数学A / 確率

確率 ★★★ 応用の問題 全8問

入試標準レベル。複数の考え方を組み合わせる

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 原因の確率(ベイズの考え方)
  2. 反復試行と条件付き確率
  3. じゃんけんが決着するまで
  4. 数直線上の点の移動(位置と符号)
  5. 2個のサイコロの最大値の期待値
  6. 当たりを引くまでの回数の期待値
  7. 3個のサイコロの最大値
  8. 初めて成功するまでの回数の期待値

問1原因の確率(ベイズの考え方)

★★★ 応用条件付き確率原因の確率

問題

ある製品は、機械 A で全体の 60%、機械 B で 40% が作られる。不良品の割合は、A の製品では 3%、B の製品では 5% である。製品を1個取り出したところ不良品であった。この製品が機械 A で作られたものである確率を求めよ。

ヒントを見る

『不良品だった』前提で、それが 製である確率。母数は『不良品全体』の確率(= 由来の不良 + 由来の不良)。その中で 由来が占める割合。まず全体の不良率を組み立てる。

解答・解説

方針

『不良品だった』という結果から、『どちらの機械で作られたか』という原因をさかのぼる問題だ(原因の確率、ベイズの考え方)。求めるのは 。条件付き確率なので、分子に『Aで作られ、かつ不良』、分母に『不良品全体』を置く。

分母はA由来の不良とB由来の不良を足して求める。ここを漏らさないのがポイントだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「不良品だった」という結果から、原因(どちらの機械か)をさかのぼる。時間の流れと逆向きの確率だ。

条件付き確率の定義に戻る。分母は「不良品になるすべてのルート」( 経由と 経由)。分子は「 経由」だ。

ルートの合流として図式化するのが発想の核になる。

公式条件付き確率(原因の確率)。分母は全経路の和

求めるのは、不良品だったという条件のもとで、機械 A 製である確率 だ。条件付き確率なので

分子(A で作られ、かつ不良):

分母(不良品全体): 不良品には A 由来と B 由来があるので、両方を足す。

だから

A∩赤A∩白B∩赤B∩白赤白原因A原因B
ベイズ: 「原因×結果」の確率を表に整理し、赤が出たとき原因がAの確率=(A∩赤)/(赤の列の合計)

まとめ:もとの生産の割合は A が60%と多いが、不良品にしぼると A 由来の割合は と半分以下に下がる。これは B のほうが不良率が高いためで、『不良品』という情報が原因の確率を書きかえたことを表す。原因の確率では、分母に『結果が起こる全部の道すじ』を漏らさず足すのが、いちばん大事だ。

発展。 この更新は「オッズ( つの確率の比)」で見ると、もっと軽い。

はじめ の生産比は 。これが事前のオッズだ。ここへ、不良の起こりやすさの比 (尤度比)を、対応する側どうしでかける。

が、不良と分かった後のオッズになる。だから である確率は 。「事前オッズ 尤度比 事後オッズ」。これがベイズの更新のいちばん素早い形で、証拠が増えるたびに尤度比をかけ足していけばよい。

答

別解

別解:実際の個数で数える(苦手な人向けの自然頻度ルート)。 割合のままだと分かりにくいので、製品を具体的に 個そろえたと考える。

機械 製は だから 個。そのうち不良は で 個。機械 製は だから 個。そのうち不良は で 個。

不良品は全部で 個。この 個のうち、 製は 個だ。

条件付き確率の公式を使わなくても、「不良品の山の中で 製が占める割合」を数えるだけで出る。本解と同じ答えになる。

ポイント

  • 結果から原因をさかのぼる = 原因の確率(ベイズの考え方)
  • 、分母は結果 が起こる全部の道すじの和
  • 得られた情報が、もとの確率を書きかえる

よくある間違い

  • 分母を機械 の不良率 そのものにしてしまう(全体の不良率と取り違える)。
  • 分母に 由来の不良 を足し忘れ、母数を 由来だけにする。
  • 生産の割合( が )が大きいから 製が多いはずと決めつけ、不良率の差を無視する。

