数学A / 確率

確率 ★ 基礎の問題 全12問

教科書レベル。定義・公式の確認と基本操作

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 2個のサイコロの確率
  2. 玉を同時に取り出す確率
  3. 和事象・排反事象の確率
  4. 余事象の確率(少なくとも)
  5. カードを3枚選ぶ確率
  6. 独立な試行の確率(くじ)
  7. 反復試行の確率(サイコロ)
  8. 反復試行の確率(コイン)
  9. 条件付き確率(基本)
  10. くじ引きと乗法定理(非復元)
  11. 期待値の計算(賞金)
  12. 点の移動の確率

問12個のサイコロの確率

★ 基礎確率の定義サイコロ

問題

大小2個のサイコロを同時に投げる。

(1) 出た目の和が 7 になる確率を求めよ。

(2) 出た目の積が偶数になる確率を求めよ。

ヒントを見る

全体は 通り(大小を区別)。(1)和が になる目の組を数える。(2)『積が偶数』は数えにくいので、反対の『積が奇数』(=両方奇数)を数えて全体から引くと速い。

解答・解説

方針

確率は「(あてはまる場合の数)÷(全部の場合の数)」で求める。まず確かめたいのは、全部の出方が同じくらい起こるか(同様に確からしいか)。2個のサイコロは、大小を区別すると 通りが同じくらい起こる。

(2)の『積が偶数』は正面から数えると多いので、反対の『積が奇数』を数えて1から引くとラクだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 確率の第一歩は、「同じくらい起こりそうなもの」で全体を数えることだ。

大小 個のサイコロなら、 の組が 通り。この 通りはどれも同じ確率で起こる。

ここで「大小を区別しない」と 通りになるが、それはまずい。 と では起こりやすさが違う(前者は大小の入れかわりで 通りぶんある)からだ。確率では、区別できるものは全部区別して数える。

(1)は和が になる組を数えるだけ。(2)の「積が偶数」は数えにくい。反対の「積が奇数( 両方とも奇数)」のほうが数えやすい。こういうときは余事象を使う。

大小2個のサイコロ(6×6=36通り)。和が7になる6マスに●
公式確率 (すべて同じ確からしさのとき)

大小を区別すると、目の出方は 通り。これらは同じくらい起こる。

(1) 和が7になるのは の6通り(図のななめ一列のマス)。

(2) 積が偶数になる場合を直接数えると多い。そこで反対の『積が奇数』を考える。積が奇数になるのは、2個とも奇数の目()のときで、 通り。だから

まとめ:『積が偶数』は『少なくとも一方が偶数』と同じこと。「少なくとも」が出てきたら、反対を数えて1から引く、と考えるとうまくいくことが多い。正面から「偶数×奇数、奇数×偶数、偶数×偶数」と分けても 通りで同じ答えになるが、反対を数えるほうが手間が少ない。

発展。 個のサイコロの和の分布を、表から読み取ってみよう。斜めの線の長さを数えるだけだ。

和
通り

合計は 。 を頂点とする、きれいな山型になる。 個のサイコロなら つの目が平らに並ぶのに、 個足しただけで山ができるのだ。

サイコロを 個、 個 と増やすと、この山はどんどんなめらかな釣鐘型に近づいていく。これが中心極限定理という、統計学で最も重要な定理の姿である(数Bの正規分布につながる)。

「たくさん足すと、釣鐘型になる」 と言える。身長の分布も、測定誤差も、テストの点も釣鐘型になりやすいのは、たくさんの小さな要因が足し合わさっているからだ。 個のサイコロの三角形の山はその最初の一歩である。

答

(1) (2)

別解

個のサイコロの問題は、 の表(マス目)を描くと、ほぼすべてが目で見て解ける。表を 枚描く手間を惜しまないこと。

縦に大サイコロの目(〜)、横に小サイコロの目(〜)をとる。 個のマスができ、マス つが 通り。どのマスも確率 で、面積の割合がそのまま確率になる。

(1) 和が のマスは、。表の上では右上がりの対角線にきれいに並ぶ。

同じ和のマスが斜めの線に並ぶのがこの表の見どころだ。和 は マス( 通り)、和 は マス、和 は マス。和 がいちばん長い対角線になる。だから 個のサイコロでは が最も出やすい。すごろくの盤面を設計するときにも使える事実である。

(2) 積が偶数のマスを直接数えるのは大変だ。そこで反対を見る。

積が奇数になるのは、大も小も奇数()のときだけ。表の上では、奇数の行と奇数の列が交わる部分に、 マスの小さな正方形がぽつんと浮かんで見える。

残りが全部「積が偶数」だから

「奇数 奇数 奇数」以外は全部偶数だ。この一点に気づけば、 個のマスを数える必要はない。

なぜ直接数えると危ないのか。 「大が偶数」( マス)と「小が偶数」( マス)を足して とやると、両方偶数の マスを二重に数えてしまう。正しくは 。「または」を足すときは重なりに注意する。個数定理と同じ間違いが、確率でも起こりうる。

大小を区別しない 通りで計算するとどうなるか。 和が になるのは の 通りだから となり、正しい と違ってしまう。 通りの中に、起こりやすさが 倍のもの( 型)と等倍のもの( 型)が混ざっているからだ。確率の分母は必ず「同じ確率で起こるもの」で揃える。

ポイント

  • 確率 = (あてはまる場合の数) ÷ (全部の場合の数)
  • 2個のサイコロは大小を区別して 通り(同じくらい起こる)
  • 「少なくとも」「〜が偶数」は、反対を数えて がラク

よくある間違い

  • 大小を区別せず、全体を 通りとしてしまう(同じくらい起こらない)
  • (2)を『偶数の目 × 何か』と数えて、同じものを重複させる
  • (2)で「積が偶数」の反対を「積が偶数でない」でなく「両方偶数でない」と取り違える(反対は『両方とも奇数』)

問2玉を同時に取り出す確率

★ 基礎確率の定義組合せ

問題

赤玉4個、白玉3個が入った袋から、同時に2個の玉を取り出す。

(1) 2個とも赤玉である確率を求めよ。

(2) 赤玉と白玉が1個ずつである確率を求めよ。

ヒントを見る

同時に取り出す=順番なし(組合せ)。全体は 個から 個の選び方。(1)は赤から2個、(2)は赤から1個・白から1個(かけ算)。

解答・解説

方針

「同時に取り出す」ので順番は関係ない。だから組合せで数える。ここでは、同じ色の玉も1個ずつ区別して数えることが大事だ。区別しないと、それぞれの取り出し方が同じくらい起こる、と言えなくなってしまう。

全体は7個から2個の取り出し方 。あてはまる場合も組合せで数えて割る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「同時に 個取り出す」ので、順番は関係ない。だから組合せで数える。

