物理 / 気体の熱力学

熱機関の熱効率

★★ 標準熱効率サイクル

問題

ある熱機関が 1 サイクルの間に、高温の熱源から の熱を吸収し、低温側に の熱を捨てた。(1) 1 サイクルで外部にした正味の仕事 (2) この熱機関の熱効率 を求めよ。

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1 周して元の状態に戻ると、内部エネルギーは差し引きゼロ。すると「吸った熱−捨てた熱」がどこへ行ったかを考えれば (1) が出る。効率の分母は「吸った熱」であることに注意。

解答・解説

方針

サイクルでは ΔU=0(元の状態に戻る)なので W=Qin−Qout=400 J。効率は投入熱に対する仕事の割合。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 サイクルの決定的な性質は「1 周すると 」(元の状態に戻る=温度も元どおり)。だからエネルギーの出入りは「吸った熱=捨てた熱+した仕事」で完全に締まる。

① 正味の仕事。

公式熱効率: (分母は吸収した熱)

② 熱効率。

Qin 2000 J吸収排熱 1600 JW 400 J行き先仕事
吸収した熱のうち仕事に変わるのは 2 割。残りは捨てるしかない

まとめ 吸った熱の 8 割を捨てている——もったいないようだが、捨てる熱をゼロにするサイクルは原理的に作れない(熱力学第 2 法則)。ガソリンエンジンで 3〜4 割、最新の火力発電でも 6 割程度が限界である。「効率 100 % の熱機関は不可能」という制約こそ、熱力学という学問の核心の 1 つである。

(1) (2) (20 %)

別解

家計簿の絵で見るルート。 収入 2000 円(高温熱源)、強制的な支出 1600 円(低温側への廃熱)、手元に残るのが 400 円(仕事)。効率とは「収入のうち自由に使える割合」である。

この絵で見ると、効率を上げる道は 2 つしかない——収入あたりの廃熱を減らす(高温側をより高く、低温側をより低く)か、廃熱を再利用する(コージェネレーション)か。現代のエネルギー技術の努力は、ほぼこの 2 方向に集約される。

ポイント

  • サイクル 1 周で ΔU=0
  • W=Qin−Qout
  • e=W/Qin(分母は吸収熱)

よくある間違い

  • 効率の分母を Qout や Qin+Qout にする
  • W を 2000 J とする
  • e=80 % と捨てた側の割合を答える