数学A / 確率

確率 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 出た目の積が4の倍数になる確率
  2. 出た目が増える順に並ぶ確率
  3. 最大値と最小値を同時に指定する確率
  4. 取り出した色と同じ玉を加える袋
  5. 記録が更新される回数の期待値
  6. 立方体の頂点を動く点が戻る確率
  7. 表が出た硬貨を取り除く操作
  8. サイコロの目を係数とする3次方程式

問1出た目の積が4の倍数になる確率

最難関編余事象反復試行

問題

を自然数とする。1個のサイコロを 回投げ、出た目の積を とする。 が4の倍数になる確率を を用いて表せ。

ヒントを見る

正面から「4の倍数」を数えると場合が多すぎる。反対側は2通りに分かれる。積が2で一度も割れないときと、ちょうど1回だけ割れるときだ。各回の目を「2で何回割れるか」で分類できないか。

解答・解説

方針

「積が4の倍数」を正面から数えず、余事象を「積が2で一度も割れない」「ちょうど1回だけ割れる」の排反な2つに分ける。各回の目を、2で割れる回数(0回: 1,3,5/1回: 2,6/2回: 4)の3タイプに分類すると見通しが立つ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 積が4の倍数かどうかは、目の値そのものではなく、素因数2が全部で何個集まるかだけで決まる。そこで各回の目を「2で割れる回数」で分類する。0回(1,3,5)、1回(2,6)、2回(4)の3タイプだ。

「合計2個以上」を直接数えるのは大変だから、余事象へ回る。合計が0個(全部奇数)か、ちょうど1個(2か6が1回だけで残りは奇数)か。排反な2つの場合で尽くせる。

重要積が4の倍数 ⟺ 素因数2が合計2個以上。目のタイプ分け: 奇数は確率 、2・6は 、4は

① 目を3タイプに分類する。 1回投げたとき、奇数 は確率 。2で1回だけ割れる は 。2で2回割れる は 。積が4の倍数にならないのは、素因数2の合計が0個または1個のときだ。

② 合計0個(積が奇数)。 回すべて奇数だから

③ 合計ちょうど1個。 どこか1回だけ が出て、残り 回はすべて奇数(4が1回でも出たら、その時点で2個になるので不可)。場所の選び方が 通りだから

④ 余事象で仕上げる。 2つの場合は排反だから

確かめ: なら (4の目が出るときだけ)で正しい。 なら 。

まとめ: 「4の倍数」を素因数2の個数に言い換え、目を割れる回数でタイプ分けする。余事象は「0個」「ちょうど1個」の排反2場合で尽くせて、それぞれ反復試行の形になる。

発展。 を大きくすると、補集合 は指数の勢いで0へ向かう。つまり 。「回数を重ねれば、積はそのうちほぼ確実に4の倍数になる」という直感が、式の形でそのまま見える。

答

別解

個数で数える(確率の掛け算が不安な人へ)。 確率の積の代わりに、目の列そのものを数えてもよい。全体は 通り。

積が4の倍数にならない列を数える。

  • 全部奇数: 各回3通りだから 通り
  • 2か6がちょうど1回、残り奇数: 場所が 通り、その回の目が2通り、残りが 通りで 通り

合わせて 通り。よって

( で約分した。)本解と同じ答えだ。確率の掛け算( を 乗する等)と、場合の数の掛け算(3通りを 乗する)は同じことの2つの表し方だ。どちらの言葉が手になじむかで選べばよい。

ポイント

  • 目を「2で割れる回数」で3タイプに分類する(確率 )。
  • 余事象 = 素因数2の合計が0個または1個(排反)。
  • 。

よくある間違い

  • 余事象を「積が奇数」だけと思い込む。2がちょうど1個(2か6が1回)の場合も4の倍数にならない。
  • 「ちょうど1個」の場合に目の4を許してしまう。4は1回で素因数2を2個持ち込むから、この場合には入らない。
  • での検算を省く。(4の目のみ)と式が合うかで、係数のミスがすぐ見つかる。

