数学A / 場合の数

場合の数 実戦編の問題 全8問

難関大の総合問題。複数の単元を融合した単元横断の演習

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 対角線を越えない最短経路(カタラン数と反射原理)
  2. 2×n をタイルで敷き詰める(フィボナッチ数)
  3. 3つの箱に空なしで入れる(全射と包除原理)
  4. 斜めの和の公式(組合せの意味で示す)
  5. オイラー関数の和(約数で分類する)
  6. 符号つき二項和(全射の数え上げ)
  7. 円環をk色で塗り分ける(数え上げと漸化式)
  8. グループ分けの総数(ベル数の漸化式)

問1対角線を越えない最短経路(カタラン数と反射原理)

実戦編数え上げ最短経路二項係数反射原理単元横断

問題

格子を右または上へ1歩ずつ進んで から へ行く最短経路のうち、つねに (対角線 を上に越えない)ものの総数を求めよ。

ヒントを見る

全経路から「ダメな経路(対角線を越える= に触れる)」を引く。触れた後を対角線で折り返す反射で、ダメな経路が別の端点への全経路と1対1に対応する。

解答・解説

方針

全経路は 。 を破る経路(直線 に触れる)を、最初に触れた後を対称移動する反射原理で → の経路 と1対1対応させ、引く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「越えない経路」を直接数えるのは難しい。全体から悪い経路を引く方針に切り替える。

全経路は右 歩・上 歩の並べ方で 。悪い経路(直線 に触れる)を数えるのがいちばん大事なところだ。

決め手は反射原理だ: 悪い経路を「最初に に触れた後の部分を、その直線について折り返す」と、 から への経路と1対1に対応する。折り返しで、数えにくいものが数えやすいものに置き換わる。

定理反射原理:直線 に触れる経路は、初めて触れた後を で折り返すと、始点を で対称移動した点からの経路と1対1に対応する

① 全経路。 の最短経路は右 回・上 回の並べ方で 通り。

xyOO(n,n)
例(n=3): 対角線 y=x(破線)を上に越えず (0,0) から (3,3) へ行く経路の一例。総数はカタラン数 C₃=5。

② 越える経路を反射で数える。 を破る経路は直線 に触れる。初めて触れた点以降を で折り返すと、始点 の鏡像 から への経路になる。これは右 回・上 回の並べ方で 通り。逆にたどれるので1対1対応、越える経路はちょうど 通り。

③ 引く。 よって越えない経路は これがカタラン数 。

まとめ 「対角線を越えない経路」は、全経路 から越える経路を反射原理で と数えて引く。差はカタラン数 。数え上げ・最短経路・二項係数(反射)の融合。 なら 。

発展。 カタラン数 は、対になった括弧の列( 組)、凸多角形の三角形分割、二分木の形など、見た目のまったく違う問題に繰り返し現れる。どれも本問の経路と1対1対応が作れる。また票数の一般形(A が 票、B が 票、、開票中つねに A が優勢である確率 )は「投票の問題」と呼ばれ、反射原理がそのまま働く。

答

全経路 から、対角線を越える「悪い経路」を反射原理で と数え、差 (カタラン数)。

別解

「最初に対角線へ戻る場所」で分解する(カタラン数の再帰構造)。 反射原理とは別の見方として、良い経路を最初に に戻る点で切る見方がある。

良い経路が最初に対角線に戻るのが だとすると、経路は「最初の右1歩+内側で対角線に触れない長さ の部分+上1歩」と「残りの長さ の良い経路」に割れる。個数を と書くと

という再帰の分解が出る()。実際 がこの式で次々に生成される。

反射原理(本解)は閉じた式 への最短路で、再帰分解は「カタラン数が括弧の対応・二分木・多角形の三角形分割にも現れる」理由を説明する道だ。同じ数列を2つの方向から見ている。

ポイント

  • 全経路 から越える経路を引く(余事象)。
  • 越える経路は反射原理で の経路 と1対1。
  • 差はカタラン数 。

よくある間違い

  • 反射の対応先を からの経路と取り違える(直線 に関する の対称点は )。
  • 「触れたら悪い」の基準線を と混同する( は に触れてよい。破るのは に達したとき)。
  • 反射が1対1対応であること(悪い経路のどれもが対応し、逆向きも作れる)の説明を落とす。

問22×n をタイルで敷き詰める(フィボナッチ数)

実戦編数え上げ漸化式フィボナッチタイル張り単元横断

問題

のマス目を のタイル(縦でも横でもよい)で隙間も重なりもなく敷き詰める方法の総数 を求めよ。

ヒントを見る

左端をどう埋めるかで場合分け。縦タイル1枚なら残りは 、横タイル2枚(上下)なら残りは 。 の漸化式は?

