空間ベクトルの解説

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

空間ベクトルは、平面ベクトルの成分を3つに増やしたものです。演算・内積・位置ベクトルの規則は平面と同じで、新しく加わるのは、直線と平面の扱い(法線ベクトル)、球面の方程式、そして「4点が同一平面上にある条件」のような空間特有の問題です。この記事では、平面との共通点と、空間で新しく必要になる考え方を分けて説明します。

平面と同じ部分

大きさ 、内積 、なす角、垂直(内積0)、平行(実数倍)、内分点、重心。これらは平面と全く同じ式で、成分が1つ増えるだけです。空間ベクトルの大きさから空間の2点間の距離までの基礎12問で、平面の公式が3成分でもそのまま使えることを確認してください。

このサイトの空間ベクトルは、全32問に斜投影の3D図を付けてあります。「3次元は図が描きにくい」のではなく、「頭の中で想像できないからこそ図が要る」領域です。大きさの問題では直方体の対角線、なす角では2本の矢印と角、点と平面の距離では平面のパッチと法線、というように、解説の図で空間の配置を確かめてから式を追ってください。

空間で新しく必要になる考え方

平面の法線ベクトル。 空間の平面は、「平面に垂直なベクトル(法線ベクトル)」と「平面上の1点」で決まります。平面上の任意の点 について が平面のベクトル方程式です。2つのベクトル の両方に垂直なベクトルは、内積0の連立方程式から求まります(標準の空間で垂直なベクトルの作成、難関の2つのベクトルに垂直な単位ベクトル)。外積を知っていれば一発ですが、連立で求める方法も必ず身につけてください。

点と平面の距離。 点から平面に下ろした垂線の足を とし、 が法線ベクトルに平行であることと、 が平面上にあることから を決めて距離を求めます。または、平面の方程式 に対する距離の公式 です。標準の平面のベクトル方程式(法線)と応用の点と平面の距離で、両方の方法を見比べてください。

同一平面上にある条件。 4点 が同一平面上にあるのは、 と書けるときです。この条件から未知の座標や係数を決めます(応用の4点が同一平面上にある条件)。直線と平面の交点も、「交点が直線上にある」ことと「平面上にある(上の形で書ける)」ことを連立して求めます(難関の直線と平面の交点)。

球面。 中心 、半径 の球面は 、成分では です(標準の球面の方程式)。球面と直線の交点は、直線の媒介変数表示を球面の式に代入して の2次方程式を解きます(応用の球面と直線の交点)。

体積。 平行六面体の体積は (スカラー三重積)、四面体はその です。外積を使わない場合は、底面積と高さ(点と平面の距離)から求めます(標準の平行六面体の体積、応用の四面体の体積)。

つまずきやすいところ

平面ベクトルと同じ調子で「交点を2通りに表して係数比較」をすると、空間では未知数が3つ以上になって連立が煩雑になることがあります。空間では、法線ベクトルや同一平面条件を使ったほうが短い場面が多いので、平面の方法に固執しないでください。

計算量が多いので、始点の選び方が効きます。原点が四面体の頂点になるように座標を置く、対称性のある図形なら対称軸を座標軸にする、といった工夫で、式の複雑さが大きく変わります。

学習の順序と入試での出方

基礎12問で平面と共通の演算を3成分で確認し、標準12問で分解、直線、球面、平行六面体、法線、共線条件、垂直ベクトルの作成を扱い、応用8問で一次独立な分解、点と平面の距離、四面体の体積、球面と直線、同一平面条件、外積へ進みます。

入試では、四面体を題材にした問題(体積・内接球・対辺の関係)、点と平面の距離、球面と平面の交わりが定番です。実戦編には、正四面体の二面角、ねじれの位置の最短距離、内接球の半径、方向余弦を、最難関編には、立方体の正六角形の切り口、直辺四面体の恒等式、球に内接する直方体の最大体積など、空間図形の構造を問う問題を集めました。数学Aの図形の性質(正四面体・正八面体)と、数学Iの図形と計量(空間の三平方)が前提になります。

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