問2出た目が増える順に並ぶ確率

最難関編重複組合せ1対1対応

問題

1個のサイコロを4回投げる。出た目を順に とするとき、 となる確率を求めよ。

ヒントを見る

4つの数の列を順に場合分けすると果てしない。条件を満たす列は出た目の「内訳」を決めるとただ1通りに並ぶ。数えるべきものを、列そのものから内訳に取り換えられないか。

解答・解説

方針

条件を満たす目の列は「どの目が何回出たか」という内訳だけで1通りに決まる。だから条件を満たす列は1〜6から重複を許して4個選ぶ選び方と1対1に対応する。列を数える問題を組合せを数える問題に取り換える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「増える順に並んでいる列」を先頭から場合分けして数えると、手に負えない。

逆向きに見る。出た目の内訳(1が何回、2が何回、…)を決めれば、それを に並べる方法はただ1通りしかない。つまり「条件を満たす列」と「1〜6から重複を許して4個選ぶ選び方」は、1対1に対応する。

数える対象を、列から重複組合せに取り換える。これが決め手だ。

公式異なる 種類から重複を許して 個選ぶ組合せの総数は (○ 個と仕切り 本の並べ替え)

① 1対1対応を確かめる。 たとえば内訳が「1が1回、3が2回、6が1回」なら、条件を満たす列は の1通りだけ。逆に、条件を満たす列からは内訳がただ1つ決まる。だから

(条件を満たす列の数)=(1〜6から重複を許して4個選ぶ選び方の数)

1336
内訳「1が1回・3が2回・6が1回」⟺ ○4個と仕切り5本の並び(仕切りの間が左から目1〜6の部屋)。この内訳から条件を満たす列は 1,3,3,6 の1通りに決まる

② 個数を数える。 ○4個(選んだ目)と仕切り5本(目1〜6の部屋の境目)の並べ替えだから

③ 確率にする。 目の列は全部で 通りあり、どの列も等確率で現れる。よって

まとめ: 数えにくい対象は個数の等しい数えやすい対象に1対1対応で取り換える。「並べ方が1通りに決まる」ことが、数え漏れも二重数えもない(対応が崩れない)理由になっている。

発展。 同じ計算で、 回なら 。また条件を厳密増加 に変えると、重複が許されなくなって 通り、確率 。「以下」と「未満」で答えの姿がどう変わるか、対で見ると理解が深まる。

答

別解

ずらして「すべて異なる」に変える(得意な人向け)。 重複組合せの公式を覚えていなくても、次の変換で普通の組合せに帰着できる。条件を満たす列 に対し

とずらすと、「以下」が「未満」に変わって 、しかも は から の範囲を動く。逆にそのような の列から の列がただ1つ復元できる(1対1対応)。つまり、数えるべきものは「1〜9から異なる4個を選ぶ」選び方で

○と仕切りの公式そのものを、この「ずらし」が生み出している。等号つきの並びを等号なしに変換する一手は、数え上げの各所で再利用できる。

ポイント

  • 条件を満たす列 ⟺ 目の内訳(重複を許した選び方)の1対1対応。
  • 個数は 通り。
  • 。

よくある間違い

  • 1対1対応の理由(内訳を決めれば並べ方は1通り)を書かずに を天下りに使う。答案では対応の確認が欠かせない。
  • の当てはめで とする。 なら 。
  • 分母まで組合せの数にしてしまう。分母は順序つきの全事象 (どの列も等確率になるのはこちら)。

