数学A / 確率

確率 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 完全順列(プレゼント交換)
  2. 3回の結果から原因を推定する(ベイズ)
  3. くじ引きの公平性の証明
  4. 3人じゃんけんが ちょうど n 回目で決まる確率
  5. 正八角形の3頂点が作る三角形
  6. 最大値の分布と条件付き確率
  7. 原点に戻る経路(負にならない条件つき)
  8. 出た目の種類の数

問1完全順列(プレゼント交換)

★★★★ 難関包除原理順列

問題

何人かで 個ずつプレゼントを持ち寄り、全員に 個ずつ無作為に配り直す。

(1) 人のとき、誰も自分のプレゼントを受け取らない確率を求めよ。

(2) 人のとき、誰も自分のプレゼントを受け取らない確率を求めよ。

ヒントを見る

『少なくとも 人が自分の物』を直接数えるのは重なりだらけで難しい。『自分の物を受け取る人の集合』で場合分けする包除を使う。まず 人で構造をつかめ。

解答・解説

方針

「誰も自分の物を受け取らない」の反対は「少なくとも 人が自分の物を受け取る」。人 が自分の物を受け取る場合の集合を とし、包除原理で を数えて全体から引く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「誰も自分の物を受け取らない」を正面から数えるのは難しい。反対を数える。

反対は「少なくとも 人が自分の物を受け取る」。人 が自分の物を受け取る場合の集合を として、 を包除原理で数える。

包除原理では「 人固定」「 人固定」…と、 人が自分の物を受け取る場合を で数え、符号を交互につけて足す。全体 から引けば、誰も自分の物を受け取らない場合(完全順列)の数が出る。

定理包除原理:(符号を交互に)

① 数える対象を決める。 配り方の総数は 人なら 通りで、どれも同様に確からしい。人 が自分の物を受け取る配り方の集合を とすると、求めるのは「どの にも入らない」配り方の割合である。

② (1) 包除原理で数える。 人を固定して自分の物を受け取らせると、残りは自由だから

  • が 個
  • が 個
  • 人交わりは が 個、 人交わりは が 個

少なくとも 人が自分の物を受け取る配り方は

よって誰も受け取らないのは 通りで、確率は 。

③ (2) 同じ構造で 人。 総数は 。同様に

よって確率は 。

まとめ:「全員が外れる」順列(完全順列)の個数は、 という交代和になる。 人で 、 人で となる。この つの数は覚えておくと検算が速い。

発展。 完全順列の確率 は、 で に収束する。だから人数が多くても「誰も自分の物を受け取らない」確率は約 で、 にほとんどよらない。プレゼント交換で全員が他人の物になる確率が、人数によらずほぼ一定、という意外な事実だ。

答

(1) (2)

別解

別解:完全順列の漸化式で数える(得意な人向けの高い視点)。 完全順列の個数 (誰も自分の位置に来ない並べ方)には、きれいな漸化式がある。

(理由: 番の人が受け取る品を 番とすると 通り。 番の人が 番の品を受け取るか否かで と に分かれる。)順に計算すると 、、。

確率は 、。包除原理(本解)で と1つの式で書けるが、漸化式なら小さい から手計算で積み上げられる。 に近づくのも、この が の展開だからだ。

ポイント

  • 「少なくとも 人」は包除原理:選んだ人数ごとに を交互に足し引き。
  • 完全順列の個数: 人で 、 人で 。

よくある間違い

  • 「誰も自分の物を受け取らない」を直接数えようとして場合が非常に多くなる(反対=包除で数える)。
  • 包除原理の符号を交互にせず、 人固定の項を全部足してしまう。
  • の (残りの自由な並べ方)を誤る。

問23回の結果から原因を推定する(ベイズ)

