数学A / 場合の数

場合の数 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 和が30になる大小順の組
  2. 同じ色を2個ずつ含む円順列
  3. 山型に並ぶ順列
  4. 完全順列の漸化式
  5. 対角線から離れない最短経路
  6. 格子点が作る正方形の総数
  7. 円周上の8点を結ぶ弦が作る領域
  8. 格子点が作る三角形の個数

問1和が30になる大小順の組

最難関編重複組合せ対称性で割る

問題

を満たす0以上の整数の組 のうち、 を満たすものは何個あるか。

ヒントを見る

順序を区別した組の総数なら、いつもの方法で出る。大小順の組1つに、順序を区別した組は何個ずつ対応するか。どの組でも同じ個数だと思い込むと間違える。等しい成分がある組を分けて数えられるか。

解答・解説

方針

大小の条件を直接扱わず、いったん順序を区別して数えて(496個)、並べ替えで移り合う組を束ねて数える。ただし等しい成分を含む組は束の大きさが6にならないので、「3つとも等しい」「ちょうど2つ等しい」「すべて異なる」に分けて補正する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の条件を保ったまま数えるのは難しい。そこで、いったん順序を区別して数え、並べ替えの束で割る方針を立てる。

ただし注意がいる。大小順の組 には順序つきの組が 個対応するが、 には3個、 には1個しか対応しない。束の大きさが組によって違うのだ。

だから「すべて異なる」「ちょうど2つ等しい」「3つとも等しい」に分類してから束ねる。これが正しい手順になる。

重要大小順の組の個数 = 順序つきの組を並べ替えの束にまとめた数。等しい成分を含む組は束が小さい(2つ等しいなら3個、全部等しいなら1個)

① 順序を区別した総数。 の0以上の整数解は、○30個と仕切り2本の並べ替えで

② 等しい成分を含む組を数える。 3つとも等しいのは の1組(順序つきでも1個)。ちょうど2つ等しい組は等しい値を として 、。 の16通りから、 になってしまう を除いて15組。順序つきでは1組につき(どの位置が仲間はずれかで)3個ずつあるから 個。

③ 分類して束ねる。 すべて異なる順序つきの組は

これらは6個ずつ束になり、大小順の組 個を与える。よって求める個数は

まとめ: 「順序をつけて数えて割る」は等しいものを含む組の補正とセットで初めて正しくなる。分類ごとに束の大きさ(1・3・6)が違う。ここを間違えやすい。

発展。 答えの91は に最も近い整数になっている。実は 、 の解の個数は、つねに に最も近い整数だ。3つの場合の補正がこの「丸め」の中に折りたたまれている。

答

個

別解

差の変数に取り替える(束ねずに直接数えるルート)。 大小の条件そのものを、新しい変数に吸収させてしまう方法もある。 を、、、( は0以上の整数)と書き直す。大小関係は自動的に満たされ、条件はただ1本:

あとはこの方程式の0以上の整数解を数える。 を から まで動かし、各 で は の範囲( は残りで自動的に決まる):

束ね上げも重複補正も現れない。不等式つきの数え上げは差を新しい変数にすると等式だけになる。この取り替えは順序つき分割の問題全般で使える一手だ。

ポイント

  • 順序つきの総数は 。
  • ちょうど2つ等しい組は15(順序つきで45)、3つとも等しい組は1。
  • 。

よくある間違い

  • と割り切れずに混乱する。束の大きさは一定でない(等しい成分があると小さい)ので、分類してから割る。
  • ちょうど2つ等しい組の順序つき対応を 個とする。等しい2つは入れ替えても同じなので3個。
  • (3つとも等しい場合)を「2つ等しい」に二重計上する。 となる は除く。