問2反復試行と条件付き確率

★★★ 応用反復試行条件付き確率

問題

1個のサイコロを3回投げる。6の目が少なくとも1回出たとき、6の目がちょうど1回だけ出た条件付き確率を求めよ。

ヒントを見る

『少なくとも1回出た』前提で『ちょうど1回』。分子は『ちょうど1回』の確率、分母は『少なくとも1回』(= −『0回』)。反復試行の確率を分子・分母それぞれで。

解答・解説

方針

条件『6が少なくとも1回出た』のもとで『ちょうど1回』の確率を求める。条件付き確率なので、分母を『少なくとも1回』、分子を『ちょうど1回』にする。どちらも反復試行で計算できる。分母『少なくとも1回』は反対の『1回も出ない』を使うとラクだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 条件付き確率の分母・分子が、どちらも反復試行で書ける複合問題だ。

分母には「少なくとも 回」を置く。これは余事象で計算する。分子には「ちょうど 回」を置く。こちらは反復試行だ。

つの既習の型を、条件付き確率という枠組みの部品として組み合わせる。その設計力が問われている。6の目を『成功』()とする。

分子(ちょうど1回): 反復試行より

分母(少なくとも1回): 反対の『1回も出ない』を使って

条件付き確率は、分子を分母で割って

まとめ:分母どうしの216が約分され、結局は場合の数の比 になる。『ちょうど1回』は『少なくとも1回』の中に含まれる(ちょうど1回なら、当然少なくとも1回)ので、分子はそのまま『ちょうど1回』でよい。

発展。 投げる回数を に増やすと、 の出た回数は二項分布に従う。今回の条件付き確率はその分布から「 回」を取り除いた場合の中での「ちょうど 回」の割合だ。

一般には となる。 なら だ。 が大きくなると、この値はしだいに小さくなる。回数が増えるほど「複数回出る」ほうが優勢になり、「ちょうど 回」は「少なくとも 回」の中の小さな一部になっていくからだ。

答

別解

別解:分母を「ちょうど何回」に分けて数える(仕組みが見える数え方)。 分母の「少なくとも 回」を、余事象ではなく、中身に分けて足す。 が出た回数で場合分けする。

  • ちょうど 回: 。
  • ちょうど 回: 。
  • ちょうど 回: 。

足すと で、余事象 と一致する。求める条件付き確率は、分子(ちょうど 回)がこの つの先頭そのものだから

「少なくとも 回」の中身が見えるので、分子がその一部だと納得できる。本解と同じ答えだ。

ポイント

  • 条件付き確率は、分母を条件(少なくとも1回)にとる
  • 『ちょうど1回』は『少なくとも1回』に含まれるので、共通部分 = ちょうど1回
  • 分母『少なくとも1回』は反対で計算

よくある間違い

  • 分母を全体(条件なし)にして、ちょうど 回の をそのまま答えにする。
  • 分子と分母の を約分し忘れ、 の計算を複雑にする。
  • 「ちょうど 回」で反復試行の係数 を落とし、 だけにする。

問3じゃんけんが決着するまで

★★★ 応用じゃんけん期待値

問題

2人がじゃんけんをして、勝負がつくまで繰り返す。あいこ(同じ手)のときは勝負がつかず、もう一度行う。

(1) ちょうど2回目で勝負がつく確率を求めよ。

(2) 勝負がつくまでにじゃんけんを行う回数の期待値を求めよ。

ヒントを見る

1回で決着する確率と、あいこ(やり直し)の確率を出す。(1)『2回目で決着』=『1回目あいこ→2回目決着』。(2)期待値は『 回目で決着する確率』に をかけて足す(等比×等差の和)。

解答・解説

方針

まず1回のじゃんけんで『勝負がつく』確率を求めるのが出発点だ。2人の手の出し方は 通りで、同じ手(あいこ)が3通り、勝負がつくのが6通り。だから決着 、あいこ 。

(1)は『1回目あいこ、2回目で決着』。(2)は同じ確率で繰り返す試行の回数の期待値(幾何分布)だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) まず 回の決着確率 を、出発点として確定させる。

すると「ちょうど 回目で決着」は「あいこが 回続いて、決着」というかけ算になる。(2)の期待値は無限級数になる。「各回の構造が同じなら、確率は等比の形になる」。この見通しが発想の軸だ。