注意するのは玉の区別だ。赤玉 個は見た目が同じでも、確率では 個ずつ別のものとして数える。赤玉に番号を振って と思えばいい。

なぜか。どの玉も同じ確率でつままれるからだ。「赤玉」とひとまとめにすると、 個のかたまりと 個のかたまりを同列に扱うことになり、確率が狂う。

この 通りはどれも同じ確率。あとは条件に合うものを数えて割るだけである。赤玉4個、白玉3個を、すべて別のものとして区別する。2個の取り出し方は全部で

(1) 2個とも赤なのは、赤4個から2個を選ぶ場合で 通り。

(2) 赤白1個ずつは、赤4個から1個()と白3個から1個()をかけて 通り。

(確かめ: 残る『2個とも白』は 通りで 。 になり、これで全部の場合を数えたことになる。)

発展。 「袋から玉を取り出し、もとに戻さない」という設定の確率分布を超幾何分布という。品質検査の抜き取り検査、ロトくじの当選確率、生態学の標識再捕獲法(池の魚の数を推定する)など、現実の応用は広い。

対照的に、取り出した玉をもとに戻すなら、毎回同じ確率で引けるので二項分布(反復試行)になる。

ここがこの問題の特徴だ。玉の総数がとても多いと、 個取り出しても割合はほとんど変わらない。 個中の 個は大きいが、 個中の 個は誤差のようなものだ。だから母集団が大きいとき、超幾何分布は二項分布で近似できる。

世論調査で 億人から 人を選ぶとき、「戻す・戻さない」を気にしないのはこのためである。「 個取ったら残りが減る」という厄介な事実が、大きな集団では無視できる。統計調査が役に立つのは、このためだ。

答

(1) (2)

別解

「同時に 個」を、「 個ずつ順に取り出す」と読みかえて解いてみよう。同時に取るのと、順に取るのとで、確率は変わらない。この事実の確認がそのまま検算になる。

(1) 個とも赤玉。

個目が赤玉である確率は、 個中 個が赤だから

個目が赤だったとして、袋には 個(うち赤 個)が残っている。 個目も赤である確率は

掛け合わせて

組合せで出した答えと一致した。

(2) 赤と白が 個ずつ。

こちらは順番が 通りあることに注意。

  • 赤 → 白の順:
  • 白 → 赤の順:

「同時に取り出す」場合、この つはどちらも「赤 個と白 個」という同じ結果だ。だから足す。

こちらも一致。

この 通りの数え方が確率の「かけ算」と「たし算」の使い分けそのものである。 つの流れの中で連続して起こることは掛け、別々の流れは足す。

さらに、全体で検算しよう。 個の玉の色は「赤 個」「赤 白 」「白 個」の 通りしかない。白 個の確率は

つを足すと

ぴったり になった。確率の問題では起こりうる場合を全部足すと になる。この検算を習慣にすると、数え落としがその場で見つかる。答えを出したら、必ず「全部足して か?」と問う。

ポイント

  • 「同時に取り出す」は組合せで数える(順番を区別しない)
  • 同じ色の玉も1個ずつ区別して、同じくらい起こるようにする
  • 3つの場合の確率をたして1になれば、数え漏れがない

よくある間違い

  • 同じ色の玉を区別せず、場合の数を間違える
  • (2)を組合せでなく順列で数えて、分母 と合わなくなる
  • 逐次で解くとき、2個目の分母を7のままにする(1個取ったら残りは6個)

問3和事象・排反事象の確率

★ 基礎和事象排反

問題

1 から 10 までの番号が書かれた10枚のカードから1枚を引く。

(1) 偶数または3の倍数のカードを引く確率を求めよ。

(2) 3 以下または 8 以上のカードを引く確率を求めよ。

ヒントを見る

(1)『偶数』と『 の倍数』は重なり()があるので、重なりを1回引く。(2)『 以下』と『 以上』は同時には起きない(排反)ので、そのまま足せる。重なるかどうかを先に確認。

解答・解説

方針

「AまたはB」の確率は、 で求める。足して、重なりを引く形だ。ただし、AとBが同時に起きない(排反)なら、重なりがないので引き算はいらず、そのまま足すだけでよい。

(1)は共通部分がある(6は偶数かつ3の倍数)ので引き算が必要。(2)は共通部分がない(排反)ので足すだけ。この違いを見抜くのがねらいだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「または」の確率は、重なりがあるかないかで式が変わる。

重なりを引く。これは場合の数の個数定理と同じ形だ。(1)の「偶数」と「 の倍数」は、 が両方に入っている。だから重なりを引かないと を二重に数えてしまう。

(2)の「 以下」と「 以上」は、同時には起こりえない(そんなカードはない)。こういうのを排反という。排反なら重なりは なので、そのまま足せる。

まず「重なりはあるか?」と問う。これが「または」の問題の第一手である。

公式和事象 (重なりを引く)

(1) 偶数のカードは の5枚、3の倍数は の3枚。両方に入るのは6の1枚。足して重なりを引くと

6を2回数えないよう、共通の を引くのがポイント。

(2) 『3以下』は の3枚、『8以上』は の3枚。この2つは同時に起きない(共通のカードがない)ので排反だ。排反なら重なりがないので、そのまま足す。

A(偶数)B(3の倍数)U(1〜10)4123
1〜10:偶数5・3の倍数3・6の倍数1。または=5+3−1=7 → 確率 7/10

まとめ:『または』を見たら、まず「2つが同時に起こることがあるか」を確かめよう。あるなら重なりを引く、ない(排反)なら足すだけ、と手順が分かれる。

発展。 「排反」と「独立」は、名前が似ているうえに両方とも つの事象の関係を表すので、混同されやすい。まったく別の概念である。

  • 排反: 同時には起こらない。。 枚のカードが「 以下」かつ「 以上」ということはない
  • 独立: 一方が起きても他方の確率が変わらない。。サイコロを 回振るとき、 回目の結果は 回目に影響しない

むしろ排反な 事象(どちらも確率が正)は、決して独立ではない。 が起きたと分かった瞬間、 の確率は に落ちる。これ以上ないほど強く影響しているからだ。

「排反 足す」「独立 掛ける」 と覚えておくとよい。 つの用語は確率の 大演算(和と積)に対応している。

形の似た つの式がまるで違う状況を表している。用語の定義に立ち返って区別する。確率で混乱しないためには、これがいちばん確実だ。

答

(1) (2)

別解

カードが 枚しかないのだから、公式を使わず、該当するカードを指さして数えるのがいちばん確実だ。そのうえで「余事象で数えるほうが速い場合」も見ておこう。

(1) 直接、書き出す。

偶数()と の倍数()に印をつけると、印のついたカードは

に印を 回つけても、カードは 枚。これが「重なりを引く」ということの意味だ。 ではなく になる理由が、目で見える。

余事象でも数えてみる。 印がついていないカードは

枚数えるだけで済んだ。「偶数でも の倍数でもない数」は と、 以上の素数のうち である。数が少ないので、こちらのほうが速い。

(2) こちらも書き出す。

以下が 枚、 以上が 枚。両方に入るカードは 枚もない(数直線の左端と右端で、離れている)。

排反とは「同時には起こらない」ということ。 数直線に描けば、 つの範囲が離れているのが一目で分かる。逆に(1)の「偶数」と「 の倍数」は、 という共通の住人がいるから排反ではない。