解答・解説

方針

一番左の列に注目。縦タイル1枚で埋めると残りは 、横タイル2枚で埋めると残りは 。これで漸化式が立つ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 敷き詰めの総数は、端がどう埋まるかで場合分けすると漸化式が立つ。

一番左の列の埋まり方は2通りしかない: 縦タイル1枚(残りは )か、横タイル2枚を上下に重ねる(残りは )。よって となる。フィボナッチの漸化式だ。 から 。

① 漸化式を立てる。 左端の埋め方で

xyO
2×4 の敷き詰めの一例(縦1枚・横2枚・横2枚・縦1枚の順)。左端の埋め方で a_n=a_{n-1}+a_{n-2} が立つ。

② 初期値。 ( は縦タイル1枚のみ)、( は縦2枚 または 横2枚)。

重要、 はフィボナッチ数列 で、()

③ 結論。 よって 。たとえば 。

まとめ 「左端の埋め方」で場合分けすると、 の敷き詰めは と に帰着し、。フィボナッチ数 が現れる。数え上げと漸化式の融合。

発展。 盤を に広げると、答えは漸化式 (奇数 では 0)という別の形になり、 のフィボナッチがいかに特別に単純かが分かる。「端の埋まり方で分類 → 漸化式」という手順自体は、盤が変わっても通用する。状態(端の欠け方)を増やして追いかければよく、これは動的計画法の基本になる。

答

左端の詰め方で場合分けすると 、。よって (フィボナッチ数)。

別解

「1段・2段の階段登り」と同一視する(対応で言い換える)。 敷き詰めを左から読むと、各位置で「縦1枚( 列消費)」か「横2枚( 列消費)」のどちらかを選んでいる。

つまり敷き詰めは、 を と の順序つきの和に分解する方法(合成)と1対1対応する:

これは「1段か2段ずつで 段の階段を登る方法」とまったく同じ問題なので、答えが同じフィボナッチ数になるのは当然だった。

漸化式(本解)は答えを計算する方法で、対応づけは「見た目の違う問題が同じ構造だ」と見抜く見方である。数え上げでは、知っている問題への1対1対応が最も有効な解法になることが多い。

ポイント

  • 一番左の列の埋め方(縦1枚 / 横2枚)で場合分け。
  • 残りが と になり 。
  • よりフィボナッチ数 。

よくある間違い

  • 左端の場合分けで「横タイル1枚だけ」の埋め方を数える(横1枚では上下どちらかが欠ける。横は必ず2枚セット)。
  • 初期値を でなく の扱いで混乱する((何も置かない1通り)とすれば漸化式と整合)。
  • フィボナッチとの対応の添字()を1つずらす。

問33つの箱に空なしで入れる(全射と包除原理)

実戦編数え上げ包除原理全射写像単元横断

問題

個の異なる玉を、区別できる つの箱にどの箱も空にならないように入れる方法の総数を求めよ()。

ヒントを見る

全部で 通り。「どれかの箱が空」を引く。1つの箱を空にする=残り2箱に入れるで 、2つ空は 。包除で足し引き。

解答・解説

方針

条件なしの入れ方 から、少なくとも1つの箱が空になる場合を包除原理で引く。「箱 が空」は残り2箱に入れる 通り。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「どの箱も空でない」は直接数えにくい。条件なしから、空の箱がある場合を引く。ここで包除原理を使う。

条件なしは各玉に3択で 。「箱 が空」は残り2箱に入れて 通りで、これが3つの箱ぶんある。だが「 も も空」(残り1箱、 通り)を2回引いているので、3つぶん足し戻す: 。

