数学III / 微分法の計算

微分法の計算 ★★★★ 難関の問題 全8問

旧帝大・早慶レベル。一部の単元に用意した挑戦枠

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 多重の合成関数の微分
  2. 対数微分法(指数に対数)
  3. 商の微分
  4. 媒介変数表示の第2次導関数
  5. 陰関数の微分
  6. 第n次導関数(分数関数)
  7. 逆関数の微分係数
  8. 第n次導関数(指数と1次式の積)

問1多重の合成関数の微分

★★★★ 難関合成関数連鎖律

問題

を微分せよ。

ヒントを見る

段重ねの合成( の中に 、その中に )。外側から順に微分して掛け合わせる。 の微分は 。

解答・解説

方針

、、 の 段重ねの合成関数。外側から順に微分して掛ける(連鎖律)。、、。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は「 の中に 、その中に 」という 段の入れ子(合成関数)。

合成関数は連鎖律で「外側から順に微分して掛ける」。まず を微分()、次に を微分( 中身の微分)、最後に を微分()。一段ずつ外から剥いて掛け合わせる、と見通す。

公式連鎖律 。、

① 外側()を微分。 中身を として

② 中の を微分。 中身を として 。

③ まとめる。

まとめ:多重の合成は「外側から順に微分して掛ける」連鎖律。、、 と、一段ずつ剥いて掛け合わせる。中身の微分を掛け忘れないのが要。

発展。 の微分 は「対数微分」と呼ばれ、掛け算を足し算に変える働きをもつ。答え は、 の対数微分にほかならない。

連鎖律は「合成 変換の積み重ね、微分 その各段の伸び率の掛け算」と考えると分かりやすい。 段が 倍、 段が 倍、 段が 倍、と伸び率が掛け合わさる。

だから何段重なっても、外から順に伸び率を掛けていくだけでよい。段が増えても手順は同じだ。

答

別解

別解:置きかえて一段ずつ計算する(苦手な人向けの整理ルート)。 何を掛けるか混乱するなら、内側から名前をつけて表にすると迷わない。

、、 と置く。それぞれの微分は

連鎖律はこれらを掛けるだけ。

外側から順に剥く本解と同じだ。 と名前をつけて と分数のように並べると、掛け忘れが起きにくい。最後に 、 を戻すのを忘れないこと。

ポイント

  • 段の合成を外側から連鎖律で微分。
  • 。

よくある間違い

  • の微分で、中身 の微分 を掛け忘れる。
  • の微分を だけにして、中身 の微分を落とす。
  • を ()と読み違える。

問2対数微分法(指数に対数)

★★★★ 難関対数微分法

問題

()を微分せよ(ここで は自然対数)。

ヒントを見る

指数にも底にも (や )があるので、そのままでは微分しにくい。両辺の対数をとると 。両辺を微分して を求める。

解答・解説

方針

両辺の自然対数をとると 。両辺を で微分すると左辺は 、右辺は合成関数の微分。 について解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は「底も指数も がらみ」。指数法則の微分公式( など)がそのままでは使えない。

こういうときは対数微分法。両辺の自然対数をとると、指数が前に下りる。 と、扱いやすい式になる。

両辺を で微分すると左辺は 。あとは について解く、と見通す。

重要対数微分法:両辺の対数をとってから微分する。左辺

① 両辺の対数をとる。 の対数をとると、指数が前に下りて

② 両辺を微分する。 左辺は 。右辺は の合成関数の微分で 。

③ を求める。 を掛けて

まとめ:底も指数も変数がらみのときは対数微分法。 と単純化し、両辺微分で 。最後に ()を掛けて戻す。 の微分(連鎖律)を落とさない。

発展。 底も指数も変数の は対数をとると 。微分すると で、「指数関数ぶん」と「べき関数ぶん」の和になる。

今回の は、 が ()で最小 。だから は で最小値 をとる。 になるのはそのためだ。

対数をとる操作は掛け算やべきを足し算に変え、複雑な形を見通しよくする。微分だけでなく、大小比較や極値の判定でも同じ発想が使える。

答

別解

別解: の肩に乗せて直接微分する(得意な人向けの視点)。 対数をとって を解くかわりに、はじめから指数関数の形に書きかえてしまう。

だから

これは の合成関数。 で、、 を使うと

対数微分法の本解と同じ。 型はすべて に直せる、と覚えておくと、対数をとらずに合成関数の微分だけで押し切れる。「底に変数」の関数を の肩に集める方法は、どんな場合にも使える。

