数学III / 積分法の応用

積分法の応用 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 2曲線間の面積(指数)
  2. 面積(log x と x 軸)
  3. 回転体の体積(指数)
  4. 回転体の体積(sin)
  5. 区分求積法(1/(1+x))
  6. 区分求積法(√)
  7. 2曲線間の面積(三角関数)
  8. 面積(x e^{-x} と x 軸)
  9. 回転体の体積(2曲線)
  10. 道のりと変位
  11. 面積(1/x²)
  12. 曲線の長さ

問12曲線間の面積(指数)

★★ 標準面積2曲線

問題

において、曲線 と で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

区間内でどちらの曲線が上かをまず判定( での と の大小)。面積は『上 − 下』を積分する。

解答・解説

方針

で 。面積は「上 − 下」。 の原始関数は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 曲線の囲む面積を求める手順は、数IIと同じ「上 下」だ。

まず上下を確定する。 では だから が上( では両者一致、そこが囲みの左の合わせ目)。

あとは原始関数。 の積分が (マイナスが付く)であることだけが数IIIらしい注意点である。

重要面積 。

① 上下を確かめる。 で 。 が上。

② 「上 − 下」を積分する。 。

xyO
y=e^x(上)と y=e^{-x}(下)で囲む面積([0,1])

まとめ: と で囲む面積は「上 − 下」の積分。 を引くと になる符号処理に注意。 が求める面積だ。

発展。 被積分関数 は(半分にすると)双曲線関数 と呼ばれ、 とペアで、垂れ下がる鎖の形(懸垂線)や特殊相対性理論に現れる。三角関数そっくりの公式体系()を持つ、指数関数の「対称化」ファミリーだ。

答え という書き換えもできる。面積が完全平方の形になっているのは、この対称性の反映である。

答

別解

本の曲線を別々の帯として測り、引き算する読み方をすると、 つの積分値の意味が見える。

  • の下の帯:
  • の下の帯:

差をとって 。ここでは 本目の帯に注目する。 のグラフは を 軸で折り返した鏡像だから、 での の面積は の での面積と同じ。 つの帯は「同じ指数曲線の右隣と左隣」を測っていたことになる。

数値の感覚()を持っておくと、符号ミスで ()などが出たときに違和感で気づける。

ポイント

  • 面積 = ∫(上 − 下)。 が上。
  • 、引くと 。

よくある間違い

  • の原始関数を とし、マイナスを落とす(微分して戻して確認)
  • 上下を確かめず と逆に引いて面積が負になる
  • 下端 の代入 の処理を誤る

問2面積(log x と x 軸)

★★ 標準面積

問題

曲線 と 軸、および直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

まず 軸との交点( になる )を求めて、積分区間を確定する。 の原始関数は部分積分で作る型だった。

解答・解説

方針

で ( から上)。面積は 。 の積分は (部分積分)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 囲まれた範囲の特定が先。 は で 軸を横切り、その右では正になる。だから囲みは で、曲線は軸の上にある。

の原始関数は部分積分でよく出る 。代入して 。「面積の問題は、まず交点と上下を調べ、積分の計算は最後」という順番を守れば迷わない。

重要(部分積分)。面積 定積分()

① 交点と上下を確かめる。 より 。 で 。

② 定積分する。

xyO1
y=log x と x軸、x=e で囲む面積(=1)

まとめ: と 軸が で囲む面積は 。 の積分 (部分積分で導く)を使う。 軸との交点が であることも確認する。

発展。 「横に切る」発想は 軸まわりの回転体や、 型の曲線の面積で必須になる。今回のような自由選択の場面で一度経験しておくと、強制される場面で戸惑わない。

の側()まで囲みを広げた問題では、軸の下の部分を として足す。 など、区間の切り分けが本題になる。そこでも「 で の符号が変わる」という今回の観察が手がかりになる。

答

別解

部分積分を使わずに、この領域を横に切って測る方法がある。領域の点は「高さ ( から )、横は曲線から まで」。曲線 を横向きに読むと だから、高さ の位置の横帯の長さは 。帯を から まで積み上げて