問3最大値と最小値を同時に指定する確率

最難関編最大値・最小値包除原理

問題

を2以上の自然数とする。1個のサイコロを 回投げるとき、出た目の最大値が5、かつ最小値が2である確率を を用いて表せ。また、 のときのその値を求めよ。

ヒントを見る

「最大がちょうど5」は扱いにくいが、「全部が5以下」なら1回ごとの条件になり累乗で書ける。最大と最小の2条件を同時にさばくとき、除きすぎた分をどう戻すか。

解答・解説

方針

「最大値がちょうど5」はそのままでは扱いにくいので、「すべての目が2〜5」という各回独立の条件に置き換えて考える。その中から「5が一度も出ない」「2が一度も出ない」を除くが、引きすぎた重なりを足し戻す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「最大値が5」「最小値が2」は、 回全体を見ないと判定できない条件で、直接は数えにくい。一方「すべての目が◯以下」なら各回バラバラの条件だから、確率は累乗で書ける。

そこで求める事象を言い換える。「すべて2〜5」の中から、「5が一度も出ない」と「2が一度も出ない」を除いたものだ。2つをそのまま引くと、両方欠ける場合(すべて3・4)を二重に引いてしまう。1回ぶん足し戻す。包除原理を使う。

公式包除原理:

① もとになる確率を作る。 まず「すべての目が2〜5」となる確率は 。この中で

  • : 5が一度も出ない(すべて2〜4)…
  • : 2が一度も出ない(すべて3〜5)…
  • : どちらも出ない(すべて3・4)…

求める事象は「すべて2〜5」のうち、 にも にも入らない部分である。

5なし2なしU: すべて2〜53・4求める部分
全体 U を「すべての目が2〜5」とすると、円の重なりは「目が3・4だけ」の場合。求める事象は色部分(どちらの円にも入らない部分)= 5も2も少なくとも1回出る

② 包除原理で計算する。

引きすぎた を1回足し戻すところが、包除原理そのものだ。

③ の値。

まとめ: 「ちょうど」の条件は「以下・以上」(各回独立で累乗になる形)に言い換える。最大・最小を同時に指定する事象は、2集合の包除原理のひな形として覚えておくと広く使える。

発展。 一般に最大が 、最小が になる確率は、幅 を使って と書ける。係数 の並びは2階の差分。「ちょうど」を2方向で取り出すと、自然にこの形が現れる。

答

( のとき )

別解

累積の差でつくる(機械的ルート)。 ベン図を描かなくても、「ちょうど=累積の差」を2回使えば同じ式が組み立つ。1段目。最小が2以上という条件の中で、「最大がちょうど5」を累積の差で取り出す:

(すべて2〜5、からすべて2〜4を引いた。)2段目。今度は「最小がちょうど2」を、最小2以上と最小3以上の差で取り出す:

展開すれば本解と同じ 。「ちょうど◯」は「◯以下 − (◯−1)以下」。この差分を最大と最小の2方向に1回ずつかける、という機械的な手順で、包除と同じ式に届く。条件が3つ4つに増えても、この差分方式はそのまま伸びる。

ポイント

  • 「最大がちょうど5」→「すべて5以下」との差に言い換える。
  • すべて2〜5から「5なし」「2なし」を除き、重なり(すべて3・4)を足し戻す。
  • 、 で 。

よくある間違い

  • と独立のように掛けてしまう。最大と最小は同じ 回の目から決まる、強く関連した量。
  • 「5が少なくとも1回、2が少なくとも1回」だけを条件にして、範囲(すべて2〜5)を忘れる。6や1が出たら最大・最小が変わってしまう。
  • 包除の足し戻し を忘れて引きっぱなしにする。 で になったら足し戻し漏れを疑う。

問4取り出した色と同じ玉を加える袋

最難関編全確率条件付き確率

問題

袋の中に赤玉2個と白玉1個が入っている。袋から玉を1個取り出して色を確かめ、取り出した玉と、それと同じ色の新しい玉1個を、あわせて袋に戻す(操作のたびに袋の玉は1個増える)。この操作を繰り返す。