判定の一手。「両方に当てはまるものを、 つでも挙げられるか?」 挙げられれば重なりあり(引く)、挙げられなければ排反(そのまま足す)。具体例を つ探すのが、抽象的な判定より速くて確実である。

ポイント

  • 排反(同時に起きない)なら で、そのまま足す
  • 「または」は、まず共通部分があるか確かめる

よくある間違い

  • (1)で共通の6を引き忘れ、 としてしまう
  • 排反かどうか確かめず、いつも引く(または、いつも足す)
  • 「排反」と「独立」を混同する(排反は同時に起こらない、独立は互いに影響しない。別の概念)

問4余事象の確率(少なくとも)

★ 基礎余事象サイコロ

問題

1個のサイコロを3回投げる。少なくとも1回は6の目が出る確率を求めよ。

ヒントを見る

『少なくとも1回』は場合が多くて数えにくい。反対の『1回も出ない(=3回とも6以外)』を求めて、全体()から引く。各回が独立なのでかけ算。

解答・解説

方針

「少なくとも1回」は反対を数える合図だ。正面から『1回だけ6』『2回6』『3回6』と分けると面倒。でも反対の『1回も6が出ない(3回とも6以外)』なら、すぐに計算できる。全体の確率1から、この反対の確率を引けばよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「少なくとも 回」を見たら、反対を考える。 これは確率の合言葉だ。

「少なくとも 回は が出る」を直接数えると、 がちょうど 回・ 回・ 回の 通りに場合分けが必要になる。面倒だし、数え落としやすい。ところが反対(余事象)は、 通りしかない。

回も が出ないのは、 回とも「 以外」が出るということ。 回あたり で、それが 回続くから 。

「少なくとも」の反対は「 つも ない」。 ここを取り違えないこと。

公式余事象 (「少なくとも」は反対を数えると速い)

「少なくとも1回は6」の反対は、「1回も6が出ない = 3回とも6以外の目」だ。1回で6以外が出る確率は 。3回とも6以外になる確率は、各回が別々に起こる(独立)ので、かけ合わせて

だから求める確率は

もし正面から数えると、『ちょうど1回6』 などを3つ足すことになって大変だ。『少なくとも1つ』を見たら、まず反対の『1つもない』を計算できないか考えよう。

発展。 回投げて「少なくとも 回は が出る」確率は

は を増やすとどんどん に近づくので、この確率は に限りなく近づく(数IIIの極限)。「投げ続ければ、いつかは が出る」という直感と一致する。

しかし決して にはならない。 回投げても の確率で、 が 度も出ないことがありうる。 億分の 程度だが、 ではないのだ。

この「 に近づくが、 ではない」という感覚は、確率を扱ううえで大事である。めったに起こらないことは、起こらないことと同じではない。 事故も、大当たりも、確率が小さいだけで、試行回数が増えれば必ずどこかで起こる。

回あたり の事故を、 回繰り返したとき無事故で済む確率は

分の 程度しかない。「 なんて小さい」と侮ると見誤る。リスク管理の基本がこの単純な計算に詰まっている。

答

別解

あえて正面から数えて、余事象を使う利点を確かめる。 そして「なぜ余事象がこれほど強いのか」を理解する。正面ルート: が出る回数で場合分けする。

回のうち が出る回数は 回、 回、 回のどれか。それぞれの確率を出す。

がちょうど 回: どの回に出るかで 通り。その回が 、他の 回は 以外で 。

がちょうど 回: どの 回かで 通り。

が 回:

この つは排反(同時には起こらない)なので、足す。

余事象と同じ答え。ただし、手間は 倍以上かかった。

なぜ余事象が強いのか。 「少なくとも 回」の反対は、 つの場合(全部はずれ)だけになる。一方、正面から行くと 回・ 回・ 回と場合が枝分かれする。

回投げなら 通りの場合分けで済むが、 回投げたらどうなるか。 正面ルートは 通りの場合分けが必要になる。しかし余事象なら

このように、回数が増えても、式の形はまったく変わらない。余事象を使うと、これだけ計算が短くなる。

「少なくとも つ」型の問題は、余事象がほぼ常に正解ルートである。反対側の場合が 本道になるからだ。

ついでに つ、確かめておく。 「何回投げれば、 が少なくとも 回出る確率が を超えるか?」

回投げれば、 が出るほうに賭けたほうが得になる。ちなみに「サイコロを 回投げれば が 回は出るだろう」と思いがちだが、実際は だ。つまり、 回に 回は、 回投げても が出ない。直感は確率をしばしば見誤る。

ポイント

  • 「少なくとも1回〜」→ 反対の「1回も〜ない」を計算して1から引く
  • 反対はかけ算の形になりやすく、すぐに計算できる
  • 各回が別々に起こるなら のように確率をかける

よくある間違い

  • 『少なくとも1回』を『ちょうど1回』と混同する
  • 反対を使わず場合分けして、足し忘れや重複が起きる
  • 余事象を (3回とも6)と取り違える(反対は『1度も6が出ない』)

問5カードを3枚選ぶ確率

★ 基礎確率の定義余事象

問題

1 から 9 までの番号が書かれた9枚のカードから、同時に3枚を選ぶ。

(1) 3枚とも奇数である確率を求めよ。

(2) 少なくとも1枚は偶数である確率を求めよ。

ヒントを見る

全体は 枚から 枚。(1)は奇数だけから3枚選ぶ。(2)『少なくとも1枚偶数』は反対の『3枚とも奇数』=(1)を から引くと速い。

解答・解説

方針

奇数は の5枚、偶数は の4枚。(1)は奇数だけから3枚選ぶ組合せ。

(2)の『少なくとも1枚偶数』は、反対が『1枚も偶数でない = 3枚とも奇数』、つまり(1)そのものだ。だから ですぐ求まる。(1)と(2)が反対どうしの関係だと気づくと、計算が大きく減る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 枚から 枚を選ぶ。順番は関係ないので組合せだ。

から のうち奇数は の 個、偶数は の 個。まずこれを確認しておく。(1)は「 枚とも奇数」なので、奇数 個から 個選ぶだけだ。

(2)の「少なくとも 枚は偶数」は、反対を考えるのが定跡。反対は「偶数が 枚もない 枚とも奇数」で、これは(1)そのものだ。

(1)を計算した瞬間に、(2)はもう解けている。 問題の作りに気づけるかが分かれ目である。

9枚から3枚を選ぶ方法は 通り。奇数は5枚、偶数は4枚ある。

(1) 3枚とも奇数なのは、奇数5枚から3枚を選ぶ場合で 通り。

(2) 「少なくとも1枚は偶数」の反対は「1枚も偶数でない = 3枚とも奇数」で、これは(1)で求めた確率そのものだ。だから

(1)を計算した時点で、(2)の反対がもう手元にある、という形だ。『少なくとも1枚◯◯』と『1枚も◯◯でない(全部△△)』は必ず反対どうしになるので、セットで考えるとラクだ。