★★★★ 難関条件付き確率原因の確率

問題

見た目が同じ つのつぼ A、B がある。A には赤玉 個と白玉 個、B には赤玉 個と白玉 個が入っている。 つのつぼから無作為に つを選び、そのつぼから玉を 個取り出して色を見て戻す操作を 回行ったところ、結果は順に赤・赤・白であった。選んだつぼが A である確率を求めよ。

ヒントを見る

『A を選んで赤赤白』『B を選んで赤赤白』の 本だけが、起こり得た経路だ。条件付き確率の定義に戻り、分母をその 本の和にする。

解答・解説

方針

「赤・赤・白」が起こる経路は「A を選んで赤赤白」「B を選んで赤赤白」の 本だけ。玉を戻すので 回は独立で、各経路の確率は積で書ける。条件付き確率の定義どおり、A 経路 ÷( 経路の和)を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「赤・赤・白」という結果から、原因(どちらのつぼか)を推定する。これはベイズの発想だ。

「赤・赤・白」が起こる経路は 本だけ。「A を選んで赤赤白」と「B を選んで赤赤白」。玉を戻すので 回は独立で、各経路の確率は積で書ける。

  • A 経路: 。
  • B 経路: 。

求めるのは「結果が赤赤白だったとき A だった割合」= A 経路 ( 経路の和)。条件付き確率の定義そのものだ。

公式条件付き確率:

① 経路を書き出す。 結果を =「赤・赤・白の順」とする。 に至る経路は 本しかない。

開始つぼAつぼB赤・赤・白赤・赤・白
「赤・赤・白」に至る経路は2本。上: A(1/2)→赤(3/5)→赤(3/5)→白(2/5)=9/125。下: B(1/2)→赤(1/5)→赤(1/5)→白(4/5)=2/125

② 各経路の確率を計算する。 玉は毎回戻すので、 回の取り出しは独立。A では赤の確率 、白の確率 だから

B では赤 、白 だから

③ 条件付き確率にまとめる。 なので

まとめ:結果(赤赤白)から原因(どちらのつぼか)をさかのぼる問題では、「原因ごとの経路の確率」をすべて並べ、その中で目的の経路が占める割合を取る。観測が 回に増えても、経路の確率が積になるだけで構造は 回のときと同じだ。最初は五分五分だった A の確率が、赤が多く出たことで まで上がった、と読むと意味がつかめる。

発展。 ベイズの定理は「結果から原因の確率を更新する」道具。赤が出るたびに A(赤が多い)の確率が上がっていく。 回目の赤の後は 、 回目でさらに上がり、白が 回出ても と高いまま。迷惑メールフィルタや医療診断など、「証拠を積んで確信を更新する」現代の推論の基礎である。

答

別解

別解:樹形図と「経路の重み」で目に見える形にする(苦手な人向け)。 起こりうることを樹形図で描く。まず A か B を選ぶ( ずつ)。その先で赤赤白が出る。

各枝の確率(重み)を書き込む。

  • A → 赤赤白: 。
  • B → 赤赤白: 。

「赤赤白」が実際に起きたのだから、この 本の枝のどちらかを通ったはず。その中で A の枝を通った割合が答え。

ベイズの公式(本解)を暗記しなくても、「起きた結果につながる枝の重みを比べる」だけで出る。分母の が約分で消えるので、実際は分子 と の比だけ見ればよい。赤が 回出た時点で A(赤が多い)がぐっと有利になる、という直感とも合う。

ポイント

  • 分母は「 に至る全経路の確率の和」、分子はそのうち A を通る経路。
  • 復元抽出なので 回は独立で、経路の確率は単純な積になる。

よくある間違い

  • 事前確率(A,B を選ぶ確率 ずつ)を掛け忘れる。
  • 玉を戻すこと( 回独立)を見落とし、確率を積で書けない。
  • 分母を「A 経路 B 経路」でなく全事象にしてしまう(条件付きの分母は結果が起きた 経路の和)。