の積分がただの指数関数の積分になった。

縦に切れば (部分積分が要る)、横に切れば (基本の積分)になる。同じ領域でも、切る向きで計算の難度が変わる。逆関数()のペアが絡む面積では、「反対の軸から切ったら楽にならないか」を一度は疑ってみる価値がある。

ポイント

  • 。
  • 軸との交点 ()。

よくある間違い

  • 囲みの左端を とする( は で軸を切る。 は軸の下)
  • の原始関数を とする(それは微分)
  • 横帯ルートで帯の長さを と逆に取り符号が崩れる

問3回転体の体積(指数)

★★ 標準回転体

問題

曲線 と 軸、および 直線 、 で囲まれた部分を、 軸のまわりに 回転してできる立体の体積を求めよ。

ヒントを見る

回転体は の積分。 の 乗で指数がどうなるかに注意して積分する。

解答・解説

方針

。 なので 。。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 軸まわりの回転体は、輪切りの円盤の積み重ね。位置 での断面は半径 の円で、面積 。これを区間全体で足し集める。

の 乗で 。中身が 次式()だから、積分は係数 で割って になる。代入すると となる。

公式。

① を求める。 なので 。

② 積分する。

xyO1
y=eˣ を x軸のまわりに1回転(0≤x≤1)。断面は半径 y の円

まとめ:回転体は を積分。 なら (指数が 倍)。( を忘れずに)。 が出る形の体積だ。

発展。 「断面積を積分すると体積」という原理は回転体専用ではなく、断面が正方形でも三角形でも、 で求められる。回転体は、断面がたまたま円()になる特別な場合だ。この一般原理(カヴァリエリの原理の積分版)を知っていれば、変わり断面の立体の問題にも同じ型で入れる。

区間を に広げると となり、長さを 増やすごとに体積は約 倍になる。指数の増え方が体積では 乗になって現れる()。

答

別解

答えの妥当性を、単純な立体で挟んで確かめる目を持とう。この回転体は「半径が から へ指数的に育つラッパ」。高さ( 方向の長さ)は だ。

  • 細い方に合わせた円柱(半径 ):
  • 太い方に合わせた円柱(半径 ):

ラッパは両者の間のはず。答えは

確かに となり、範囲に収まっている。

さらに細かく言うと、 の は「 の平均値」だ。断面積の平均 高さ、という体積の読み方になっている。回転体の答えを出したら、外接・内接の円柱と比べる。係数 の落とし・ 乗忘れなどの大きなミスは、この検算でほぼ捕まえられる。

ポイント

  • 。。
  • 。

よくある間違い

  • を とする(指数法則: )
  • の積分で で割り忘れる
  • を掛け忘れて面積の次元の答えを出す

問4回転体の体積(sin)

★★ 標準回転体

問題

曲線 ()と 軸で囲まれた部分を、 軸のまわりに 回転してできる立体の体積を求めよ。

ヒントを見る

の積分で が現れる。 乗の三角関数は次数下げ(半角の関係)で 次に直してから積分する。

解答・解説

方針

回転体の体積は 。 なので 。そのままでは積分できないので、半角の公式 で「積分できる形」に直してから計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の山を 軸まわりに回す。断面は半径 の円で

の積分は半角の公式で次数を下げる、あの定跡だ。

積分計算の単元で身につけた方法が、体積という応用でそのまま使える。答えは 。

公式 軸まわりの回転体の体積 (断面が半径 の円だから面積は )

① なぜ を積分するのかを確かめる。 立体を 軸に垂直な平面で輪切りにすると、切り口は半径 の円。面積は 。これを から まで積み重ねる。

xyOπ
y=sin x を x軸のまわりに1回転。断面は半径 y の円(点線)