定理包除原理

① 全体と「空」の場合。 全部の入れ方は 。箱を とし、「箱 が空」の入れ方。(残り2箱に入れる)。(残り1箱に全部)。(どこにも入れられない、)。

② 包除で「空あり」を数える。 ③ 余事象で答え。 空の箱がない入れ方は

まとめ 「どの箱も空でない」= 全体 から「空の箱がある」を包除で引く。。これは 個の玉から 箱への全射の数でもある。数え上げ・包除・写像の融合。 なら 。

発展。 箱を 個に増やすと、全射の数は で、それを で割るとスターリング数 になる。「ラベルあり ラベルなし」の関係はそのまま拡張される。さらに全部の について を足すとベル数(この単元の最終問題)になる。数え上げの部品が1本の系譜でつながっている。

答

全部の入れ方 から「ある箱が空」を包除で除く。。

別解

分割してからラベルを貼る(2段階の構成)。 順序を変えて、先に中身のグループ分け、後から箱の名前を付ける。

個の玉を「区別のない3つの非空グループ」に分ける方法の数を とする(スターリング数と呼ばれる)。グループが決まれば、3つの箱への割り当ては 通り。よって求める数は 。

逆に本解の包除の結果から が読める。たとえば : 全射は 通りで、 となり、4人を3グループに分ける6通り( 型の )と一致する。

「ラベルあり(全射) ラベルなし(分割)」という2段階の分解は、この後のグループ分け(ベル数)の問題と地続きで、区別の有無で数がどう変わるかの感覚を鍛えてくれる。

ポイント

  • 全体 から「空の箱がある」を余事象で引く。
  • 「箱 が空」、「2箱空」 を包除で足し引き。
  • 答えは (3箱への全射の数)。

よくある間違い

  • 包除の足し戻しを忘れて で止める(2箱空の場合を2回引いている)。
  • 「3箱とも空」の項()を形式的に書かず、包除の項数が合っているか不安になる( なら0なので結果は同じ)。
  • 玉が区別できる(異なる)という前提を見落とし、重複組合せ( 型)で数え始める。

問4斜めの和の公式(組合せの意味で示す)

実戦編数え上げ二項係数組合せ論法パスカルの三角形単元横断

問題

とする。 を、組合せの意味(何を選ぶか)から説明して示せ。

ヒントを見る

右辺は 個(〜)から 個選ぶ数。選んだ数のうち「最大のもの」で分類すると、各場合が の形になる。

解答・解説

方針

右辺 は ( 個)から 個選ぶ数。選んだ最大の数で場合分けすると左辺の和になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「組合せの意味から示せ」とあるので、両辺が同じものを2通りに数えていることを見つける。

右辺 は、( 個)から 個選ぶ数。これを「選んだ中の最大の数 」で分類する。最大が なら、残り 個は から選ぶので 通り。 を足せば左辺になる。分類の軸(最大値)を自分で決めるところが、この型の難しいところだ。

① 右辺の意味。 は から 個を選ぶ方法の数。

② 最大の数で分類する。 選んだ 個のうち最大の数を とする。最大が であるためには、 を選び、残り 個を ( 個の数)から選ぶ。その方法は 通り。 個選ぶので最大 は の範囲。

重要最大の数 での場合分けは互いに排反で、すべてを尽くす → 和が全体に一致

③ 総和。 各 の場合を足すと

11112113311464115101051
パスカルの三角形の斜めの和(ホッケースティック): 1+3+6=10、斜めに足すと1つ下・隣の数

まとめ 「 個から 個選ぶ」を選んだ最大の数で分類すると、各場合が になり、和が に等しい。計算でなく「何を数えているか」で示す組合せ論法。パスカルの三角形で斜めに足すと1つ下がる、という性質の理由がこれだ。

発展。 の場合は (和の公式)、 は となる。ここから、 を と の組合せで書いて計算する、という「べき和を二項係数で計算する」方法が使えるようになる。ホッケースティックは をすべて統一する母体の公式だ。

答

から 個選ぶ方法を「選んだ中の最大の数 」で分類。最大が なら残り 個を から選び 通り。総和が 。

別解

パスカルの法則で望遠鏡式に消す(計算で示す)。 パスカルの法則 を差の形に読み替える:

これで各項が「隣り合う量の差」になった。 から まで足すと、途中が打ち消し合って

(。)望遠鏡和で1行で済む。

組合せの意味(本解)からは「なぜ成り立つか」が分かり、望遠鏡の方法では「機械的に確かめる」ことができる。パスカルの三角形でこの等式を見ると、ある斜め列を上から足すと1つ右下の値になる。形から「ホッケースティックの公式」と呼ばれ、絵としても覚えやすい恒等式だ。

