数学A / 場合の数

場合の数 ★ 基礎の問題 全12問

教科書レベル。定義・公式の確認と基本操作

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 集合の要素の個数(個数定理)
  2. 樹形図・辞書式にすべて書き上げる
  3. 和の法則・積の法則
  4. 約数の個数と総和
  5. 順列 nPr
  6. 0を含む数字で整数を作る
  7. 隣り合う・隣り合わない順列
  8. 円順列
  9. 重複順列
  10. 組合せ nCr
  11. 同じものを含む順列
  12. 最短経路の数

問1集合の要素の個数(個数定理)

★ 基礎個数定理集合

問題

あるクラス40人に、犬と猫を飼っているかを尋ねた。犬を飼っている生徒は22人、猫を飼っている生徒は15人、犬も猫も飼っている生徒は8人であった。

(1) 犬または猫を飼っている生徒は何人か。

(2) 犬も猫も飼っていない生徒は何人か。

ヒントを見る

『または』は2つの輪を合わせた全体、『どちらも』は重なり。まず図(ベン図)に、犬だけ・猫だけ・両方・どちらもなし、の4区画の人数を書き込むと迷わない。重なりを二重に数えていないか注意。

解答・解説

方針

この問題は図をかくとずっとわかりやすくなる。犬を飼う人の輪と、猫を飼う人の輪を、少し重ねてかいてみよう。重なった部分が「犬も猫も飼っている人」だ。

いちばん間違えやすいのは22人と15人をそのまま足してしまうこと。それだと、重なっている8人を2回数えることになる。だから、足したあとに8人を1回だけ引く。やることはこれだけだ。難しい名前(個数定理)は覚えなくてよい。「重なりは1回引く」とだけ覚えよう。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 犬 人と猫 人を単純に足すと 人。しかしクラスは 人で、犬も猫も飼う 人はどちらにも入っている。

足すと、両方飼っている 人を 回数えてしまう。だから 回ぶん引く。

これが個数定理だ。「足しすぎたぶんを引く」、それだけの話である。

(2)は「犬または猫」の反対だから、全体から引く。 人から 人を引いて 人。困ったらベン図を描いて、 つの部屋の人数を書き込む。それが一番確実な方法だ。

A(犬)B(猫)U(40人)148711
犬 A(22人)と 猫 B(15人)、両方は8人

まず図をかいて、重なりの部分に「8人」と書き込もう。

(1) 犬または猫を飼っている人

公式和の個数 (重なりを1回引く)

「または」は、2つの輪を合わせた全体のことだ。そのまま足すと 人。でも、これでは多すぎる。重なっている8人を、犬のほうでも猫のほうでも数えていて、2回分になっているからだ。だから8人を1回だけ引く。

( は犬を飼う人、 は猫を飼う人。 は「どちらか一方でも飼っている人の数」を表す記号だと思えばよい。)

(2) どちらも飼っていない人

クラスは全部で40人。そのうち「犬か猫を飼っている人」が(1)で求めた29人だった。残りが「どちらも飼っていない人」になる。

まとめ:最後に図で確かめよう。犬だけの人は 人、猫だけの人は 人、両方が8人、どちらも飼わない人が11人。全部足すと 人。確かに40人になった。合っている。

発展。 集合が つになると、公式はこうなる。

足す → 引く → また足すと符号が交互に入れかわる。これを包除原理という。

理由はベン図の真ん中の部屋を追えば分かる。 つ全部に属する人は、最初の 項で 回数えられ、次の 項で 回引かれて 回になってしまう。だから最後に 回足し戻す。数えすぎと引きすぎを、交互に修正していく。

この「足しては引く」という発想は、確率(少なくとも つ起こる確率)や整数(倍数の個数の数え上げ)でもよく使われる。数え上げの基礎にある原理であり、 個の集合まで一般化される。 つの場合の は、その最初の一歩だ。

答

(1) 29人 (2) 11人

別解

公式を使わず、 つの部屋の人数を全部埋めるやり方を身につけよう。ベン図を描くと、クラスは必ず次の 種類に分かれる。

  • 犬だけ飼っている人
  • 猫だけ飼っている人
  • 両方飼っている人
  • どちらも飼っていない人

両方から埋めるのがコツ。 分かっているのは「両方 人」。ここが交わりだ。

犬だけは、犬 人から両方の 人を除いて

猫だけは、猫 人から両方の 人を除いて

ここまでで、何かを飼っている人は 人。これが(1)の答えである。残りのどちらも飼っていない人は

これが(2)の答え。 つの部屋は で、合計は となり、クラスの人数とぴったり合う。この検算ができるのが、この方法の強みだ。

表にすると、さらに見通しがよい。

猫を飼う 猫を飼わない 合計
犬を飼う
犬を飼わない
合計

縦・横のどの合計も、確かに辻褄が合う。 のマスのうち つと、周りの合計が分かれば、残りは引き算だけで全部決まるのだ。

この表は分割表と呼ばれ、アンケート集計の現場でそのまま使われている。公式 は、この表の「 を二重に数えた」という事実を式にしただけ。式を忘れても、表を描けば必ず解ける。

ポイント

  • 「または」「両方」「どちらもいない」が出たら、まずベン図をかく
  • そのまま足すと重なりを2回数えるので、重なりを1回引く
  • 「どちらもいない」は、全体から「どちらか一方でも」を引く

よくある間違い

  • 重なりを引かず、 としてしまう(8人を二重に数えている)
  • (2)で全体の40から引くのを忘れ、29のまま答えてしまう
  • 「犬を飼っている22人」を「犬だけを飼っている22人」と読んでしまう(22人には両方飼う8人が含まれている)

問2樹形図・辞書式にすべて書き上げる

★ 基礎数え上げ樹形図

問題

100円硬貨、10円硬貨、5円硬貨を1枚ずつ、同時に投げる。表と裏の出方は全部で何通りあるか。すべて書き上げて求めよ。

ヒントを見る

3枚それぞれに表・裏の2通り。円→円→円の順に、『表・表・表』から規則正しく枝分かれさせて、もれ・だぶりなく書き上げよう。

解答・解説

方針

「全部で何通り」を数えるとき、思いついた順にバラバラに書き出すと、必ず数え落としや同じものの重複が起きる。

そうならないコツは順番を決めて機械的に並べることだ。ここでは硬貨を「100円→10円→5円」の順に見て、それぞれ表か裏かを、決まった順で書き出していく。この「順番どおりに全部書く」やり方が樹形図の考え方だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「すべて書き上げよ」と言われている。数え上げの出発点はもれなく・重なりなく並べることだ。

そのためには順番のルールを決めて機械的に書く。硬貨の順番を「 円 → 円 → 円」と固定し、表を先・裏を後にして、辞書のように並べていく。

思いつくままに書くと、必ずどこかでもれるか、ダブる。「決めた順に書く」だけで、数え上げは正確になる。

樹形図を描けば、枝が と広がる様子が目に見える。 通りという答えの「かたち」まで分かるはずだ。

硬貨を100円→10円→5円の順に見て、表を「オ」、裏を「ウ」と書くことにする。100円が表の場合を先に全部、次に裏の場合を全部、という順で並べると

の8通りだ。なぜ数え落としがないと言えるかというと、「100円が表」の場合で前半4つ、「100円が裏」の場合で後半4つ、と場合をきちんと分けて並べたからだ。

100円10円5円表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏
各硬貨が表・裏の2通りに枝分かれ → 2×2×2=8通り(葉が8つ)