ポイント

  • 対数をとって 。
  • 微分して 、。

よくある間違い

  • の微分で連鎖律()を忘れる。
  • 最後に を掛けて戻すのを忘れる。
  • を で微分しようとする(指数が定数でないので使えない)。

問3商の微分

★★★★ 難関商の微分

問題

を微分せよ。

ヒントを見る

商の微分公式 。、 として を求め、分子を展開して整理する。

解答・解説

方針

商の微分公式 。、 として 、 を代入し、分子を整理する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分数関数の微分は、商の微分公式 に当てはめる。

、 と分ける。それぞれの導関数 、 を用意し、公式に代入する。分子の引き算の順( が先)を守り、分子を展開・整理する、と見通す。

公式商の微分:

① 部品を用意する。 、。、。

② 公式に代入する。

③ 分子を整理する。

よって

まとめ:商の微分は「」。引き算の順( が先)と、分母が になることを守る。分子を展開・整理して 。 とくくってもよい。

発展。 商の微分公式は、じつは積の微分から導ける。 を積の微分すると 。だから丸暗記でなく組み立てられる。

分子 が になる が、この関数の極値の場所。分子(=導関数)の符号がそこで変わる。黄金比の逆数 が現れるのは、 がその定義式だから。ふつうの分数関数の極値にも、このような有名な数が現れる。

答

別解

別解:積の微分に直す(得意な人向けの視点)。 商の公式を覚えていなくても、分母を「 乗」とみて積の微分で処理できる。

と書く。積の微分 で、、。 だから

分母を でそろえると

商の公式を使う本解と同じ。じつはこの計算が商の公式の導出そのもの。「分母は 乗」「積の微分 合成関数」で、公式を忘れても再現できる。

ポイント

  • 、。
  • 。

よくある間違い

  • 分子の引き算の順()を逆にする。
  • 分母を のままにする(正しくは )。
  • の展開 を誤り、分子の整理を崩す。

問4媒介変数表示の第2次導関数

★★★★ 難関媒介変数第2次導関数

問題

媒介変数 で 、 と表される曲線について、 と を で表せ()。

ヒントを見る

。第 次は「 を で微分して、 で割る」。 でそのまま 回微分しない。

解答・解説

方針

。第 次は ( でなく で微分してから で割る)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 媒介変数表示の微分は 。まずこれを計算する。

第 次導関数でつまずきやすいのは、 を「 で」もう一度微分できない点。 は の式だから、 で微分してから で割る、という手順になる。この 段を取り違えないように進める、と見通す。

公式、

① 。 、 より

② 。 まず を で微分する。

これを で割って

まとめ:媒介変数の微分は「」。第 次は「(= の式)を で微分し、 で割る」。 で 回微分するのは誤り。 を の式に整理してから微分すると楽。

発展。 第 次を としてはいけないのは、 自体が の関数で、それをさらに で微分するには連鎖律 を通す必要があるから。

この曲線は を消すと 。 から となる。

原点で自分自身と交わる「結び目(節点)」をもつ 次曲線だ。媒介変数を使うと、こうした自己交差する曲線もなめらかに 本の でたどれる。陰関数のままでは扱いにくい曲線を、パラメータを使えば扱いやすくできる。

答

、

別解

別解: を商のまま微分する(得意な人向けの視点)。 本解では を と分けてから微分した。分けずに、商の微分で処理しても同じ。

これを で割って

次式の和に分けてから微分する本解と同じ。分数を分けると計算は軽くなるが、分けにくい形では商の微分でそのまま押すほうが確実。どちらでも「 で微分 → で割る」の流れは変わらない。

ポイント

  • 。
  • 。

よくある間違い

  • 第 次で を で直接微分してしまう。
  • で割る手順を忘れる。
  • を と誤る。

問5陰関数の微分

★★★★ 難関陰関数の微分

問題

曲線 上の点 における接線の傾き を求めよ。

ヒントを見る

を の関数とみて両辺を で微分する。 の微分は積の微分、 の微分は 。 について解いてから点を代入。

解答・解説

方針

を の関数とみて、両辺を で微分する( は積の微分、 は合成関数の微分)。 について解き、点 を代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) が の式として解けない(陰関数)ので、 を「 の関数」とみたまま両辺を で微分する。

