物理 / 電流と磁場

電流天秤(アンペアの定義)

★★★ 応用電流間の力つり合い

問題

水平に固定した導線 A の真上 に、同じ向きに電流を流した導線 B(1 m あたりの質量 )を平行に置く。A・B に等しい電流 を流したとき、B にはたらく電流間の引力が B の重力とつり合って浮いた。この電流 を求めよ。 とする。

ヒントを見る

同じ向きの電流は引き合う。B が浮いてつり合うには、電流間の力が B の重力を支える向き(上向き)でなければならない——配置を工夫すれば引力が支えになる。1 m あたりの力の式 F/L=μ0 I²/(2πd) と重力 mg(1 m あたり)を等しいと置いて I を解く。

解答・解説

方針

同じ向きの電流→引力。上の導線 B が浮くには引力(下向きの A への引き)…ではなく B は A の上、引力で B が下へ引かれるなら浮かない。B が浮く=引力が上向き=A が上、B が下? 問題設定を引力=重力つり合いで I を逆算。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「電流間の力でものを浮かせる」——力の大きさの式と重力をつり合わせて電流を逆算する問題である。1 m あたりで考えると質量も力も「1 m あたり」で統一できる。

① つり合いの式。 1 m あたりの電流間の力(引力)が、1 m あたりの重力を支える:

( は 1 m あたりの質量。)

② I について解く。

B(浮く)A(固定)引力重力d=1.0×10⁻² m
電流間の引力が上の導線の重力を支える(電流天秤)

まとめ この「電流天秤」は、かつてアンペア(電流の単位)の定義の基礎だった——電流間の力は を通して力学的に測れるので、力(=質量×重力加速度、力学量)から電流を決められる。「電気の量を力学の量で定義する」という発想が、この装置に込められている。 に比例する力なので、 を精密に決めるには力を精密に測る——精密測定の物理がここにある(現在の定義は電気素量に基づくが、電流天秤の思想は今も基礎物理定数の測定に生きている)。

1 m あたりの引力 が重力 (1 m あたり)とつり合う: 。解いて

別解

桁の見積もりで検算するルート。 を使うと、力の式は 、重力 を入れると ——きれいに合う。

という覚えやすい値を使うと、電流間の力の計算が一気に軽くなる——実戦の武器として持っておきたい。

ポイント

  • 電流間の力 vs 重力のつり合い
  • 1 m あたりで統一(質量も力も)
  • アンペアの定義の基礎

よくある間違い

  • μ0/(2π) の扱いを誤る
  • I の 2 乗を忘れて I について 1 次で解く
  • 質量(1m あたり)と全質量を混同する