問2同じ色を2個ずつ含む円順列

最難関編円順列対称性

問題

赤玉2個、白玉2個、青玉2個の計6個の玉を円形に並べる方法は何通りあるか。ただし、回転して一致する並べ方は同じものとみなす。同じ色の玉は区別しない。

ヒントを見る

円順列のいつもの方法「1つ固定」や「一列を6で割る」をそのまま使うと、答えが整数にならないか、数え違える。90通りの中に、回転すると自分自身に戻ってしまう特別な並びが混ざっていないか。その並びの束は何個か。

解答・解説

方針

一列の並べ方90通りを「回転で移り合う束」にまとめて数える。ふつうは6個ずつ束になるが、回転して自分自身に一致する並び(周期3の並び)だけは束が3個になる。そこを別勘定にする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 区別できる6個なら、円順列は で済む。だが同じ色を含むと、「1つ固定」も「6で割る」も崩れる。

なぜ崩れるかを正面から考える。一列の並べ方(90通り)を、回転で移り合うもの同士の束にまとめる。ふつうの並びは、回転6通りが全部違うから束の大きさが6。ところが「赤白青赤白青」のように、途中の回転で自分に一致する並びは、束が6より小さい。

束の大きさで割るのだから、大きさの違う束を分けて数えればよい。

重要円順列 = 一列の並べ方を回転の束にまとめた個数。回転して自分に一致する並び(周期をもつ並び)だけ束が小さい

① 一列の並べ方。 同じものを含む順列で

② 回転で自分に一致する並びを探す。 6個の円で、 個ずらす回転で自分に一致する並びは「周期 の繰り返し」の形に限られる( は6の約数)。

  • 周期1(全部同色): 各色2個ずつなので不可能
  • 周期2(2個の繰り返し3回): 各色が3個ずつ必要になり、2個ずつの条件に反して不可能
  • 周期3(3個の繰り返し2回): 3個のブロックに赤白青が1個ずつ入ればよく、 通り
赤白青赤白青
周期3の並び(赤白青赤白青)は2個ずらす回転で自分自身に一致する。この形の並びだけ、回転で3通りにしか見えない

③ 束の大きさごとに数える。 周期3の並び6個は、回転で3通りにしか見えないので束の大きさが3。束は 個だ。残りの 個は、どの回転でも自分に一致せず束の大きさが6。束は 個。よって

まとめ: 「割る前に、割り切れない仲間(対称な並び)を仕分ける」ことが大事だ。一律に6で割ると となり、正解16と1つずれる。そのずれの原因は周期3の並びの束(大きさ3)だ。

発展。 裏返しも同じとみなす(じゅず順列)と、答えは11通りまで減る。回転だけの16通りのうち、鏡に映すと別の並びになるものが対で束ねられるからだ。「どの操作まで同一視するか」で答えが変わる。この感覚が、次の別解の見方につながる。

答

通り

別解

回転ごとの「動かない並び」を平均する(得意な人向け)。 場合分けの代わりに、次のような勘定がある。6つの回転(0個ずらしから5個ずらしまで)それぞれについて、「その回転で自分自身に一致する並び」の個数を数える:

  • 0個ずらし(何もしない): すべての並びが一致。90個
  • 1個・5個ずらし: 周期1が必要で0個
  • 2個・4個ずらし: 周期2が必要で0個
  • 3個ずらし: 周期3の並びで6個

合計 。これを回転の個数6で割ると

本解の答えと一致する。実は「円順列の数 = 各回転で動かない並びの数の平均」という一般法則(バーンサイドの補題)があり、どんな対称性でも通用する。場合分けが複雑になるほど、この平均の勘定が役に立つ。

ポイント

  • 一列は 通り。
  • 回転で自分に一致するのは周期3の並びだけで6個(束の大きさ3)。
  • 。

よくある間違い

  • 型や をそのまま使う。同じ色を含むと束の大きさが一定でなくなり、1つずれる。
  • 周期2の並びがあると思って数えに行く。6個を周期2で埋めると各色3個が必要で、2個ずつの条件に矛盾する。
  • 「赤を1個固定」で残り5個の順列 と答える。同色が複数あると、固定のしかた自体に重複が生じて崩れる。

