P-Vグラフとサイクル — 点は状態、線は過程、面積は仕事

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日

気体の熱力学の問題は、P-Vグラフ上で解くのが最も確実です。状態方程式と熱力学第1法則の2本を、グラフ上の点と線に対応させると、「どの過程で何が0になるか」「仕事は面積で読める」「熱効率はどう計算するか」が一目でわかります。この記事では、P-Vグラフの読み方と、サイクルの問題を表で解く手順を説明します。

P-Vグラフの点は「状態」、線は「過程」

グラフ上の1点は、気体の1つの状態(圧力 ・体積 、そして状態方程式から温度 )を表します。線は、状態から状態への変化(過程)です。等温線は 一定の双曲線で、原点から遠いほど高温です。断熱線は等温線より急な曲線です。定積変化は縦線、定圧変化は横線です。

温度は「原点から遠いほど高い」と読めるので、グラフを見ただけで、どの過程で温度が上がるか(内部エネルギーが増えるか)がわかります。気体の熱力学の標準「等温線の読み取り」で、この読み方を確認してください。

仕事は「線の下の面積」

気体が外へする仕事 は、P-Vグラフで過程の線の下(横軸との間)の面積です。体積が増える向き(右向き)なら正、減る向き(左向き)なら負です。定積変化は面積が0なので 、定圧変化は長方形で です。基礎のP-V グラフと仕事で確認してください。

サイクル(元の状態に戻る閉じた経路)では、1周の正味の仕事は、経路が囲む面積です。時計回りなら正(熱機関)、反時計回りなら負(ヒートポンプ)です。標準の長方形サイクルの正味の仕事で、「囲む面積 = 正味の仕事」を確認してください。

第1法則の表を作る

各過程で、 の3つの量を表にします。 は温度変化だけで決まり(単原子分子なら )、 は面積で読み、 は残りです。4つの変化で「何が0になるか」を整理すると、定積は 、等温は 、断熱は 、定圧は3つとも0でなく (単原子分子)です。

サイクルの問題では、この表を過程ごとに1行ずつ埋めます。 は状態量なので、1周の合計は必ず0になります。これが検算になります。気体の熱力学の記事に、この表の作り方をまとめてあります。

熱効率は「吸熱した過程の Q だけ」で割る

熱効率は で、分母は「吸熱した過程()の の合計」です。放熱した過程の は分母に入れません。表で の符号を過程ごとに確認してから、正のものだけを足します。標準の熱機関の熱効率、応用の長方形サイクルの熱効率三角形サイクルの熱効率で、この手順を固めてください。

長方形サイクルでは、定積の 、定圧の と、グラフの座標だけで計算できます。三角形サイクルでは、斜めの辺の途中で吸熱から放熱に変わることがあり、その場合は「どこまでが吸熱か」を温度の増減で判断します。

ピストンの問題はグラフと力のつり合いの組合せ

シリンダーにピストンがある問題では、ピストンにはたらく力のつり合いから圧力が決まり、その圧力で状態方程式を使います。ばね付きピストンでは、圧力がピストンの位置とともに変わるので、P-Vグラフが直線になり、仕事が台形の面積で求まります。応用のばね付きピストンの加熱鉛直シリンダーの向きと気柱で確認してください。

断熱変化

断熱変化では なので、 です。気体が膨張して仕事をすると、その分だけ内部エネルギーが減り、温度が下がります(断熱膨張で冷える)。圧縮すれば温度が上がります(ディーゼルエンジンの原理)。 一定の式は、この単元では与えられることが多く、導出は最難関編の断熱変化の式を第1法則から導くで扱います。標準の断熱圧縮の温度上昇で、 と状態方程式を組み合わせて温度を出す計算を確認してください。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、 の符号です。このサイトでは「気体が外へした仕事」を とし、圧縮では負です。教科書によって流儀が違うので、式を立てる前にどちらかを確認してください。次に、熱効率の分母に放熱の まで入れてしまうことです。3つ目は、等温変化で「温度が変わらないから熱の出入りもない」と誤解することです。等温変化では ですが、 で熱は出入りします。

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熱の帳簿の考え方はエネルギー保存の使い方に、P-Vグラフを含む図の描き方は図をかく技術にまとめてあります。物理基礎の熱とエネルギーの第1法則と熱効率が前提です。最難関編には、カルノーサイクル(効率が温度だけで決まる)、熱機関を2段重ねても効率が変わらないこと、大気の高度分布など、熱力学を深く扱う問題を置いてあります。