② を積分できる形に直す。 はこのままでは積分できない。半角の公式で次数を下げる。

公式半角

③ 積分する。

、 なので、 の部分は消えて の部分だけが残る。

まとめ:回転体は断面の円の面積 を積分する。 だと になるので、半角の公式で開いてから積分するのが基本だ。 から出る は と で消え、 が残る。根号つきの 版(根号が消える)と見比べると、狙いの違いがよく分かる。

発展。 このレモン形(アメリカンフットボール形)の体積 は、半径 の球の体積 より少し大きい。最大の半径はどちらも だが、レモン形の長さは で、球の直径 より長いからだ。

という値が出ることにも注目したい。円周率の 乗は球の体積( の 次)には現れない量で、回転体に「波の平均」が絡むと現れる。トーラス(ドーナツ)の体積 も同じ仲間である。

答

別解

の積分を計算せず、平均の高さからすぐに読む方法がある。 は と の間を対称に波打つ関数で、区間 での平均はちょうど ( と が平均を分け合い、和が だから)。積分 平均 区間の長さ、なので

体積の言葉で言い直すと、このレモン形の立体は、「平均断面積 の円柱を長さ にしたもの」と同じかさを持つ。実際、半径 ()の円柱と等積だ。

・ の平均 は交流の実効値・波のエネルギーなど物理でも頻繁に使う定数。「積分するまでもなく平均で読める」波の量は、この値で即答できる。

ポイント

  • 。半角で下げる。
  • 。

よくある間違い

  • の積分を とする(半角で次数下げが必要)
  • の積分の と半角の を混同し係数がずれる
  • 外側の (回転体の係数)と積分から出る (区間由来)を混同する

問5区分求積法(1/(1+x))

★★ 標準区分求積法

問題

極限 を、定積分を用いて求めよ。

ヒントを見る

を の形に変形できるか。分母を でくくってみる。 が読めれば定積分に直せる。

解答・解説

方針

と変形すると、区分求積の形 になる()。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 個の項の和の極限は、直接は足せない。区分求積法の型に整えて、和を定積分に変換する。

目標の型は 。

と をくくり出せば、 の型にはまる。よって極限は 。「 のかたまりを作る」のが変形の目標だ。

定理区分求積法

① をくくり出す。 区分求積の形にするため、 を外に出す。

② 定積分に読みかえる。 、。

xyO1
Σ1/(n+k) は y=1/(1+x) の下の長方形の和 → ∫₀¹dx/(1+x)=log2

まとめ:区分求積は「 をくくり出して とみる」のが第一歩。 は と変形。 という有名な結果になる。

発展。 この和は調和数 の言葉で と書ける。調和数自体は 程度で発散するが、差は に落ち着く。発散する量どうしの差が有限になるという、解析でよく出会う形だ。

また、交代級数 と今回の和は、項の並べ替えで同じものであることが示せる。区分求積・面積・級数という つの場面に、同じ が現れる。

答

別解

この和を、 の面積として直接見ることもできる。

各項 は曲線 の での高さ。幅 の短冊を から まで並べた総面積と考えられる。つまりこの和は

の短冊近似だ。 が大きいほど短冊は細かくなり、面積 に近づく。

見どころは、積分の値が に依らないこと。 の面積は「区間の比」だけで決まる( から は常に 倍)。対数が掛け算を足し算に変えることが、この和の極限が という定数に決まる理由である。区分求積の機械的な変形の裏に、この「比で測る面積」の絵を持っておくと、 系の問題はどれも見通せる。

ポイント

  • をくくり出して に。
  • 。

よくある間違い

  • をくくり出さず、 の形が作れないまま止まる
  • を と誤読して (発散)にしてしまう
  • 「 個の項それぞれが に向かうから和も 」と誤る(項数も増えるので釣り合う)

問6区分求積法(√)

★★ 標準区分求積法

問題

極限 を、定積分を用いて求めよ。

ヒントを見る

区分求積の形はすでに整っている。 がどの関数の での値かを読み取って、定積分に書き換えよう。

解答・解説

方針

そのまま区分求積の形 。 なので 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を見ると、すでに区分求積の型 が完成している。変形は不要だ。