2人の手の出し方は 通り。同じ手(あいこ)は(グー・グー)など3通り、残り6通りで勝負がつく。だから1回で

(1) ちょうど2回目で決着するのは『1回目はあいこ、2回目で決着』。各回は別々に起こるので

(2) 決着までの回数を とすると、 となるのは『 回続けてあいこ、 回目で決着』で

これは成功(決着)の確率 の幾何分布だ。幾何分布の期待値は成功確率の逆数になる。

念のため級数で確かめる。 で、公式 ()を使うと

まとめ:と合う。『平均1.5回で決着がつく』という結果で、決着の確率 が高いぶん少ない回数で済む、という感覚とも合う。

発展。 成功確率 の試行を成功まで繰り返すとき、回数の期待値はいつも になる(ここでは で )。

この分布(幾何分布)には「無記憶性」がある。すでに 回あいこが続いていても、そこから決着までの期待回数は最初と変わらず だ。過去のあいこはこの先の見通しを何も変えない。

無記憶性をもつ離散分布は幾何分布だけで、その連続版が指数分布だ。電球の寿命や窓口の待ち時間など、「いつ起こるか」を扱うモデルの出発点になっている。

答

(1) (2) 回

別解

別解:やり直しの構造をそのまま式にする(得意な人向けの再帰の視点)。 (2)の期待値 を、 回投げた後の場合分けで立てる。

まず必ず 回は投げる。そのあと確率 で決着し(追加 回)、確率 であいこになる。あいこのとき、状況は最初とまったく同じに戻る。だからそこから先の期待回数はまた だ。式にすると

これを解くと 、すなわち 。無限級数を計算しなくても、「あいこなら振り出しに戻る」という自己相似の構造だけで が決まる。本解と同じ答えになる。

ポイント

  • 2人じゃんけんは1回で決着 ・あいこ
  • 同じことを成功まで繰り返す回数は幾何分布
  • 幾何分布の期待値は (成功確率の逆数)

よくある間違い

  • (1)で「 回目で決着」を「 回目も 回目も決着」と取り違え、 としてしまう。
  • あいこの確率を、 通り中 通りの でなく別の値にする。
  • (2)の期待値を成功確率 そのものと取り違える(正しくは逆数の )。

問4数直線上の点の移動(位置と符号)

★★★ 応用点の移動反復試行

問題

数直線上の原点に点 P がある。コインを投げて、表なら正の向きに 1、裏なら負の向きに 1 だけ P を動かす。コインを5回投げる。

(1) P が座標 3 の点にある確率を求めよ。

(2) P が正の側(座標が正)にある確率を求めよ。

ヒントを見る

(1)座標3に着く表・裏の回数を、合計と差の2式から出す。(2)は奇数回だから原点には戻れず、正・負の対称性から確率が半々になる。これは数えなくても言える。

解答・解説

方針

(1)は座標の条件を、表・裏の回数に置きかえる。

(2)は5回(奇数回)なので、座標が0になることはなく、必ず正か負のどちらかだ。ここで左右対称に注目する。表と裏を全部入れかえると、座標の符号がちょうど反対になる。だから正の確率と負の確率は同じで、合わせて1。つまり計算しなくても とわかる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (2)は全場合の計算をせず、対称性で切る。

表と裏を全部入れ替えると、座標の符号が反転する。だから「正になる確率」と「負になる確率」は等しい。奇数回だから座標 はあり得ない。正と負の つで全体を分け合う。「対称性で計算を消す」という上級の省エネが主題だ。

x-5-3-10135座標3
5回移動後の点 P。奇数回なので原点には戻らない

(1) 表が 回、裏が 回とすると 、座標は なので 。連立して解くと 、。表が4回出る確率は反復試行より

(2) 5回は奇数回なので、座標 ()は必ず奇数になり、0にはならない。だから P は必ず正か負のどちらかにある。

ここで対称性に注目する。表と裏をすべて入れかえると、座標の符号がちょうど反対になる。この対応で『正の側にある結果』と『負の側にある結果』が1対1に対応するので、両方の確率は同じだ。合わせて1だから

まとめ:(2)は を直接足しても求まる()が、対称性を使えば計算せずに答えが出る。『奇数回だから0にならない』ことと『左右対称』の2つを押さえるのがコツだ。

発展。 コインの回数 が奇数なら、座標は必ず奇数で にならない。だから今回のように、対称性だけで と言える。

が偶数だと事情が変わる。原点に戻る( になる)場合が生じ、その分を正・負が分け合う。よって となる。

のとき 。たとえば なら で、 だ。偶奇で答えの形が変わるのがおもしろい。

答

(1) (2)