問3山型に並ぶ順列

最難関編1対1対応順列

問題

1から8までの数を1つずつ使って一列に並べる。並びが、ある位置まで増加し、その位置から後は減少する「山型」になるものは何通りあるか。ただし、増加する部分と減少する部分は、頂上以外にそれぞれ1個以上の数を含むものとする。

ヒントを見る

山の頂上に来られる数は決まっていないか。頂上が決まれば、残りの数について決めるべきことは「どちら側に置くか」だけにならないか。置く側さえ決まれば順番は勝手に決まる、という構造に気づけるか。

解答・解説

方針

並べ方を直接数えず、「各数を頂上の左右どちらに置くか」の振り分けに言い換える。頂上は必ず8で、左に振り分けた数は増加順・右は減少順に並ぶしかないので、振り分けを決めると並びが1通りに確定する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「増えてから減る」並びを先頭から作ると、場合分けが絡まる。並びそのものではなく、各数の行き先を決めると考え直す。

まず頂上。増加から減少に切り替わる位置には、全体の最大値8しか来られない(8より大きい数はないから、8の左隣では増加が、右隣では減少が強制される)。

すると残りの 〜 は、「8の左側に入るか、右側に入るか」だけが自由だ。左側に入った数たちは増加順、右側は減少順と、並び方が1通りに確定する。並べ方と振り分け方の1対1対応だ。

重要並びが「選び方から一意に復元できる」とき、(並びの数)=(選び方の数)。復元の一意性が、数え漏れと二重数えのない理由になる

① 頂上は8。 山型の頂上(そこまで増加・そこから減少)より大きい数は左右のどちらにも置けない。だから頂上は最大の8に限る。

② 残り7個を左右に振り分ける。 〜 の各数について「8の左側/右側」の2択で 通り。左側に入った数の並びは増加順の1通り、右側は減少順の1通りに決まるから、振り分け1つにつき山型の並びがちょうど1つ対応する。

③ 両側1個以上の条件。 全部を左側に入れる(増加だけの並び)と、全部を右側に入れる(減少だけの並び)は山型にならないので除く:

まとめ: 「振り分けを決めると並びが勝手に決まる」構造を見抜けば解ける。数える対象を並びから部分集合の選び方に言い換えると、すぐに を数える問題になる。

発展。 一般の 個なら 通り。また「減ってから増える谷型」も、まったく同じ対応で同数になる(最小値1が谷底)。山と谷、答えまで対称だ。

答

通り

別解

頂上の位置ごとに数える(分布まで見える別集計)。 同じ答えを、頂上が左から何番目かで場合分けして数えることもできる。

頂上(=8)が左から 番目()にあるとする。左側に入る 個の数を 〜 から選べば( 通り)、左は増加順・右は減少順で並びが確定する。よって

答えは本解と同じだが、この集計はおまけの情報をくれる。頂上の位置ごとの内訳は 。山の頂上は真ん中(4番目・5番目)に来やすく、その理由は二項係数の山型そのものだ。

数え方を変えると、答えだけでなく「分布」が見える。集計の切り口は情報量で選べる、という見本になっている。

ポイント

  • 頂上は必ず8。
  • 〜 の左右の振り分け 通りと山型の並びが1対1。
  • 増加だけ・減少だけの2通りを除いて 。

よくある間違い

  • 頂上が8に限ることを言わずに進める。ここが対応のスタート地点で、根拠(8より大きい数がない)まで一言添える。
  • から引くのを忘れる、または1だけ引く。除くのは「全部左(増加のみ)」と「全部右(減少のみ)」の2通り。
  • 「両側に1個以上」を、頂上も含めた個数で数えて混乱する。振り分けるのは頂上以外の7個。

