数学III / 微分法の計算

微分法の計算 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 積の微分(三角関数)
  2. 商の微分(三角関数)
  3. 合成関数の微分(三角×2乗)
  4. 対数微分法
  5. 合成関数の微分(対数)
  6. 指数関数の微分(底がa)
  7. 第2次導関数
  8. 媒介変数表示の微分
  9. 無理関数の微分
  10. 合成関数の微分(tan)
  11. 一般の対数の微分
  12. 積の微分(指数×三角)

問1積の微分(三角関数)

★★ 標準積の微分三角関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

積の規則で。 つの部品それぞれの微分を先にメモしてから組み立てると、ミスが減る。

解答・解説

方針

積の微分 。、 として、、 を組み合わせる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と の積。積の微分は「バラして掛ける」ではなく、専用の公式を使う。

「前を微分 後ろそのまま 前そのまま 後ろを微分」のように、 つの部品が交代で微分される形だ。 と役を決めて、、 を組めばよい。

公式積の微分 、

、。、。

まとめ: と の積は積の微分公式で 項に。「 を微分 × 」+「 × を微分」。多項式 × 三角関数はこの形が基本だ。

発展。 積の公式の出どころは増分の分解にある。 と が同時に少しずつ動くとき、積 の増え幅は「 の増分 」と「 の増分」の和になる(両方の増分の積は 次の微小量で消える)。長方形の縦横を少し伸ばすと、増える面積は帯 本分になる、という絵で考えるとよい。

答えの検算には数値が手軽だ。 で 。 を電卓で計算すると同じ値に近づく。記号の計算を数の計算で照合する習慣は、微分のどの単元でも検算として役に立つ。

答

別解

積を対数で和にほどいてから微分する道もある( の範囲で考え、対数微分法を使う)。

積が和に変わった。両辺を微分すると、和は項ごとに微分できて

両辺に を掛けて戻すと

積の公式と同じ答えだ。 個の積なら公式の方が速い。だがこの「積 対数 和」の変換は、 個以上の積や商・累乗が入り混じった式( など)で役に立つ。対数微分法は 専用の技ではなく、積の構造を一括でほどく汎用の道具である。

ポイント

  • 。
  • 多項式 × 三角関数は積の微分で 項に。

よくある間違い

  • と「両方微分して掛ける」誤り( は別物)
  • 項のうち片方( だけ等)を書いて満足する
  • と符号を誤る(マイナスが付くのは の微分)

問2商の微分(三角関数)

★★ 標準商の微分三角関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

商の規則で。分子の引き算の順序を逆にすると符号が全部ひっくり返る。規則を書き出してから慎重に当てはめよう。

解答・解説

方針

商の微分 。、 を代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分数の形なので、商の微分公式を使う。

分子は「上を微分 下 上 下を微分」で引き算(積の公式との違いはここ)、分母は 乗。 を当てはめる。引き算の順序( が先)を崩さないことだけ気をつければ、あとは代入だ。

公式商の微分

、。、。

まとめ:商の微分は分子 、分母 。 の微分は 。分子の順番( が先)を守れば符号ミスが防げる。

発展。 この は、極限の単元で のとき に向かうことを調べた関数だ(シンク関数と呼ばれ、信号処理で重要)。いま求めた導関数の分子 が になる点が、この減衰する波の山と谷になる。計算の答えを、グラフの形で読みとれる。

分子 は と書き直せて、この方程式の解は無限個あるが規則的な式では書けない。「微分はできるのに、極値の位置は閉じた式にならない」という関数は、数IIIでは普通に出てくる。

答

別解

商の公式を使わずに、積の公式だけで片づける道がある。分母を負のべきに直すのだ。

積の公式で

通分すれば となり、商の公式と同じ答えになる。

この見方の利点は つ。第一に、覚える公式が減る(商の公式は「積 負のべき」から毎回作れる。実際 を展開すると公式が出てくる)。第二に、引き算の順序を間違えるミスが、式の形のうえで起きない( の符号が自動で正しい位置に入る)。

商の公式の分子の順序に不安がある人は、この積ルートを本線にしてよい。

ポイント

  • 。
  • 分子は が先。

よくある間違い

  • 分子の引き算を逆順()にして符号が全部逆になる
  • 分母を でなく のままにする
  • 約分できない と を強引にまとめて式を壊す(分子はこれ以上簡単にならない)