ポイント

  • 右辺は から 個選ぶ数。
  • 選んだ最大の数 で分類すると各場合 。
  • 排反かつ全体を尽くすので和は 。

よくある間違い

  • 分類の軸を「最小値」や「 番目の値」にして対応が付かず迷走する(最大値で切るのがこの和の形)。
  • 最大が のとき残りを「 から 個」とする( 自身は使用済み。 の 個から)。
  • 和の始まり の意味( 個選ぶには最大が 以上)を書かない。

問5オイラー関数の和(約数で分類する)

実戦編数え上げ整数の性質オイラー関数約数単元横断

問題

以下の自然数で と互いに素なものの個数を とする。( は の正の約数を動く)を示せ。

ヒントを見る

から までの各数を で仕分ける。 なら で は と互いに素。その個数は?

解答・解説

方針

を「 との最大公約数 の値」で分類。 となる の個数を数え、約数 で総和をとる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 左辺は約数ごとの和、右辺は だ。「 から までの 個の整数を、過不足なく分類すると左辺になる」と読むのが筋だ。

分類の軸は の値。 なら で、 は と互いに素。つまり「 の組」の個数はちょうど 。 が約数を走れば も約数を走るから、和は に等しい。

① で分類する。 の各 を で分ける。 は の約数を動く。 なら と書け、 かつ 。

② 各組の個数。 よって となる の個数は、 以下で と互いに素な の個数、すなわち 。

重要。その個数は

③ 総和をとる。 すべての はちょうど1つの に属す(排反かつ全体)から (最後は と が約数全体を同じように動くため)。

まとめ 〜 を で分類すると、 の組は 個。約数で足すと全体 。約数を裏返せば 。数え上げの分類と整数(オイラー関数)の融合。 なら約数の の和が 。

発展。 この等式は「1の 乗根を位数で分類すると、位数 の根がちょうど 個」という複素数平面の事実の言い換えでもある(既約分数 ⟺ 位数 の根 …を数IIIの言葉を借りずに言えば、円周の 等分点の「周期」による分類)。数論ではこの型の和の関係からメビウスの反転公式が生まれ、 の積公式へつながっていく。

答

の各 を で分類。 となる は が と互いに素なもので 個。約数を渡ると総数 。

別解

分数 を約分して仕分ける(1行の名証明)。 個の分数

をすべて既約分数に約分する。約分後の分母は の約数 のどれかで、分母が になる分数は「分子が 以下で と互いに素」なものなので、ちょうど 個ある(逆に、分母 ・既約の分数はすべてこのリストに現れる: )。

個の分数が、約数ごとに 個ずつに過不足なく仕分けられたのだから

による分類(本解)と中身は同じだが、「約分」という誰もが知る操作で言い換えると、証明が1枚の絵になる。 で実際に12個の分数を約分してみると、分母 に 個ずつとなり、合計12個であることが確かめられる。

ポイント

  • 〜 を の値で分類する。
  • となる は 個。
  • 約数で総和をとると全体 、裏返して 。

よくある間違い

  • 「 となる の個数」を とする(正しくは 。 の が と互いに素)。
  • と の走り替え( が約数全体を走れば も走る)の一言を落とし、 の同一視が宙に浮く。
  • 分類が「漏れなく重複なく」であること( は各 にただ1つ)を明示しない。

問6符号つき二項和(全射の数え上げ)

実戦編数え上げ包除原理二項係数全射単元横断

問題

を自然数とする。 を求めよ。

ヒントを見る

個から 個への全射は全単射だから 通り。これを「 個の要素が値域から抜ける」包除で数えると 。 を に置き換えると?