問4完全順列の漸化式

最難関編完全順列漸化式の導出

問題

人が1個ずつプレゼントを持ち寄り、全員が自分の持ってきたもの以外のプレゼントを1個ずつ受け取る配り方の総数を とする()。

(1) のとき、 が成り立つことを示せ。

(2) を求めよ。

ヒントを見る

全体をいきなり数えず、1番の人の受け取る品で場合分けしてみる。その相手が1番の品を受け取るかどうかで、残りの状況は2種類に分かれる。どちらも「同じ問題の小さい版」と言い切れるか。特に「受け取らない」側の言い換えがいちばん大事なところだ。

解答・解説

方針

1番の人が誰の品を受け取るかで場合分けし(n−1通り)、さらにその相手が1番の品を受け取るかどうかで2つに割る。「受け取り合う」なら残りは人数が2減った同じ問題、「受け取らない」なら禁止先を付け替えると人数が1減った同じ問題になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を直接数え上げるのは現実的でない。数え上げの基本は「最初の1手で場合分けし、残りを同じ形の小さい問題に帰着させて漸化式を作る」ことだ。

1番の人が受け取る品の持ち主を とする( は 通り)。次の分かれ目は「 番の人が1番の品を受け取るか」。

受け取るなら、2人が品を交換して退場し、残りは 人の同じ問題。受け取らないなら、 番の人の「受け取ってはいけない品」を付け替えることで、 人の同じ問題になる。この言い換えが決め手だ。

重要数え上げの漸化式: 最初の選択で場合分けし、残りの状況を「同じ問題の小さい版」に言い換える。言い換えの1対1対応が正しさの根拠

① 場合分けの枠組み((1)の証明)。 1番の人が 番の人の品を受け取るとする。 の選び方は 〜 の 通りで、どの でも以下の勘定は同じだから、最後に 倍すればよい。

② 番の人が1番の品を受け取る場合。 1番と 番は品を交換して確定。残る 人は自分の品以外を受け取る同じ問題そのもの。配り方は 通り。

③ 番の人が1番の品を受け取らない場合。 残っている品は「1番の品」と「 番以外の 人の品」。受け取る人は「 番」と「1番・ 番以外の 人」だ。ここで 番の人にとって禁止されているのは1番の品だけ。そこで、1番の品に「 番の品」と名札を付け替える。すると「 人がそれぞれ自分の名札の品を受け取らない」完全順列そのものになる(付け替えは1対1の言い換えで、数は変わらない)。よって 通り。

②と③は排反ですべてを尽くすから

④ を計算する((2)の答え)。 から

まとめ: 「交換して2人退場()」と「禁止先の付け替えで1人減()」。この2つの帰着から、完全順列の漸化式ができる。漸化式さえ立てば、 は足して掛けるだけで届く。

発展。 。この「誰も自分の品を受け取らない確率」は、人数を増やしても約 (、 は自然対数の底)に張りつく。プレゼント交換の失敗率は6人でもう極限とほぼ同じになる。

答

(1) 1番の人の受け取る品で場合分けして帰着(証明) (2)

別解

包除原理で1本の式を作る(得意な人向け)。 漸化式を経由せず、 を閉じた式で出す道もある。

「少なくとも1人が自分の品を受け取る」場合を包除原理で除く。自分の品を受け取る人の集合を 人指定すると、その 人は確定し、残り 人は自由だから 通り。指定のしかたは 通り。符号を交互につけて

で計算すると

漸化式(本解)は「隣とつなぐ」方法で、包除は「まとめて書き下す」方法だ。同じ265に、性格の違う2本の道が通じている。交互に符号のつく和の形は、そのまま への収束(発展)の理由にもなっている。

ポイント

  • 1番の受け取る品の持ち主 で場合分け( 通り)。
  • が1番の品を受け取るなら 、受け取らないなら名札の付け替えで 。
  • 。

よくある間違い

  • 「受け取り合う」場合()を落として としてしまう。2つの場合は排反で両方要る。
  • ③の名札の付け替えが1対1であること(数が変わらないこと)を言わずに と断定する。ここが証明の資格。
  • 初期値を などと置く。1人が自分の品以外を受け取る方法は存在しない()。(交換の1通り)とセットで確認。