問3くじ引きの公平性の証明

★★★★ 難関論証順列

問題

本のくじの中に当たりが 本()入っている。 人が順に 本ずつくじを引き、引いたくじは戻さない。 番目()に引く人が当たりを引く確率は、 によらず であることを示せ。

ヒントを見る

人ずつ順に計算していては一般の で詰む。くじ引き全体を『 本のくじの並べ方』と同一視できるか。そのとき、 番目の位置に当たりが来る並べ方の割合はいくらか。

解答・解説

方針

1人ずつ乗法定理で追うと が一般のままでは複雑になる。くじ引きの結果全体を「 本のくじを 列に並べる並べ方」と同一視すれば解ける。どの並べ方も同様に確からしく、 番目の位置に当たりが来る並べ方を数えればよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 人ずつ乗法定理で追うと、 番目では「 人が引いた後」の場合分けが非常に多くなる。もっと賢い見方が要る。

決め手はくじ引きの結果全体を「 本のくじを 列に並べる並べ方」と同一視することだ。 番目の人が引くのは、並びの 番目のくじだ。

どの並べ方も同様に確からしい( 通り)。 番目の位置に当たりが来る並べ方は、当たり 本のどれかを 番目に置き( 通り)、残り 本を並べる( 通り)。確率は で によらない。

重要非復元のくじ引きは「くじを 列に並べて左から順に取る」ことと同じ(結果の対応が 対 )

① くじ引きを並べ方と同一視する。 本のくじをすべて区別して考える。 人が順に引いた結果は、「 番目が引いたくじ、 番目が引いたくじ、…」という 本の並びそのものだから、起こり得る結果の全体は 本の順列 通りであり、無作為に引くのだからこれらはすべて同様に確からしい。

k 番目
n=6, a=2 の例。くじ引きの結果全体=6本の並べ方。k番目(図では3番目)の位置に当たり(●)が来る並べ方の割合を数えればよい

② 番目が当たりになる並べ方を数える。 番目の位置に置く当たりくじの選び方が 通り。残る か所には残る 本を自由に並べてよいから 通り。よって

③ 確率を計算する。

これは を含まない式であり、 によらず一定である。(証明終)

まとめ:「くじ引きは順番によらず公平」の背景は、結果全体が順列として対称にできていることだ。 番目の位置だけ特別扱いする理由が構造のどこにもない、と言い換えてもよい。個別の で乗法定理の計算(たとえば 番目なら )を検算に使うと、この一般論の便利さがよく分かる。

発展。 くじ引きが順番によらず公平なのは「対称性」の帰結。どのくじも、どの位置に来る確率が等しい。この「交換可能性」は標本抽出やトランプの配りなど、多くの確率モデルの基礎になる。「 番目に引くのが有利/不利」という直感が誤りであることを、対称性が保証している。

答

くじ引き全体を 本の並べ方と同一視すると、 番目が当たりの並べ方は 通りで、確率は (証明は解答参照)

別解

別解:特定の 本のくじに注目する(対称性のルート)。 当たりくじのうち特定の 本に印をつけて追う。この印つきくじが「 番目に引かれる」確率を考える。

本のくじが 個の位置に等確率で並ぶなら、印つきくじがどの位置に来るかも等確率。だから印つきくじが 番目に来る確率は、どの でも 。

当たりは 本ある。 番目が当たり 本のうちどれかが 番目に来る。 本の位置は互いに排反(同じ位置に 本は来ない)だから、確率を足して

並べ方を数える(本解)のと同じ だが、「 本のくじはどの位置にも等確率」という対称性から、 によらないことが直感的に分かる。くじ引きは引く順番によらず公平、という有名な事実は、この「位置の対称性」から来ている。

ポイント

  • 非復元くじ引き 本の並べ方 通り(同様に確からしい)。
  • 番目が当たり: 通りで、 がどこでも同じ数。

よくある間違い

  • 人ずつ乗法定理で追い、 が一般のまま場合分けが処理できなくなる(並べ方と同一視すれば解ける)。
  • 番目の位置の当たりの並べ方を でなく別の数にする。
  • 結果が によらないこと(公平性)を示さず、特定の だけ計算して終える。

