確率漸化式の考え方 — 状態と遷移を書き出して特性方程式型へ

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日

確率漸化式は、数学Aの確率と数学Bの漸化式が融合した問題で、難関大の入試で最も繰り返し出るテーマの1つです。「 回目に〜である確率 を求めよ」という問いに、 で表す式を立てて解きます。確率の問題としても漸化式の問題としても解けるのに、融合すると手が止まる人が多いテーマです。この記事では、漸化式を立てる考え方と、立てたあとの解き方、つまずきの場所を説明します。

考え方: 「 回目の状態は、 回目の状態からどう移るか」

確率漸化式の本体は、「 回目に状態Aである」という事象を、「 回目に状態Aで、そこからAにとどまる」と「 回目に状態Aでなく、そこからAに移る」の2つに分けることです。式にすると、 です。この形は、 の特性方程式型で、数学Bの漸化式の基本形です。

だから、確率漸化式で最初にすることは、「状態は何種類あるか」と「各状態から各状態へ移る確率はいくらか」を書き出すことです。状態が2種類なら、上の1本の式で済みます。状態が3種類以上なら、それぞれの確率について式を立てて連立します(ただし、確率の和が1であることを使えば、未知数を減らせます)。

立て方の手順

1つ目、「 回目の状態」を、問題文の言葉で定義します。「点が原点にいる」「表が偶数回出ている」「袋の中に赤玉が2個ある」などです。状態は、次の1回で何が起こるかを決めるのに必要な情報だけを含めます。

2つ目、各状態から、次の1回でどの状態に移るかを、確率つきで図(状態の遷移図)に描きます。矢印に確率を書き込むと、漏れが見えます。

3つ目、遷移図から、(と、必要なら他の状態の確率)で表します。

4つ目、初項 (または )を、問題の設定から直接求めます。

この4つが済めば、あとは数学Bの漸化式の解法です。確率の標準「点の移動(原点に戻る)」と応用「じゃんけんが決着するまで」は、この手順の前段(状態と遷移)の練習になり、難関(★★★★)の「3人じゃんけんが ちょうど n 回目で決まる確率」は、一般の で答える練習です。

解き方: 特性方程式型に持ち込む

の形になれば、 を解いて と変形し、 が公比 の等比数列になることから一般項が出ます。漸化式の基礎「特性方程式型」で、この変形を確実にしてください。

状態が3種類以上で連立になったときは、「確率の和が1」で未知数を1つ減らし、対称性があれば2つの状態をまとめます。それでも3項間の漸化式になることがあり、応用の「3項間漸化式」の解法が必要です。

の極限を問われることもあります。 なら に収束します。 は「定常状態の確率」で、遷移図から直接求めることもできます。

つまずきやすいところ

最も多い誤りは、状態の定義に「次の1回に関係ない情報」を入れて、状態が増えすぎることです。「表が偶数回出ている」で足りるのに「表が何回出ているか」を状態にすると、無限に状態が増えます。「次の1回で何が起こるかを決めるのに、最低限必要な情報は何か」を問い直してください。

次に多いのが、遷移の確率の漏れです。状態Aから出る矢印の確率の和は1になるはずなので、これを確かめると漏れが見つかります。

初項の取り違えも多いです。 は「1回目の操作のあと」の確率で、「操作をする前」の確率は です。問題文がどちらを と呼んでいるかを確認してください。

保存量という視点

難関大の確率漸化式には、「漸化式を立てなくても解ける」構造をもつものがあります。サイコロを振り続けて「和がちょうど になる確率」の極限が になる問題(実戦編のサイコロの和がちょうど n になる確率の極限)は、 の重みつき和が一定に保たれる(保存量)ことに気づくと、極限が一瞬で出ます。破産問題(実戦編の持ち点が0かNになるまで)は、2階の漸化式が等差数列に帰着します。

こうした構造は、まず標準的な漸化式で解いて答えを出してから、「なぜこの答えになるのか」を考えると見えてきます。解けた問題の解説の「発展」の項目に、この視点を書いてあります。

関連する単元

確率漸化式は、数学Aの確率(反復試行・条件付き確率)と数学Bの漸化式(特性方程式型・3項間・連立)が前提です。極限を問われる場合は数学IIIの関数と極限(無限等比数列)も使います。総合演習の「確率 × 数列」のテーマに、実戦編と最難関編の確率漸化式を集めてあります。