問5対角線から離れない最短経路

最難関編最短経路数え上げの表

問題

座標平面上を点 から点 まで、 軸方向または 軸方向に1ずつ進む最短経路を考える。途中で通るどの点 でも が成り立つような経路は何通りあるか。

ヒントを見る

引き算(帯の外に出るものを除く)は、はみ出し方が何通りもあって絡まる。使える点だけを考えて、各点まで何通りで来られるかを端から埋めていけないか。数枚埋めたところで、値の増え方に規則が見えないか。

解答・解説

方針

全体から「帯の外に出る経路」を引くのは分類が絡んで難しい。使える点が帯の中に制限されたら、各格子点への経路数を(左)+(下)で左下から順に埋めるのが確実。埋めていくと値が3倍ずつ増える規則が見つかる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 制約なしなら だが、「一度も帯から出ない」経路を全体からの引き算で出すのは難しい。はみ出しの回数や場所の分類が絡まるからだ。

制約つきの経路数は、使える点だけで「各点への経路数 =(左の点)+(下の点)」の表を左下から埋めるのが確実で速い。しかも帯の幅は5(差 が 〜 )しかない。埋めるうちに強い規則が現れる。それを見抜けば まで続けて計算できる。

公式最短経路の数え上げ: 点 への経路数 。通れない点は とする

① 使える点。 の帯の中の格子点だけ。対角線 と、その上下2本ずつの線上に並ぶ。

xyOy=x+2y=x−2(8, 8)2828
使える格子点は2直線 y=x+2, y=x−2 にはさまれた帯(色部分)の中だけ。各点への経路数を左下から(左)+(下)で埋める

② 表を左下から埋める。 対称性 に注意しながら、対角線とその近くだけ追う:

  • 、
  • 、、
  • (帯の縁: 片側からしか入れない)、、
  • 、、

③ 3倍の規則を見抜き、保たれることを確かめる。 対角線上は 。縁は 。どちらも3倍ずつだ。そこで「、( を入れ替えても同じ)」というパターンを仮定して1段進めると

同じパターンが でも成り立つ(帯の縁 は外から入れないので、 の値がそのまま)。よってすべての で成り立ち

まとめ: 制約つき経路は「表の足し込み」が最も確実な正攻法だ。さらに帯が狭いので3倍の規則が現れ、 までなら 通りという閉じた式まで手に入る。規則は「1段進めても保たれるか」を確かめて初めて使ってよい。

発展。 この問題はカタラン数で有名な「対角線を越えない経路」の親戚だ(あちらは壁が片側、こちらは両側)。壁が両側にあると、全体からの引き算は「反射を何度も往復させる」無限の補正になる。表の足し込みが正攻法になるのは、そのためでもある。

答

通り()

別解

差の折れ線で見る(1次元にまとめる方法)。 と の2次元を追う代わりに、差 だけを見る。

1歩進むたびに、 は ( 方向)か ( 方向)に動く。条件 は「 が 〜 の廊下から出ない」こと。求めるものは から出発して16歩で に戻る、廊下の中の折れ線の本数だ。

各時刻に「いまどの高さにいるか」の本数を5つ()並べて、1歩ずつ更新する。両隣の合計が次の値になる(廊下の外は0)。16歩ぶん回すと、 の本数はちょうど になる。

この見方の収穫は2つ。2次元の格子が「幅5の廊下を歩く点」という1次元の絵に変わること。そして偶数歩後には が偶数( の3か所)にしかいないから、実質3状態の繰り返しで、3倍の規則(本解③)がこの構造から来ていると分かることだ。

ポイント

  • 帯の中だけで の表を埋める。
  • 対角線上 、縁 のパターンが1段ごとに保たれる。
  • 。

よくある間違い

  • 全体 から「はみ出す経路」を1回の反射で引こうとする。壁が両側にあると反射が往復し、1回の補正では終わらない。
  • 帯の縁の点に、帯の外からの流入を足してしまう。使えない点の値は0として埋める。
  • 「3倍ずつ」の規則を数項見ただけで使う。1段進めてもパターンが保たれること(③)を確かめて初めて証明になる。