(1) 3回目の操作で赤玉を取り出す確率を求めよ。

(2) 2回目の操作で赤玉を取り出したとき、1回目の操作でも赤玉を取り出していた条件付き確率を求めよ。

ヒントを見る

袋の中身は毎回変わるのに、答えは単純になる。2回目までの結果で場合分けして順に足し上げると何が見えるか。(2)は時間をさかのぼる向きの確率だ。定義に戻って、分子と分母をそれぞれ求められるか。

解答・解説

方針

袋の中身が毎回変わるので、直前までの取り出し方で場合分けして全確率で足し上げる。(1)を丁寧に計算すると、どの回に取り出しても赤の確率が最初の のまま変わらないことが分かる。(2)は条件付き確率の定義に忠実に戻る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 操作のたびに袋の中身が変わる。だから3回目の確率は「それまでに何色を取り出したか」で場合分けするしかない。これが全確率の考え方だ。

2回目までの結果は赤赤・赤白・白赤・白白の4通り。それぞれの袋の状態から、3回目の赤の確率が決まる。(2)は「後の結果から前を推し測る」向きの条件付き確率。新しい道具は要らない。定義 に忠実に戻ればよい。

公式全確率: 排反な場合に分けて 。条件付き確率:

① 1回目・2回目の確率。 1回目に赤(以下 )は 。2回目は1回目の結果で場合分けする。

  • (確率 )のとき、袋は赤3白1。
  • 白(、確率 )のとき、袋は赤2白2。

1回目と同じ になった。

② 3回目の確率((1)の答え)。 2回目までの4通りで場合分けする。それぞれの確率と、そのときの袋(玉は5個):

  • 赤赤: 、袋は赤4白1 → 3回目に赤は
  • 赤白: 、袋は赤3白2 →
  • 白赤: 、袋は赤3白2 →
  • 白白: 、袋は赤2白3 →

赤白と白赤が同じ確率 になっていることにも注目したい。全確率で

③ (2) 逆向きの条件付き確率。 分子は 。分母は①より 。

まとめ: 中身の変わる袋は「直前までの結果で場合分け → 全確率」が基本。取り出す色の確率がどの回でも のまま、という不変性がこのモデルの名物だ。

発展。 この装置はポリアの壺と呼ばれ、流行や感染が「持てる者にさらに集まる」様子のモデルとして使われる。初期の割合 がどの回にも保存されるのは偶然ではない(別解)。

答

(1) (2)

別解

順番を入れ替えても確率が同じ(交換可能性の理由)。 ②の表で、赤白と白赤の確率がどちらも だった。これは偶然ではない。

たとえば「赤白赤」の順に出る確率を書き下ろすと

分母は袋の総数 の積で、順番によらない。分子も赤を引くたびに赤の個数 を、白を引くたびに白の個数 を順に使うだけで、掛ける数の集まりは順番によらない。つまり、赤と白の回数が同じ列は、どの順でも同じ確率になる(交換可能性)。

すると計算の近道ができる。「3回目に赤」の確率は列の中の赤の位置を1回目に移しても変わらないから、。即答だ。

(2)も同じ理屈で (1回目と2回目を入れ替えた)。定義計算(本解③)と一致する。対称性は計算を丸ごと省略させてくれることがある。

ポイント

  • 袋の状態を場合分けして全確率で足す。
  • どの回も赤の確率は (順番を入れ替えても確率が同じ対称性)。
  • (2)は定義どおり計算して 。

よくある間違い

  • 2回目に赤の確率を「袋が変わったから 」と1本値で答える。1回目の結果は確定していないので、場合分けして平均する(答えは )。
  • (2)で を答えてしまう。問われているのは時間をさかのぼる向き 。値は偶然同じ になるが、意味も計算も別物。
  • 玉が増えることを忘れ、分母を3のまま掛け続ける。操作のたびに袋は1個ずつ増える(3→4→5)。