解答・解説

方針

写像 の全射の数を、包除原理で と表す。全射=全単射なので 。置換で目的の和に直す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 交互符号 二項係数 べき、という組合せは包除原理でよく現れる形だ。何かの数え上げの式ではないか、と疑う。

人から 人への写像で「全員が像に現れる」(全射)を包除で数えると

は、使われない人を 人選んで除外する形だ。全射=全単射で答えは だ。あとは の置き換えで、与えられた和の形に直せば 。

定理包除原理による全射の数 ( 個から 個への全射)

① 全射 全単射で 。 の写像が全射なら、値域が 個すべてを覆い、大きさが等しいので単射でもある(全単射)。よって全射の数は 。

② 包除で数える。 値域の 個の要素を「覆わない」とする場合を包除で足し引きすると、全射の数は ③ 置換して目的の和に。 と置換する。、 だから よって 。

まとめ符号つき二項和は「全射の個数」の包除表示。全射=全単射で 、置換 で目的の和が と分かる。数え上げ・包除・二項の融合。 なら 。

発展。 べきを下げると ()となる。これは「 回差分すると 次未満は消える」の言い換えで、こちらも全射の数え上げ(不足するから0)として読める。この「二項係数×交互符号は 階差分」という対応は、スターリング数の一般式 の背景でもある。

答

個から 個への全射(=全単射 通り)を包除で数えると 。 の置換で 。

別解

「n 回差をとる」と読む(階差の言葉)。 数列 の階差を とすると、 回繰り返した階差は二項係数で書ける:

つまり、与えられた和は( 倍を除いて) の 階の階差そのものだ。

ここで階差の性質: 多項式の階差は次数を1下げ、先頭係数に次数を掛ける(、微分とそっくり)。 次の を 回差分すると、 という定数だけが残る(低次の項は途中で消滅する)。よって

全射の数え上げ(本解)は組合せの見方で、階差は「離散の微分を 回」という解析の見方だ。同じ和が組合せと解析の2つの分野を結びつけている。

ポイント

  • 個から 個への全射は全単射で 通り。
  • 包除で 。
  • の置換で 。

よくある間違い

  • 包除の式を でなく で立てて符号がずれる( の置換で 倍が出て、この符号が答えの になる)。
  • 「全射 全単射」( 人から 人へ)の理由(有限集合で個数が同じ)を書かない。
  • の項( や )の扱いを雑にして和の端が崩れる。

問7円環をk色で塗り分ける(数え上げと漸化式)

実戦編数え上げ漸化式塗り分け彩色単元横断

問題

個のマスを円形に並べ、隣り合うマスが異なる色になるように 色で塗る方法の総数 を求めよ()。

ヒントを見る

1列に並べる塗り方は 。そのうち両端が同色のものは、両端をくっつけると 個の円になる。 と の関係は?

解答・解説

方針

まず1列(円にしない)の塗り方は 。これを「両端が異色(=円としても正しい)」と「両端が同色」に分け、後者を1つ短い円と対応させて漸化式を作る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 円は端がつながっていて数えにくい。いったん切って1列にするのが基本だ。

1列の塗り方は、左端 色、以降は左隣と違う色で 通り。

この1列を円に丸めるとき、両端が異色ならそのまま正しい円の塗り()。両端が同色なら、両端を融合すると1つ短い円の塗り()に対応する。よって となる。この漸化式を解けば閉じた式が出る。

① 直線の塗り方を分ける。 マスを1列に隣接異色で塗る方法は 。両端の色で (両端同色の並びは、その両端を1マスとみなすと マスの円の正しい塗りと1対1。)

xyO
例(n=5, k=3): 5マスを輪にし、隣どうし異色に3色で塗った一例(青・赤・黒)。総数は (k−1)ⁿ+(−1)ⁿ(k−1)。

② 漸化式を解く。 。両辺に を掛けて整理する、あるいは を考えると等比になる。 が成り立つ(代入で確認)ので、 は公比 の等比数列。

重要 から

③ 一般項。 (2マスの円=1列と同じ)より 。よって 。したがって

まとめ円は直線に開いて数え、両端が同色・異色で場合分けすると 。等比化して 。数え上げと漸化式の融合。 なら 。

発展。 は、グラフ理論では「サイクル の彩色多項式」と呼ばれる式そのもの。さらに「回転して同じ塗りは1つと数える」(首飾りの問題)に変えると、割る操作が単純な では済まず、バーンサイドの補題(回転ごとの固定点を平均する)が必要になる。「配置の数え上げ」と「対称性で割る数え上げ」の違いは、この問題を少し変えるだけで現れる。