問3合成関数の微分(三角×2乗)

★★ 標準合成関数の微分三角関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

外側が 、内側が 。見た目の似ている ( 乗が外)との違いを意識して、外→内の順に。

解答・解説

方針

合成関数。外側 の微分は 、内側 の微分は 。かけ合わせる。(= )とは別物なので注意。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は「 を計算してから に入れる」二段構えの関数(合成関数)だ。合成の微分は連鎖律で、外と内の微分の掛け算になる。

まぎらわしい兄弟 とは別物であることに注意。あちらは「 してから 乗」で、微分は になる。合成の順序が違えば答えも違う。

公式(連鎖律)

、。

まとめ: は「 の中身が 」の合成関数。外側 (中身そのまま)、内側 の微分 をかける。 とは全くの別物なので、書き方に注意。

発展。 をよく見ると、 が大きいほど振幅が育つ。もとの は に収まる波なのに、傾きは際限なく急になる。 のせいで波の間隔がどんどん詰まるからだ(チャープ信号と呼ばれ、レーダーやコウモリの超音波がこの形)。導関数が関数本体より「暴れる」例である。

なお の微分 も、実は合成( の 乗)。⓪で対比した兄弟はどちらも連鎖律の練習台である。

答

別解

連鎖律を「公式」でなく増幅率のリレーとして見ると、掛け算になる理由ごと頭に入る。中継点に名前をつける。、。ライプニッツの記法で

これは「 が動くと がその 倍動き、 が動くと がさらに 倍動く」ということだ。変化の倍率がリレーのように掛け算で伝わる、というのが連鎖律の中身だ。

記法上も が「約分」されるように見えて覚えやすい。三段の合成( など)になっても、中継点を つ置いてリレーを 本つなぐだけだ。「合成が深くなったら、名前をつけて一段ずつ」というのが、数IIIの微分の基本である。

ポイント

  • は中身 の合成関数。
  • と は別物。

よくある間違い

  • 内側の微分 を掛け忘れて で止める(合成の最頻ミス)
  • と を混同する(計算の前に「どちらが先か」を確認)
  • 外の微分で中身まで微分して とする(外の微分は中身そのまま)

問4対数微分法

★★ 標準対数微分法

問題

関数 ()を微分せよ。

ヒントを見る

指数にも底にも がいる形は、そのままでは微分できない。両辺の対数をとってから微分する方法の代表例だ。対数をとった左辺の微分がどんな形になるかも確認しながら進めよう。

解答・解説

方針

指数にも底にも があるので、そのままでは公式が使えない。両辺の対数をとって()から微分する(対数微分法)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は困った形だ。底が定数なら指数関数の公式、指数が定数ならべき乗の公式が使える。だが両方に がいて、どちらの公式も使えない。

指数の絡んだ複雑な式は対数をとって次数を下ろす。両辺の対数で

右辺はただの積になり、積の公式で微分できる。左辺の微分は (合成関数)で、最後に を掛け戻せば が出る。これが対数微分法である。

重要底も指数も変数のときは、両辺の対数をとってから微分する(対数微分法)

① 両辺の対数をとる。

② 両辺を で微分する。 左辺は (合成関数)、右辺は積の微分 。

③ について解く。 を戻す。

まとめ: のように「底も指数も 」は、 でも でも扱えない。両辺の対数をとると積 になり、ふつうに微分できる。左辺の微分が になる点が決め手だ。

発展。 ⓪のよくある誤答 つ、実は足すと正解になる。べき乗扱いの と、指数関数扱いの の和は だ。偶然ではなく、「底の を動かした寄与」と「指数の を動かした寄与」の分業で、両方動くなら寄与は足し算(多変数の連鎖律・大学)になるからだ。つまり、2つの誤答は正解の部品になっていたのである。

を解くと 、。 はここで最小値 をとる。 より小さい値が、 に関係する場所で出てくる。

答

別解

対数を「とる」代わりに、最初から指数関数の形に書き直す手がある。 の関係を使うと()