まとめ:慣れてくれば、各硬貨が2通りずつだから 通り、と計算でも出せる。でも最初のうちは、こうして自分の手で全部書き出して「たしかに8通りだ」と目で確かめるのが大事だ。

発展。 表の枚数ごとの内訳 を足すと になった。これは偶然ではない。

「 個から何個か選ぶ選び方を全部足すと 」 と読める。左辺は「選ぶ個数で分類して数えた」もの、右辺は「各要素について入れる・入れないの 択が 回」と数えたものだ。同じものを 通りに数えたから等号が成り立つ。

この「 つのものを 通りに数えて等式を作る」という手口は二重数え上げと呼ばれ、組合せ論でよく使われる証明法である。二項定理 からも同じ式が出る。

枚の硬貨という素朴な設定を 枚に一般化すると、この等式が得られる。具体例を丁寧に観察することが、一般法則を見つける手がかりになる。

答

8通り

別解

書き上げた 通りを、別の目で読み直す。ここに、これから学ぶ「場合の数」のほとんどの種が入っている。見方1: かけ算で出す(積の法則)。

円硬貨の出方は 通り。そのそれぞれについて 円硬貨が 通り。さらにそのそれぞれについて 円硬貨が 通り。

樹形図の枝の本数がそのままかけ算になっている。「 枚あるから 倍」ではなく「 通りが 回」だから 。ここを取り違えないこと。

見方2: 進数として読む。 表を 、裏を と書くと、 通りはこうなる。

これは から までの数を 進法で書いたものだ。 桁の 進数は 個。硬貨の表裏を数えることと、コンピュータが ビットで数を表すことは、まったく同じ数え上げである。

見方3: 「表が何枚か」で分類する。 通りを、表の枚数ごとに数える。

表の枚数 枚 枚 枚 枚
通り数

合計は 。この という並びに見覚えはないだろうか。パスカルの三角形の 段目だ。「 枚のうち表になる 枚を選ぶ」から 通りで、これは後で学ぶ組合せ と同じである。

同じ を、 つの目で見た。 積の法則、重複順列()、組合せの和である。書き上げた 通りの中に、単元全体の設計図が入っている。数え上げに詰まったら、いつでも「全部書き出す」に戻ってよい。公式はその作業を速くするための道具にすぎない。

ポイント

  • 数え上げは順番を決めて機械的に並べる(思いつき順にしない)
  • 樹形図は「1つ目で枝分かれ→2つ目で枝分かれ→…」と枝を伸ばす
  • 書き出した数は と計算でも合う

よくある間違い

  • 順番を決めずに書いて、同じものを重複させたり数え落としたりする
  • 「表2枚・裏1枚」のような種類の数(4種)と、並びまで区別した数(8通り)を混同する
  • 硬貨が3枚だからと や と計算する(正しくは「2通りが3回」で )

問3和の法則・積の法則

★ 基礎積の法則和の法則

問題

あるレストランには、前菜が3種類、主菜が4種類、デザートが2種類ある。

(1) 前菜・主菜・デザートを1品ずつ選ぶとき、選び方は何通りか。

(2) 主菜またはデザートのうち、どれか1品だけを選ぶとき、選び方は何通りか。

ヒントを見る

『続けて選ぶ(前菜も主菜もデザートも)』のか『どちらか一方だけ』なのかを見分ける。前者は各段階の数をかけ、後者はたす。この使い分けが大事だ。

解答・解説

方針

この問題は、2つのやり方(かけ算・たし算)を使い分けるのがねらいだ。見分け方は問題文のつなぎ言葉にある。「〜して、さらに〜する」と続けて選ぶときはかけ算。「〜または〜」でどちらか一方だけのときはたし算。

(1)は前菜・主菜・デザートを続けて3品選ぶのでかけ算。(2)はどちらか1品だけなのでたし算だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「たすのか、かけるのか」は、場合の数で最初に迷うところだ。見分け方は つ。

「 つとも選ぶ(かつ)」ならかける。「どれか 品だけ(または)」ならたす。

(1)は前菜も主菜もデザートも選ぶ。前菜 通りのそれぞれについて主菜が 通り、そのそれぞれについてデザートが 通りある。枝が枝分かれしていくのでかけ算になる。

(2)は主菜かデザート、どちらか一方だけ。 品しか選ばないのだから、選択肢は主菜の 種類とデザートの 種類を並べただけ。重なりもない( つの料理が主菜でもデザートでもある、ということはない)。だからたし算。

「かつ」か「または」かを、問題文の日本語を読み直して確かめる。それが最初の一手である。

公式積の法則:続けて選ぶときは、各段階の場合の数をかけ合わせる

(1) 前菜の選び方は3通り。その1つ1つに対して主菜が4通りずつ、さらにその1つ1つに対してデザートが2通りずつある。続けて選んでいくので、数をかけていく。

イメージとしては、前菜3本の枝がそれぞれ主菜4本に分かれ、さらにデザート2本に分かれる木を思い浮かべるとよい。枝の先の数がかけ算になる。

(2) 今度は1品だけ選ぶ。それが主菜のときとデザートのときは、同時には起きない(1品だけだから)。こういうときはたす。

(1)でかけて(2)でたした違いは、「続けて選ぶ(かけ算)」か「どちらか一方だけ(たし算)」かの1点だけだ。問題文の「1品ずつ」と「どれか1品だけ」を読み分けよう。

発展。 積の法則には、見落としやすい条件がある。「前菜を選んだ結果、主菜の選択肢が減る」ようなことが起きない、という前提だ。

もし「和風の前菜を選んだら、主菜は和食 種類からしか選べない」というルールがあれば、単純な は使えない。場合分けして、それぞれで積の法則を使い、最後に足すことになる。

積の法則で数え、和の法則でつなぐ。複雑な数え上げはたいていこの組合せでできている。順列 も「 人選ぶごとに候補が 人減る」という変化する選択肢を積の法則で扱ったものだ。

「 段目を決めたとき、 段目の選択肢は何通りか」を毎回きちんと確かめることが大事だ。それが一定なら単純なかけ算、変わるなら場合分け。この問いを飛ばさなければ、数え間違いが減る。

答

(1) 24通り (2) 6通り

別解

かけ算とたし算の違いを、絵で見て区別できるようにしよう。公式でなく形で覚えれば、迷わない。積の法則は「長方形の面積」。

前菜を行、主菜を列にして表を作る。前菜 種類 主菜 種類 行 列の表ができ、マスは 個。マス つが「前菜と主菜の組合せ つ」だ。

さらにデザートが 種類。 個のマスそれぞれが 階建てになると思えばいい( 階がデザートA、 階がデザートB)。立体の箱で言えば のブロック。

選ぶものが増えるたびに、次元が つ増える。積の法則を図にすると、こうなる。和の法則は「箱を横に並べる」。

(2)では選べる料理を書き出してみる。

  • 主菜: ( 個)
  • デザート: ( 個)

品だけ選ぶのだから、この 個の中から つ指さすだけ。

表のマスにはならず、 列に並ぶ。 掛け算になる余地がない。

見分けの合言葉。

  • かけ算: 選択が続く(前菜を選んだ、その上で主菜も選ぶ)。「 して、さらに 」
  • たし算: 選択肢が並ぶ(主菜から選ぶか、デザートから選ぶか)。「 か、または 」