と読み取って

「 が幅、 が高さの短冊の合計 → 面積」という対応を確認するのが、この問題の役どころである。

定理区分求積法

① 定積分に読みかえる。 なので 。

② 計算する。

xyO1
(1/n)Σ√(k/n) は y=√x の下の長方形の和 → ∫₀¹√x dx=2/3

まとめ:すでに の形なので、 と読んで に直すだけ。 の積分は 。答えは 。

発展。 この極限は「 はおよそ 」という近似式の正確な表現だ( と読み替えられる)。「べきの和 は 程度」という一般則( の 公式の主要項がこれにあたる)の、分数べき版である。

和 → 積分の書き直しは逆向き(積分 → 和で近似)にするとコンピュータの数値積分になる。区分求積法は「積分の定義」であると同時に、「計算機が積分を計算する方法」そのものでもある。

答

別解

答えの に、実はアルキメデスの (放物線の弓形)と同じ値が現れている。 のグラフは放物線 を直線 で折り返した鏡像だ。だから単位正方形()の中で

つまり の面積は正方形から放物線の下()を除いた残りだ。「放物線は正方形を に分ける」という古代の定理が、根号の積分の答えを先に示している。

数値実験でも確かめられる。 で和は 、 で となり、確かに に近づいている。短冊が右肩上がりの関数を右端で測っているため、有限の では少し過大に出る(ずれは約 )ことまで観察できる。極限の式と数値のふるまいを両方見ておくと、区分求積の理解が深まる。

ポイント

  • から を読む。
  • 。

よくある間違い

  • の読み取りで の を に対応させず 等と誤る
  • の積分で指数を し忘れ (微分)にする
  • 区間を 以外(たとえば )と取り違える( は から を刻む)

問72曲線間の面積(三角関数)

★★ 標準面積2曲線

問題

において、曲線 と で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

まず交点(この区間の両端になっている)と、区間内でどちらが上かを確認。あとは『上 − 下』の積分。境界での三角比の値を正確に。

解答・解説

方針

この区間で ( が上)。面積は 。原始関数は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 区間の端 と は、 となる交点そのもの。その間では ( で と確認)だから

原始関数は 。両端は が になる角なので、値は を含む形になる。丁寧に代入すると になる。

重要面積 。交点は

① 交点と上下を確かめる。 より 、。この区間で ( が上)。

② 「上 − 下」を積分する。 。

③ 代入する。 で 、 で 。

xyOπ/45π/4
y=sin x と y=cos x で囲む面積(π/4≤x≤5π/4)

まとめ: と の面積は交点 で区間を決め、「上()− 下()」を積分。 の有理化まで。

発展。 と の交点は ごとに並ぶから、囲まれる「レンズ」は同じ形で無限に連なり、どれも面積 。 つ計算すれば全部分かる。周期関数の囲みは「 周期分だけ調べる」が原則だ。

半波の面積 は「 の山 つ 面積 」として暗記に値する基本量。今回のように合成・置換で「見慣れた山」に帰着させれば、三角関数の面積の多くはこの の定数倍で読める。

答

別解

被積分関数を合成してから積分すると、この問題の見え方が大きく変わる。

積分区間 を新しい角 で読むと となり、 のちょうど半波 山分だ。 の 山の面積は基本の計算で 。よって

代入計算がほぼ消えた。

理由を言えば、 曲線 と の差は「振幅 の 本の波」であり、交点から交点まではその波の 山にあたる。囲まれた領域は、見かけは複雑でも、実はサインカーブ 山を 倍に伸ばしたものだった。三角関数の差・和を見たら合成、は方程式だけでなく積分でも第一級の整理術である。

ポイント

  • 交点は の解。
  • 面積 。

よくある間違い

  • 原始関数の符号()を片方だけ誤る(微分して戻して確認)
  • での の値の符号(第 象限で両方負)を誤る
  • 上下を確認せず で立式して面積が負になる

問8面積(x e^{-x} と x 軸)