問43人じゃんけんが ちょうど n 回目で決まる確率

★★★★ 難関反復試行状態の推移

問題

人でじゃんけんをし、負けた人は抜けていく。勝者が 人に決まるまで繰り返す(あいこのときは人数そのままでもう一度行う)。 を自然数とするとき、ちょうど 回目のじゃんけんで勝者が 人に決まる確率 を求めよ。

ヒントを見る

状態は『 人のまま』『 人に減った』の つしかない。ちょうど 回目に決まる経路を、状態の推移の列として数え上げられるか。

解答・解説

方針

状態は「3人のまま」「2人に減った」の2つだけ。1回のじゃんけんで、3人からは(1人勝ち・2人勝ち・あいこ)が各 、2人からは決着 ・あいこ 。ちょうど 回で決まる経路を「3人のまま 回 → 2人へ → 2人のまま 回 → 決着」と「3人のまま 回 → いきなり1人」に分けて数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 状態は「 人のまま」「 人に減った」の つだけ。 回のじゃんけんでの推移を押さえる。

人からは、 人勝ち(、即決着)、 人勝ち(、 人へ)、あいこ(、 人のまま)。 人からは、決着()、あいこ(、 人のまま)。

ちょうど 回で決まる経路を分類する。「 人のまま 回 → 人へ → 人のまま 回 → 決着」と「 人のまま 回 → 回目にいきなり 人勝ち」。それぞれの確率を足すと 。

① 1回のじゃんけんの確率を整理する。 人の手の出し方は 通り。勝者がちょうど 人(誰が・どの手で勝つか 通り)、勝者が 人( 通り)、あいこ(残り 通り)だから、 人からの推移はそれぞれ確率 。また 人のじゃんけんは 通り中あいこ 通りなので、決着 ・あいこ 。

3人1人負け2人決着勝者1人1人勝ち(一気に決着)あいこで滞在あいこで滞在
状態の推移。3人からは「1人勝ち」「2人へ」「あいこ(とどまる)」が各1/3。2人からは「決着」2/3・「あいこ」1/3

② ちょうど 回で決まる経路を分類する。

経路 I(いきなり決まる): 人のあいこが 回続き、 回目に 人勝ち。

経路 II( 人を経由): 人のあいこ 回 → 人に減る()→ 人のあいこ 回 → 回目に決着()。回数の合計から ()で、 の組は 通り。どの組でも確率は

③ 合計する。

(:、: で、直接数えた値と一致するので検算になる。)

まとめ:回数つきの複合試行は「状態がどう推移したか」の列で場合分けするのが軸。途中のあいこの置き場所( と の分配)が 通りある、という数え上げがこの問題の中心で、確率そのものはどの経路でも同じ値になる。

発展。 (必ずいつか決着する)。この和は と に分けて計算できる(等差 等比の和)。決着までの回数の期待値 も同じ手法で求まり、状態遷移をもつ確率過程(マルコフ連鎖)の典型例になっている。

答

別解

別解:状態ごとの母関数(確率の等比的な積み上げ)で(得意な人向けの視点)。 ちょうど 回で決着する経路を、 種類に整理して直接足す。

【経路1】 人のまま 回あいこ → 回目に 人へ → 人のまま 回あいこ → 決着。回数は 、すなわち 。確率は 。組 は 、 で 通り。合計 。

【経路2】 人のまま 回あいこ → 回目に 人勝ちでいきなり決着。確率 。足すと

状態遷移(本解)を経路に開いて数えると、各経路の確率がすべて の定数倍になり、経路の「本数」 を数えるだけになる。(必ずいつか決着する)も確かめられる。

ポイント

  • 人からの推移は ずつ、 人からは決着 。
  • 経路 II は の分配で 通り、確率は共通で 。

よくある間違い

  • 人のじゃんけんの推移( 人勝ち・ 人勝ち・あいこが各 )を誤る。
  • ちょうど 回の経路を「 人経由」と「いきなり決着」の 種類に分けず、数え漏らす。
  • あいこの回数の組 ()の総数 を誤る。