なお和の法則には重要な前提がある。 つのグループに同じものが入っていない(重なりがない)ことだ。もし「主菜にもデザートにもなる一品」があったなら、単純に足すと二重に数えてしまう。そのときは重なりを引く(それが個数定理だ)。和の法則と個数定理は、地続きの話である。

ポイント

  • 続けて選ぶ(かつ)ときは、各段階の数をかける
  • どちらか一方だけ(または)のときは、数をたす
  • 決め手は「かつ(かけ算)」か「または(たし算)」かの読み分け

よくある間違い

  • (2)で とかけてしまう(1品だけなのにかけている)
  • (1)を「前菜または主菜または…」と読み違えてたしてしまう
  • 和の法則を、重なりのあるグループにそのまま使う(重複があるときは引き算が必要)

問4約数の個数と総和

★ 基礎約数の個数素因数分解

問題

72 について、次の問いに答えよ。

(1) 72 の正の約数は何個あるか。

(2) 72 の正の約数の総和を求めよ。

ヒントを見る

まず素因数分解する。約数は『各素因数を何個使うか』の組み合わせで決まる。『 個(使わない)』も1通りに数えるのを忘れずに。総和は各素因数の 個〜最大個の和どうしをかけると出る。

解答・解説

方針

約数の問題は、まず素因数分解をするのが出発点だ。 と分解できると、72の約数はすべて「2を何個か、3を何個か、かけ合わせた数」として表せる。たとえば は72の約数だ。

こうして「2を何個使うか」「3を何個使うか」の選び方で約数が決まる、と考えるのがコツだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 約数を つずつ探すのは効率が悪い。素因数分解して、約数の「作り方」から数える。

の約数とは を何個か・ を何個か掛け合わせたもの。 の個数は の 通り、 の個数は の 通り。この つを独立に選べるので、積の法則で

注意するのは「 個」を数え忘れないこと( を 個使うのも立派な選択で、それが奇数の約数になる)。だから指数に する。総和も同じ発想で、「 の使い方の合計」と「 の使い方の合計」を掛ける。

まず素因数分解する。

公式約数の個数: なら 個(各素因数の指数の選び方の積)

72の約数は2を 個、3を 個かけた の形で全部表せる。 は の4通り、 は の3通りだ。

(1) 「2を何個使うか」の4通りと、「3を何個使うか」の3通りは、別々に選べる。だからかけ算で

指数に するのは、「0個(その素数を使わない)」という選び方を数えるためだ。ここを忘れやすい。

(2) 約数の総和は次のかけ算を計算すると求まる。

なぜこれで総和になるかというと、このカッコを展開すると、 の形の約数が1個ずつ全部、ちょうど1回ずつ出てくるからだ。たとえば も、この展開の中に必ず現れる。

発展。 約数の個数が奇数になるのは、どんな数のときだろうか。

上で見たように、約数は「掛けて になるペア」で作られる。だから普通は偶数個。ペアの相手が自分自身になるとき、つまり が平方数のときだけ、 個あまって奇数個になる( なら の だけが組にならない)。

公式で見ても同じだ。 の約数の個数 が奇数 も も偶数 は平方数。 つの説明が同じ結論に着く。

この事実は有名なパズルの答えにもなっている。「 個のロッカーが閉じている。 番目の人が全部開け、 番目の人が の倍数を切り替え、 番目の人が の倍数を切り替え 番目まで終わったとき、開いているロッカーは?」という問題で、答えは番号が平方数のロッカー( の 個)だ。切り替えられた回数が約数の個数で、奇数回切り替わったものだけが開いているからだ。

約数の個数という素朴な量が、パズルの構造を丸ごと決めている。

答

(1) 12個 (2) 195

別解

全部書き出して、公式が本当に正しいことを確かめよう。 そのうえで「なぜ総和の公式があの形になるのか」の理由を説明する。約数を小さい順に全部書く。

数えると 個。足すと

公式の答えと一致した。

書き出すときのコツはペアで探すこと。、、、、、 と、掛けて になる組を小さいほうから順に見つける。 で を越えたので終わり。 組できたから、約数は 個。この探し方なら、もれも重複も起きない。

さて、理由を説明する。なぜ総和が になるのか。 この積をそのまま展開してみる。

展開して出てくる項は 個。それを計算すると

これは、さっき書き出した約数の一覧と完全に同じ集合だ(順番が違うだけ)。

つまり 「約数を全部足す」「 の使い方の合計 の使い方の合計 を展開する」。展開の各項が約数 つずつときれいに 対 で対応しているのである。

公式は暗記事項ではなく、「約数 素因数の選び方」という つの見方から、個数()も総和()も同時に出てくる。同じ絵を、数えるか、足すかの違いだけだ。

なお は等比数列の和 、 は である。指数が大きい数(たとえば )でも、等比数列の和の公式ですぐに出る。

ポイント

  • 約数の問題はまず素因数分解
  • 約数の個数 (各指数に 。0個の分を数える)
  • 約数の総和

よくある間違い

  • 個数を としてしまう( を忘れ、0個の場合を落としている)
  • 総和の式で や の項を書き忘れる
  • 総和を とたし算でつないでしまう(正しくはかけ算。展開が約数の一覧になる)

問5順列 nPr

★ 基礎順列

問題

7人の生徒の中から、委員長・副委員長・書記をそれぞれ1人ずつ選ぶ。選び方は何通りあるか。

ヒントを見る

3つの役に順に人を割り当てる。委員長は何通りか。決まったら副委員長は残りから、書記はさらに残りから選ぶ。各段階の数をかける(順番に区別があるので順列)。

解答・解説

方針

この問題は委員長・副委員長・書記という3つの役を、7人で埋める問題だ。ここでは、3つの役は区別されることが大事だ。同じ3人が選ばれても、誰が委員長かで別の選び方になる。だから順番(誰がどの役か)が意味をもつ。こういうのを順列という。

役を1つ埋めるごとに、残りの人が1人ずつ減っていく、と考えて数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 委員長・副委員長・書記は役が違う。 が委員長で が副委員長、と、 が委員長で が副委員長は、別物だ。

役の区別があるなら順列である。

席を つ並べて、左から埋めていくと考えよう。

  • 委員長: 人の誰でもよい → 通り
  • 副委員長: 委員長になった人は使えない → 残り 通り
  • 書記: さらに 人減って → 通り

選ぶたびに候補が 人ずつ減る。これが順列の特徴だ。掛ける個数は「選ぶ人数」と同じ 個。 個掛けたり、 個で止めたりしないこと。

公式順列 (並べる=順番が意味をもつ)

3つの役は区別されるので、これは7人から3人を選んで並べる順列だ。記号では と書く。

順に埋めていこう。委員長は7人の誰でもよいので7通り。委員長が決まると、副委員長はもう選べないその人を除いた残り6人から選ぶので6通り。さらに書記は残り5人から5通り。続けて選ぶのでかけ算して

まとめ:かける数が と1ずつ減るのは、1人選ぶごとに残りが1人ずつ減るからだ。「役は3つだから、かける数は3個」と本数を意識すると、 で止めたり、 まで余分にかけたりするミスを防げる。