問6格子点が作る正方形の総数

最難関編数え上げ1対1対応

問題

座標平面上の25個の格子点 ( は 以上 以下の整数)のうちの4点を頂点とする正方形は、全部で何個あるか。辺が座標軸に平行なものだけでなく、傾いた正方形も数える。

ヒントを見る

傾いた正方形を手当たり次第に探すと、数え漏れも二重数えも止まらない。どんな傾いた正方形にも、それをぴったり囲む軸に平行な正方形が1つ付いてこないか。囲む枠ごとに数える発想に切り替えられるか。

解答・解説

方針

軸に平行な正方形はサイズごとに数えられる。傾いた正方形は、それを囲む「軸に平行な外接正方形」がただ1つ決まることを使う: 外接正方形を先に選び、その中に傾いた正方形が何個入るかを数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 軸に平行な正方形は簡単だが、傾いた正方形は向きも大きさもばらばらで、直接数えると収拾がつかない。

そこで、どの傾いた正方形にも「外接する軸平行の正方形」がただ1つあることに注目する(4頂点のそれぞれを通る水平線・垂直線で囲めばよい)。逆に、1辺 の軸平行正方形の中には、下辺の分点の取り方1つにつき、傾いた内接正方形が1個できる。

この1対1対応で、「枠ごとに数える」方針に切り替える。

重要傾いた正方形 ⟷(外接する軸平行正方形, 辺上の分点の位置)の1対1対応。枠を先に数え、枠の中の自由度を掛ける

① 軸に平行な正方形。 1辺 ()のものは、左下の頂点の置き方から 個:

② 傾いた正方形。 1辺 の軸平行正方形を外接枠とする傾いた正方形は、下辺の分点を左から ()の位置に取るごとに1個(4頂点は各辺を に分ける点)。つまり枠1つにつき 個。

xyO133
傾いた正方形(実線)は軸に平行な正方形(破線・1辺3)にぴったり内接する。下辺の分点(この図では x=1)の取り方が 1〜s−1 の s−1 通り

③ 合計する。 枠のサイズごとに

よって総数は

まとめ: ばらばらに見えるものは「必ず付いてくる枠」で分類する。外接正方形という枠を経由すると、傾いた正方形が(枠の位置)×(分点の位置)という2つの自由度に分解されて、漏れも重複もなく数えられる。

発展。 ①と②は と1本にまとまる(枠1つにつき、まっすぐ1個+傾き 個で計 個)。 の格子でも同じ式 が通用する。 が大きくなるほど、傾いた正方形の割合が増えていくのも、この式から読める。

答

個

別解

辺ベクトルでパラメータ化する(得意な人向け)。 正方形を「1辺のベクトル」で名付けると、まっすぐも傾きも1つの式で数えられる。

正方形の1辺を右上向きのベクトル ()で表す。 なら軸平行、 なら傾いた正方形だ。この正方形がちょうど収まる外接枠は1辺 の軸平行正方形で、枠の置き方は 通り。

よって総数は

( となる がちょうど 組あることを使った。)「図形を、それを生成するベクトルで数える」と、場合分け(まっすぐ/傾き)が消えて1本の和になる。分類を減らす方向のパラメータ選びは、数え上げの設計の要だ。

ポイント

  • 軸平行は 個。
  • 傾いたものは外接枠(1辺 )1つにつき 個で計20個。
  • 総数は 個。

よくある間違い

  • 傾いた正方形の頂点が格子点になるかを確認せずに数える。外接枠の各辺を に分ける点は自動的に格子点、の一言が要る。
  • 対応の向きを混同する。枠1つに傾いた正方形は 個(多対1ではなく、分点の数だけ)。正方形から枠は1つ。
  • の枠に傾いた正方形を数え込む( 個)。小さい枠から具体的に確認する。