これで「」という、ただの合成関数になった。連鎖律で

対数微分法と同じ答えになる。

つのルートは鏡写しだ。対数微分法は「両辺の をとってから微分」し、この別解は「式そのものを の累乗に書き直してから微分」する。どちらも「べきの肩の を、掛け算の形に下ろす」ことをしている。 を残したまま進む対数微分法に対し、こちらは が現れず一本道なので、式変形の見通しはむしろ良い。 でも でも、同じ方法が使える。

ポイント

  • 底も指数も変数 → 対数微分法。
  • を使う。

よくある間違い

  • べき乗の公式を流用して とする(指数が定数のときだけの公式)
  • 指数関数の公式を流用して とする( の項が落ちる。 の積の微分)
  • を とだけ書いて を掛け忘れる(合成関数なので )

問5合成関数の微分(対数)

★★ 標準対数関数の微分合成関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

対数の微分は『中身の微分 ÷ 中身』。中身が 次式でも同じ枠組みで扱える。

解答・解説

方針

。、。分子が内側の微分、分母が中身。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の中身が でなく なので、合成関数だ。対数の合成には専用の速記がある。

「分子に中身の微分、分母に中身」。 なら で

が常に成り立つから真数条件の心配も絶対値も不要で、この形はそのまま書けばよい。

公式

、。

まとめ: の微分は 。中身 の微分 が分子に。真数がつねに正()なので、定義域の心配もない使いやすい形だ。

発展。 という形には「対数微分 変化率」という意味がある。 は の瞬間の変化率(何 % 伸びているか)を表す量で、経済の成長率・音の大きさ(デシベル)・地震のマグニチュードなど、比で測る量の解析の基礎になっている。

また、答え は積分の単元で再会する顔だ。 となる。「分子が分母の微分」の形を見たら を思い出す、という逆向きの読みが、積分の重要な技になる。

答

別解

答えの式 を、対称性で検算する目を紹介する。もとの関数 は、 を に替えても値が変わらない偶関数(グラフは 軸対称の谷型)だ。

軸対称のグラフでは、 と での接線の傾きは符号だけ反対になる。つまり偶関数の導関数は奇関数になるはずだ。答えを検分すると

確かに奇関数になっていて、検算は合格だ。さらに で (谷底で水平)、 で (右半分は登り)も、グラフの絵と一致する。

「偶関数の微分は奇関数、奇関数の微分は偶関数」という対称性のルールは、計算ミス(たとえば のような取り違え)を、代入計算なしの一瞥ではねられる。答えの形を疑う道具として覚えておきたい。

ポイント

  • 。
  • 分子は中身の微分。

よくある間違い

  • 分子の を忘れて とする(合成の内側の微分)
  • を 等と誤変形する( の中の和はバラせない)
  • 不要な絶対値や真数条件の場合分けを持ち込む( は常に成立)

問6指数関数の微分(底がa)

★★ 標準指数関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

底が でない指数関数の微分には が現れる。公式を忘れたら、 を の累乗に書き直して合成の規則で導ける。

解答・解説

方針

底が でない指数関数は 。 を入れる。 は自然対数。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 指数関数の微分の基準は (微分しても変わらない、特別な底)。底が のときは、公式

に を入れて 。ここの は自然対数()だ。「底が ならそのまま、 以外なら の料金がかかる」と覚える。この補正係数の由来は別解で説明する。

公式( は自然対数)

。

(導出: とみて合成関数の微分。。)

まとめ:底が でない指数 の微分は、 に (自然対数)がかかる。 のときは なので のまま。 が特別扱いされる理由がここにある。

発展。 は と書ける。「増える速さが、いまの量に比例する」ということだ。細菌の増殖・放射性崩壊・複利など、自然界の指数的変化はすべてこの型の関係(微分方程式)から生まれる。比例定数 が大きいほど成長が速い。

倍加時間の実感も持てる。 は が 増えるごとに倍になるから、変化率は一定の になる。金利の計算の「 の法則」(年利 なら約 年で倍)は、この の近似値 から来ている。