発展。 順列の公式は階乗を使うとこう書ける。

は と書ける。使わない下のほうを、割り算で消している。

この形にすると、 のとき となる。 人全員を並べるのは 通りのはずだから、 と決めておくと辻褄が合う。 は「そう決めると公式が全部きれいに動くから」という理由で定められている。数学ではしばしば、こうした「定義の後付け」で体系が整えられる( も同じ考え方だ)。

なお の は「並べる」を表す言葉の頭文字、 の は「選ぶ」を表す言葉の頭文字である。記号の意味を知っておくと、どちらを使うか迷ったときの手がかりになる。

答

210通り

別解

「選ぶ」と「並べる」を、 段階に分けて数えるとどうなるか。この見方が次に習う組合せへの橋になる。

手順1: まず、役を気にせず 人選ぶ。

人から 人を選ぶ選び方は 通りだ。

手順2: 選ばれた 人に、役を割りふる。

たとえば の 人が選ばれたとしよう。この 人に委員長・副委員長・書記を配る方法は、 人の並べ方と同じで

( が委員長・ が副・ が書記、 が委員長・ が副・ が書記、 と 通り。)

手順3: 掛ける。

本解と同じ答えだ。この 段階がそのまま公式の意味になっている。

順列 組合せ 並べ替え。 言いかえれば

組合せ 順列を、並べ替えのぶんで割ったもの。 組合せの公式の分母に が現れる理由が、これではっきりする。同じ 人組を、順列では 回も数えているから、 で割って 回にしているのだ。

使い分けの合言葉。

  • 役・順番・場所の区別がある → 順列(並べる)
  • 区別がなく、メンバーだけが問題 → 組合せ(選ぶ)

この問題を「掃除当番 人を選ぶ」に変えれば、答えは 通り。同じ 人と という数字でも、区別の有無で答えが 倍違う。問題文の「それぞれ 人ずつ」「役割の区別はない」という一言を、決して読み飛ばしてはいけない。

ポイント

  • 役や順番が区別されるときは順列
  • は から始めて1ずつ減らした数を 個かける
  • 「役の数 = かける数の個数」で本数を確かめる

よくある間違い

  • かける数の個数を間違える( で止める、 までかける)
  • 役の区別を見落として、組合せ で計算してしまう
  • を と混同する(使うのは上から3個ぶんだけ)

問60を含む数字で整数を作る

★ 基礎順列整数を作る

問題

0, 1, 2, 3, 4 の5個の数字から異なる3個を使って、3桁の整数を作る。

(1) 全部で何個できるか。

(2) そのうち偶数は何個できるか。

ヒントを見る

先頭(百の位)に は使えない、が最大の注意点。(1)は百の位を先に決める。(2)偶数は一の位が偶数になる。ただし一の位が のときと 以外のときで、先頭に が回せるかが変わるので分けて数える。

解答・解説

方針

0が混じった数字で整数を作る問題には、1つ大事なルールがある。先頭(いちばん上の位)に0は置けない。0を置くと3桁ではなくなってしまうからだ。

そこでコツは条件のきつい位から先に決めること。(1)では先頭(百の位)を、(2)では偶数の条件がかかる一の位を、先に決めると数えやすい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) が入っていることに注意する。

は百の位に置けない。 は 桁の数ではないからである。だから制約のきついところ(百の位)から先に決める。これは数え上げの原則だ。

  • 百の位: は使えないので の 通り
  • 十の位: 百の位で使った 個を除いた残り 個( も使える)→ 通り
  • 一の位: さらに 個減って 通り

(2)の偶数は、条件がもう つ増える。一の位が であることだ。ここでも「制約のきつい一の位」から決めるが、一の位が のときとそうでないときで、百の位の自由度が変わる。だから場合分けが要る。

(1) 条件のきつい百の位から決める。百の位に0は置けないので、 の4通り。残る十の位・一の位にはまだ使っていない4個(0を含む)から2個を選んで並べるので 通り。かけ算して

(2) 偶数になるのは、一の位が のとき。ここで、一の位が0のときと、2や4のときで事情が変わる。だから場合を分ける。

一の位が0のとき: 0は一の位で使ってしまったので、百の位は残り の4通り。十の位は残り3個から3通り。 個。

一の位が2のとき: 百の位は0と2を除いた の3通り。十の位は残り3個から3通り。 個。

一の位が4のとき: 同じように 個。この3つは同時に起きないので、たして

まとめ:一の位を0とそれ以外で分けたのは、一の位が0のときだけ、百の位が0を気にせず4通り選べるからだ。ここを分けないと数を間違える。

発展。 この問題が教えているのは「条件のきついところから決める」という数え上げの原則だ。

なぜか。ゆるいところから決めると、後で来る「きつい条件」の選択肢数がその前の選択に依存して変わってしまい、単純なかけ算ができなくなるからである。十の位から先に決めると、そこに を入れたかどうかで百の位の候補数が変わる。そうなると場合分けが増えるだけだ。

同じ原則はいろいろな場面で使われる。

  • 数独やパズルは、候補の少ないマスから埋める
  • 方程式は、条件の強い式から使う
  • 図形問題は、直角や等辺のある部分から攻める

自由度の低いところが全体の形を決める。 これは数学に限らない、問題解決の一般則だろう。

なお、 を含む数字の問題では「 を使わない場合」と「 を使う場合」で分ける手もある。どのルートを通っても答えは同じだが、場合分けの数が少ないルートを選ぶ。その判断ができることが、数え上げの実力である。

答

(1) 48個 (2) 30個

別解

「引き算で数える」ルートを通ってみよう。数えにくいものを直接数えず、全体から要らないものを引く。場合の数で最もよく使う方法だ。

(1) 引き算で。

まず「 を先頭に置いてもよい」ことにして、 個から 個を選んで並べる。

このうち、百の位が になってしまったものを数えて引く。百の位が と決まると、残る十の位・一の位は の 個から 個を並べるので

したがって

本解と一致した。「ダメなものを数えて引く」ほうが、場合分けより楽なことが多い。

(2) 偶数も引き算で出せる。 桁の数は偶数か奇数のどちらかだから

奇数は一の位が か のとき。ここが でないので、百の位の制約が単純になる。

  • 一の位: か の 通り
  • 百の位: と、一の位で使った数を除くので 通り
  • 十の位: 残り 通り

よって偶数は

本解の場合分け()と一致した。

なぜ奇数のほうが数えやすいのか。 奇数では一の位が か で、 が絡まないので、百の位の「 禁止」を一律に処理できる(場合分けが不要)。偶数だと一の位に が来るかどうかで百の位の候補数が変わるから、場合分けが要る。

教訓。「数えにくいほう」を直接攻めない。 反対側( 余事象)が数えやすいなら、そちらを数えて引く。この発想は確率の「少なくとも つ 」の問題で、これから何度も使う。

つのルートで同じ が出た。これが何よりの検算である。

ポイント

  • 先頭(いちばん上の位)に0は置けない → 条件のきつい位から先に決める
  • 偶数になるのは一の位が偶数(0・2・4)のとき。一の位を先に決める
  • 一の位が0か、それ以外かで、百の位の選び方が変わるので場合分け

よくある間違い

  • (1)で百の位に0を許して としてしまう
  • (2)で一の位が0の場合と2・4の場合を分けず、一律に数えて間違える
  • 制約の弱い位から先に決めてしまい、あとで百の位の候補数が分からなくなる(きつい条件から先に決める)