★★ 標準面積

問題

曲線 と 軸、および直線 で囲まれた部分()の面積を求めよ。

ヒントを見る

区間内で曲線は 軸の上にある。積分は部分積分の型( と の積)になる。符号の管理は丁寧に行う。

解答・解説

方針

で 。面積は 。部分積分で原始関数 を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) で ( も も非負)なので、曲線は軸の上にあり、面積は素直に

と の積だから部分積分(「 を微分で消す」型)。 の原始関数が とマイナスを背負う分、符号の管理が計算の主戦場になる。原始関数は になる。微分して戻ることを確かめてから代入すると安全だ。

重要部分積分 。

① 部分積分する。 ()、()。

② 定積分する。

xyO1
y=x e^{−x} と x軸、0≤x≤1 で囲む面積

まとめ: の面積は部分積分。 の原始関数 (マイナス)に注意。原始関数 に代入。 が面積だ。

発展。 区間を に広げると と、ちょうど になる( で )。この値は指数分布(待ち時間の確率モデル)の平均そのもので、(ガンマ関数)という一般化の最初の段でもある。今回の答え は、その全体 のうち「 までに稼ぐ分」にあたる。指数減衰の尻尾が重いことが、数字から分かる。

の山頂は だ(微分応用の単元でよく扱う)。面積の右端がちょうど山頂、という設定にも設計の意図がある。

答

別解

符号ミスが怖い の部分積分は、答えの形を予想して係数で固める方が堅い。原始関数は「( 次式)」の形のはず。

とおいて微分する(積 合成)。

これが に一致する条件は 、 なので、 となる。

マイナスの出どころが係数比較の 行に集約され、途中の符号の分岐が消える。定積分は

系の部分積分は 回、 回と重ねるほど符号の間違いが増える。未定係数法はその備えとして、指数減衰型の積分全般で覚えておくとよい。

ポイント

  • 。
  • 。

よくある間違い

  • の原始関数のマイナスを落とし、部分積分の途中符号が全て崩れる
  • の代入を とする
  • 答えの正負を確かめない( の面積なので正、かつ 未満のはず)

問9回転体の体積(2曲線)

★★ 標準回転体2曲線

問題

において、曲線 と で囲まれた部分を、 軸のまわりに 回転してできる立体の体積を求めよ。

ヒントを見る

曲線の間の回転体は『外側の回転体 − 内側の回転体』。それぞれ の積分で、どちらが外側かをまず判定する。

解答・解説

方針

外側の曲線()で作る立体から、内側の曲線()で作る立体を引く(中空の立体)。。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 曲線で挟まれた領域を回転させると、できる立体は中空(外側の立体から内側がくり抜かれた形)だ。

体積は「外の回転体 内の回転体」。区間 では (外が )なので

注意することはひとつだけだ。 乗してから引く()。「差の 乗」 とは別物である。

公式 曲線の回転体 (中空の立体)

① 上下(外内)を確かめる。 で 。回転すると が外側、 が内側の中空の立体。

② 「外² − 内²」を積分する。

③ 計算する。

xyO1
y=x と y=x² で囲む領域。これを x軸まわりに回転(中空の立体)

まとめ: 曲線で囲む部分の回転体は「外の − 内の 」を積分(ドーナツ型の断面)。面積の「上 − 下」とちがい、体積は「外² − 内²」と 乗どうしの差になる。。

発展。 なぜ「差の 乗」ではだめなのかは、断面の絵を見ればすぐ分かる。位置 の断面は半径 の円から半径 の円をくり抜いたドーナツ(円環)で、面積は 。 は「半径が差の円」の面積で、円環とは別の図形である。式の暗記でなく断面の絵で立式すれば、この混同は起きない。

