルギーに入ります。前半6問で「電場と電位の区別」を、後半で「コンデンサーの3公式」を固める構成です。
標準12問では、重ね合わせ、等電位線の読み取り、コンデンサーの直列・並列、誘電体、極板操作を扱います。コンデンサーの直列接続は「間の島の電荷が保存されるから が共通になる」という理由から入ると、公式の丸暗記にならずに済みます。
応用8問には、正三角形の頂点での合成電場、最接近距離(電気的な位置エネルギー)、一様電場中の放物運動、極板を引き離す仕事、混合回路、電荷の再分配、金属板の挿入、ブラウン管の原理を置きました。一様電場中の放物運動は、力学の放物運動で を に置き換えるだけで解けることを確認する問題で、電磁気と力学の橋渡しになります。
入試での出方
入試では、コンデンサーの極板操作(間隔・誘電体・金属板)と、それに伴うエネルギーの変化と仕事の計算が最も多く出ます。「電池がした仕事」「外力がした仕事」「静電エネルギーの変化」「ジュール熱」の4つの収支を書けるようにしておくと、どんな操作でも対応できます。充電で電池がする仕事と発生する熱は、電池の仕事 の半分が必ず熱になるという、この収支の代表例です。
最難関編には、導体球をつないだときの電荷の分配、極板間の引力がなぜ なのか、地球の電気容量、コンデンサーのブリッジ回路など、標準的な参考書では扱いが薄い題材を集めました。
コンデンサーの3公式と、エネルギーの4つの帳簿
コンデンサーの計算で使う式は、、、 の3つです。エネルギーの式が3通りあるのは、固定されている量に合わせて選ぶためです。電池につないだまま( 固定)なら 、電池を切った( 固定)なら を使うと、変わる量が だけになって計算が短くなります。
極板を動かす・誘電体を入れる・金属板を挿入する、といった操作の問題では、次の4つの量の収支を書きます。電池がした仕事(電池を通った電荷 × 起電力)、外力がした仕事、静電エネルギーの変化、抵抗で発生した熱です。エネルギー保存の式は「電池の仕事 + 外力の仕事 = 静電エネルギーの増加 + 熱」で、このうち問題文で0とわかるものを消していけば、残りの量が求まります。
電池を切っている場合は電池の仕事が0、ゆっくり動かす場合は熱が0(運動エネルギーも0)、といった判断がここに入ります。応用の極板を引き離す仕事は電池を切った状態で外力の仕事が静電エネルギーの増加に等しくなる例、充電済みコンデンサーの並列接続は電荷保存で電圧が決まり、失われたエネルギーが抵抗値によらず熱になる例です。
関連する単元
直流回路の単元では、コンデンサーを含む回路を扱います(定常状態ではコンデンサーに電流が流れないことがカギです)。電流と磁場の単元では、電場と磁場の両方を受ける荷電粒子が出てきます。力学の放物運動とエネルギー保存は、この単元でそのまま使います。