発展。 (1)の答え は、直感より小さいと感じないだろうか。「奇数のほうが 個多いのに、 枚とも奇数になるのは 回に 回程度」である。

理由は、引くたびに奇数が減っていくからである。 枚目は と有利だが、 枚目は 、 枚目は と、回を追うごとに不利になる。連続して成功し続けるのは、思ったより難しい。

この「掛け算で目減りしていく」感覚は、確率を扱ううえで欠かせない。 各回の確率が 前後でも、 回連続なら 、 回連続なら 程度になる。

「 つ つは五分五分なのだから、全部うまくいくだろう」という楽観が、計画を狂わせる。 つの工程がそれぞれ の確率で成功するプロジェクトでも、全部成功する確率は 。 割はどこかでつまずくのだ。

確率は掛け算で減る。 単純だが、直感が最も裏切られる場所である。

答

(1) (2)

別解

つの別ルートを見せる。ひとつは「 枚ずつ引く」という見方、もうひとつは(2)を正面から数える検算だ。別ルート1: (1)を「 枚ずつ引く」と考える。

「同時に 枚」を「 枚ずつ 回引く」と読みかえても、確率は同じである。

  • 枚目が奇数: 枚中 枚が奇数だから
  • 枚目も奇数: 残り 枚中、奇数は 枚 →
  • 枚目も奇数: 残り 枚中、奇数は 枚 →

組合せで出した と一致。分子の と分母の は、 と である。組合せの式を約分する前の形が現れている。

別ルート2: (2)を正面から数える(検算)。「少なくとも 枚は偶数」を、偶数の枚数で場合分けして直接足してみる。

  • 偶数 枚・奇数 枚:
  • 偶数 枚・奇数 枚:
  • 偶数 枚:

余事象で出した と一致した。

しかし、手間を比べてほしい。 余事象なら の引き算 回。正面からだと つの場合を数えて足すことになる。答えは同じでも、時間と、間違える危険はまるで違う。

さらに、この つの方法は互いの検算として役に立つ。 枚の内訳は「奇数 枚」「偶数 枚」「偶数 枚」「偶数 枚」の 通りしかない。全部足すと

ぴったり 。場合を全部数え上げたら、確率の合計は必ず になる。この確認をすれば、数え落としも重複もすぐに見つかる。

ポイント

  • 同時に選ぶ確率は組合せ で数える
  • 「少なくとも1枚は偶数」の反対は「3枚とも奇数」
  • 反対を先に計算しておくと、二度手間が省ける

よくある間違い

  • (2)を『偶数がちょうど1枚』の場合だけで計算してしまう
  • 反対に気づかず、偶数1枚・2枚・3枚を別々に足して手間取る
  • 奇数が5個・偶数が4個であることを取り違える(1〜9では奇数のほうが1個多い)

問6独立な試行の確率(くじ)

★ 基礎独立試行

問題

当たりくじを引く確率が の袋 A と、当たりくじを引く確率が の袋 B がある。A, B からそれぞれ1本ずつくじを引く。

(1) 両方とも当たる確率を求めよ。

(2) 少なくとも一方が当たる確率を求めよ。

ヒントを見る

と は互いに影響しない(独立)。(1)両方当たりはそれぞれの当たる確率をかける。(2)『少なくとも一方』は反対の『両方はずれ』を から引く。

解答・解説

方針

袋Aを引くことと袋Bを引くことは、おたがいに影響しない(独立)。独立な2つが両方起こる確率は、それぞれの確率をかければよい。(1)は『両方当たる』のかけ算。(2)の『少なくとも一方』は反対の『両方はずれる』を使うとラクだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 袋 と袋 は別々の袋だ。 で当たろうがはずれようが、 の当たる確率 は変わらない。

互いに影響しないことを、独立という。独立な試行が両方起こる確率は、掛ければよい。

(2)の「少なくとも一方」は反対を考える。反対は「両方ともはずれ」で、これは つの場合だけだ。

「少なくとも」を見たら余事象。 サイコロのときと、まったく同じ合言葉である。 と足すのは誤りだ。それでは「両方当たる」場合を二重に数えてしまう。

公式独立な試行:(たがいに影響しないときだけ)

袋Aと袋Bは独立だ(一方の結果がもう一方に影響しない)。Aが当たる確率は 、はずれる確率は 。Bが当たる確率は 、はずれる確率は 。

(1) 両方とも当たるのは、独立な2つが同時に起こる場合なので、確率をかけて

(2) 「少なくとも一方が当たる」の反対は「両方ともはずれる」だ。両方はずれる確率は

だから求める確率は

まとめ:『少なくとも一方』を『当たり×はずれ』『はずれ×当たり』『当たり×当たり』の3つに分けて足しても同じだが、反対の『両方はずれ』は1回のかけ算で済む。独立 + 少なくとも、の組合せは反対を使うのが基本だ。

発展。 「独立だから掛ける」という一言を、もう少し正確に見ておきたい。

独立とは、 の結果を知っても の確率が変わらないことである。式で書けば

( は「 が起きたとき が起きる確率」。次に学ぶ条件付き確率だ。)これと乗法定理 を合わせると

独立のときだけ、単純な掛け算が許される。

では独立でない場合は? たとえば同じ袋から 本続けて引くとき、 本目に当たりが出れば、 本目の当たる確率は下がる。このときは で、掛け算の相手が変わる。これが次に学ぶ「くじ引きの非復元」の話だ。

「別々の袋か、同じ袋か」 という違いだけで、使う公式が変わる。問題文の設定を読むとき、 つの試行が互いに影響し合うかどうかを、必ず確かめる。 確率の公式選びはここで決まる。

答

(1) (2)

別解

起こりうる場合を全部書き出して、表にする。 つの袋なら 通りしかない。この表を作れば、どんな問われ方をされても答えられる。

が当たる確率は 、はずれる確率は 。 が当たる確率は 、はずれる確率は 。独立だから、 つのマスはすべて掛け算で出る。

当たり() はずれ()
当たり()
はずれ()

まず検算。 つのマスを全部足すと

ぴったり 。表が正しく埋まっている証拠だ。

(1) 両方当たるは、左上のマスをそのまま読む。

(2) 少なくとも一方が当たるは、右下(両方はずれ)以外の マスを足す。

余事象で出した答えと一致。 から右下の を引いても同じになる。これが「余事象で解く」ということの、表の上での意味である。

なぜ が誤りなのか、表を見れば一目瞭然だ。 「 が当たる」は上の行()、「 が当たる」は左の列()。この つを足すと、左上のマス()を 回数えてしまう。

重なりを引けば、確かに合う。これが の意味だ。

表を描けば、足し算・引き算・掛け算の関係がすべて見える。 事象の確率で迷ったら、 マスの表に戻ればよい。

ポイント

  • 独立な2つが両方起こる確率は、それぞれの確率のかけ算
  • 「少なくとも一方」→ 反対の「両方とも起こらない」
  • 当たり・はずれの確率を、最初に整理しておく

よくある間違い

  • 独立でない試行(戻さない抽選など)にまで、かけ算の公式を使ってしまう
  • (2)を と、そのまま足してしまう
  • はずれの確率を から引き忘れる( のはずれは 、 は )