同じ領域を 軸まわりに回すと、外内が入れ替わって( が外、 が内) となる。回転軸が変わると体積も変わる。軸の指定を最初に確認する習慣はここから生まれる。

答

別解

外側の積分 には、小学校から知っている公式が含まれている。()を 軸まわりに回すと、底面の半径 、高さ の円錐になる。体積は公式で

一方、積分では となり、完全に一致する。「円錐の 」という、昔は天下りだった公式が、 の だったと分かる瞬間だ。内側( の回転体)は 。差をとって

外側を既知の立体(円錐・円柱・球)で置き換えられるときは、積分せず公式で書いてよい。検算にもなり、答えの大きさの感覚( は円錐の )もつかめる。

ポイント

  • 曲線の回転体 。
  • 面積(上−下)と違い、 乗の差。

よくある間違い

  • 「差の 乗」 で立式する(正しくは 乗の差 )
  • を のままにして外側と同じ式になる
  • 外側と内側の取り違え( では )

問10道のりと変位

★★ 標準速度と道のり

問題

数直線上を動く点の速度が で表される。時刻 から までの、変位と道のりをそれぞれ求めよ。

ヒントを見る

変位は速度をそのまま積分。道のりは速さ(速度の絶対値)の積分だ。速度の符号が変わる時刻で区間を割って計算する。

解答・解説

方針

変位は (符号込み)。道のりは 。 は で符号が変わる( で負、 で正)ので、道のりは区間を分ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 変位と道のりは似て非なるもの。変位は「最終的にどれだけ移動したか」(符号込み)、道のりは「実際に歩いた距離の総計」(常に正)だ。

は で符号が変わる( で後退、 で前進)。変位はそのまま積分し、道のりは で区間を割って、後退分も正として足す。絶対値の定積分の運動版である。

重要変位 (符号込み)、道のり

① 変位を求める。 符号込みで積分。

② 道のりを求める。 は で符号が変わる。 で負、 で正。

tvO12
v=t−1。t<1は戻り(赤)、t>1は進み(青)。変位=差=0、道のり=和=1

まとめ:変位は「行って戻る」を打ち消し合う符号込みの積分。ここは (出発点に戻る)。道のりは実際に動いた長さで、速度の符号が変わる で区間を分け、 を積分する。変位 でも道のりは だ。

発展。 「変位 ・道のり 」は、投げ上げたボールが手元に戻る運動と同じ関係だ(高さの変化 、飛んだ距離は往復分)。積分の言葉では となる。絶対値と積分の順序を替えると値が縮む、という一般不等式の運動版である(等号は が符号を変えないとき)。

平面上の運動になると、道のりは となり、曲線の長さの公式と一致する。「速さを時間で積むと道のり」という今回の原理が、弧長公式の親でもある。

答

変位 、道のり

別解

- グラフを描くと、この問題は三角形 つの絵になり、積分なしで答えが読める。 は、 で 軸を横切る右上がりの直線。区間 で

  • 軸の下(): 底辺 ・高さ の三角形、面積 (後退した距離)
  • 軸の上(): 同じ形の三角形、面積 (前進した距離)

変位は符号込みの合計: となる。後退と前進がちょうど相殺し、出発点に戻ってきた。

道のりは両方を正で足す: 。「- グラフの面積が移動距離」という物理で学ぶ読み方は、定積分の「符号付き面積」の意味と同じだ。グラフが 次式(面積が三角形・台形)のうちは、積分計算より図形の方が速くて確実だ。

ポイント

  • 変位 、道のり 。
  • 速度の符号が変わる所で区間を分ける。

よくある間違い

  • 道のりを 変位 と混同して と答える(往復すると変位は消えるが道のりは残る)
  • 絶対値の分割点( の )を無視して を道のりとする
  • 負の区間の積分値 を符号反転せず道のりに足す

問11面積(1/x²)

★★ 標準面積

問題

曲線 と 軸、および 直線 、 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

負の指数の累乗として原始関数を作る。あとは境界値の代入だけ。

解答・解説

方針

。面積は 。原始関数は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) だから、面積はそのまま定積分だ。

負のべきも累乗の公式( して割る)がそのまま使える: 原始関数は 。

(積分すると )と (累乗の公式)の区別だけ意識しておく。

公式。面積 定積分()