問7隣り合う・隣り合わない順列

★ 基礎順列隣り合う

問題

男子3人、女子2人の合計5人が1列に並ぶ。

(1) 女子2人が隣り合う並び方は何通りか。

(2) 女子2人が隣り合わない並び方は何通りか。

ヒントを見る

(1)隣り合う女子2人は『1つのかたまり』にまとめて並べ、あとでかたまりの中の並びをかける。(2)隣り合わないものは直接数えにくい。全体から(1)を引くのが早い。

解答・解説

方針

「隣り合う」問題には、便利なやり方がある。隣り合う2人を、ひもで結んで1人分のかたまりとして扱うことだ。女子2人を1つのかたまりにすると、並べる人数が減って考えやすくなる。ただし、かたまりの中でも女子2人の並ぶ順があるので、それも数える。

「隣り合わない」は正面から数えにくい。そこで、全部の並べ方から「隣り合う」を引く、という裏返しの手を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「隣り合う」と言われたら、 人を つのかたまりにする。これがこの型の第一手だ。

女子 人をひもで縛って 人ぶんの荷物にすれば、並べるのは「男子 人 女子のかたまり」の 個になる。その並べ方は 通り。

そして、かたまりの中でも 人が入れかわれる( と )。この を掛け忘れるのが最頻ミスだ。

(2)の「隣り合わない」は、直接数えると場合が散らばって数えにくい。そこで全体から「隣り合う」を引く。

数えにくいほうは、反対を数えて引く。

公式隣り合う並べ方:隣り合うものを1かたまりにして並べ、かたまりの中の並べ方をかける

(1) 女子2人をひもで結んで、1つのかたまりだと思う。すると並べるものは「男子3人 + 女子のかたまり」の4つになる。この4つの並べ方は 通り。

さらに、かたまりの中で女子2人の並ぶ順が 通りある。両方かけて

かたまりの中の をかけ忘れるのが、いちばん多いミスだ。「かたまりにしたら、中の並びも数える」とセットで覚えよう。

(2) 「隣り合わない」を最初から数えようとすると、場合が多くて大変だ。そこで、全部の並べ方から「隣り合う」場合を引く。

全部の並べ方は 通り、隣り合うのは(1)の48通りだから

ABCDE1組とみて並べ、中で×2!
隣り合う2人(C,D)を1つのかたまりとして並べ、かたまりの中で並べかえる

まとめ:「隣り合わない = 全部 − 隣り合う」と裏返して数えるのがコツだ。正面から数えるのが大変なときは、反対側から数えられないか考えてみよう。

発展。 すきま法は「 人並べたら、すきまは か所」という単純な事実の上に立っている。この (両端のぶん)を落とすかどうかが、正解できるかどうかの分かれ目だ。

一般化してみよう。男子 人、女子 人が誰も隣り合わないように並べるには

そしてこの式は のとき になる(すきまの数より女子が多ければ、どうやっても隣り合ってしまう)。 のような記号は定義されない。式を見れば「不可能」が自動的に分かる。

たとえば男子 人・女子 人では、すきまは か所しかないので、女子 人を別々に入れることはできない。鳩の巣原理(巣より鳩が多ければ、どこかに 羽入る)そのものである。

数え上げの式から、単に数を出すだけでなく「そもそも可能か」まで分かる。 答えが になったり、記号が定義できなくなったりしたときこそ、問題の構造が見えている瞬間だ。

答

(1) 48通り (2) 72通り

別解

(2)は引き算に頼らず、直接数えることもできる。「隣り合わない」を積極的に作りにいく方法で、すきま法と呼ばれる。人数が増えたときはこちらのほうが強い。

手順1: まず、じゃまにならない男子だけを並べる。

男子 人を 列に並べる。

手順2: 男子の「すきま」を数える。

男子が 人並ぶと、女子が入れる場所は男子と男子のあいだ、および両端である。

下線の場所は か所ある( 人の両側で )。

手順3: すきまに女子を入れる。

女子は別々のすきまに入れる。 そうすれば、女子どうしのあいだに必ず男子が 人以上いるので、決して隣り合わない。 か所のすきまから か所を選び、そこに女子 人を並べる(どちらの女子がどちらのすきまか、で区別がつく)。

手順4: 掛ける。

引き算のルートと同じ答えだ。

すきま法の何が強いのか。 「隣り合わない」人が 人以上になると、引き算のルートは急に難しくなる。「少なくとも 人が隣り合う」を引こうとすると、 人だけ隣り合う場合と 人固まる場合が重なって、包除原理が必要になるからだ。

一方すきま法なら、人数が増えても手順は同じ。男子 人・女子 人が隣り合わないなら、 となる。すきまが か所になるだけである。

「隣り合う」ならかたまり、「隣り合わない」ならすきま。 つの型をセットで覚えておくと、この手の問題はすべて片づく。そして引き算のルートと突き合わせて検算する。 つの方法で同じ数になれば、まず間違いない。

ポイント

  • 隣り合う → ひもで結んで1つのかたまりにする。中の並び()もかける
  • 隣り合わない → 全部から「隣り合う」を引く(裏返して数える)
  • 「かたまりを並べる数 × かたまりの中の並ぶ数」がワンセット

よくある間違い

  • (1)でかたまりの中の をかけ忘れ、 で止めてしまう
  • (2)を最初から数えようとして場合を落とす(全部から引くのが安全)
  • すきま法で、すきまの数を男子の人数と同じ3か所と数えてしまう(両端も入れて4か所)

問8円順列

★ 基礎円順列

問題

6人が円形のテーブルに等間隔で座る。回転して同じ並びになるものは同じ座り方とみなす。

(1) 座り方は全部で何通りか。

(2) 特定の2人 A, B が隣り合う座り方は何通りか。

ヒントを見る

円は回すと同じになるので、1人を固定して残りを並べると考える。(2)特定の2人が隣り合うなら、その2人を1つのかたまりにして円に並べ、中の2人の並びをかける。

解答・解説

方針

円形に並べるときは、1列に並べるときと1つだけ違う点がある。回転すると同じ並びになってしまうことだ。たとえば6人が全員1つずつ席をずれても、円で見れば同じ並びだ。だから単純に とすると、同じ並びを何回も数えてしまう。

これを防ぐコツは1人の席を先に固定してしまうこと。基準になる1人を決めれば、回転してもズレなくなる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 円卓では回転して重なる並びは同じものとみなす。 列に並べる 通りをそのまま答えにすると、同じ座り方を 回ずつ数えてしまう(円を 目盛りずつ回した 通りが全部同じだから)。

対処は つある。

  • 割る:
  • 固定する: 人の席を決めてしまう。 を「北」の席に固定すれば、もう回転の自由はない。残り 人を並べて

どちらでも同じだが、固定する考え方のほうが応用が利く。円順列では誰か 人を基準にして、そこから見た並びを数える。(2)も同じ発想で、 を固定してから の座れる席を考えればよい。

AB
6人が座る円卓。回転して同じ並びは同一とみなす
公式円順列: 個を円に並べる方法は 通り(1つを固定して残りを並べる)

(1) 円で並べるときは、回転して同じになるものを1つと数えたい。そこで、まず1人の席を固定してしまう。すると、残りの5人を、固定した人から見た残りの席に並べる問題になる。