問5記録が更新される回数の期待値

最難関編期待値対称性

問題

1から までの番号が1つずつ書かれた 枚のカードをよく混ぜて一列に並べる。左から順に見ていき、それまでに見たどのカードの番号よりも大きい番号のカードが現れたとき、そのカードを「記録」と呼ぶ(先頭のカードは必ず記録である)。

(1) のとき、記録の枚数の期待値を求めよ。

(2) 一般の について、記録の枚数の期待値を求めよ。

ヒントを見る

枚数の分布(ちょうど何枚になる確率)を求めにいくと沼にはまる。「 枚目が記録である確率」だけなら、先頭 枚のうち最大がどこにあるかだけの話にならないか。期待値は場所ごとに足せる。

解答・解説

方針

記録の枚数の分布を求めにいかず、「 枚目が記録かどうか」に分解して期待値を足す。 枚目が記録になるのは、先頭 枚の中で最大の番号がちょうど 枚目にあるときで、対称性からその確率は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 記録の枚数 の分布(ちょうど何枚になる確率)を求めるのは難しい。だが期待値だけなら、道がある。

を「 枚目が記録なら1、そうでなければ0」という 個の量 の和に分解する。期待値は各場所の確率の和になる。この分解が役に立つのは、互いに独立でなくても「和の期待値=期待値の和」が成り立つからだ。

あとは「 枚目が記録」を、「先頭 枚の中の最大が 枚目にある」と読み替えれば、対称性で確率が出る。

重要期待値の線形性: (独立でなくても成り立つ)

① 枚目が記録になる確率。 枚目が記録 ⟺ 先頭 枚のうち最大の番号が、ちょうど 枚目にある。よく混ぜてあるから、先頭 枚の中で最大がどの位置にあるかは、 か所とも同様に確からしい。よって

枚目より後のカードは判定に関係しない。この読み替えのきれいなところだ。

② 期待値を足し上げる((2)の答え)。

③ の値((1)の答え)。

まとめ: 「個数の期待値」は、場所ごとの0か1の量に分解して確率を足すのが基本だ。 枚目の判定が先頭 枚の内部だけで決まり、最大の位置の対称性から になる。分布を求めずに、期待値だけ先に取れる。

発展。 答えの (調和数)は、 を増やしてもゆっくりしか育たない。カード100枚でも期待値は約 枚。記録は対数の速さでしか増えない。ちなみにこの調和数、 では決して整数にならない(本サイトの集合と命題の最難関に、その証明がある)。

答

(1) (2)

別解

を数えて信じる(具体で確かめるルート)。 という確率が腑に落ちないときは、 の 通りを位置ごとに数えてみるとよい。 枚目が記録になる並びは何通りか。「先頭 枚の最大が 枚目にある」並びを数えると

  • 1枚目: どの並びでも記録。 通り()
  • 2枚目: 先頭2枚の大きい方が2枚目に来る並び。 通り()
  • 3枚目: 先頭3枚の最大が3枚目。 通り()
  • 4枚目: 全体の最大(4)が末尾。 通り()

どの位置でも、ちょうど 通り。確率にすれば だ。記録の総数は 。期待値は で、(1)の答えと一致する。

一般論(対称性)と、小さな全数調査。両方から同じ数が出たとき、理解は確信に変わる。

ポイント

  • 枚数を「各位置が記録か(0か1)」の和に分解する。
  • 枚目が記録の確率は (先頭 枚での最大の位置の対称性)。
  • で 、一般には 。

よくある間違い

  • 分布(ちょうど 枚になる確率)を求めようとして沼にはまる。期待値だけなら線形性で分解するのが近道。
  • どうしが独立でないから線形性が使えない、と思い込む。和の期待値は独立性なしで常に和。
  • 「 枚目が記録」の確率を や と誤る。判定に関わるのは先頭 枚だけで、その中の最大の位置が一様に か所。