答

別解

公式を丸暗記せず、 の言葉で書き直して導くと の出どころが見える。 だから

は「」の形で、肩の部分が傾き で増えていく の指数関数だった。合成の微分(内側 の微分は定数 )で

公式が 行で復元できた。 という係数は「 は より少しゆるやかに増える」度合いを表す。もし底が なら で係数が消える。 が「微分で使う標準の底」に選ばれた理由が、この書き直しから分かる。

すべての指数関数は の変装、と覚えれば、 の公式は暗記リストから消してよい。

ポイント

  • 。
  • なら で のまま。

よくある間違い

  • とべき乗の公式を流用する(指数と底の役割が逆)
  • を常用対数()と混同する(微分の は自然対数)
  • を掛け忘れて のままにする( 専用の性質)

問7第2次導関数

★★ 標準高次導関数

問題

関数 の第 次導関数 を求めよ。

ヒントを見る

回微分して、その結果をもう 回微分するだけ。定数倍がどんどん重なっていく様子を観察しよう。

解答・解説

方針

回微分して を求め、それをもう 回微分して を得る。 を微分するたびに が前に出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 第 次導関数は、「微分を 回」以外の何ものでもない。 回目の結果をもう一度微分するだけだ。

は合成関数(内側 )だから、微分のたびに内側の微分 が前に出る。

「 回につき 」の規則が見えれば、手が止まることはない。

公式第 次導関数 (導関数をもう 回微分)

① 回微分する。 。

② もう 回微分する。

まとめ:第 次導関数は「微分を 回」。 は微分のたびに が出るので、 回で 倍になる。一般に を 回微分すると だ。

発展。 で同じ遊びをすると、 回微分するたびに と周期 で一巡する。指数は等比( 倍)、三角は循環になる。高次導関数がどうなるかは関数の種類で全く違い、 型ではこの つが混ざった螺旋(回転 拡大)が現れる。

の親戚 を満たすのは 。符号ひとつで「急激に増える指数」と「回り続ける振動」に分かれる。この対比は大学で学ぶ微分方程式の最初に出てくる。

答

別解

回で止めず、規則として先読みしてしまおう。微分のたびに が つ前に出るのだから

第 次導関数までまとめて手に入った。「 回微分せよ」という問いは、この等比の列( 回ごとに 倍)の 段目を聞いているにすぎない。もうひとつの見どころは答えを 自身で書き直した関係

「 回微分すると自分の 倍に戻る」。 はこの性質を持つ関数の代表だ( も同じ関係を満たす)。ばねの振動や波の方程式など、物理法則の多くは「 と の関係」で書かれる。指数関数が自然科学のいろいろな場所に現れるのは、微分に対してこのように閉じているからである。

ポイント

  • (微分を 回)。
  • は微分のたびに が出る。

よくある間違い

  • 回目の微分で内側の を出し忘れ とする
  • を のままとする( と違い内側 の微分 が要る)
  • を ( 乗)と混同する(記号の意味は「 回微分」)

問8媒介変数表示の微分

★★ 標準媒介変数表示

問題

、()で表される曲線について、 を の式で表せ。

ヒントを見る

も も の式のときは、 での微分どうしの比で が出せる。どちらが分子かを取り違えないこと。

解答・解説

方針

媒介変数表示では 。 と をそれぞれ求めて割る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) も も で表されている(媒介変数表示)。 を で直接微分できないときは、 を仲介役にする。

「 が動くと がどれだけ動くか」を「 が動くと がどれだけ動くか」で割れば、 に対する の変化率になる。分数の約分と同じ感覚だ。、 を割って 。

公式媒介変数表示 ( で微分した比)

① でそれぞれ微分する。

② 比をとる。

まとめ: が両方 の式(媒介変数表示)なら、 は「 で微分した を で割る」。 を消さずに、 の式のまま答えることが多い。

発展。 の を全実数に広げると、原点で尖った「カスプ(とがり)」を持つ有名な曲線(半立方放物線)になる。 では となり、分母も分子も で公式が使えない。ちょうどそこに尖りが現れている。公式の適用限界と図形の特異点が対応する好例だ。