別解

別解:位置の分布を多項式で一望する(得意な人向けの母関数の視点)。 回の移動で、表()を 、裏()を に対応させる。 回分をかけた

を展開すると、 の係数が「 回で座標 に到達する場合の数」になる。係数の合計は 通りだ。

(1) 座標 は の係数 だから 。

(2) 正の座標は の 項で、係数の和は 。よって 。負の座標 の係数の和も で等しく、 の項が無い(座標 が無い)ことも展開から見てとれる。

つの展開式に、どの座標へ何通りで到達するかがすべて表れる。本解と同じ答えになる。

ポイント

  • 座標の条件を「表・裏の回数」の連立に置きかえる
  • 奇数回では座標が0にならない(必ず正か負)
  • 表裏の入れかえによる左右対称で

よくある間違い

  • (2)で座標が になる場合があると思い込み、奇数回では が不可能なことに気づかず対称性を使えない。
  • (1)で連立 、 を解き誤り、表の回数を 以外にする。
  • (2)を特定の座標だけで数え、正の座標 をすべて足すことを忘れる。

問52個のサイコロの最大値の期待値

★★★ 応用期待値

問題

大小2個のサイコロを同時に投げ、出た2つの目のうち大きいほう(同じ目のときはその値)を とする。 の期待値を求めよ。

ヒントを見る

『最大値がちょうど 』を直接数えるより、『最大値が 以下』(=2つとも 以下)から『 以下』を引くと出る。各 の確率を出して期待値へ。

解答・解説

方針

期待値を求めるには、 の確率が必要だ。最大値が になる確率を数えるとき、『最大値 = 』を『2つとも 以下』『2つとも 以下』と、引き算でとらえると数えやすい。

この『以下の差』のやり方は最大値・最小値の確率を求めるときによく使う。各 の確率を求めて を計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「最大値 」は直接数えにくい。だが「全部 以下」なら、各サイコロが独立なので、すぐに計算できる。

そこで「ちょうど 」を、「 以下」から「 以下」を引いた差でとらえる。累積(以下)を部品にして、差分で欲しい確率を作る。この数え方の設計が発想の核だ。

重要最大値の確率:(「以下」の差でとらえる)

最大値 となる場合の数を求める。『』は『2つとも 以下(最大が を超えない)』から『2つとも 以下(最大が に届かない)』を除いたものだ。

だから ()。実際、 で 、 で となり、合計は で、確かに確率になっている。期待値は で

まとめ: だ。1個の目の期待値 より大きいのは、2つのうち大きいほうをとっているので当然。『最大値 = (以下)の差』という数え方が、この種の問題の突破口になる。

発展。 最小値 (小さいほうの目)の期待値も、同じ道具で出せる。ただし対称性を使うとすぐに出る。

各サイコロの目 を に置きかえると、大小がそっくり入れかわる。この置きかえで最大値と最小値が入れかわるから、。 になるのは、 がつねに成り立つからだ。両辺の期待値をとれば となる。

答

別解

別解:最大値を「和と差」で書き直す(得意な人向けの恒等式の視点)。 数 の大きいほうは、次の恒等式で書ける。

(和の半分が中点、差の絶対値の半分が中点から端までの距離、と見ればよい。)期待値は和ごとに分けられるから

個のサイコロの目の期待値は 。差の絶対値 は 通りを数えて

よって

最大値の分布 を作らずに、目の平均と「差の平均」だけで期待値が出る。本解と同じ答えだ。

ポイント

  • 最大値の確率は『 以下』『 以下』の差でとらえる
  • 確率の合計が1になることで、確認できる

よくある間違い

  • 「最大値 」を「少なくとも一方が 」と数え、両方が の場合を重複させる。
  • 「 以下」を 個ぶんの で計算し、 個ぶんの 乗にし忘れる。
  • 期待値を で重みづけせず、目の値 から を単純平均して にする。

問6当たりを引くまでの回数の期待値

★★★ 応用期待値非復元

問題

当たりくじ2本、はずれくじ3本の合計5本のくじがある。当たりを1本引くまで、1本ずつくじを引き続ける(引いたくじはもとに戻さない)。引く回数の期待値を求めよ。

ヒントを見る

非復元なので、 の確率を順にかけ算で出す(当たり2本なので の最大に注意)。それぞれに回数をかけて足すと期待値。

解答・解説

方針

引く回数 は、最初の当たりが何本目に出るかで決まる。 となる確率は『最初の 本がすべてはずれ、 本目が当たり』。戻さない(非復元)ので、確率は毎回変わる。

の各確率を求めて を計算する。はずれは3本しかないので、遅くとも4本目までには必ず当たる()。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 回数 の期待値を出すには、まず の確率がいる。