問7反復試行の確率(サイコロ)

★ 基礎反復試行

問題

1個のサイコロを4回投げる。1の目がちょうど2回出る確率を求めよ。

ヒントを見る

同じ試行のくり返しで『ちょうど2回成功』。使うのは『4回のうちどの2回で出るか』の選び方 × 出る確率 × 出ない確率。どの回で成功するかの組合せを忘れずに。

解答・解説

方針

同じことを何回か繰り返して『ちょうど◯回成功』を求めるのが、反復試行だ。公式は 。この は「どの回に成功が来るか」の選び方で、これをかけ忘れるのが最も多いミスだ。1の目を『成功』()とみて、4回中2回成功する確率を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 同じことを何回も繰り返し、「そのうち何回成功するか」を問う。このような試行を反復試行という。

の目が出る( 成功)確率は 、出ない( 失敗)確率は 。 回のうち、成功が 回・失敗が 回になればよい。必要なのは つの部品だ。

部品1: つの並びの確率。 たとえば「成功・成功・失敗・失敗」なら 。どんな順番でも、掛ける中身は同じなので、確率はすべて等しい。

部品2: 並びが何通りあるか。 回のうちどの 回が成功かは、 通りある。

を掛け忘れるのが最頻ミス。 「どの回に成功するか」の選び方を、必ず数えること。

公式反復試行: 回中ちょうど 回成功する確率

1の目が出ることを『成功』とすると、1回の成功確率は 、失敗(1以外)は 。4回中ちょうど2回成功する確率は

で求まる。 は「4回のうちどの2回で1が出るか」の選び方だ。計算すると

まとめ: をかけるのは、たとえば「1回目と2回目に1が出る」場合と「1回目と3回目に出る」場合が、別々の起こり方だからだ。この数をかけ忘れて だけにすると、1つの並び順しか数えていないことになる。

発展。 反復試行の公式

が成り立つには、 つの条件が要る。

  • 毎回の確率 が変わらない(サイコロは何回振っても )
  • 各回が独立( 回目の結果が 回目に影響しない)

この条件を外れると、公式は使えない。 たとえば「袋から玉を取り出し、戻さずに続ける」場合、 回目の結果で 回目の確率が変わってしまう(超幾何分布になる)。

現実の問題で「反復試行の公式を使ってよいか」を判断するには、この 条件を毎回チェックするしかない。品質検査、アンケート、医療の治験は、どれも「独立で、確率一定」という仮定の上に成り立っている。

公式を覚えることより、公式が使える条件を覚えることのほうが、ずっと大事だ。 数学の力は正しく使ったときにだけ働く。

答

別解

「 の目がちょうど 回」を、 から まで全部計算して表にする。 これで公式の意味も、検算も、分布の形も、いっぺんに手に入る。すべて分母を に揃えて、分子だけを見る。

が出た回数 並びの数 分子
回
回
回
回
回

まず検算。分子を全部足すと

ぴったり全事象に一致した。 回投げれば の目は 〜 回のどれかなのだから、全部足せば になるのが当然だ。この検算が通れば、各行の計算はまず正しい。

求める答えは の行。

表から読み取れること。

が「 回」がいちばん確率が高い()。 回投げても、半分近くは が 度も出ない。 回出るのは で、 回に 回程度である。「 分の の目が、 回中 回も出る」のはそれなりに珍しい、と数字から分かる。

そして、この表が何を表しているかを見る。 分子の作り方をよく見ると

これは二項定理そのものである。一般に

反復試行の確率は を展開した各項である。 が出てくる理由も、これで分かる。展開したときの係数が「どの回に成功するか」の選び方の数だからである。

この分布を二項分布という。数Bの「統計的な推測」で中心的に扱われ、正規分布(釣鐘型)へとつながっていく。サイコロを 回投げる素朴な問題が、統計学の基本につながっている。

ポイント

  • 反復試行
  • は「どの回に成功するか」の選び方(かけ忘れ注意)
  • 成功 と失敗 を、それぞれ回数分だけ累乗する

よくある間違い

  • をかけ忘れ、 だけにしてしまう
  • 失敗の確率を のままにする(1以外は )
  • 指数を取り違える(成功2回・失敗2回なので、どちらも2乗。回数の合計が4になるか確認する)

問8反復試行の確率(コイン)

★ 基礎反復試行

問題

表と裏が等しい確率で出るコインを5回投げる。表がちょうど3回出る確率を求めよ。

ヒントを見る

『5回中ちょうど3回表』。どの3回で表が出るかの選び方に、表・裏それぞれの確率をかける。表も裏も確率が同じなのが計算を軽くする。

解答・解説

方針

コイン投げも反復試行の代表だ。表が出る確率 、裏も 。5回のうちどの3回で表が出るかが 通りある。反復試行の公式に当てはめて計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) コイン 回で表がちょうど 回、というのは前問と同じ反復試行だ。

ただしコインは表も裏も確率 で対等なので、式がぐっと簡単になる。

成功と失敗の確率が同じなので、掛け算の部分が にまとまる。つまり、表裏の並び 通りはどれも同じ確率 である。あとは「表が 回の並びが何通りあるか」を数えるだけで、 通りだ。

確率が等しいときは、場合の数の問題に戻る。表を『成功』とすると 。5回中ちょうど3回表が出る確率は、反復試行の公式より

表・裏とも確率が なので、 とまとまる。 だから

まとめ:表裏が同じ確率のときは、全部で 通りのうち『表が3回』の並びが 通り、と考えて としても同じだ。反復試行の公式はこの『場合の数 ÷ 全体』を、一般の確率 に広げたものだと思えばよい。

発展。 コインを投げる回数を増やすと、分布の山はどうなるか。

なら 。 なら となり、中央が高く、両端が低い、なめらかな山になっていく。

を大きくしていくと、この山は釣鐘型の曲線(正規分布)に限りなく近づく。これが中心極限定理だ。 回のコイン投げは「表か裏か」の 択なのに、 回足し合わせると、釣鐘型の分布になる。

そして、山はどんどん細くなる。 なら、表の回数が 〜 に入る確率は を超える(割合で言えば 〜)。 なら、割合が 〜 に入る確率が 以上。回数を増やすほど、実際の割合は理論値 に張りついていく。これが大数の法則である。

「たくさん試せば、確率どおりになる」 ということだ。保険や世論調査が成り立つのも、この法則があるからだ。 回のコイン投げは予測できないのに、 万回の集計はかなり正確に予測できる。偶然の中から、必然が立ち上がってくるのである。

答

別解

コインは表裏が対等だから、 通りを全部数えることができる。パスカルの三角形を使えば、書き出さずとも分布が丸ごと手に入る。

表の出る回数ごとに、並びの数を数える。 表を 、裏を として、 回ぶんの並びを分類しよう。

表の回数
並びの数

合計は となり、全事象とぴったり一致する。この は、パスカルの三角形の 段目だ。書き出さなくても、三角形を 段作れば読み取れる。

表が 回の並びは 通りだから

確率が等しいときは、「確率の計算」が「数え上げ」に戻る。このルートの利点はそこにある。

表から読める、もう つの事実。 分布が左右対称になっている()。これは当然で、コインには表裏の区別しかなく、どちらも なのだから、「表 回」と「裏 回( 表 回)」の確率は同じでなければおかしい。