問6立方体の頂点を動く点が戻る確率

最難関編対称性状態の推移

問題

立方体 (底面が正方形 、上面が正方形 で、 が辺)の頂点 に点 がある。 は1秒ごとに、いまいる頂点と辺で結ばれた3つの頂点のいずれかへ、それぞれ確率 で移動する。6秒後に が頂点 にある確率を求めよ。

ヒントを見る

8頂点ぶんの確率を全部追うのは無駄が多い。 から見ると、立方体の頂点は対称性でいくつかの「層」にまとまらないか。層から層への移り方さえ決めれば、あとは1秒ずつの計算で届く。

解答・解説

方針

8頂点の確率を別々に追わず、 からの道のり(たどる辺の最小本数)で頂点を4つの層に分ける。同じ層の頂点は対称で区別する必要がなく、層から層への移り方だけを6秒ぶん順に計算すればよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 頂点は8個あるが、 から見た対称性で4つの層に分かれる。「(道のり0)」「(道のり1)」「(道のり2)」「(道のり3)」だ。

同じ層の頂点はどれも から見て同じ立場にある。だから がどの層にいるかの確率だけ追えば十分だ。状態を8個から4個に減らす。この集約が決め手になる。

層の間の移り方を決めてしまえば、6秒は1秒ずつの機械的な計算で追える。

ABCDEFGH
A からの道のりで頂点が層に分かれる: 層1 = B, D, E/層2 = C, F, H/層3 = G(A の対角)。同じ層の頂点はまとめて追える

① 層と移り方を決める。 層0 、層1 、層2 、層3 。各頂点から出る辺は3本で、

  • 層0からは3本とも層1へ(確率1)
  • 層1からは1本が層0へ()、2本が層2へ()
  • 層2からは2本が層1へ()、1本が層3へ()
  • 層3()からは3本とも層2へ(確率1)

たとえば の隣は (層1)と (層3)。どの頂点でも、層だけで移り方が決まる。

重要対称な頂点はまとめて1つの状態にしてよい。1歩ごとに層の偶奇が必ず入れ替わることにも注目(偶数秒には偶数層にしかいない)

② 6秒ぶんを順に計算する。 秒後に層0〜3にいる確率を と書く。移り方から、次の秒は「層0へ = 層1の 」「層1へ = 層0の全部 + 層2の 」「層2へ = 層1の + 層3の全部」「層3へ = 層2の 」で更新できる。

  • 0秒:
  • 1秒:
  • 2秒:
  • 3秒: … 層1へは
  • 4秒: … 層2へは
  • 5秒: … 層1へは
  • 6秒:

③ 答え。 6秒後に層0(= 頂点 )にいる確率は

まとめ: 対称性で状態を減らせば(8頂点 → 4層)解ける。減らしたあとは、1秒ずつの推移を落ち着いて追うだけだ。表に0が交互に並ぶのは「1歩で層の偶奇が入れ替わる」からで、この偶奇の観察は検算にも使える。

発展。 は、もう とほとんど同じだ。偶数秒の点は偶数層の4頂点()にほぼ均等に散らばっていく。6秒だけで「どこにいたか」の情報がほぼ消える。混ざりの速さもこの計算から読み取れる。

答

別解

2歩ずつまとめて、状態を2つに(得意な人向け)。 偶数秒には層0か層2にしかいない。それなら最初から「2歩で1回」と数えて、状態を2つに圧縮できる。

2歩の移り方をまとめる。層0からは、1歩目で必ず層1へ行き、2歩目で が層0へ戻り が層2へ進む。層2からは、1歩目が層1()か層3()で、2歩目まで追うと

あとは を3回更新するだけだ。

6秒後に にいる確率は 。本解の6行の表が3行に半減した。偶奇の対称性は「無駄な状態を消す」だけでなく、時間の刻みを倍にして計算自体を短くできる。

ポイント

  • からの道のりで頂点を4層に集約する(対称な頂点は区別しない)。
  • 層の間の移り方: 層1からは で戻り で先へ、層2からは で戻り で へ。
  • 6秒後に層0にいる確率は 。