は「最初の 本が全部はずれ、 本目が当たり」だ。これを乗法定理で順に作り、表にする。有限本のくじだから、場合は つで尽きる。

「確率分布の表を完成させてから期待値」。この手順を崩さないことが、確実さにつながる。引く回数 は、最初の当たりが出る場所だ。戻さないので、確率を順に計算する。

(はずれは3本しかないので、4本目までには必ず当たりが出る。 はありえない。)確率の合計は で、確かに確率になっている。

期待値は

まとめ:期待値がちょうど2回になるのは、偶然ではない。当たり 本を含む 本のくじで、最初の当たりまでの回数の期待値は という公式があり、ここでは と合う。戻さないときは、確率が毎回変わることをていねいに追うのがポイントだ。

発展。 もし引いたくじを毎回もとに戻すと、当たりの確率は毎回 で一定になり、初めて当たるまでの回数は幾何分布になる。その期待値は 回だ。

戻さない今回は 回で、戻すより少ない。当たりを引かない限りはずれが減っていくので、後半ほど当たりやすくなり、早く当たるからだ。

一般に、当たり 本・全 本なら、戻さないとき期待値は 、戻すとき 。 より、前者のほうがつねに小さい(か等しい)。

答

2回

別解

別解:「はずれ 本ずつ」に注目する(得意な人向けの対称性の視点)。 くじ 本を無作為に 列に並べ、左から引くと考える。引く回数 は最初の当たりの位置だ。

を「(最初の当たりより前にあるはずれの本数)」と書く。そこで、はずれ 本ずつに注目する。

あるはずれ 本と、当たり 本の計 本だけを見る。この 本の並び順で、そのはずれが「 本の当たりより前」に来る確率は、どれが先頭かが等確率だから 。はずれは 本ある。最初の当たりより前に来るはずれの本数の期待値は 。よって

分布の表を作らなくても、はずれ 本ごとの寄与を足すだけで期待値が出る。本解と同じ答えになる。

ポイント

  • 戻さないときは、確率が毎回変わる(分母・当たり数を減らす)
  • は『 本はずれ、 本目当たり』
  • 確率の合計が1になることで確認(最初の当たりまでの期待値 )

よくある間違い

  • 各回の当たる確率を で一定として、戻さないのに毎回同じ確率で計算する。
  • まであると誤る(はずれは 本なので遅くとも 本目で当たり、)。
  • で 本目に当たりを引く因子を落とし、はずれが続く確率だけを答えにする。

問73個のサイコロの最大値

★★★ 応用確率の定義最大値

問題

3個のサイコロを同時に投げる。出た目の最大値がちょうど 4 である確率を求めよ。

ヒントを見る

『最大値がちょうど4』=『3個とも4以下』−『3個とも3以下』。それぞれ独立なのでかけ算で確率を出し、差をとる。

解答・解説

方針

『最大値がちょうど4』を直接数えるのは難しいが、『最大値が4以下』と『最大値が3以下』の差でとらえると、ずっとラクになる。

最大値が4以下 ⇔ 3個とも4以下、最大値が3以下 ⇔ 3個とも3以下。この2つはどちらも、各サイコロが別々に条件を満たすので簡単に計算できる。その差が『ちょうど4』だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「最大値がちょうど 」は、「全部 以下」から「全部 以下」を引いた差だ。

個のサイコロで使った差分の発想を、そのまま 個で使う。「ちょうど」を「以下の差」に置き換える考え方が、身についているかを試す問題だ。

重要最大値がちょうど = (すべて 以下)−(すべて 以下)

『最大値がちょうど4』を、『最大値が4以下』から『最大値が3以下』を引く形でとらえる。『最大値が4以下』は、3個のサイコロがすべて4以下( のどれか)の場合だから

『最大値が3以下』は、3個ともすべて3以下()の場合で

『最大値がちょうど4』は、4以下ではあるが3以下ではない(=少なくとも1個は4)場合なので、差をとって

まとめ:『ちょうど 』を『 以下 以下』の差にする考えは、最大値・最小値の確率を扱うときにいつでも使える。直接『少なくとも1個が4で、残りは4以下』と数えると重複が出やすいが、差でとらえれば重複の心配がない。

