物理 / 気体の熱力学
鉛直シリンダーの向きと気柱
問題
断面積 のシリンダーに、質量 のなめらかなピストンで気体を閉じ込める。開口部を上にして鉛直に立てたとき、気柱の長さは であった。このシリンダーを開口部が下になるようにひっくり返すと、気柱の長さはいくらになるか。大気圧を 、重力加速度の大きさを とし、温度は一定とする。
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ピストンの重さが気体を「押す」のか「引き伸ばす」のか——向きごとにピストンのつり合いの式を立てて、気体の圧力を決める。圧力が 2 つ出れば、あとは温度一定のボイルの法則である。
解答・解説
方針
Mg/S=1.0×9.8/4.9×10⁻⁴=2.0×10⁴ Pa。直立(ピストンが上に乗る): P=P0+Mg/S=1.2×10⁵。倒立(ぶら下がる): P=P0−Mg/S=0.8×10⁵。ボイルで L=1.2×20/0.8=30 cm。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 水銀柱(標準)のピストン版である。手順も同じ 2 幕——つり合いで圧力を決め、ボイルで長さに変換。鍵は という「ピストンの重さの圧力換算」を最初に計算しておくことである。
① 重さの圧力換算。
② 直立(開口部が上=ピストンが気体の上に乗る)。 ピストンのつり合い: 下から気体 、上から大気 と重力 。
③ 倒立(開口部が下=ピストンがぶら下がる)。 今度は気体が上からピストンを押し下げ、大気が下から支える:
④ ボイルの法則。 断面積一定なので長さで書けて
まとめ ひっくり返すと、ピストンの重さが「気体を圧縮する向き」から「気体を引き伸ばす向き」に転じ、圧力が の 2 段変化(差は )——気柱は 1.5 倍に伸びる。圧力は暗記の「足す/引く」でなく、毎回ピストンのつり合いを描いて決める。これが水銀柱・ピストン系すべてに通じる唯一の安全策である。
(直立時 、倒立時 。)
別解
倒立側の圧力を「支え」の絵で見るルート。 倒立時、ピストンが落ちないのはなぜか——下から支える大気圧()が、上からの気体の圧力()と重さ( 相当)の和とつり合っているからである。
もし が を超える重いピストンなら、大気は支えきれず落ちてしまう( は物理的に不可能のサイン)。答えの式が成り立つ適用範囲まで見えると、文字式問題( を増やすとどうなるか)にも対応できる。
ポイント
- Mg/S を最初に圧力換算
- 向きごとにつり合いを描いて P を決める
- ボイルは長さの比で使える
よくある間違い
- 倒立でも P0+Mg/S とする
- 長さの比を逆にする(圧力下降→伸びる)
- cm と m の混在で桁を誤る