としないのは、6通りの回転がどれも同じ並びを表すからだ。だから と、数え過ぎた分を割り落とす。「1人を固定する」というのは、この割り算を先に済ませたのと同じことだ。

(2) A, Bをひもで結んで1つのかたまりにする。すると「かたまり + 残り4人」の5つを円形に並べる問題になるので 通り。さらに、かたまりの中でA, Bの並ぶ順が 通り。

まとめ:隣り合う条件は1列のときと同じで「かたまりにして、中の並びも数える」。違うのは、かたまりにしたあとが円順列なので になる点だけだ。

発展。 円順列は「回転で移り合うものを同じとみなす」数え方だった。では、裏返しも同じとみなしたらどうなるか。

たとえば 個のビーズで首飾りを作るとき、裏返せば時計回りと反時計回りは区別できない。このときの数え方をじゅず順列といい、円順列をさらに で割る。

「同じとみなす操作」が増えるほど、割る数が増える。 回転( 通り)で割り、さらに裏返し( 通り)で割る。この「対称性の数だけ割る」という発想は、大学で学ぶ群論(対称性の数学)の基礎になる。

ただし注意が必要だ。裏返して自分自身に重なる並びがあると、単純に で割るのは誤りになる(その並びは 回数えられていないから)。今回のように全員が異なる人なら問題ないが、同じ色のビーズが混じると話が変わる。

「割り算で重複を消す」ときは、「すべてがちょうど同じ回数だけ重複しているか」を必ず確かめる。ここは場合の数で最も注意すべき点である。

答

(1) 120通り (2) 48通り

別解

の席を固定するという一手だけで、(1)も(2)も暗算に近くなる。円順列の問題はこれ つで戦える。

(1) を固定して数える。

をテーブルの「 時の席」に座らせてしまう。もう回転はできない( の位置が動かないから)。残り 人を、 から時計回りに つの席へ並べるだけ。

「」という公式の は、 人を固定したからである。丸暗記でなく、こう理解しておけば忘れない。

(2) を固定し、 の席を考える。

は 時に固定。 の隣は左隣と右隣の 席。 はこのどちらかに座る。

と の席が決まれば、残り 人を残り 席に自由に並べるだけ。

したがって

公式ルート()と同じ答えになった。固定法の利点は つある。

つ目: 「かたまりを作った後も円順列」という点を忘れない。 (2)を「 をかたまりにして 個を並べる」と考えたとき、 としてしまう誤りが非常に多い。円卓なのだから、かたまりにした後も円順列で である。固定法なら、そもそもこの心配がない。

つ目: 条件が増えても素直に伸びる。 「 と が向かい合う」なら、 を固定した時点で の席は 通りに決まり、 通り。「 と が隣り合わない」なら、 の席は隣 席を除く 通りで 通り(検算: )。

円順列は「誰か 人の目線に立つ」ことで、ただの順列になる。 回転の自由度という厄介者を、 人を釘づけにすることで消し去るのだ。

ポイント

  • 円順列は1人を固定する → 人の円順列
  • にしない理由: 回転して同じになる 通りを割り落とすため
  • 隣り合う条件は、かたまりにして、そのあとも円順列 で数える

よくある間違い

  • 円順列を としてしまう(回転して同じ分を割っていない)
  • (2)でかたまりにしたあとを (1列)としてしまう(円順列なので )
  • (2)で の隣を1席だけと数える(左右2席ある)

問9重複順列

★ 基礎重複順列

問題

A, B, C の3人が、それぞれ赤・青・黄・緑の4色のカードから好きな色を1枚選ぶ。同じ色を何人が選んでもよい。色の選び方は全部で何通りあるか。

ヒントを見る

同じ色を何人が選んでもよい=前の人の選択に左右されない。、、 それぞれが独立に 通りあるので、各自の数をかける。

解答・解説

方針

この問題のポイントは「同じ色を何人が選んでもよい」という一文だ。順列では、1人選ぶたびに残りが減った。でもここでは減らない。Aが赤を選んでも、Bはまた赤を選べる。

つまり、A・B・Cのそれぞれがいつも4色から自由に選べる。だから4通りずつを人数分かける。こういうのを重複順列という。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 順列との違いは、 行の条件だけだ。

「同じ色を何人が選んでもよい」 とある。つまり、 が赤を選んでも、 の選択肢は減らない。だから順列のように とはならない。

  • : 通り
  • : が何を選ぼうと 通り
  • : やはり 通り

選択肢が減らないので、同じ数を掛け続ける。これが重複順列だ。

か かで迷ったら、こう考える。「 通りの選択が、 回起こる」。だから を 回掛ける。下(底)が選択肢の数、肩(指数)が選ぶ回数である。

公式重複順列: 通りから重複を許して 回選ぶと 通り

「同じ色を何人が選んでもよい」ので、誰かが色を選んでも、次の人はまた4色から選べる。選択肢は減らない。だからA・B・Cはそれぞれ4通りずつ自由に選べる。かけ算して

これは4個から3個を選ぶ重複順列だ。順列 とは違って、かける数が減らない。選んでも選択肢が元に戻る(同じ色をまた選べる)からだ。

「選択肢が毎回元に戻るか、1つずつ減るか」を見分けるのが、重複順列と順列の分かれ道になる。

まとめ:式の形は「(選択肢の数)の(選ぶ回数)乗」で 。どちらが色の数(4)で、どちらが人数(3)か、意味に戻って確かめよう。

発展。 重複順列 の指数関数的な増え方は、想像を超えて速い。

色・ 人なら 通りだが、 色・ 人なら となり、 万通りを超える。人が 人増えるたびに、場合の数は 倍になるからだ。

この急激な増え方は暗証番号の強さの根拠でもある。 桁の数字の暗証番号は 通り。桁を つ増やして 桁にすれば 万通りになる。 桁で 倍安全になる。パスワードに英大小文字と記号を混ぜて選択肢を 通りに増やせば、 文字で 通りになる。

「長さを足すと、場合の数は掛け算で増える」 と言える。足し算的な努力が掛け算的な効果を生む。これが指数の力だ。

逆に言えば、総当たりで解ける問題の限界もここで決まる。 個のものの並べ方 は指数よりさらに速く増え、 にもなる。1秒に10億通り調べても、全部を調べるのに80年近くかかる数だ。総当たりで調べられる範囲には限りがある。

答

64通り

別解

と の取り違えはこの単元で最も多いミスだ。二度と迷わないための考え方を つ渡しておく。考え方1: 「人」を主語にして、 人ずつ配る。

さんの前に立って聞く。「何色にしますか?」への答えは 通りだ。 さんにも聞く。 通り。 さんにも。 通り。

質問した回数 回(人数)。毎回の答えの数 (色数)。

「人の数だけ掛け算が並び、色の数が掛けられる数になる」。主語を人にすれば、迷いようがない。考え方2: 対比して覚える。

同じ「 人と 色」でも、条件が変われば答えは変わる。

条件 数え方 答え
同じ色を何人選んでもよい
人とも違う色

「重複してよい 減らない 累乗」「重複ダメ 減る 順列」。 この対比を頭に入れておけば、問題文の「同じ色を選んでもよい」という一言が、使う公式を決める手がかりになる。

もし ならどんな問題か。 「 色のカードそれぞれを、 人の誰かに 枚ずつ配る」なら 通りだ。配られる側と配る側が入れかわっている。 「何が選ばれる側で、何が選ぶ側か」を取り違えると、この つが逆になる。