問7円周上の8点を結ぶ弦が作る領域

最難関編領域の数え上げ組合せへの翻訳

問題

円周上に8個の点があり、これらの点を結ぶどの3本の弦も、円の内部の同じ1点では交わらないものとする。8個の点のうちのすべての2点を弦で結ぶとき、円の内部は何個の領域に分かれるか。

ヒントを見る

「弦を全部引いた完成図」をいきなり数えるのは無理がある。1本ずつ引くと、1本引くたびに領域はいくつ増えるか。その弦が途中で既存の弦と交わる回数と関係づけられないか。交点の総数は円周上の点の選び方に言い換えられる。

解答・解説

方針

弦を1本ずつ引きながら、領域がいくつ増えるかを数える: 新しい弦が既に引いた弦と k 回交わるなら、弦は k+1 個の部分に分かれ、領域は k+1 増える。だから総領域数 = 1 + (弦の本数) + (内部交点の総数)。内部交点は円周上の4点の選び方と1対1。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 完成図の領域を直接数えるのは、 が大きいと不可能だ。1本ずつ弦を足して、増分を数える方針に切り替える。

新しい弦が既存の弦と内部で 回交わると、弦は 個の線分に分かれ、その各線分が通過中の領域を2つに割る。つまり領域は 増える。すると最後の総数は「最初の1(円の内部)+ 弦の本数 + 内部交点の総数」になる。

残るは交点の総数。どの3本も1点で交わらない仮定の下では、内部交点1つ ⟷ 円周上の4点の選び方1つ(4点を選ぶと、交わるのはたすきに結んだ1組だけ)という対応で数えられる。

重要弦を1本足すと領域は(既存の弦との内部交点の数) 増える。内部交点は円周上の4点の選び方と1対1

① 弦の本数。 8点から2点を選んで

② 内部交点の総数。 円周上の4点を選ぶと、その4点を結ぶ6本の弦のうち内部で交わるのは「たすき」の1組だけ。逆に、内部の交点はそのような4点をただ1組決める。よって

4点の例: 弦6本・内部交点1個(4点の選び方1通り)で、領域は 1+6+1=8 個。たすきに結んだ1組(赤)だけが内部で交わる

③ 増分を足し上げる。 何も引かないとき領域は1個。弦を1本ずつ足すと、増える数の合計は(各弦につき1)+(交点1つにつき1)だから

まとめ: 「1本ずつ足して増分を数える」帰納の型と、「交点を4点の選び方に言い換える」対応の型を組み合わせる。点を 個で試すと領域は 。倍々に見えて で崩れるのは、実際の式が だからだ(モーザーの円分割として有名)。

発展。 「どの3本も1点で交わらない」という仮定を外すと、多重交点1つごとに領域が減る。たとえば正六角形の対角線は中心で3本が重なり、領域は31より1つ少ない30になる。仮定の一文が答えを守っている。

答

個

別解

オイラーの公式で検算する(得意な人向け)。 平面のつながり方には、頂点 ・辺 ・面 のあいだの普遍の関係がある。

定理オイラーの公式: つながった平面図形で ( は外側の無限に広い面も数える)

この図で数えてみる。頂点は円周上の8点と内部交点70個で 。辺は、円弧が8本(8点で切られる)、弦は1本あたり(交点数+1)本に分かれるから合計 本(交点1つが2本の弦をそれぞれ1回ずつ切る)。あわせて 。

公式から

外側の面を1つ除いて、円の内部は 個。本解の増分勘定と一致した。増分で数える(本解)か、完成図の を勘定してオイラーに任せるか。前者は過程の、後者は構造の数え方だ。2本の道が同じ99で合流すると、答えはもう動かない。

ポイント

  • 弦1本の追加で領域は(交点数) 増える。
  • 内部交点 ⟷ 円周上の4点の選び方()。
  • 。

よくある間違い

  • 領域数を と即断する。 までは合うが で31になり崩れる。実際は指数ではなく組合せの式で表される。
  • 「どの3本も1点で交わらない」の仮定を使う場所を言わない。交点⟷4点の1対1対応は、この仮定があって初めて成り立つ。
  • 弦の分割数を交点の数と同じにする。 個の交点は弦を 本の線分に分ける。