組合せの対称性 が、確率の対称性として現れている。

そしてもう つ。 回投げたとき、いちばん出やすいのは「表 回」か「表 回」で、どちらも 。 ちょうど半々の 回は存在しないので、山の頂上が つに割れているのだ。「表がちょうど半分」が最頻値になるという素直な事実が、 回という奇数のせいで少しひねられている。分布を見ないと気づけない点である。

ポイント

  • コイン投げは の反復試行
  • 表裏が同じ確率なら とも書ける
  • は「どの3回で表が出るか」の選び方

よくある間違い

  • をかけ忘れて とする
  • 「ちょうど3回」を「3回以上」と読み違える
  • を と取り違える(どの3回が表かを選ぶだけなので組合せ)

問9条件付き確率(基本)

★ 基礎条件付き確率

問題

あるクラス40人のうち、男子は24人で、そのうち自転車通学は18人である。女子16人のうち自転車通学は10人である。このクラスから1人を選んだところ、自転車通学の生徒だった。この生徒が男子である確率を求めよ。

ヒントを見る

『自転車通学だった』とわかっている前提での確率。だから母数は全員ではなく『自転車通学の人』。その中で男子が占める割合を出す。

解答・解説

方針

「〜だったとき、…である確率」は条件付き確率だ。条件『自転車通学だった』がつくと、考える範囲(分母)が、クラス全体40人から自転車通学者だけにせまくなる。

このせまくなった中で、男子の割合を求める。まず自転車通学者が全部で何人かを、先に押さえよう。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「自転車通学の生徒だった」と分かってしまった後の確率を聞かれている。

ここが大事なところだ。情報が入ると、考える範囲が狭くなる。

もう 人のクラス全体は関係ない。自転車通学の生徒だけに範囲をしぼって、その中で男子の割合を見ればよい。

  • 自転車通学の生徒: 男子 人 女子 人 人
  • そのうち男子: 人

分母は ではなく 。 「条件がついた」とは「分母が入れかわった」ということだ。考える範囲が縮むのが、条件付き確率の意味である。

公式条件付き確率:条件がつくと分母は全体でなく「条件を満たすものだけ」になる

条件付き確率では、条件がつくと『考える全体』がせまくなる。ここでは『自転車通学だった』という条件がついたので、分母はクラス全体ではなく自転車通学者だけになる。

自転車通学の生徒は男子18人 + 女子10人 = 28人。この28人が新しい『全体』だ。そのうち男子は18人なので、選んだ生徒が男子である確率は

記号で書くと、 を『男子』、 を『自転車通学』として

条件付き確率のコツは「条件がついたら、分母をその条件の中に取りかえる」こと。全体40人で割って とすると、条件『自転車通学』を使えていない。

発展。 つの条件付き確率をつなぐ橋が、ベイズの定理である。

「 のもとでの 」から「 のもとでの 」へ向きを反転させる公式だ。人数の表で言えば、行を見る確率と列を見る確率を行き来する道具になる。この定理が役に立つのは、原因と結果をさかのぼれるからだ。

  • 「病気なら陽性が出やすい」(原因 → 結果)は、医学の知識から分かる
  • 知りたいのは「陽性が出た。では病気か?」(結果 → 原因)

観測から原因を推定する。これがベイズの定理の役割である。迷惑メールの判定(「この単語が出た。ではスパムか?」)、医療診断、機械学習の分類器など、現代の情報技術でもこの定理が使われている。

そして忘れてはならないのが、式の中の 、つまりもともとの割合(事前確率)だ。病気の人が 人に 人しかいないという事実が、 として計算に入ってくる。「めったにないことは、証拠が出てもやはりめったにない」 ということだ。この当たり前のことが数式にきちんと反映されている。

という小さな分数から、ここまで来た。条件付き確率は、確率論の先の内容につながる考え方である。

答

別解

定義の式から出すルートを見ておこう。そして、取り違えると重大な判断の誤りにつながる例を紹介する。

定義式で解く。

それぞれ 人を分母にして計算する。

割り算すると

が約分で消えた。 人数のまま とやったのと、結局は同じ計算である。「分母を付け替える」という直感が、定義式そのものである。

まず、 の表で全体を把握しておく。

自転車 自転車でない 合計
男子
女子
合計

求めたのは「自転車の列( 人)の中で、男子( 人)の割合」。列を つ選んで、その中を見る。表があれば一目瞭然だ。

さて、ここからが本題。逆向きの確率と混同してはいけない。

こちらは「男子の行( 人)の中で、自転車( 人)の割合」。 であって、 とはまったく違う数である。

同じ を、違う分母で割っている。 どちらの集団の中で数えるかで、答えが変わるのだ。

この取り違えは現実に深刻な誤りを生む。 有名な例を挙げよう。

  • ある病気の検査で、病気の人が陽性になる確率は
  • では、陽性だった人が病気である確率も か?

答えは「否」。病気の人がもともと 人に 人しかいないなら、陽性者の大半は「健康なのに誤って陽性になった人」で埋め尽くされる。陽性者が本当に病気である確率は 程度にしかならない、ということが起こる。

条件と結果を入れかえると、確率はまるで変わる。 裁判で「犯人ならこの証拠が残る確率は高い」を「この証拠があるなら犯人である確率は高い」とすり替える誤り(検察官の誤謬と呼ばれる)も、まったく同じ構造だ。

「どちらの集団の中で数えているのか」を、いつも意識する。 条件付き確率はその一点に尽きる。

ポイント

  • 条件付き確率
  • 条件がついたら、分母をその条件の範囲に取りかえる
  • まず条件を満たす全体()の人数を、先に求める

よくある間違い

  • 分母をクラス全体40にして としてしまう
  • 『男子かつ自転車』と『自転車のうち男子』で、分母を取り違える
  • 条件を逆にした確率(男子のうち自転車 )と混同する(条件と結果を入れかえると値が変わる)

問10くじ引きと乗法定理(非復元)

★ 基礎乗法定理くじ引き

問題

当たりくじ3本、はずれくじ7本の合計10本のくじがある。A, B の2人がこの順に1本ずつ引く。引いたくじはもとに戻さない。

(1) A が当たる確率を求めよ。

(2) A も B も当たる確率を求めよ。

(3) B が当たる確率を求めよ。

ヒントを見る

引いたら戻さないので、2人目の確率は1人目の結果で変わる。(2)は『 当たり』のあと『残りの中で 当たり』をかける。(3)は が当たる道すじ( 当たり/ はずれ)をすべて足す。

解答・解説

方針

引いたくじを戻さない(非復元)ので、Bの確率はAの結果で変わる。こういうときは、乗法定理『』を使って、順に確率をかけていく。

(3)の『Bが当たる』は、Aが当たった場合とはずれた場合に分けて足す。結果は(1)と同じになる。くじは引く順番によらず公平、という有名な話だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「引いたくじはもとに戻さない」ので、 が引いた後、くじは 本に減る。 の確率は の結果に左右される。