見分け方は1つだけだ。 つの選択が終わったとき、次の選択肢は減っているか? 減っていなければ累乗。減っていれば順列。この 問だけを自分に投げかければよい。

もっと高い視点から。 この数え方は「 人のそれぞれに 色のどれかを対応させる方法は何通りか」、つまり 個の要素から 個の要素への対応(写像)の総数を数えている。一般に 個から 個への対応は 通り。肩に乗るのは出発点の個数である。 と の 択が 回で 、サイコロ 個の目の出方が で、どれも同じ形をしている。

ポイント

  • 同じものを何度選んでもよい → 選択肢が減らない → 毎回同じ数をかける
  • 個から重複を許して 個 → (選択肢の数の、選ぶ回数乗)
  • 順列 (減る)との違いは「同じものを選べるか」の1点

よくある間違い

  • 順列 で計算してしまう(選択肢が減らないのに減らしている)
  • と を取り違える(下=選択肢の数、肩=選ぶ回数)
  • 組合せ で計算してしまう(誰がどの色かの区別があるので組合せではない)

問10組合せ nCr

★ 基礎組合せ

問題

8人の生徒の中から、掃除当番を3人選ぶ。3人に役割の区別はない。選び方は何通りあるか。

ヒントを見る

役の区別がない=選ぶ順番は関係ない。だから順列ではなく組合せ。 人から 人を『選ぶだけ』の数を考えよう。

解答・解説

方針

この問題は、委員長・副委員長…のような役の区別がなく、「ただ3人を選ぶ」だけだ。このときは、選ぶ順番は関係ない。たとえばAさん・Bさん・Cさんの3人を選ぶのに、どの順で選んでも、できあがる3人組は同じだからだ。

順番を区別しないこういう選び方を組合せといい、 で計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 人に役割の区別はない」という一言から、組合せを使うと分かる。

を選ぶのも を選ぶのも、同じ 人組。順番は関係ない。もし順番をつけて数えると(順列)、 人組 つを 回も数えてしまう。だから で割って 回にする。

分母は ではなく 。 ここを間違えないこと。

「選ぶだけか、並べるまでか」 の答えは、問題文に必ず書いてある。

公式組合せ (選ぶだけ=順番は関係ない)

3人に役の区別がないので、選ぶ順番は関係ない。こういうときは組合せ を使う。

分母の で割る意味を確かめておこう。もし役を区別して並べるなら 通り。でも同じ3人組は、並べ方が 通りあって、その6通りが全部ダブって数えられている。この順番の違いを消すために6で割る。

まとめ:「順番を区別すれば順列、区別しなければ組合せ( で割る)」。この対応が場合の数の基本になる。

発展。 組合せの数 は数IIで学ぶ二項定理の係数として再登場する。

なぜ組合せが出てくるのか。 を展開するとき、 個の からどの 個で を選ぶかを決めれば、 の項が つできる。その選び方は 通りなので、 の係数は になる。

「展開の係数」と「選び方の数」が同じものだと分かると、代数と数え上げが一本につながる。だから は二項係数とも呼ばれる。パスカルの三角形の各段が の係数になっているのも、この対応の帰結だ。 は の係数そのものである。

数える(組合せ)・展開する(代数)・足し上げる(パスカル) の つの場面で同じ数が現れ、高校数学のあちこちで使われる。

答

56通り

別解

組合せの計算には、割り算をまったく使わない道がある。特定の 人に注目して、入るか入らないかで場合分けするやり方だ。

さん 人に注目する。 掃除当番の 人組は次の 種類しかない。

(i) が当番に入る場合。 はもう決まったので、残り 人から 人を選べばよい。

(ii) が当番に入らない場合。 を除いた 人から 人を選ぶ。

この つに重なりはなく、これで全部である( は入るか入らないかのどちらか)。だから足す。

本解と一致した。この関係を式にすると

一般に

これがパスカルの法則だ。上の段の隣り合う 数を足すと、下の段の数になる。パスカルの三角形は、この式で組み上がっている。

掛け算も割り算も使わず、足し算だけで組合せの値が出る。手計算でも、コンピュータでも(桁あふれしにくいので)重宝する方法である。もう つ、計算を楽にする性質。

「 人から当番 人を選ぶ」ことは、「 人から居残らない 人を選ぶ」ことと同じだ。選ぶ側を数えても、選ばれない側を数えても、通り数は変わらない。だから 。

たとえば を計算するとき、まともにやると大変だが、 と読みかえればすぐに計算できる。大きいほうの が出てきたら、ひっくり返す。実戦で役に立つ小技である。

ポイント

  • 順番を区別しない選び方は組合せ
  • 分母の は「同じ組の並べ替えのダブり」を割り落とすもの
  • 役があるか(順列)ないか(組合せ)で見分ける

よくある間違い

  • 順列 のまま答えてしまう( で割り忘れ)
  • 分母を だけにする( で割るのが正しい)
  • 分子を 全部にしてしまう(使うのは の3個ぶん)

問11同じものを含む順列

★ 基礎同じものを含む順列

問題

A, A, A, B, B, C の6文字を1列に並べる。並べ方は全部で何通りあるか。

ヒントを見る

全部が異なるなら 通りだが、同じ文字( が3個、 が2個)は並べ替えても区別がつかない。その重複分で割ると本当の並べ方が出る。

解答・解説

方針

この問題では、同じ文字が混じっているのがポイントだ。Aが3個、Bが2個ある。もし6文字が全部違えば 通り。でも、同じAどうしを入れ替えても見た目は変わらない。だから、そのぶんダブって数えている。

このダブりを、同じ文字の並べ替えの数で割って消す。これが「同じものを含む順列」の考え方だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 文字を並べるだけなら 通り。しかし が つ、 が つ同じ文字だ。

つの にこっそり番号をつけて と区別すれば 通り。でも番号を消すと、 の並べ替え 通りは全部同じ見た目になる。つまり は同じ並びを 回ずつ数えている。だから割る。

分母は足し算ではなく掛け算( で割るのは誤り)。 の重複と の重複は独立に起きているので、重複の総数は積になるからだ。

公式同じものを含む順列:(同じもの 個・ 個…のダブりで割る)

6文字が全部違うなら 通り。でも実際はAが3個、Bが2個ある。

AAABBCA×3B×2
同じ文字のダブりで割る:6! ÷ (3! × 2!)