よくある間違い

  • 8頂点それぞれの確率を追って、6秒ぶんの表が巨大になり計算が破綻する。対称な頂点は必ずまとめる。
  • 層1からの移り方を「 で戻り で進む」と逆にする。図で の隣( と )を数えて確かめる。
  • 奇数秒に層0の確率を計算し続ける。1歩で層の偶奇が入れ替わるから、奇数秒の層0は自動的に0。半分の計算は省ける。

問7表が出た硬貨を取り除く操作

最難関編独立視点の転換

問題

枚の硬貨を同時に投げ、表が出た硬貨をすべて取り除く。硬貨が残っていれば、残った硬貨をすべて同時に投げ、表が出たものを取り除く。この操作を繰り返す。

(1) 2回目までの操作で硬貨がすべて取り除かれる確率を求めよ。

(2) ちょうど2回目の操作で初めて硬貨がすべて取り除かれる確率を求めよ。また、 のときのその値を求めよ。

ヒントを見る

残り枚数で場合分けを始めると計算が膨らむ。1枚の硬貨だけ見つめると、その1枚の結果は他の硬貨と無関係に決まっていないか。「全部なくなる」を1枚ごとの条件の積に直せると、計算できる形になる。

解答・解説

方針

「1回目で何枚残るか」で場合分けすると二項係数の和になって重い。硬貨1枚に注目すると、その1枚が取り除かれるかどうかは自分の表裏だけで決まり、他の硬貨と独立。「全部なくなる」を1枚ごとの条件の積に直す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「1回目で 枚取り除かれ、2回目で残り 枚が全部取り除かれる」と枚数で場合分けすると、二項係数の和が出てきて重たい。

視点を変えて、硬貨1枚の身の上を追う。ある硬貨は1回目に表なら消える。裏なら(自分が残っているから2回目は必ず行われ)2回目を投げ、表なら消える。つまり、その硬貨が2回以内に消えるかどうかは自分の表裏だけで決まり、他の硬貨と独立だ。

「全部なくなる」=「どの1枚も消える」。だから1枚の確率の 乗で済む。

重要独立なら「すべてが〜」の確率は1枚ごとの確率の積。「ちょうど2回目で初めて」は「2回以内」−「1回以内」の差で取り出す

① 1枚の硬貨が2回以内に消える確率。 1回目に表()、または1回目裏かつ2回目表()。よって

② (1) の答え。 枚の表裏は互いに独立だから

③ (2) ちょうど2回目の確率。 「ちょうど2回目で初めて全部なくなる」=「2回以内になくなる」から「1回目でなくなる(全部表: )」を除いたもの。

のとき

まとめ: 全体を枚数で追わず、1枚ずつの独立な確率の積に分解する。「ちょうど 回目」は累積(〜回以内)の差で取り出す。2つの型の合わせ技になっている。

発展。 同じ分解で、 回以内に全部なくなる確率は 、ちょうど 回目は隣どうしの差になる。1枚あたりの生存確率が半減していく構造が、そのまま式の形に写っている。

答

(1) (2) ( のとき )

別解

枚数の場合分けを、二項定理で畳む(重い道の救済)。 「1回目で 枚消える」場合分けを本当に実行しても、実はきれいに閉じる。

1回目に表が 枚出る確率は 。続いて残り 枚が2回目で全部表になる確率は 。よって2回以内に全部なくなる確率は

定理二項定理

として、和は 。よって

本解と一致した。1枚ごとの独立性(本解)はこの二項係数の和を「展開する前の積の形」で先に見抜いたことに当たる。重い道も二項定理という畳み方を知っていれば歩き切れる。

