数学Aの勉強法 — 数え方・図の見方・整数の扱いという3つの考え方

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月2日

数学Aは、場合の数と確率・図形の性質・整数の性質という、互いに独立した3つの分野からなる科目です。数学Iのように計算を積み上げる科目ではなく、「数え方」「図の見方」「整数の扱い」という3種類の考え方をそれぞれ身につける科目なので、勉強のしかたも数学Iとは変える必要があります。この記事では、分野ごとの考え方の核と、練習の順序を説明します。

数学Aは「考え方の科目」

数学Iの問題は、手順を覚えれば解けるものが多いです。数学Aの問題は、手順を覚えても、問題文を正しく読み替えられなければ解けません。「9人を3人ずつ3組に分ける」と「9人をA・B・Cの3組に分ける」は、計算の手順は似ていますが、答えは6倍違います。この読み替えの力が、数学Aの中心です。

だから、数学Aの勉強では、解説の「⓪ 発想」の段落が数学I以上に重要になります。「なぜ組合せで数えるのか」「なぜ余事象を使うのか」「なぜ余りで分類するのか」という理由を、自分の言葉で言い直せるようになってください。

場合の数と確率: 「何を1通りと数えるか」

場合の数の問題では、数える前に「何と何が決まれば1通りが確定するか」を書き出します。並べる順番が意味をもつなら順列、もたないなら組合せです。この判断が最初にできれば、あとは公式です。

小さい場合を全部書き出す練習が、この判断力を作ります。場合の数の基礎「樹形図・辞書式にすべて書き上げる」から始め、書き出した結果と公式の値が一致することを確かめてください。円順列・同じものを含む順列・組分けの3つは、間違いが集中する型なので、標準まで繰り返します。

確率は、場合の数を分母と分子に使います。「分母と分子を同じ数え方でそろえる」「区別のつかないものも確率では区別して数える」の2つが原則です。確率の基礎で、玉・カード・サイコロの基本形を固めてから、反復試行と条件付き確率に進んでください。条件付き確率は「分母を条件に取り替える」問題で、「〜だったとき」という言葉が合図です。

このサイトの場合の数・確率の問題は、すべて総当たり計算で答えを検証しています。自分の答えが合わないときは、数え方のどこで重複や漏れが出たかを、解説と照らして探してください。

図形の性質: 「定理を配置で覚える」

図形の性質は、定理の名前が多い分野ですが、問われるのは「図の中でどの配置を見つけるか」です。「1点で交わる3本の線ならチェバ、1本の直線が3辺を横切るならメネラウス、接線と弦が見えたら接弦定理、円を切る2本の直線なら方べき」というふうに、配置と定理を対応させて覚えてください。

図形の性質の基礎12問は、定理を1つずつ配置つきで確認する構成で、ほぼ全問に図が付いています。解説の図で「どこに目をつけたか」を見てから、標準で角度と長さの計算に使います。五心(重心・内心・外心・垂心)は、「何の交点か」という定義に戻れば補助線が引けます。

図形の性質は、数学Iの図形と計量(正弦定理・余弦定理)、数学Cのベクトルと同じ問題を別の道具で解く分野でもあります。両方の解き方を見比べると、それぞれの道具が何を楽にしているかがわかります。

整数の性質: 「余りで分類する」

整数の問題は、「すべての整数について」という主張を、余りで分類して場合ごとに確かめる、という論法で進めます。3で割った余りなら3通り、4で割った余りなら4通りです。「何で割った余りで分けるか」は、問題に出てくる数(6の倍数なら2と3)が目安です。

整数の性質の基礎で、約数・倍数・素因数分解・互除法・不定方程式・n進法の手順を固め、標準で「余りによる分類」と「互いに素」を使う証明の書き方を身につけてください。1次不定方程式は、「1組の解を見つけて、引き算して、互いに素で一般解」という3段の手順が固定されています。

整数の証明問題は、数学Iの集合と命題(対偶・背理法)の書き方を使います。「〜でない」を仮定して矛盾を導く型は、 が無理数であることの証明と同じです。

3分野の学習順序

3分野は独立しているので、学校の進度に合わせて単元単位で使えます。場合の数→確率の順序だけは守ってください(確率は場合の数の数え上げが前提です)。

数学Aは、共通テストで確率と図形・整数(選択)が出題され、難関大の記述では確率と整数が証明問題の題材になります。難関(★★★★)以上には、完全順列、カタラン数、フェルマーの小定理、ペル方程式のように、数学Aの考え方が数列や証明と融合する問題を集めました。基礎・標準を固めたあと、志望校の難度に合わせて進んでください。

数学が苦手な人へ

数学Aは、数学Iで計算につまずいた人でも、分野によっては得点源にできる科目です。とくに図形の性質と整数は、計算量が少なく、考え方で解けます。数学Iに戻る前に、数学Aのどれか1分野を「解ける分野」にしておくと、数学全体への苦手意識が薄れます。数学が苦手な人のやり直し方も参照してください。

「読み替え」の練習のしかた

数学Aで最も効く練習は、問題文を読んで「何を数えるのか」「どの定理の配置か」「何で割った余りで分けるか」を、解く前に一言で書くことです。書いてから解き、解説の「⓪ 発想」と照らして、自分の読み替えが正しかったかを確かめます。

読み替えが違っていた問題は、計算が合っていても解き直しの対象です。逆に、読み替えが合っていて計算を間違えた問題は、計算ミスとして記録するだけで構いません。数学Aでは、この2種類の間違いを分けて扱うことが、対策の効率を決めます。

読み替えの「型」は、単元ごとに10種類程度に集約されます。場合の数なら「順列か組合せか」「隣り合うか隣り合わないか」「組に区別があるか」「同じものを含むか」、確率なら「余事象を使うか」「独立か」「条件付きか」、図形なら「1点で交わる3本か横切る1本か」「接線があるか」、整数なら「何の余りで分けるか」「互いに素を使うか」です。基礎12問を解き終えたら、その単元の型を自分で一覧にしてみてください。一覧が作れれば、標準以降は「どの型か」の判定だけで手が動きます。