媒介変数の微分は物理では「時刻 の位置 から軌道の向きを求める」計算そのもの。 は、時刻 に粒子が進む方向の傾きである。

答

別解

この曲線は を消去して普通の関数に直せる。公式の答えを独立ルートで検算してみよう。()から 。これを に入れて

この曲線は だった。べき乗の公式で

を戻せば となり、媒介変数の公式と完全に一致する。

いつでも消去できるわけではない(サイクロイドのように が消せない曲線でこそ媒介変数表示が役に立つ)。だが消去できる問題では、この照合が公式の使い方の誤り(逆さに割る、 の微分を忘れる)を確実にあぶり出す。「 つの道で同じ答え」は新しい公式を信頼するいちばんの近道である。

ポイント

  • 。
  • で微分した比。答えは の式でよい。

よくある間違い

  • 分子・分母を逆にして とする( が上、が約分の形)
  • を の式のまま「 で表せ」と混同する(問題の指定は の式)
  • となる を範囲に含めて割ってしまう( の条件が守っている)

問9無理関数の微分

★★ 標準合成関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

根号の中に式が入った合成関数。根号を分数指数に直してから外→内で微分すると迷わない。最後に約分できる。

解答・解説

方針

とみる合成関数。外側 の微分 、内側 の微分 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 根号は 乗なので、 と書き直せば、べき乗 合成の型に落ちる。

外側 の微分は 、内側 の微分は 。掛けて

と が打ち消し合ってきれいに整う。「 を見たら 乗に読み替える」が第一手だ。

公式(合成関数)

、。

まとめ: の微分は 。中身 の微分 が分子に出て、 と約分できて 。

発展。 答え の絶対値は常に 未満で、 で に近づく。つまり の傾きは決して を超えず、遠方で直線 に漸近する。この曲線は双曲線 の上半分で、漸近線の性質が導関数の式にそのまま表れている。

を微分した 、すなわち という関係は「」と書ける。これは積分の言葉に直せる形で、微分方程式の変数分離の最初の一歩と同じ構造をしている。

答

別解

根号を微分する前に消す手がある。両辺を 乗して

根号のない、多項式だけの関係になった。この両辺を で微分する。左辺の は「 が の関数」であることを忘れずに、合成として

について解いて

乗ルートと同じ答えだ( なので割り算は安全)。

この「式の関係のまま微分して、後で を取り出す」やり方を陰関数微分という。分数べきの計算が一切現れないのが利点で、円 のように「」の形に直しにくい曲線では、この方法だけが実用的になる。根号・分数べきが嫌いな人の正式な避難路である。

ポイント

  • 。
  • 分子の と分母の が約分できることが多い。

よくある間違い

  • 内側の微分 を掛け忘れて で止める
  • を と「根号を外して」しまう(根号は和をバラせない)
  • 陰関数ルートで とし を掛け忘れる(合成なので )

問10合成関数の微分(tan)

★★ 標準三角関数の微分合成関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

の微分に、中身の微分を掛ける合成の形。

解答・解説

方針

。、。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の微分の公式に、合成(中身 )を重ねるだけだ。

、 を入れて

「分子に中身の微分、分母に 」と、 の と同じ「速記の型」として覚えると速い。

公式(連鎖律)

、。

まとめ: の微分は 。 の が中身 の微分 で になる。

発展。 (三平方の恒等式を で割った形)を使うと、 となり、導関数が関数自身の 次式で書ける。 は「傾きが自分の 乗で決まる」関数で、この関係は積分( の積分が )への準備になっている。

また なので、 は定義される区間ではどこでも増加で、傾きの最小値 は 付近でとる。グラフの「立ち上がりの速さ」が導関数の式から読める。

答

別解

の公式そのものを、商の微分から手作りしてみよう。公式を忘れたときの復元手順そのものだ。 に商の公式を使う( の微分はそれぞれ )。

分子に が現れて

公式と同じ答えに着地した。

という公式は、この計算( の微分 商の公式 三平方の恒等式)を 語に圧縮した略語にすぎない。一度自分の手で展開しておくと、「分母はなぜ か」「分子の はどこから来たか」が腑に落ちて、忘れても現場で作り直せる。

ポイント

  • 。
  • 中身の微分が分子に出る。

よくある間違い

  • 内側の微分 を忘れて とする
  • 分母を と書き、中身の を落とす
  • を 抜きの 型と混同して符号・形を崩す(同値だが変形は正確に)