(2)「 も も当たる」は、 段階で考える。

  • が当たる:
  • その後、 が当たる: 残り 本のうち当たりは 本 →

の分母を のままにしないこと。 これが乗法定理()だ。(3)「 が当たる」は、 が当たった場合とはずれた場合の つの道がある。両方を足さないといけない。

さて、答えは(1)と同じ になる。 これは偶然ではない。

公式乗法定理 (A のあとに B が起こる確率をかける)

(1) 10本中当たりは3本だから、Aが当たる確率は

(2) Aが当たった後、くじは残り9本、当たりは2本。Aが当たり、続けてBも当たる確率は、順にかけて

(3) Bが当たるのは、次の2つの場合に分かれる(同時には起きない)。

  • Aが当たり、Bも当たる:
  • Aがはずれ、Bが当たる:

(Aがはずれた後は、残り9本中当たり3本のまま。)これらを足して

(3)の答えが(1)と同じ になったのは、偶然ではない。くじを引く順番は当たりやすさに関係しない。先に引いても後で引いても、当たる確率は同じだ。これは「くじ引きの公平さ」として知られる大事な性質だ。

発展。 (3)で使った「 つの道を足す」計算は、全確率の定理と呼ばれる。

「 が当たる」という出来事を、 の結果で場合分けして分解し、それぞれの重み(確率)を掛けて足す。知らない事実(A の結果)を、すべての可能性にわたって「ならす」。これは確率の平均化操作である。

この定理は次に学ぶベイズの定理の分母として必ず登場する。「陽性である確率」を求めるとき、「病気で陽性」と「健康で誤って陽性」の つの道を足すのも、まったく同じ構造だ。

そして、くじの公平性はもっと強い形で成り立つ。 本のくじ(当たり 本)を 人が順に引くとき、何番目の人も当たる確率は 。証明は「全員の当たる確率の合計 当たりの本数 」と「全員が対等」という対称性からすぐに出る。

「対称性から結論する」 という見方だ。計算に埋もれる前に、構造を見る。この目が遠回りを何度も救ってくれる。

答

(1) (2) (3)

別解

(3)の答えが(1)と同じ になったのは、偶然ではない。この事実を、計算せずに見抜く方法がある。くじ引きの公平性の話だ。

発想の転換: くじを「引く」のではなく、「あらかじめ一列に並べる」と考える。 本のくじを、引く順番どおりに横一列に並べたと思ってほしい。

本の当たりはこの 個の場所のどこかに、まったくランダムに散らばっている。

は 番目の場所を、 は 番目の場所を受け取るだけ。では、次のことを考える。 番目の場所が当たりである確率と、 番目の場所が当たりである確率に、差はあるだろうか?

あるはずがない。 どの場所も対等で、 個の場所のうち 個が当たりなのだから、どの場所も当たりである確率は 。

くじ引きは引く順番によらず公平である。 番目に引こうが最後に引こうが、当たる確率は変わらない。

計算でも確かめられる。 が当たるには つの道がある。

  • が当たり → も当たり:
  • ははずれ → が当たり:

この つは排反なので足して

きれいに 。

なぜ直感は「先に引くほうが有利」と思うのか。 が当たりを引いてしまえば、 の当たる確率は に下がる。これは事実だ。しかし がはずれれば、 の確率は に上がる。

この つが、ちょうど打ち消し合う。 「 が当たって不利になる場合」より「 がはずれて有利になる場合」のほうが起こりやすい( 対 )ので、ならしてみれば元どおりになる。これが の内訳だ。

の結果を「知らない」限り、 は 番目と同じ立場にいる。 情報がなければ、順番は意味を持たない。「知る」ことが確率を変える。条件付き確率の考え方がここにも現れている。

ポイント

  • 戻さない(非復元)ときは、順にかける
  • 後の人の確率は、前の人の当たり・はずれで場合分けして足す
  • くじの当たる確率は引く順番によらない(公平)

よくある間違い

  • (2)でBの分母を10のままにする(Aが引いた後は9本)
  • (3)でAがはずれた場合を忘れ、 だけで答えてしまう
  • (3)で「先に引くほうが有利」と思い込む(順番によらず確率は等しい)

問11期待値の計算(賞金)

★ 基礎期待値

問題

10本のくじがあり、賞金は 300 円が1本、100 円が3本、残り6本は0円(はずれ)である。この中から1本を引くとき、受け取る賞金の期待値を求めよ。

ヒントを見る

期待値は『(賞金)×(その確率)』を全部の場合について足したもの。各賞金の本数から確率を出して、加重平均を作る。

解答・解説

方針

期待値とは「1回あたり、平均していくらもらえるか」を表す値だ。求め方は(もらえる金額)×(その確率)を全部足す。

ここでは賞金の種類ごとに、その金額と当たる確率をかけて合計する。0円のはずれは、金額が0なので合計には影響しないが、確率の分母(全10本)にはきちんと数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 期待値とは「 回引いたら、平均いくらもらえるか」だ。

もらえる金額に、その確率という「重み」をつけて足すことが大事だ。 円は魅力的だが、当たるのは 本に 本しかない。だから 円をまるごと勘定に入れてはいけない。

はずれの 本も忘れずに数える。 金額が 円なので計算には影響しないが、確率の合計が になるかの確認に要る()。

期待値は実際にもらえる金額ではない。 円のくじなど 本もないのに、期待値は 円になる。

公式期待値 (値 × 確率 の総和)

賞金と、その確率を整理する。

  • 300円: 確率
  • 100円: 確率
  • 0円: 確率

期待値は (金額) × (確率) を全部足すので

期待値60円の意味は「このくじを1回引くと、平均して60円もらえる勘定」ということ。たとえば参加料が60円ならトントン、それより高ければ引くほど損、と判断の目安に使える。0円のはずれも確率としては数える(6本ぶんの )が、金額が0なので合計には影響しない。

発展。 期待値には、とても便利な性質がある。足し算と、そのまま交換できるのだ。

しかも、 と が独立でなくても成り立つ(ここが役に立つところだ)。たとえば「サイコロを 回振ったときの目の合計の期待値」は、 回の期待値 を 倍して 。 通りを数える必要はない。

も成り立つ(この式は数Bで詳しく学ぶ)。期待値は 「線形」 である。難しい計算を、単純な部品の足し算に分解できる。

だが、期待値がすべてではない。 次の つのくじを比べてみよう。

  • くじP: 必ず 円もらえる
  • くじQ: の確率で 円、それ以外は 円

期待値はどちらも 円。しかし、 回だけ引くなら、まるで違うくじだ。くじQは 回に 回、何も手に入らない。

同じ期待値でも、散らばりが違う。 この散らばりを測るのが分散であり、リスクの尺度になる。投資でも保険でも、「平均リターン(期待値)」と「リスク(分散)」をセットで見る。片方だけでは判断を誤る。

