複素数の回転の使い方 — かけると回る

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日

複素数平面の最大の武器は、「回転を掛け算で表せる」ことです。座標やベクトルで回転を扱うと回転行列や三角関数の計算が要りますが、複素数なら をかけるだけです。この記事では、回転を使う場面を4つに分け、それぞれの式の作り方と、つまずきの場所を説明します。

基本: かけると回る

複素数 をかけると、 は原点のまわりに だけ回転します。絶対値1の複素数をかけることが「回転」で、絶対値 の複素数をかけることが「回転と 倍の拡大」です。 をかけると をかけると の回転です。複素数平面の基礎「iを掛ける(90°回転)」と標準の原点まわりの回転で、この対応を図で確かめてください。

場面1: 原点以外の点のまわりの回転

のまわりに 回転した点 は、「 を原点に移して、回転して、戻す」で、 です。この「引いて、回して、足す」が、複素数平面の回転の基本形です。応用の点のまわりの回転で確認してください。

場面2: 正三角形・正方形の頂点

3点 が正三角形をなす条件は、「 を中心に 回転すると になる」で、 です。2つの頂点から第3の頂点を求める問題(応用の正三角形をなす条件、難関の第3の頂点)は、この式で一発です。正方形なら です。ベクトルで解くと内積と大きさの連立になるところが、複素数では1本の式になります。

場面3: 1の n 乗根と正 n 角形

の解は、単位円を 等分した点で、正 角形の頂点です。 とおくと、解は で、「 をかけるごとに 回転する」という構造です。 が、計算の要になります。標準の1の3乗根、応用の1の6乗根、難関の1の5乗根の和で確認してください。実戦編の1の5乗根で三角比の値を求めるは、この構造から を出す問題です。

場面4: 角度の判定(一直線・垂直)

は、「 を始点にしたとき、 の方向から の方向への回転と拡大」を表します。この値が実数なら3点は一直線上、純虚数なら は直角です。偏角がそのまま角の大きさになるので、角度の問題が「分数の偏角を読む」問題に変わります。標準の3点が一直線上にある条件と難関の判定で確認してください。

ド・モアブルの定理は「n 倍回転」

は、「 回転を 回繰り返すと 回転」という意味です。 のような高次のべきは、極形式に直してこの定理を使えば一瞬です。逆に使うと、 で表す3倍角の公式が出ます(応用のド・モアブルと3倍角)。数学IIの三角関数の 倍角の公式は、すべてこの定理の展開です。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、回転の向きです。 をかけると反時計回り、(共役)をかけると時計回りです。「正の角は反時計回り」という数学の約束を、図で確かめてください。次に、原点以外の点のまわりの回転で「引いて、戻す」を忘れることです。3つ目は、 と混同することで、 です。

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