問5正八角形の3頂点が作る三角形

★★★★ 難関図形と確率数え上げ

問題

正八角形の 個の頂点から異なる 個を無作為に選び、三角形を作る。

(1) 直角三角形になる確率を求めよ。

(2) 鈍角三角形になる確率を求めよ。

ヒントを見る

円に内接する三角形の角は、向かい合う弧の大きさで決まる。 頂点が円周を つの弧に分ける。弧の割り方 の数え上げに言い換えてみよ。

解答・解説

方針

頂点は外接円の周上にあるから、円周角の考え方が使える。3頂点は円周を3つの弧に分け、弧の大きさの組 (、各 )で三角形の形が決まる:最大の弧が半円ちょうど()なら直角、半円を超える()なら鈍角。あとは弧の組を数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 頂点は外接円の周上にある。だから円周角の考え方が使える。

頂点は円周を つの弧に分ける。弧の大きさの組 (、各 )で三角形の形が決まる。

決め手は「最大の弧」を見ることだ。最大の弧が半円ちょうど()なら、その弧に対する円周角が で直角三角形。半円を超える()なら鈍角。半円未満なら鋭角。あとは弧の組を数え上げる。

定理円周角の定理:円周角は中心角の半分。弧が半円ちょうどなら直角、半円超なら鈍角の円周角が立つ

① 選び方の総数。 通り。正八角形の頂点は外接円の周を 等分しているので、隣り合う頂点の間を「弧 個分」と数える。

② 三角形の形を弧の言葉で表す。 頂点は円周を つの弧 (、各 )に分ける。頂点の角は「向かい合う弧」に対する円周角だから

  • すべての弧が 以下 → 鋭角三角形
  • どれかの弧がちょうど (半円=直径をはさむ)→ 直角三角形
  • どれかの弧が 以上 → 鈍角三角形
正八角形。破線=直径(これをはさむと直角三角形)。赤=隣接3頂点の例(最大の弧が6で鈍角三角形)

③ (1) 直角三角形を数える。 弧 を作る 頂点は直径の両端。正八角形の直径は 本あり、残りの 頂点は他の 個から自由に選べるから

④ (2) 鈍角三角形を数える。 最大の弧が 以上、つまり 頂点が「連続する 頂点分の範囲」に収まる場合である。順序を込めた弧の組 で数える: とすると 、 の正の整数解は 組。、、 のどれが大きいかで 倍し、 組。弧の組 つに対して、円周上の配置(回転)が 通り、 つの三角形は つの順序で数えられているから

(残りは鋭角三角形で 通り、。 つの和が になることが検算になる。)

まとめ:円に内接する多角形の頂点から作る三角形の形は、「弧の分け方」に言い換えると数え上げに変わる。直角=直径をはさむ、はターレスの定理そのもの。鋭角が意外に少ない()のも、この言い換えをすると納得できる。

発展。 円に内接する三角形の形は「最大の弧」で決まる: 半円未満で鋭角、半円ちょうどで直角(直径が辺)、半円超で鈍角。正 角形の頂点から作る三角形の鋭角・直角・鈍角の個数も、この弧の分類で数え上げられる。円周角の定理が確率と幾何を橋渡ししている。

答

(1) (2)

別解

別解:直角三角形は「直径を 辺にもつ」で数える(得意な人向けの視点)。 円に内接する三角形が直角三角形 辺が直径(円周角の定理の逆)。正八角形で直径になるのは、向かい合う頂点を結ぶ対角線 本。