同じAどうしや、同じBどうしを入れ替えても並びは変わらない。そのぶん、同じ並びを何回もダブって数えている。Aの3個の並べ替え 通り、Bの2個の並べ替え 通りがそれぞれ同じ並びを表す。だからこれらで割る。

Cは1個なので で割ることになり、影響しない(書かなくてよい)。分母は「同じ文字ごとに、その個数の階乗をかけ合わせたもの」だ。A用の 、B用の をかける。

まとめ:別の見方もできる。6か所のうちAを置く3か所を選び()、残り3か所からBを置く2か所を選ぶ()、最後の1か所にCを置く、と考えても で同じになる。

発展。 という数は多項係数と呼ばれ、二項係数 の自然な拡張になっている(グループが つなら二項、 つ以上なら多項)。

これは を展開したときの の係数でもある。 個の から、どの 個で を、どの 個で を選ぶかを数えることになる。文字の並べ方と、展開の係数が同じ数になる。実際、その係数はぴったり になる。

日常の言葉で言えば、この数は「 個のものを、 個・ 個・ 個の名前つきグループに分ける方法の数」である。トランプを配る、チームを分ける、荷物を仕分けるなど、現実の分配問題はたいていこの形をしている。

なお「 人を 人・ 人・ 人の名前のない組に分ける」なら話が変わる。組に区別がないと、さらに割る必要が出てくる場合があるからだ(同じ人数の組が複数あるとき)。場合の数は最後まで「区別があるか、ないか」という問いに尽きる。

答

60通り

別解

割り算を使わず、「どの場所に置くか」を選んでいくやり方がある。こちらのほうが、じつは直感的かもしれない。

発想の転換。 「文字を並べる」のではなく、「 つの席のうち、どの席に を座らせるか」を選ぶと考える。

手順1: 席から、 の 席を選ぶ。

は つとも同じ文字だから、どの がどこか、は気にしなくてよい。ただ「 席を選ぶ」だけ。

手順2: 残り 席から、 の 席を選ぶ。

手順3: は残った 席に入るしかない。

掛け合わせる。

割り算を 度も使わずに、同じ にたどり着いた。

この方法の何がいいか。 「同じものだから割る」という引け目のある操作が消える。同じ文字はもともと区別しないまま、席だけを選んでいるからだ。「 通りを一度作ってから、重複を割って消す」より、「最初から重複を作らない」ほうが気持ちがいい。

そして、この見方は次の問題(最短経路)に直結する。 「右へ 回・上へ 回、合わせて 回の移動のうち、どの 回を『上』にするか」は、席選びそのものだ。

同じものを含む順列は、じつは組合せだった。 一般に

「割り算の式」と「選び方の積」は同じものである。どちらで計算してもよいが、意味が見えるのは後者だ。

ポイント

  • 同じものを含む順列
  • 同じ文字どうしの並べ替えのダブりを割り落とす
  • 「置く場所を選ぶ」組合せの積 でも同じ答えになる

よくある間違い

  • のまま答える(同じ文字のダブりを割っていない)
  • 分母を とたし算にしてしまう(正しくはかけ算 )
  • が1個だから を書き忘れる(値は1なので影響はないが、式の意味を見失う)

問12最短経路の数

★ 基礎最短経路同じものを含む順列

問題

図のような格子状の道路がある。横に4区画、縦に3区画である。左下の地点 A から右上の地点 B まで、遠回りせずに(右または上にだけ進んで)行く。最短経路は全部で何通りあるか。

AB
横4区画・縦3区画の格子。A から B へ右・上のみで進む
ヒントを見る

右へ進む回数と上へ進む回数はどちらも決まっている。最短経路は『→ を何個・↑ を何個、どの順で並べるか』と同じだ。同じ矢印の並べ替え(同じものを含む順列)として数える。

解答・解説

方針

最短経路は図形の問題に見えるが、実は「同じものを含む順列」に言い換えられる。右へ1区画進むことを「→」、上へ1区画進むことを「↑」と書いてみよう。すると、AからBへの1つの道は、→と↑を並べた記号の列と、ぴったり1対1で対応する。

あとは、その記号の並べ方を数えればよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「右か上にだけ進む」ので、 から へ行くには右に 区画、上に 区画、合わせて必ず 回進む。どんな経路でも、この回数は変わらない。

違うのは順番だけだ。だから経路は を 個、 を 個並べた文字列と 対 で対応する。

道の問題が同じものを含む順列の問題になった。

回のうち、どの 回を上にするかと読めば、 でも同じこと。経路を記号の列で表す。これがこの問題の発想だ。

公式最短経路 = 「→ を 個・↑ を 個」並べる順列

AからBへ最短で行くには、右へ4区画、上へ3区画進む必要がある。右への1歩を「→」、上への1歩を「↑」で表すと、1つの道は「→を4個、↑を3個」並べた記号の列で表せる。たとえば のように、並べる順番が道の形を決める。

だから、求める道の数は「→を4個、↑を3個(合わせて7個)を1列に並べる」同じものを含む順列だ。

矢印は全部で7個(右4回 + 上3回)。これは、はしからはしまで進むのに必ず7歩かかることを表している。「→の数 = 横の区画数、↑の数 = 縦の区画数」を図から正しく読み取るのが出発点だ。

まとめ:組合せの形で書けば、7個の場所から→を置く4か所を選ぶ 、あるいは↑を置く3か所を選ぶ でも同じだ。

発展。 最短経路の数え上げは「問題を、別の言葉に言い換える」というよく使う方法の例だ。

道 矢印の列 席の選び方 組合せ

言い換えるたびに、問題は解きやすい形になっていく。もとの「道を数える」は幾何の問題に見えるが、最後は というただの計算になった。考える部分は言い換えの作業に移っている。

この方法は先へ進むほど役に立つ。

  • 確率の問題を、場合の数に言い換える
  • 図形の問題を、座標やベクトルで表す
  • 漸化式を、等比数列に直す

「これは、何の言い換えか?」と問う癖をつけたい。

なお格子の書き込み法はコンピュータの動的計画法という手法そのものである。「小さい問題の答えを表に記録し、それを足して大きい問題を解く」という考え方で、カーナビの経路探索も、文章の類似度計算も動いている。 という数を求める考え方は、コンピュータの計算にも使われている。

答

35通り

別解

公式を使わず、交差点に数を書き込んでいく方法がある。地図に直接書き込むだけで答えが出る、目で見える解き方だ。

ルールは つだけだ。「その交差点への行き方の数」「左隣への行き方」「下隣への行き方」なぜか。ある交差点にたどり着く最後の一歩は、左から来たか、下から来たかのどちらかしかない。だから つを足せばよい。

まず、 のある左端の列と、下端の行に を書く(まっすぐ進むしか行き方がないから、どこも 通り)。あとは左下から順に足していく。

(いちばん下の行が のある行、右上の が である。)

たとえば下から 行目の は、左の と下の を足したもの。 上の行の は左の と下の を足したもの。足し算だけで、右上に が現れる。

この方法の強みは つある。

つ目: 途中に通れない道があっても使える。 「工事中で通れない交差点」があれば、そこに を書き込んで先へ進むだけ。公式は通行止めを扱えないが、書き込み法なら何でも来いである。

つ目: 「必ずこの点を通る」条件も簡単だ。 その点までの数と、その点から までの数を掛ければよい。

そして、この表をよく見てほしい。 / / と並んだ数を斜めに読むと、 や が現れる。格子の上に、パスカルの三角形が現れている。

というパスカルの法則は「左から来るか、下から来るか」の 択を式にしたものだった。組合せの公式と、格子の足し算は、同じ つの事実の表と裏である。

パスカルの三角形を「意味のない数の並び」として覚えた人は多い。しかしこの数の並びは道の数え上げを表していた。

ポイント

  • 最短経路 → 「→」と「↑」を並べる同じものを含む順列に置きかえる
  • →の数 = 横の区画数、↑の数 = 縦の区画数
  • 、どの形で書いてもよい

よくある間違い

  • 矢印の数を、区画数ではなく交差点の数で数えてしまう
  • 分母を とたし算にする(正しくはかけ算)
  • 書き込み法で、左端の列や下端の行に を書き忘れる(端はまっすぐ進むだけで1通り)