問8格子点が作る三角形の個数

最難関編数え上げ共線点

問題

座標平面上の25個の格子点 ( は 以上 以下の整数)から異なる3点を選ぶ。選んだ3点が三角形の頂点になる選び方は何通りあるか。

ヒントを見る

引くべき「一直線の3点」を、点の側からでなく直線の側から整理できるか。横・縦・45°のほかに、3つの格子点が乗る直線はもうないか。傾きが整数や1/2になる場合をもう一度探してみる。

解答・解説

方針

3点の選び方の総数から、一直線上に並ぶ3点の選び方を引く。共線な3点は「3点以上を含む直線」ごとに数える: 横・縦・傾き±1に加えて、見落としやすい傾き±2、±1/2 の直線がある。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 三角形を直接数えるのは難しいので、全体から退化(3点が一直線)を引くのが基本だ。

共線な3点の数え上げが大事だ。これは「3点以上を含む直線」を全部リストアップし、直線ごとに(その上の点数から3点を選ぶ)組合せを足せばよい。

横・縦・傾き まではすぐ見える。だがこの格子には、傾き と の直線にも3点が並ぶ。ここを見落とすと答えがずれる。

重要三角形の個数 =(3点の選び方)−(共線な3点の選び方)。共線は「直線ごとに 」で漏れなく数える

① 全体。 25点から3点:

② 共線な3点を直線ごとに数える。

  • 横の直線5本・縦の直線5本(各5点):
  • 傾き : 各向きに5点の直線1本、4点の直線2本、3点の直線2本で 。両向きで
  • 傾き と : たとえば傾き2は のように3点がちょうど乗る直線が3本。4方向で
xyO傾き2傾き1/22424
見落としやすい共線: 傾き2の直線(赤: (0,0),(1,2),(2,4))と傾き1/2の直線(青: (0,0),(2,1),(4,2))。それぞれ向きごとに3本ずつある

これ以外の傾き(たとえば3や 、)では、3点目が 〜 の範囲からはみ出すので3点は並ばない。合計

③ 引き算で仕上げる。

まとめ: 「引くべきものを直線の側から整理する」ことが大事だ。等間隔の格子では、傾き のような隠れた共線が必ず候補になる。ベクトルの歩幅 や で3歩が枠に収まるか、と点検すると漏れがない。

発展。 2つの格子点のあいだ(両端を除く)にある格子点の個数は、座標の差の最大公約数を として 個になる。この事実(別解で使う)は格子の幾何のあちこちで使う基本的な性質だ。

答

通り

別解

2点を選んで「間の点」を数える中点勘定(得意な人向け)。 直線をリストアップする代わりに、共線な3点を「両端の2点+間の1点」と見る。

共線な3点のうち両端の2点を とすると、残り1点は線分 の内部の格子点だ。座標の差を 、 とすると、内部の格子点はちょうど 個(線分を 等分する点)。

よって共線な3点の総数はすべての2点ペア(300組)にわたる の和になる。実際に足し上げると

で、本解の直線別の集計と一致する。

この勘定は直線のリストアップ(見落としの恐怖)を、 という機械的な計算に置き換えている。傾き の「隠れた共線」も、 のペアとして自動的に拾われる。見落としの心配がない数え方を設計する、という発想の見本だ。

ポイント

  • 全体は 。
  • 共線は 横縦100 + 斜め で40 + 傾き で12 = 152。
  • 。

よくある間違い

  • 傾き の直線を見落とす(答えが になったらこの見落とし)。
  • 5点の直線の共線3点を 通りなどと数える。正しくは 通り(どの3点でも退化する)。
  • 正負の向き(傾き と など)の掛け忘れ。対称な向きは必ず対で数える。