総合演習 / 電磁気の融合

電磁気 × 力学 — レール上の導体棒・電流が受ける力

電流が磁場から受ける力や電磁誘導の起電力を、運動方程式・力のつり合い・エネルギー保存につなぐ問題です。レール上を動く導体棒が主役になります。

全 11 問(標準 4・応用 3・最難関編 4)。課程の学習順に並んでいます。

問1 帯電した球の中を貫くトンネル 最難関編物理・電場と電位

半径 の球の内部に、電荷 が一様に分布して固定されている。

この球の中心を通るまっすぐな細いトンネルを開ける。球の内部で中心から距離 の点の電場の強さは

で与えられる(向きは中心から外向き)。 とする。

いま、質量 、電荷 の小球を、トンネルの入口(球の表面)に静かに置く。重力と摩擦、空気の抵抗は無視する。

中心小球(静かに置く)+Q が一様に分布トンネル
一様に帯電した球と、中心を通るトンネル。負の電荷をもつ小球を表面に静かに置く。

(1) 球の表面()でこの式が に一致することを確かめよ。また中心から の点の電場の強さを求めよ。

(2) トンネル内で小球にはたらく力を求め、この運動が単振動になることを示せ。

(3) 単振動の周期を、 で表せ。

(4) 周期の値を求めよ。また小球が中心を通過するときの速さを求めよ。

問2 レール上の導体棒に流れる電流と力 ★★ 標準物理・電流と磁場

水平面上に間隔 の 2 本の平行な導体レールを敷き、その上に導体棒を垂直に渡す。鉛直上向きの一様な磁場(磁束密度 )をかけ、棒に の電流を流した。(1) 棒が受ける力の大きさと向き (2) 棒の質量が 、レールとの動摩擦係数が のとき、棒はどう運動するか。 とする。

IB(鉛直上向き ⊙)L=0.20 m
レール上の導体棒。鉛直磁場中で電流を流す
問3 斜面上の導体棒のつり合い ★★ 標準物理・電流と磁場

傾き のなめらかな斜面上に、水平な導体棒(質量 、長さ )を置く。鉛直上向きの一様な磁場(磁束密度 )をかけ、棒に適切な向きの電流を流して斜面上で静止させたい。必要な電流の大きさを求めよ。 とする。

30°導体棒B(鉛直上向き ⊙)
なめらかな斜面上の導体棒。電流の力で静止させる
問4 レール上の導体棒(摩擦で動かない場合) ★★★ 応用物理・電流と磁場

水平面上に間隔 のレールを敷き、質量 の導体棒を渡す。鉛直上向きの磁場(磁束密度 )をかけ、棒に の電流を流した。レールと棒の静止摩擦係数を とする。 とする。(1) 棒が受ける磁場の力 (2) 棒は動くか。動かない場合、棒にはたらく摩擦力の大きさを求めよ。

問5 電流天秤(アンペアの定義) ★★★ 応用物理・電流と磁場

水平に固定した導線 A の真上 に、同じ向きに電流を流した導線 B(1 m あたりの質量 )を平行に置く。A・B に等しい電流 を流したとき、B にはたらく電流間の引力が B の重力とつり合って浮いた。この電流 を求めよ。 とする。

問6 コの字レール上の導体棒(エネルギー保存) ★★ 標準物理・電磁誘導と交流

間隔 の水平なコの字レールに抵抗 をつなぎ、磁束密度 の鉛直磁場中で導体棒を速さ で等速で動かす(レール・棒の抵抗は無視)。(1) 誘導起電力 (2) 回路の電流 (3) 棒を等速で動かすのに必要な外力 (4) 外力がする仕事率(仕事の割合)と抵抗の消費電力が等しいことを示せ。

Rv=4.0B(鉛直 ⊙)・L=0.20 m
コの字レール上を等速で動く導体棒(発電機)
問7 斜面レール上の導体棒の終端速度 ★★ 標準物理・電磁誘導と交流

傾き のなめらかな斜面にコの字レール(間隔 、抵抗 )を敷き、鉛直磁場ではなく斜面に垂直な磁場(磁束密度 )をかける。質量 の導体棒を斜面に沿って滑らせると、やがて一定の速さ(終端速度)になった。この終端速度を求めよ。 とする。

問8 斜面レール上の導体棒(エネルギー総合) ★★★ 応用物理・電磁誘導と交流

傾き の斜面レール(間隔 、抵抗 )上を、質量 の導体棒が斜面に垂直な磁場中を滑り、終端速度に達して等速で (鉛直方向)滑り降りた。(1) この間に重力がした仕事 (2) 抵抗で発生したジュール熱 を求め、両者が等しいことを説明せよ。 とする。

問9 磁場の領域を落ちるコイル 最難関編物理・電磁誘導と交流

一辺 の正方形のコイル(質量 、抵抗 )を、鉛直面内に置いて静かに落とす。下方には磁束密度 の一様な磁場の領域(紙面に垂直)があり、その上端の境界は水平である。磁場の領域は十分に広い。 とする。

コイル(一辺 a)境界磁場 B(紙面に垂直)落下
正方形のコイルが、下方に広がる一様な磁場の領域へ落ちていく。

(1) コイルの下辺が磁場に入り、上辺がまだ外にあるとき、コイルに生じる起電力と電流を、速さ を用いて表せ。

(2) この状態でコイルにはたらく力を求め、運動方程式を書け。

(3) 十分に時間が経ったときの速さ(終端速度)を求めよ。

(4) コイル全体が磁場の中に入りきったあと、コイルの運動はどうなるか。理由とともに答えよ。

問10 モーターの逆起電力と出力 最難関編物理・電磁誘導と交流

起電力 の電源に、内部抵抗を含めた合計 の抵抗と直流モーターを直列につないだ。モーターが回転すると、その回転によって逆向きの起電力 (逆起電力)が生じる。モーターのコイルの抵抗は に含めてある。

E = 100 Vr = 2.0 Ω逆起電力 E′
モーターを「逆向きの電池」とみなした回路。逆起電力は回転が速いほど大きい。

(1) 回転を手で止めているとき()、流れる電流と消費される電力を求めよ。

(2) で回転しているときの電流、電源が供給する電力、抵抗で発生する熱、機械的な仕事率をそれぞれ求めよ。

(3) 機械的な仕事率が最大になるときの と、そのときの仕事率を求めよ。

(4) (2) と (3) で効率(機械的な仕事率÷電源の供給電力)を比べ、何がいえるか述べよ。

問11 レール上の 2 本の棒 最難関編物理・電磁誘導と交流

水平でなめらかな 本の平行レールの上に、質量 の導体棒 P と Q を、どちらもレールに垂直に置く。レールの間隔は 、鉛直上向きに磁束密度 の一様な磁場をかける。回路全体の抵抗は で一定とし、レールの摩擦と棒の抵抗の変化は無視する。

はじめ Q は静止しており、P に初速 を与えた。

PQ(静止)v₀磁場は鉛直上向きl
なめらかなレール上の 2 本の導体棒。P だけに初速を与える。

(1) P の速さが 、Q の速さが のとき、回路に流れる電流を求めよ。

(2) P と Q が受ける力の向きと大きさを比べ、 本の運動量の和が変化しないことを示せ。

(3) 十分に時間が経ったときの 本の速さを求めよ。

(4) この間に抵抗で発生した熱の総量を求めよ。はじめの運動エネルギーの何割か。