発展。 「以下の差」は累積分布の差で確率を取り出す操作だ。 個のサイコロなら、最大値がちょうど になる確率は と書ける。

この形のうまさは、 から まで足すと途中が次々に消えて( と が打ち消し合って)、 になることだ。確率の合計が になることが、式の上で自動的に保証される。

標本の最大値・最小値・中央値などの分布(順序統計量)は、どれもこの「累積で読み替えて差をとる」手法で系統的に求められる。

答

別解

別解: の個数で場合分けして直接数える(苦手な人向けの数え上げ)。 「最大値がちょうど 」は、「 を少なくとも 個含み、残りは 以下」だ。重複を出さないため、 がちょうど何個かで排反に分ける。

  • がちょうど 個: 通り。
  • がちょうど 個: どの 個が かで 通り、残り 個は の 通りで 通り。
  • がちょうど 個: どの 個が かで 通り、残り 個は の 通りで 通り。

合わせて 通り。全体は 通りだから

「以下の差」を使わなくても、 の個数で排反に分ければ重複なく数えられる。本解と同じ答えだ。

ポイント

  • 最大値ちょうど = (最大値 以下) − (最大値 以下)
  • 最大値が 以下 ⇔ 全部が 以下
  • 差でとらえると、重複なく数えられる

よくある間違い

  • 「少なくとも 個が 」と「残りは 以下」を掛けて、 が複数個の場合を重複して数える。
  • 「 以下」の から「 以下」の を引き忘れ、 のまま答える。
  • 「ちょうど 」を「 以上」と取り違え、最大値が の場合まで含めてしまう。

問8初めて成功するまでの回数の期待値

★★★ 応用期待値反復試行

問題

1個のサイコロを、1の目が出るまで繰り返し投げる。投げる回数の期待値を求めよ。

ヒントを見る

『ちょうど 回目に初成功』=『 回失敗して 回目成功』。この確率に をかけて足すと期待値になる。無限和になるが、等比の和の技(または幾何分布の )で計算できる。

解答・解説

方針

投げる回数 は と無限に続きうる。 となる確率は『 回は1以外、 回目に1』で (幾何分布)。期待値 は無限級数になるが、うまい変形(または公式 )で求まる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は無限に続きうる。有限の表は作れない。

代わりに、 が等比の形になることを利用して、無限級数の和をとる。「構造が毎回同じなら等比になり、級数の和はずらして引く」。この道具立てを最初に予告してから計算に入るのが設計だ。

公式初めて成功するまで(幾何分布): 回目に初成功

1が出る確率は 。 回目に初めて1が出るのは『最初の 回は1以外(確率 )、 回目に1』なので

期待値は

この無限級数を求める。 とおくと

という公式(または のずらし算)を使うと

まとめ:結局、幾何分布の期待値は 回だ。『確率 のことは、平均6回に1度起こる』という感覚どおりの結果。初めて成功するまでの回数の期待値は成功確率の逆数、と覚えておくと速い。

発展。 幾何分布の期待値は だが、ばらつきは意外に大きい。分散は で、 なら 、標準偏差は になる。

平均が 回なのに、標準偏差が約 回もある。「平均 回で出る」といっても、 回目で出ることも、 回投げて出ないこともざらだ、というくらい待ち時間は不確実だ。

期待値だけでなく分散まで見ると、「 の出来事は平均 回に一度」という言い方が、どれくらいの幅を持つのかまで分かる。

答

6回

別解

別解:「 回以上かかる確率」を足す(得意な人向けの高い視点)。 値が 以上の整数である回数の期待値には、次の公式がある。

「」は「最初の 回がすべて 以外」ということだから

これを足すと、ただの等比級数になる。

という等差 等比の和(本解)を、 に置き換えると、公比 のふつうの等比級数だけで済む。本解と同じ答えになる。

ポイント

  • 初めて成功するまでの回数は幾何分布
  • その期待値は (成功確率の逆数)
  • 無限級数 を使う

よくある間違い

  • 有限回で打ち切って計算し、無限に続く の和を扱えない。
  • 期待値を成功確率 そのものと取り違える(正しくは逆数の )。
  • の「最初の 回は失敗」の指数を とし、 とずらして書く。