物理 / 電場と電位

帯電した球の中を貫くトンネル

最難関編電場単振動力学との融合

問題

半径 の球の内部に、電荷 が一様に分布して固定されている。

この球の中心を通るまっすぐな細いトンネルを開ける。球の内部で中心から距離 の点の電場の強さは

で与えられる(向きは中心から外向き)。 とする。

いま、質量 、電荷 の小球を、トンネルの入口(球の表面)に静かに置く。重力と摩擦、空気の抵抗は無視する。

中心小球(静かに置く)+Q が一様に分布トンネル
一様に帯電した球と、中心を通るトンネル。負の電荷をもつ小球を表面に静かに置く。

(1) 球の表面()でこの式が に一致することを確かめよ。また中心から の点の電場の強さを求めよ。

(2) トンネル内で小球にはたらく力を求め、この運動が単振動になることを示せ。

(3) 単振動の周期を、 で表せ。

(4) 周期の値を求めよ。また小球が中心を通過するときの速さを求めよ。

ヒントを見る

内部の電場は距離とどんな関係にあるか。負の電荷が受ける力の向きはどちらか。 の形になるかを確かめたい。

解答・解説

方針

与えられた電場の式は、中心からの距離に比例している。だから力も距離に比例し、向きは中心へ向かう。これは「復元力が変位に比例する」という単振動の条件そのものである。あとは係数を と読めばよい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 与えられた電場の式をよく見ると、 の 1 乗に比例している。外側では で弱くなるのに、内部では中心から離れるほど強くなる。

負の電荷を置くと、力は中心へ向かう。大きさは中心からの距離に比例する。

「変位に比例して、変位と逆向きの力」——これは単振動の定義そのものである。だから解く前に、答えが単振動だと分かる。

① 電場の確認。 を代入すると

となり、外側から近づいたときの表面の値と一致する。内と外で電場がつながっていることが確かめられる。

では

表面の値のちょうど半分である。

② 力と単振動。 中心からの変位を (トンネルに沿ってはかる)とすると、電場の大きさは で、向きは中心から外向きである。

小球の電荷は負なので、力は電場と逆向き、つまり中心へ向かう。

負号は「変位と逆向き」を表す。運動方程式は

の形なので単振動である。

重要力が「 変位」の形になれば単振動。定数が にあたる

③ 周期。

④ 数値。 まず を計算する。

振幅は (表面から静かに置いたので)だから、中心を通るときの速さは

rEOR6.75内部は r に比例外部は 1/r²
電場の強さ(縦軸の単位は 10⁵ V/m)。内部では距離に比例して増え、表面で最大になる。

まとめ 「内部の電場が距離に比例する」という 1 点から、単振動という結論がすべて導かれる。電磁気の問題に見えて、途中からは完全に力学の問題になる。

発展 — 一歩先へ。 同じ形の話が重力にもある。密度が一様な地球の内部では、重力の大きさが中心からの距離に比例する。だから地球を貫くトンネルに物を落とすと単振動になり、その周期は地表すれすれを回る人工衛星の周期と同じ約 分になる。

なぜ同じ形になるかというと、クーロンの法則と万有引力の法則がどちらも距離の 乗に反比例するからである。法則の形が同じなら、そこから導かれる結論も同じ形になる。

表面では一致し では 、力は の復元力、、中心での速さ約

別解

エネルギーで速さを出すルート。 ④ の後半は、単振動の公式を使わずにエネルギー保存でも出せる。

内部の電位は、中心を基準にすると

と書ける(電場 が変位に比例するので、電位は 2 次式になる)。

表面と中心の電位差の大きさは

負電荷が中心へ落ちるとき、この電位差の分だけエネルギーを得る。

単振動の と同じ値になる。

この見方には利点がある。ばねの位置エネルギーが の形になるのと同じように、「電場が変位に比例するなら、電位は変位の 2 乗に比例する」という対応が見えることである。

ポイント

  • 一様に帯電した球の内部では、電場が中心からの距離に比例する
  • 負電荷が受ける力は中心向きで、変位に比例する = 単振動
  • T=2π√(mR³/(kQq))
  • 重力の場合(地球を貫くトンネル)とまったく同じ形になる

よくある間違い

  • 内部でも E=kQ/r² を使ってしまう(内部では距離に比例)
  • 力の向きを外向きとしてしまう(電荷が負なので中心向き)
  • 振幅を R の半分などと取り違える(表面から静かに置いたので振幅は R)