なので面積はそのまま定積分。

xyO12
y=1/x² と x軸、x=1〜2 で囲む面積

まとめ: の積分は 。面積 。符号の処理()を丁寧に。 の積分()とちがい、 は累乗の公式で積分できる。

発展。 の無限区間の面積が (有限)なのに対し、 は で発散する。減り方のわずかな差( 乗か 乗か)が、無限区間では有限と無限を分ける。この対比は級数( 収束・ 発散)とぴったり対応していて、積分と級数の収束判定が同じ原理(積分判定法・大学)で結ばれている。

型の量は重力・クーロン力(逆 乗則)として物理でよく現れる。 「無限遠までの仕事が有限」= 脱出速度が存在する、という宇宙の事実も、いま計算した の物理版である。

答

別解

答え の妥当性を、長方形で挟んで確かめてみる。計算に頼らない面積の見積もり方だ。区間 (幅 )で、 は減少関数。高さは左端で 、右端で 。

  • 内側の長方形(高さ ): 面積
  • 外側の長方形(高さ ): 面積

答え はきちんとこの間にいる(もし や が出たら、この検分でおかしさに気づける)。さらに、この曲線には次の事実がある。区間を に広げても

無限に長い領域なのに面積は有限の 。今回の はその全体 のうち「 までで半分を稼いだ」ことを意味している。残り半分は から無限までの薄い尻尾に散らばっている。

ポイント

  • 。
  • は累乗の公式()。

よくある間違い

  • の積分を 系とする( になるのは だけ)
  • の積分の指数処理()と符号()を誤る
  • 上端・下端の代入 の二重符号を落として と答える

問12曲線の長さ

★★ 標準曲線の長さ

問題

曲線 ()の長さを求めよ。

ヒントを見る

曲線の長さの公式は から作る。 を計算すると、根号がきれいに外せる形になっている。この問題はそこが仕掛けだ。

解答・解説

方針

曲線の長さは 。 なので 、。根号がきれいな形になるよう作られている。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 曲線の長さは公式

(微小区間の斜辺 を足し集めた式)で計算する。 の微分は 。すると

根号の中がただの 次式になった。きれいに積分できるよう設計された形だ。。

公式曲線の長さ

① と を求める。 より 。 なので

② 長さの積分を計算する。

③ 代入する。 、。

xyO3
y=(2/3)x^{3/2}(0≤x≤3)の弧の長さ

まとめ:曲線の長さは 。この問題は となり、根号の中が ( 次式)ときれいになるよう設計されている。。答え 。

発展。 弧長の公式で根号がきれいに外れる関数は珍しい。教科書の弧長問題は 系(今回)、懸垂線 ( が完全平方になる)、放物線(置換が要る)と、いつも同じ顔ぶれだ。「積分できる 」が本当に少ないからだ。一般の曲線の長さは数値積分でしか出せない(楕円の周長が「楕円積分」という新しい関数を生んだ歴史もある)。

公式のもとになっているのは三平方の定理で、微小な横 と縦 の斜辺を足し集めている。媒介変数表示なら と同じ考え方で書き直せる。

答

別解

曲線の長さの答えは、まっすぐな距離と比べることで正しさの感触が得られる。曲線の両端は始点 と終点 。 点をまっすぐ結んだ弦の長さは

曲線は 点を結ぶ最短経路(直線)より必ず長いから、 のはず。答え は確かに よりわずかに大きい。しかも「わずかに」であることも合っている(この曲線はゆるやかに曲がるだけで、直線に近い形だ)。

もし計算結果が より小さければ即座に誤り、大きすぎても(たとえば など)怪しい。弧長 弦、という幾何の原則は、 行の距離計算でできる有効な検算である。

ポイント

  • 。
  • 根号の中が 次式になるよう作られている。

よくある間違い

  • 公式の根号の中を でなく や とする
  • の積分で係数 (べき の逆数)を忘れる
  • の上端代入 を 以外の値と誤る