ポイント

  • 硬貨1枚が2回以内に消える確率は 。
  • 独立性から全体は積: 。
  • ちょうど2回目 = ( で )。

よくある間違い

  • (2)を「2回目に残りが全部表になる確率」そのものと混同する。1回目の出方も込みの事象なので、(1)からの差で取り出すのが確実。
  • 「2回以内」に、1回目で全部消える場合を含め忘れる(その場合2回目の操作はないが、「2回以内になくなった」には含まれる)。
  • 独立と言い切る根拠を書かない。「各硬貨の結果は自分の表裏だけで決まる」の一言が答案に必要だ。

問8サイコロの目を係数とする3次方程式

最難関編数え上げ整数解

問題

1個のサイコロを3回投げ、出た目を順に とする。 の3次方程式

が整数の解をもつ確率を求めよ。

ヒントを見る

解の候補は無限にあるように見えて、実はごくわずかしかない。係数の符号と、定数項との関係で候補を先に狩り込めるか。数え上げでは同じ を2度数えていないかにも目を配りたい。

解答・解説

方針

整数解の候補をまず絞る: 係数がすべて正だから解は負で、さらに解の絶対値は の約数。 から までの各候補について係数の1次の関係式を作って を数え、2つの整数解をもつ組の重複を補正する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 方程式の問題に見えるが、実際は数え上げの問題だ。整数解 があるとして、情報を搾り取る。

まず符号。 だから では左辺は 以上で正。解は負に限る。

次に約数。 と変形すれば、 は の約数。 だから は 〜 の6候補しかない。

あとは候補ごとに「 を解にもつ 」を1次の関係式で数え、複数の候補で二重に数えた組だけ補正すればよい。

定理整数係数の方程式が整数解 をもつなら、 は定数項の約数(因数定理の整数版)

① 候補を絞る。 なら だから、整数解 は負。 を と見れば は の約数で、 より

② 候補ごとに数える。 を代入すると の1次の関係式になる。

  • : 、つまり 。 ⟺ となる は21組( は自動的に決まる)
  • : 。 を満たすのは、 で 、 で 、 で 、 で の計9組
  • : 。 で 、 で の計4組
  • : 。 の2組
  • : 。 の2組
  • : 。 の1組

③ 重複を補正する。 2つの候補で同時に数えられた組は、 と を両方解にもつ だけ()。ほかの2候補の連立は、 が1〜6の範囲を外れて解なし。よって

④ 確率。 全体は 通りだから

まとめ: 「整数解をもつ」は符号と約数の情報で候補を有限個に狩り込む → 候補ごとに1次の関係式で数える → 重複を補正する、の3段構え。方程式の見た目に引きずられず、数え上げに言い換えれば解ける。

発展。 この方程式は最高次の係数が1(モニック)だから、有理数の解は自動的に整数になる(有理数解 の分母 は最高次係数の約数)。つまり本問の答えは「有理数解をもつ確率」でもある。問い方を変えても同じ38組になる、という見方もできる。

答

別解

因数分解の形から組み立てる(得意な人向け)。 整数解 ()をもつことは、整数係数で

と割れることと同じ( は整数)。展開して係数を比べると

つまり「 を数える」は「条件 を満たす を数える」に置き換わる。たとえば なら、、、。つまり の格子点で、 組。21が三角形の形(三角数)で見える。

なら で 、、 の範囲条件から9組。以下同様に 組と数えられ、本解と同じ内訳になる。代入の等式で数える(本解)か、因数の構造で数える(本ルート)か。同じ21でも「なぜ21か(三角数)」の説明力は、構造側が一枚上だ。

ポイント

  • 解は負で、 は の約数なので、候補は 〜 の6つ。
  • 候補ごとの個数は 21, 9, 4, 2, 2, 1。
  • 重複 を1つ引いて 。

よくある間違い

  • 正の数や0まで解の候補にして時間を失う。係数がすべて正なら で左辺は正、と最初に切る。
  • と の両方で数えた の引き忘れ。数え上げで「または」を足したら、重なりを疑うのが習慣。
  • 「整数の解をもつ」を「3つの解がすべて整数」と読み違える。1つでも整数解があれば条件成立。