直角三角形は「 本の直径 + 残り 頂点から つ」。直径 本 残り 頂点 個。全体 で、直角の確率 。

鈍角は「最大の弧 」。最大弧 の場合を数えると、こちらも 個で 。鋭角は残りの ( 個)。

弧の組 を全部数える本解に対し、直角は「直径を含むか」で直接数えられる。 とすべて足すと全体に一致するのが検算になる。正 角形なら直径が 本あり、直角三角形が 個、という一般化にもつながる。

ポイント

  • 形の判定は最大の弧: 鋭角 / 直角 / 鈍角。
  • 弧の組の数え上げは(順序つき)×(回転 )÷(重複 )。

よくある間違い

  • 三角形の形を弧の大きさで判定するとき、「最大の弧」でなく他の弧を見る。
  • 直角( 最大弧 )と鈍角()の境界を取り違える。
  • 弧の組 の数え上げで、回転(どの頂点から始めるか)の重複を処理し損ねる。

問6最大値の分布と条件付き確率

★★★★ 難関条件付き確率最大値

問題

から までの番号が つずつ書かれた 枚のカードから、同時に 枚を取り出す。取り出した 枚の番号の最大値を 、最小値を とする。

(1) となる確率を求めよ。

(2) となる確率を求めよ。

(3) であったとき、 である条件付き確率を求めよ。

ヒントを見る

『最大がちょうど 』は『 以下』から『 以下』を引けばよい。または『 を含み、残りは 以下』と考えてもよい。(3)では分母が変わる:考える範囲は『最大 』の場合だけに縮む。

解答・解説

方針

最大値の問題は「 ⟺ 枚とも 以下」と読み替えるのが基本。「ちょうど 」は「 以下」−「 以下」または「 を含み残り 枚は 以下」。(3)は「 の 通り」だけに範囲を縮めて、その中での割合を数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 最大値 の問題は、「 枚とも 以下」と読み替えるのが基本だ。

(1) は「 枚とも 以下」、 枚から 枚選ぶので 通り。(2) 「ちょうど 」は「 以下」「 以下」、または「 を必ず含み残り 枚は 以下」 通り。

(3) は条件付き確率。範囲を「 の 通り」に縮めて、その中で、さらに ( 枚とも 以上、かつ最大 )の割合を数える。

① (1) 「最大 」を読み替える。 ⟺ 枚とも から取り出されている。

② (2) 「ちょうど 」は差で取る。 ⟺ かつ でない、だから

(別の数え方: を必ず含み、残り 枚を から選ぶ 通りで、一致する。)

③ (3) 範囲を縮めて数え直す。 条件付き確率では、分母が「 の 通り」に変わる。その中で となるのは、 以外の 枚を から選ぶ場合だから 通り。

まとめ:最大値・最小値の確率は「以下・以上への読み替え」と「ちょうど=差」の つで処理する。条件付き確率は「分母の範囲を縮めること」だ。公式に代入するより、縮んだ範囲( 通り)の中で直接数えるほうが速く、間違いも少ない。

発展。 最大値 の分布は (累積分布)で、差をとれば 。順序統計量(標本の最大・最小・中央値など)の分布は、この「 で読み替える」手法で系統的に求まる。統計で「 個中の最大値」を扱うときの基本テクニックだ。

答

(1) (2) (3)

別解

別解:最小値・最大値の同時分布を「枠」で数える(得意な人向けの視点)。 (3) を、最大 ・最小 の同時条件として直接数える。

「 かつ 」「 を必ず含み、残り 枚は から」。 は確定、残り 枚を 枚から選ぶので 通り。「」は を含み残り 枚を から、 通り。

だから条件付き確率は 。「 全部 以下」で最大値を攻める本解に対し、最小値との同時条件は「 を含み、残りを という枠に収める」と枠で数えると速い。 は「 を上端に固定し、下端を 以上に制限した窓」の中の選び方だ。