問11一般の対数の微分

★★ 標準対数関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

底が の対数は、自然対数に底の変換をしてしまえば、定数倍の違いだけになる。

解答・解説

方針

底が でない対数は、底の変換で自然対数に直す:。 は定数なので、 の微分にかけるだけ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 微分で使う対数の標準は、自然対数()だ。底が のときは、まず底の変換で自然対数に直す。

はただの定数。定数倍は微分の外に出せるから

指数関数 のときの が「掛かる」のに対し、対数では「割る」。対になった補正である。

公式(底の変換 から)

① 自然対数に直す。 底の変換で

は定数。

② 微分する。

まとめ:底が の対数は、底の変換で にすれば、 は定数として外に出せる。 の微分 にかけて 。という自然対数()の特別な性質を、ここでも使っている。

発展。 で とすれば で となる。自然対数の公式は一般形の特別な場合だ。補正係数が になる底、として を定義することさえできる(実際、 の定義の仕方のひとつだ)。

指数と対数の補正の対( には 、 には )は、逆関数の微分が「傾きの逆数」であることの現れ。片方を覚えれば、もう片方は の鏡で写して復元できる。

答

別解

は の逆関数なので、この関係から微分する道もある。 は と同じこと。右の式を で微分すると

逆関数の微分の関係「」(傾きの逆数。グラフを で折り返すと傾きが逆数になる、の式版)を使って

(最後に を戻した。)底の変換ルートと同じ答えだ。

「対数の微分は、指数の微分の裏返し」である。 に が掛かるから、逆関数の では で割ることになる。 つの公式が独立の暗記事項ではなく、 対称の表裏だったと分かる。この逆関数の見方は数IIIの後半( 型の微分など)でもよく使う。

ポイント

  • 。
  • 底の変換で自然対数にしてから微分。

よくある間違い

  • を掛ける位置に置いて とする(対数は「割る」、指数は「掛ける」)
  • 底の変換 を と逆さに書く
  • まで で微分しようとする(定数なので係数のまま)

問12積の微分(指数×三角)

★★ 標準積の微分指数関数の微分

問題

関数 を微分せよ。

ヒントを見る

積の規則で微分して、共通因数でくくって整える。指数関数は微分しても形が変わらないので、くくりやすい。

解答・解説

方針

積の微分 。、。、。共通因数 でくくると整理できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と の積なので、積の公式 を使う。

は微分しても のまま、という特技を持つ。だから

どちらの項にも が残る。共通因数 でくくって

と整理するのが仕上げの作法。(三角)の積は、微分してもこの形が保たれる。

公式積の微分 、、

、。、。

共通因数 でくくる。

まとめ:(三角関数)の積は、 が微分しても変わらないので、共通因数 でくくれてきれいにまとまる。 の微分の の符号を落とさないこと。

発展。 のグラフは、指数の勢いで広がる封筒 の内側で振動する「育つ波」。ばねを揺らしながらエネルギーを注ぎ込む系(負の減衰)の変位がこの形で、逆符号の は減衰振動になる。車のサスペンションや地震計の針の動きがその例だ。

別解の「 倍と 回転」は大学で複素数を使うと 、微分は 倍(、偏角 )という 行に圧縮される。実数の計算で見えた螺旋は、複素数平面の回転そのものだった。

答

別解

答えのカッコ を三角関数の合成でまとめると、この関数を微分すると何が起きるかが分かる。

つまり

もとの と見比べてほしい。微分した結果は「振幅が 倍、位相が 進んだ、同じ形」になる。 型は、微分で拡大 回転されるだけで型が崩れない。

もう 回微分すれば、さらに 倍・ 進みで 。 回なら 倍・ 進みとなり、高次導関数が等比数列のように読める。

「微分のたびに 項がシャッフルされる面倒な関数」が、合成の目では「回りながら育つ螺旋」という単純な構造だった。この見方を使うと、 の 階微分(入試でよく出る)が最も短く求められる。

ポイント

  • 。 でくくる。
  • の符号に注意。

よくある間違い

  • と符号を落とす(マイナスが付くのは の微分)
  • 型の誤り( だけを答える)
  • くくった後の符号 を と逆にする(展開して戻して確認)