数学IIから数学IIIへ — 微積分で何が同じで何が新しいか
文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日
数学IIの微分・積分と、数学IIIの微分法・積分法は、同じ名前の別の科目に見えます。実際には、扱う関数が整式から三角・指数・対数・分数・無理関数に広がっただけで、考え方は同じです。ただ、この「広がっただけ」の部分で、計算の量と種類が数倍になり、数学IIで解けていた人が数学IIIで止まります。この記事では、数学IIから数学IIIへ進むときに「何が同じで、何が新しいか」を整理し、つまずきを防ぐ順序を説明します。
同じもの: 微分と積分の意味
微分係数が接線の傾きであること、増減表からグラフの概形を描くこと、極値と区間の端を比べて最大・最小を求めること、定数分離で方程式の解の個数を数えること、「上 − 下」を積分して面積を求めること、これらは数学IIと数学IIIで全く同じです。数学IIの微分の考えと積分の考えの標準までが解けていれば、数学IIIの応用問題の「考え方」の部分は身についています。
逆に、数学IIIの応用で「何をすればよいかわからない」と止まるなら、原因は数学IIにあります。増減表の書き方、面積の立式の手順を、数学IIの問題で確認してください。
新しいもの1: 関数の種類と極限
数学IIIでは、まず関数と極限で、分数関数・無理関数・逆関数と、極限の概念を学びます。極限は、微分の定義(平均変化率の極限)と積分の定義(区分求積の極限)そのもので、数学IIでは「暗黙に」使っていたものを明示的に扱います。 のような三角関数の極限は、三角関数の微分の公式を導くのに必要です。
新しいもの2: 微分の計算規則
数学IIの微分は だけでしたが、数学IIIでは、積・商・合成関数の3つの規則と、三角・指数・対数・累乗根の公式が加わります。微分法の計算は、この規則と公式だけを練習する単元で、応用に入る前に、基礎と標準を「答えを見ずに一気に解ける」状態にしてください。
合成関数の微分で「内側の微分」を落とすのが、数学IIIで最も多いミスです。 の「2」、 の「」です。「外側を微分してから、内側の微分をかける」という順序を、毎回1段ずつ書いてください。
新しいもの3: 積分の技術
数学IIの積分は だけで済みましたが、数学IIIでは、置換積分と部分積分という2つの技術を、式の形に応じて選ぶ必要があります。「中身の微分が外にある」なら置換、「多項式 × (指数・三角)」や「対数を含む」なら部分積分、分母が因数分解できるなら部分分数、根号や なら三角置換、という目印を、積分法の計算の標準で身につけてください。
積分の検算は、結果を微分して元に戻るかを確かめることです。微分は機械的にできるので、この検算を習慣にすると、積分の失点がほぼ消えます。
新しいもの4: 応用の広がり
計算が固まったら、微分法の応用と積分法の応用に進みます。数学IIになかったものは、凹凸と変曲点、漸近線、平均値の定理、不等式の証明(微分して最小値を評価する)、回転体の体積、区分求積法、曲線の長さです。
このうち、回転体と区分求積は「何を積分しているか」を図で確かめることが要点で、このサイトでは回転体の概形と区分求積の長方形を図にしてあります。不等式の証明は、「両辺の差を関数とみて最小値を評価する」という数学IIにもあった考え方の拡張です。
進める順序
数学IIIの5単元は、関数と極限→微分法の計算→微分法の応用→積分法の計算→積分法の応用の順に進めてください。計算の2単元を飛ばして応用に入ると、方針が正しくても計算で0点になります。
数学IIの微積分が不安なら、数学IIIに入る前に、数学IIの微分の考えの「3次方程式の実数解の個数」「接線が3本引ける条件」と、積分の考えの「放物線と直線で囲む面積」「3次曲線と接線で囲む面積」を解き直してください。この4つが解けていれば、数学IIIの応用の考え方は準備できています。
数学IIの他の単元との関係
数学IIIの微積分は、数学IIの三角関数と指数関数・対数関数の性質(加法定理・半角・対数の性質・底の変換)を、式を整えるために使います。 を積分するには半角の公式が、 を微分するには対数の性質が要ります。数学IIIで「式が整えられない」と止まるなら、この2単元に戻ってください。
数学IIIの勉強法の全体は数学IIIの勉強法に、数学II・Bの整理は数学II・Bの勉強法にまとめてあります。