波の干渉条件の数え方 — 経路差と反転の数

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日

波の干渉は、水面波、音、光(ヤングの実験・回折格子・薄膜・くさび・ニュートンリング)と、設定を変えて何度も出てきます。どの設定でも、やることは「経路差(光路差)を求めて、波長で割って、整数か半整数かを判定する」の1つです。ただし、光の反射で位相が反転する場合は条件が入れ替わり、ここで混乱する人が多くなります。この記事では、干渉条件を「経路差」と「反転の数」の2つで数える方法を、設定ごとに説明します。

基本: 経路差を波長で割る

同位相の2つの波源から出た波が、ある点で重なるとき、2つの経路の長さの差(経路差)が波長の整数倍なら強め合い、半整数倍(、…)なら弱め合います。式にすると、強め合う条件は 、弱め合う条件は です。

水面波の干渉(波の伝わり方と音の基礎「水面波の干渉」)は、この基本形そのものです。強め合う線(腹線)の本数は、 の不等式で数えます(標準の干渉の腹線の本数)。

ヤングの実験: 経路差は dx/l

2つのスリットからスクリーン上の点までの経路差は、遠方近似と小角近似で になります。明線の条件は で、明線の間隔は です。の基礎「ヤングの実験」と応用の公式の導出で、2つの近似を追ってください。

水中で行うと波長が になるので間隔も に、スリットの前にガラス板を入れると光路長が だけ増えて縞が移動します(標準の水中、応用のガラス板)。「光路長 = 屈折率 × 距離」で、媒質中の経路差は光路差で数える、というのが光の干渉の約束です。

回折格子: d sinθ = mλ

多数のスリットが等間隔 で並んでいるとき、隣り合うスリットからの経路差は で、明線の条件は です。スリットが多いので明線が鋭くなります。 から次数 の上限が決まり、明線の本数が数えられます(の基礎「回折格子」、標準の明線の本数)。白色光では、赤(波長が長い)が外側に出て、プリズムの分散とは逆になります。

反射があるときは「反転の数」を数える

薄膜・くさび・ニュートンリングでは、2つの反射光が干渉します。ここで新しく必要になるのが、反射のときに位相が反転するかどうかの判定です。屈折率の小さい媒質から大きい媒質へ向かう境界での反射(空気→ガラス、空気→水)は、固定端反射と同じで位相が反転します。逆(ガラス→空気)は反転しません。

2つの反射光で、反転の回数の差が偶数(0か2)なら条件は基本形のまま、奇数(1)なら「明暗が入れ替わり」ます。つまり、反転の差が奇数なら、光路差が で弱め合い、 で強め合います。

シャボン玉の膜(空気の中の水の膜)では、表面の反射は反転し、裏面の反射(水→空気)は反転しません。反転の差が1なので、膜が極端に薄い(光路差0)ところは弱め合って黒く見えます(の基礎「薄膜干渉(シャボン玉の黒)」)。反射防止膜(空気→膜→ガラスで、屈折率が順に大きくなる)では、両方の反射が反転するので差は0で、光路差 で弱め合います。最も薄い膜は です(標準の反射防止膜)。

くさびとニュートンリング

2枚のガラス板の間の空気層(くさび)では、上のガラスの裏面(ガラス→空気、反転なし)と下のガラスの表面(空気→ガラス、反転あり)で反射するので、反転の差は1です。光路差は空気層の厚さ の往復で 、明線の条件は 、暗線は です。縞の間隔は、くさびの角度で決まります(標準のくさび形空気層の干渉)。空気層を液体で満たすと、光路差が 倍になって間隔が になりますが、反転の数は変わりません(応用の液体を満たす)。

ニュートンリングは、平凸レンズと平面ガラスの間の空気層で、くさびと同じ反転の差1です。半径 のところの空気層の厚さが (三平方の定理から を捨てた近似)なので、暗環の半径は です(標準のニュートンリング、応用の式の導出)。中心が暗いのは、光路差0で反転の差が1だからです。

数える手順を固定する

干渉の問題を見たら、次の順で数えてください。1つ目、2つの波の経路(光路)を図に描く。2つ目、光路差を求める(媒質中なら屈折率をかける)。3つ目、反射があれば、それぞれの反射で反転するかを判定し、差が偶数か奇数かを書く。4つ目、差が偶数なら基本形、奇数なら入れ替えた条件で、明線・暗線の式を書く。この4手順を毎回書けば、設定が変わっても迷いません。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、反転の数を数えずに経路差だけで条件を書くことです。次に、薄膜の光路差を (片道)にしてしまうことです。往復なので 、媒質中なら です。3つ目は、「明線の条件は必ず整数倍」と思い込むことです。反転の差が奇数なら、明線が半整数倍になります。

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定常波と反射(自由端・固定端)の基礎は波の性質と音の記事、屈折率と光路長はの記事にまとめてあります。最難関編には、ロイドの鏡(鏡の反射で明暗が入れ替わる)、マイケルソン干渉計、斜め入射の回折格子など、干渉の条件を深く扱う問題を置いてあります。