ポイント

  • ⟺ 全部 以下。「ちょうど」は差または「 を含み残りは 以下」。
  • 条件付き確率=縮んだ範囲( の 通り)での割合。

よくある間違い

  • 最大値 を「 全部 以下」と読み替えず、直接数えて煩雑になる。
  • 「ちょうど 」を「 を含む」()でなく「 以下」で数える。
  • (3) の条件付き確率の分母を全体 にする(分母は の )。

問7原点に戻る経路(負にならない条件つき)

★★★★ 難関反復試行経路の数え上げ

問題

数直線上の原点に点 P がある。硬貨を投げて、表なら 、裏なら だけ P を動かす。硬貨を 回投げるとき、「P が 回後に原点に戻り、かつ途中で一度も負の位置に来ない」確率を求めよ。

ヒントを見る

回で原点に戻る道のうち、途中で負に沈まないものを数える。表裏の列を折れ線にして、条件を満たす道の特徴をつかめ(数え上げは工夫した列挙でも届く)。

解答・解説

方針

全体は 通りで等確率。原点に戻るには表 回・裏 回(その並べ方 通り)。このうち「累積がつねに 以上」を満たす並びを数える。折れ線グラフで見ると構造がつかみやすく、 通りからの絞り込みは系統的な列挙で届く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 全体は 通りで等確率。まず「 回後に原点」の条件を押さえる。表 回・裏 回が必要で、その並べ方は 通り。

問題はこの 通りのうち「途中で一度も負にならない」ものを数えること。累積和(位置)を折れ線グラフで見ると構造がつかめる。 の並びで、途中の部分和がつねに 以上。これはカタラン数で数えられる典型で、系統的に列挙すれば 通りと分かる。

① 分母と候補を整理する。 回の表裏の列は 通りで、どれも等確率。 回後に原点に戻るのは表 回・裏 回のときで、並べ方は 通り。この中から「途中の累積がつねに 以上」のものを数える。

xyOy = −1(入ると失格)24612
条件を満たす道の一例(+ + − + − −)。位置はつねに 0 以上のまま、6 回後に原点へ戻る

② 条件を満たす列を系統的に列挙する。 表を「+」、裏を「−」と書く。負にならないためには、 回目は必ず + で、どの時点でも(+ の数)(− の数)が必要。最初の + のあと、残り 手で + 個・− 個を「途中で高さが に触れない」ように並べる。高さの推移で分類すると

  • ++ から始まる:++−+−−、++−−+−、++−−−は高さ になるので不可。+++−−− と ++−+−− と ++−−+− の 通り
  • +− から始まる(高さ に戻る):残り 手が「 回で原点・非負」の道で、+−+− と ++−− の 通り → +−++−−、+−+−+− の 通り

合計 通り。

③ 確率を求める。

まとめ:「戻る」条件は枚数の勘定()、「沈まない」条件は経路の形の勘定になる。性質の違う つの条件を分けて処理する。この という個数は 歩で非負のまま原点に戻る道の数( と続く有名な数列)の の項になっている。

発展。 「途中で負にならない の道」の数はカタラン数 。括弧の正しい対応、木の形、多角形の三角形分割など、まったく違う見た目の数え上げが同じカタラン数になる。反射原理( に触れた道を反転して数える)は、これらを統一的に数える有効な発想だ。

答

別解

別解:反射原理でカタラン数として一度に数える(得意な人向けの高い視点)。 「表 ・裏 の並びで、途中の部分和がつねに 以上」の個数は、カタラン数 で数えられる。

全体は 通り。このうち「途中で負になる(位置 に触れる)」ものを、反射原理で数える。 に初めて触れた後を上下反転させると、「表 ・裏 」の並び( 通り)と 対 に対応する。

だから条件を満たすのは 通り。

確率は 。系統的に列挙する本解に対し、反射原理は「悪い並び( に触れる)を、ずらした二項係数で数える」方法だ。 往復なら (カタラン数)で、括弧の対応や山の登り下りなど、多くの数え上げに現れる。

