総合演習 / 原子・量子の融合

量子 × 古典物理 — 光子・物質波を力学・電磁気とつなぐ

光電効果・ボーア模型・ド・ブロイ波など、量子の考え方を、運動エネルギー・円運動・電場加速といった古典物理の道具と組み合わせる問題です。

全 10 問(標準 3・応用 2・最難関編 5)。課程の学習順に並んでいます。

問1 弾性衝突で運ばれるエネルギー(中性子の減速) 最難関編物理・運動量と力積

質量 の粒子が速さ で進み、静止している質量 の粒子に正面から衝突する。衝突は弾性衝突で、運動はすべて一直線上で起こるものとする。

(1) この衝突で に移る運動エネルギーは、はじめに がもっていた運動エネルギーの何倍か。その割合 で表せ。

(2) を最大にする質量の比と、そのときの の値を求めよ。

(3) 原子炉では、核分裂で生じた速い中性子を減速材の原子核にぶつけてゆっくりにする。中性子の質量を 、炭素の原子核の質量を とする。中性子が炭素の原子核と正面衝突をくり返すとき、運動エネルギーをはじめの 以下にするには、少なくとも何回の衝突が必要か。 を用いよ。

問2 光電子の最大の速さ ★★ 標準物理・原子

光電効果で飛び出した光電子の最大運動エネルギーが であった。この光電子の最大の速さを求めよ。電子の質量を とする。

問3 ボーアの量子条件 ★★ 標準物理・原子

ボーアの原子模型では、電子は「円周の長さが物質波(ド・ブロイ波)の波長の整数倍になる軌道」だけを回れる(量子条件)。(1) この条件を、軌道半径 、電子の速さ 、量子数 を使って式で表せ。 (2) この条件が、電子が定まった軌道だけを回る(エネルギー準位がとびとびになる)ことをどう説明するかを述べよ。

vr
電子の円軌道。円周が物質波の波長の整数倍になる軌道だけ許される
問4 加速された電子のド・ブロイ波長 ★★ 標準物理・原子

静止した電子を電位差 で加速した。この電子のド・ブロイ波長を求めよ。電子の質量 とする。

問5 ボーア模型のエネルギー準位の導出 ★★★ 応用物理・原子

水素原子で、電子(質量 、電荷 )が陽子(電荷 )のまわりを半径 、速さ で等速円運動している。クーロン力が向心力となる。(1) 運動方程式を書け。 (2) 量子条件 と合わせると、半径が となることを示せ。 (3) エネルギーが となることを、言葉で説明せよ。

問6 電子回折とド・ブロイ波長 ★★★ 応用物理・原子

電子を電位差 で加速し、結晶に当てると回折模様が現れた。(1) この電子のド・ブロイ波長を求めよ。 (2) 回折が起こったことは何を意味するか。 (3) 同じ実験を電圧 で行うと波長はどうなるか。電子の質量 とする。

問7 光は面を押す — 輻射圧とソーラーセイル 最難関編物理・原子

太陽の光が地球のあたりで運ぶエネルギーは、光の進む向きに垂直な面 につき毎秒 である。光の波長を とし、 とする。

(1) 光子 1 個のエネルギーを J と eV で、また運動量を求めよ。

(2) 面 には毎秒何個の光子が当たるか。

(3) 光をすべて吸収する面が受ける圧力を求めよ。また、すべて反射する面ではどうなるか。

(4) 面積 、質量 の、光を完全に反射する帆を宇宙空間に広げる。光が垂直に当たるとき、帆の加速度と、 日後の速さを求めよ。 日を とする。

問8 コンプトン散乱で電子は何を受け取るか 最難関編物理・原子

波長 の X 線を、静止した電子に当てる。散乱された X 線を、入射方向から の向きで観測した。

散乱による波長の変化は

で与えられる。、電子の質量 とする。

入射 X 線静止した電子散乱 X 線90°
静止した電子に X 線を当て、入射方向と直角の向きで散乱波を観測する。

(1) (コンプトン波長)の値を求めよ。

(2) 散乱後の波長と、入射・散乱それぞれの光子のエネルギーを keV で求めよ。また電子が受け取ったエネルギーは、入射光子のエネルギーの何 か。

(3) 運動量保存から、はじき飛ばされた電子の運動量の大きさと、入射方向からの角度を求めよ。

(4) (3) で求めた運動量から として運動エネルギーを見積もると、(2) の値より数 大きくなる。その理由を述べよ。

問9 電子でつくる干渉縞 最難関編物理・原子

電子を電圧 で加速し、間隔 の二重スリットに当てる。スリットから 離れたスクリーンで、到達した電子の分布を調べる。

、電子の質量 、電気量の大きさ とする。加速後の電子は非相対論的に扱ってよい。

電子dスクリーンL
加速した電子を二重スリットに当て、スクリーン上の分布を調べる。

(1) 加速された電子の運動量と、ド・ブロイ波長を求めよ。

(2) スクリーンにできる縞の間隔を求めよ。

(3) 加速電圧を 倍の にすると、縞の間隔はどうなるか。

(4) 電子を 個ずつ、十分に間隔をあけて送りこんでも、多数の電子が到達したあとには同じ縞ができる。この事実は何を意味するか述べよ。

問10 X 線で結晶をのぞく(ブラッグ反射) 最難関編物理・原子

結晶の中では原子が規則正しく並び、平行な原子の面が間隔 でならんでいる。この結晶に波長 の X 線を、原子面と角 をなす向きから当てる。

強い反射が観測される条件(ブラッグの条件)は

である。 とする。

原子面θd
2 つの原子面で反射した X 線。下の面で反射した波(赤)は、余分に 2d sinθ だけ進む。

(1) 隣り合う原子面で反射した X 線の行路差が になることを、図を用いて説明せよ。

(2) に対する を求めよ。 とする。

(3) この波長では何次の反射まで観測できるか。

(4) X 線管の加速電圧を にしたときに出る X 線の最短波長を求めよ。その波長では何次まで観測できるか。