期待値は便利だが、どんな場面でも使えるわけではない。 そのことを知っているかどうかが、数学を使えるかどうかの分かれ目である。

答

60円

別解

期待値は「平均」のことである。 そのことを、確率を一切使わずに確かめてみよう。 本すべての賞金を、そのまま書き出す。

この 個の数の平均を求める。

期待値と、ぴったり同じ 円。

なぜ一致するのか。 上の平均の式を、少し変形してみる。

「本数で割ってから足す」のと、「確率を掛けて足す」のは、同じ計算である。

この見方を持つと、期待値の意味がはっきりする。 「くじを 本すべて引いたら、合計 円もらえる。 本あたりにならせば 円」というのが期待値だ。 回引くだけなら 円か 円か 円のどれかで、 円がもらえることは決してない。しかし何度も繰り返せば、 回あたりの平均は 円に近づいていく(大数の法則)。

期待値の使いどころは判断の道具としてである。

このくじが 本 円で売られていたらどうか。期待値は 円なので、 回引くごとに、平均 円損する勘定になる。 回引けば、平均 円の損だ。「当たれば 円」という宣伝文句に踊らされず、期待値で冷静に損得を測る。

逆に 円で売られていたら? 期待値 円 > 価格 円だから、引くほど得である(そんなくじは現実にはまず存在しないが)。

宝くじ、ガチャ、保険、投資など、世の中の「賭け」はすべて期待値で評価できる。期待値を計算する習慣はお金と付き合ううえでの防具になる。

ポイント

  • 期待値 = (もらえる値) × (その確率) を全部足す
  • 確率の分母は全体(ここでは10本)。全部の確率を足すと1になる
  • 値が0の場合も確率には数えるが、合計には影響しない

よくある間違い

  • 確率をかけず、賞金 を本数で割り忘れる/そのまま答える
  • はずれ6本を分母に数え忘れ、確率の合計が1にならない
  • 期待値を「いちばん出やすい金額」や「実際にもらえる金額」と誤解する(60円のくじは1本もない)

問12点の移動の確率

★ 基礎点の移動反復試行

問題

数直線上の原点に点 P がある。コインを投げて、表が出れば P を正の向きに 1、裏が出れば負の向きに 1 だけ動かす。コインを4回投げたとき、P が原点にある確率を求めよ。

ヒントを見る

表の回数 、裏の回数 とすると、回数の合計と、移動の合計(原点に戻る=差が )の2式ができる。これを解いて表・裏が何回ずつか出し、反復試行の確率に。

解答・解説

方針

点の移動は「表・裏が何回ずつ出れば、その場所に来るか」を、位置の条件から逆算するのがコツだ。4回動いて原点(合計の移動が0)に戻るには、右への動き(表)と左への動き(裏)が打ち消し合う必要がある。

表・裏が何回ずつ出ればよいかを求めて、その確率を反復試行で計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 点の動きを追いかけるのではなく、「表が何回出れば原点に戻るか」に言い換える。

回のうち表が 回、裏が 回出たとする。点の位置は

これが になるのは のとき。つまり

動きの問題がコイン投げの反復試行になった。

「原点に戻る」条件を、回数の言葉で表す。これが第一手である。位置を つずつ追う必要はない。

x-4-3-2-101234P(スタート)
数直線上を表で +1・裏で −1 だけ動く点 P

4回のうち表が 回、裏が 回出たとする。回数の合計と、移動の合計から

(表で 、裏で なので、移動の合計は 。原点に戻るには 。)これを解くと 、つまり表2回・裏2回のとき原点に戻る。

あとは反復試行で計算する。4回中ちょうど2回表が出る確率は

まとめ:位置の条件(原点に戻る)を『表と裏の回数』の条件 に置きかえる。位置の問題を回数の問題に読みかえれば、あとは反復試行の計算に持ち込める。ちなみに、奇数回(たとえば3回)投げると は奇数にしかならず、原点(移動0)には戻れない。この見通しも持っておこう。

発展。 回投げて原点に戻る確率は

( 回)なら 。( 回)なら 。( 回)なら約 となり、回数が増えるほど、ぴったり原点に戻る確率は下がっていく(遠くまで行ってしまうから)。

ところが、次の定理がある。「いつかは必ず原点に戻ってくる」(確率 で)。ぴったり 回目に戻る確率は小さくても、 と機会は無限にあるので、戻らずに終わることはありえないのだ。しかも、戻るまでにかかる回数の期待値は無限大という(直感を裏切る)おまけつきである。

さらに、次元によって話が変わることも知られている。

  • 次元・ 次元のランダムウォークは、必ず出発点に戻る
  • 次元では、戻らずに永遠にさまよう確率が ではない(戻る確率は約 )

「酔っぱらいは家に帰れるが、酔った鳥は帰れない」は、数学者のあいだで語り継がれる言い回しである。

数直線上でコインを投げるだけの設定から、次元による違いが分かる。 高校の確率は、こうした話題にもつながっている。

答

別解

回の表裏は 通りしかない。全部の行き先を調べて、点がどこにいるかの分布を作ってしまおう。 そこから、この問題の構造が分かる。

表の回数ごとに、最終位置を計算する。

表の回数
最終位置
通り数

通り数の合計は となり、全事象と一致する。

原点()にいるのは 通りだから

この表から、 つのことが読み取れる。

つ目: 分布はパスカルの三角形()。 左右対称で、中央(原点)が最も高い。原点にいる確率が最大()になる。「 回もふらふら歩いたのに、いちばんありそうなのは出発点」というのは意外だが、そういうものである。

つ目: 到達できる位置は偶数だけ。 しかなく、 や には決して行けない。

なぜか。 回動くごとに、位置の偶奇が必ず入れかわるからだ。(偶)→ (奇)→ 偶 → 奇 と交互になる。だから偶数回の後は必ず偶数の位置、奇数回の後は必ず奇数の位置にいる。

この「偶奇の壁」はとても役に立つ道具だ。たとえば「 回投げて原点に戻る確率は?」と聞かれたら、計算するまでもなく 。 回後は必ず奇数の位置にいて、(偶数)には決して立てない。パリティ(偶奇)で不可能を証明する。これは整数問題やパズルでもよく使う発想である。

つ目: これは「ランダムウォーク」の第一歩。 酔っぱらいが右へ左へふらつきながら歩く様子(酔歩とも呼ばれる)は、この問題そのものだ。

株価の変動、花粉が水面で震える現象(ブラウン運動)、分子の拡散など、自然や社会のいろいろな現象に、この単純なコイン投げの構造が現れる。 回歩いたときの散らばりは に比例して広がる、という法則も、この表を大きくしていけば分かる。

数直線上をふらふらする点という素朴な問いが、いろいろな科学分野で使われるモデルになっている。

ポイント

  • 位置の条件を「表・裏の回数」の連立方程式に置きかえる
  • 原点に戻る = 表と裏が同じ回数(移動の合計が0)
  • 回数が決まれば反復試行 で計算

よくある間違い

  • 表・裏の回数を求めず、いきなり確率を計算しようとする
  • をかけ忘れ、 だけにしてしまう
  • 奇数回投げても原点に戻れると思ってしまう(1回動くごとに位置の偶奇が入れかわる)