ポイント

  • 分母は (等確率)。戻る条件で 通りに、非負条件で 通りに絞る。
  • 列挙は「最初の 手」で分類すると漏れなく数えられる。

よくある間違い

  • 原点復帰の条件(表 ・裏 )だけで を答えにし、「途中で負にならない」を課さない。
  • 「負にならない」を「 を通らない」と取り違える( 以上=負にならない、 は通ってよい)。
  • カタラン数 の分母 ()を誤る。

問8出た目の種類の数

★★★★ 難関数え上げ重複の処理

問題

個のさいころを 回投げる。

(1) 出た目がすべて同じ( 種類)である確率を求めよ。

(2) 出た目がちょうど 種類である確率を求めよ。

ヒントを見る

まず『どの 種類か』を選び、次に 回の出目をその 種類に割り振る。割り振りから引くべき『実は 種類だった』場合を忘れると過大になる。

解答・解説

方針

全体は 通り。(2)は「どの2種類を使うか」を先に選び、4回の出目をその2種類に割り振る。ただし割り振り 通りの中には「実は1種類しか使っていない」場合が混ざるので、それを引いてから種類の選び方を掛ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 全体は 通り。「出た目の種類の数」で場合分けする。

(1) 種類(すべて同じ)は、その目が 通り。確率 。

(2) ちょうど 種類のところで間違えやすい。まず「どの 種類を使うか」を選ぶ( 通り)。次に 回の出目をその 種類に割り振る( 通り)。ただし割り振りの中には「実は 種類しか使っていない」( 通り)が混ざるので、それを引く。 を全体で割る。

① 全体を確認する。 回の出目の列は 通りで、どれも等確率。

② (1) 種類だけ。 どの目でそろえるかの 通りしかない。

③ (2) ちょうど 種類(選んでから割り振り、はみ出しを引く)。 使う 種類の選び方は 通り。選んだ 種類(たとえば )への 回の割り振りは 通りだが、このうち「全部 」「全部 」の 通りは実際には 種類しか使っておらず、「ちょうど 種類」にならない。よって 組あたり 通り。

なぜ先に 種類を固定するかというと、「ちょうど」の条件を(全部で 通りという)小さい範囲の中で処理できるからだ。

まとめ:「ちょうど 種類」は、種類の選択 → 割り振り → 種類が減ってしまう場合の除外、の 段で数える。 種類なら引くのは 通りだけだが、 種類になると包除原理()が必要になる。この問題はその準備にあたる。

発展。 「 回投げてちょうど 種類」は、 種類への全射の数 (包除)で数え、それに種類の選び方 を掛ける。 で はその最小例。第 種スターリング数 を使えば、 種類・ 種類でも同じ枠組みでまとめて求まる。

答

(1) (2)

別解

別解:全射の数(スターリング数)で捉える(得意な人向けの視点)。 「 回の出目がちょうど 種類」は、「 回を 種類の目に『余りなく』割り振る」= 回目から 種類への全射の数で数える。

種類 への全射(両方を必ず使う割り振り)の数は、全 通りから「 だけ」「 だけ」の 通りを引いて 通り。どの 種類の目を使うかは 通り。掛けて

「割り振りから 種類の場合を引く」本解と同じ だが、これは全射の数(第 種スターリング数 の 倍)。「 回を 種類にちょうど使う」は で数えられ、 種類・ 種類でも同じ枠組みで求まる。

ポイント

  • ちょうど 種類 。
  • 「全部同じ」 通りの除外を種類選択の前でなく後に行う(順序を守る)。

よくある間違い

  • (2) で 種類の選び方 を掛け忘れる、または割り振り から 種類の 通りを引き忘れる。
  • の (両方が同じ目= 種類になる場合)を落とす。
  • 「ちょうど 種類」を「 種類以下」と混同する。