答

1列(パス)の塗り方 を、両端が同色か否かで分けると 。解いて 。

別解

端の色で場合分けする第2の漸化式(検算にも使える)。 円を切らずに、 番目のマスの色で直接分類する手もある。1列に並べた 番を考え、円の条件は「隣どうし異色+両端異色」。

番目のマスから見ると:

  • 番目までが「円として正しい塗り」( 通り)のとき、 番は「 番とも1番とも違う色」で、 色
  • 番目までが「1列としては正しいが両端( 番と 番)が同色」のとき、 番は「その色以外」で、 色。この場合の数は( 番と1番を融合して) 通り

本解の とは別の漸化式だが、閉じた式 は両方を満たす(代入で確認できる)。2本の独立な漸化式から同じ式が出れば、答えの信頼度は大きく上がる。数え上げの検算の方法として覚えておきたい。

ポイント

  • 直線(1列)の塗り方 を両端の色で分ける。
  • 両端同色は マスの円と対応、。
  • 等比化して 。

よくある間違い

  • 円の数え上げをいきなり「1列の 」などと回転で割る方向に行く(マスは固定されていて回転同一視はしない問題)。
  • 両端同色の1列と の対応(両端を融合して1マス減らす)の説明を落とす。
  • 漸化式を解くとき、 が公比 の等比になる構造( の由来)を確認せず結果だけ書く。

問8グループ分けの総数(ベル数の漸化式)

実戦編数え上げ漸化式組分け二項係数単元横断

問題

人を、区別のないグループにいくつかに分ける方法の総数(各人はちょうど1グループ、空グループは作らない)をベル数 とし、 とする。(1) を示せ。

(2) を求めよ。

ヒントを見る

(1) 特定の1人(例えば最後の人)に注目。その人と同じグループになる残りのメンバーを 人から選ぶと、残りの人たちの分け方が で書ける。(2) から順に。

解答・解説

方針

(1) 番目の人が属するグループの残りメンバー(残り 人から選ぶ)の人数で場合分けする。(2) 漸化式を順に計算。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分け方全体を直接数えるのは難しい。特定の1人に注目して分類する。これは数え上げでよく使う手だ。

番目の人が入るグループの「他のメンバー」を、残り 人から 人選ぶ( 通り)。残った 人は自由に分かれる( 通り)。 を走らせて足せば ( と置き換え)。(2)は漸化式を から順に回すだけだ。

① 漸化式を示す。 番目の人と同じグループになる相手を、残り 人から 人選ぶ( 通り)。この 人で1グループが決まり、残る 人の分け方は 通り。よって と置き換えると より 。

重要特定の1人の属するグループの残りメンバー( 人から選ぶ)で分類 →

② を計算する。 から順に。 よって 。

まとめ特定の1人が属するグループの残りメンバーを選ぶ()ことで、 の漸化式ができる。順に計算して 。数え上げと漸化式(ベル数)の融合。

発展。 ベル数 は「分け方」の総数として、確率(分割の一様ランダム)、データのクラスタリングの状態数など、応用の広い数列だ。(スターリング数の総和)という2階建ての構造、そして本問の漸化式が「指数型母関数 」という1本の関数に畳み込まれることまで、数え上げの理論の見本市になっている。

答

特定の1人が属するグループの「他のメンバー」の選び方で分類して漸化式。。

別解

(2)を「グループのサイズの型」で直接数える。 漸化式を使わず、4人の分け方をサイズの型(分割のパターン)で列挙して数えることもできる。

  • 型 (全員1組): 通り
  • 型 : 1人だけ外す選び方で 通り
  • 型 : 2人を選ぶ を、2組の入れ替え で割って 通り
  • 型 : ペアを選ぶ 通り
  • 型 : 通り

漸化式(本解)は が大きくても機械的に計算でき、型別に直接数える方法は「同サイズのグループは入れ替えても同じ( で割る)」という区別の消し方の練習になる。両方で が出れば、検算も同時に済んでいる。

ポイント

  • 特定の1人が属するグループの残りメンバーで分類する。
  • ()。
  • 順に 。

よくある間違い

  • 「特定の1人」を固定せずに漸化式を立てようとして、どのグループ分けを何回数えたか分からなくなる。
  • 型 の数えで のまま( 組の入れ替えで2重に数えている。 で3通り)。
  • グループに区別がない(箱と違う)ことを忘れ、前問(区別できる3箱)と同じ式を書く。