は積の微分、 は合成関数の微分で になる。こうして を含む式ができるので、それについて解く。最後に点 を代入して傾きを出す、と見通す。

重要陰関数の微分: を の関数とみて両辺を で微分する。、

① 両辺を微分する。 の両辺を で微分する。

② について解く。 を含む項をまとめて

③ 点を代入する。 を入れて

まとめ:陰関数は「 を の関数とみて両辺微分 → について解く」。 は積の微分()、 は 。 でくくって解き、点を代入して傾き 。

発展。 陰関数微分で得た は、曲線上のどの点でも使える。接線が水平になるのは 、垂直になるのは のとき。

じつは は、原点を中心に傾いた楕円。 の勾配 が、各点で曲線に垂直な向き(法線)を指す。「等高線に垂直なのが勾配」という見方は、多変数の微分で学ぶ内容の基礎になる。陰関数微分はその一歩手前で同じ構造を先取りしている。

答

別解

別解: を解いて陽関数で微分する(得意な人向けの視点)。 点 の近くなら、 について 次方程式を解いて陽関数にできる。

を の 次方程式とみて解くと

(正の平方根を選ぶと で となり、点を通る枝)。これを微分すると

で だから 。陰関数のまま微分する本解と同じ。解ける形なら陽関数にしてもよいが、根号や枝の選び方が増える。陰関数微分は「解かずに済ませる」ぶん、こうした場合はむしろ手早い。

ポイント

  • 両辺を微分:。
  • 、 で 。

よくある間違い

  • の微分で を掛け忘れる( だけにする)。
  • を積の微分でなく単純に とし、 を落とす。
  • について解く前に点を代入し、式変形を複雑にする。

問6第n次導関数(分数関数)

★★★★ 難関高次導関数第n次導関数

問題

の第 次導関数 を求めよ。

ヒントを見る

を数回微分して、係数(符号・階乗)と指数の規則を見つける。 回微分した結果を並べて一般項を推測する。

解答・解説

方針

とみて何回か微分し、符号・階乗・指数の規則を見つけて一般化する。、、、 と並べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 第 次導関数は「数回微分して規則を見つけ、一般化する」。

を微分するたびに、指数が つ下がり、係数に元の指数が掛かる。 回微分した結果を並べる。そこから符号・階乗・指数のパターンを読み取り、 の形を推測する、と見通す。

重要第 次導関数は、数回微分して「符号・係数(階乗)・指数」の規則を見つけて一般化する

① 数回微分する。 とみて

② 規則を読む。 係数は すなわち ( 回で 、 回で 、 回で )。指数は 。よって

③ 確認。 :、:。上の計算と一致。

まとめ:第 次導関数は「数回微分して規則を推測」。 は微分のたびに符号が反転()、係数に階乗()、指数が 。 回の結果でパターンを確信してから一般化する。

発展。 この は、 のマクローリン展開とつながる。 を入れると 。

テイラー係数は 。並べると 、公比 の等比級数そのもの。 次導関数の階乗 がテイラー係数の分母の とちょうど打ち消し合って、きれいな係数 が残る。高次導関数は関数を多項式で近似するときの「各次の重み」を測っている。

答

別解

別解:帰納法できちんと示す(得意な人向けの視点)。 「規則を推測」で終えず、数学的帰納法で確かめると証明として完結する。

推測した式を とおく。 のとき で成立。 で成り立つと仮定し、もう 回微分する。

これは の式そのもの。よってすべての で成立する。低次で規則を読む本解に、帰納法の裏づけを与えた形。 が「新たに掛かる指数」で、これが符号を反転させ()、階乗を つ伸ばす()。推測を証明にする基本の方法だ。

ポイント

  • 、、。
  • 規則より 。

よくある間違い

  • 符号 の規則を取り違える(微分のたびに符号が反転する)。
  • 係数の階乗 を、 や と誤る。
  • 指数を でなく 等と誤る。

問7逆関数の微分係数

★★★★ 難関逆関数の微分

問題

関数 は逆関数 をもつ。 の値を求めよ。

ヒントを見る

逆関数の微分は 。 は となる 。それを に入れて逆数をとる。

解答・解説

方針

逆関数の微分公式 。 に対して 、すなわち となる を求める()。 を計算して逆数をとる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 逆関数の導関数は、公式 で、元の関数 の微分だけで求まる。 を具体的に求めなくてよい。

なので、まず 、すなわち を満たす を見つける。 を見ると、 で 。だから 。あとは を計算し、その逆数をとる、と見通す。

公式逆関数の微分:

① を求める。 となる を探す。 のとき 。よって 。

② を計算する。 。。

③ 公式に代入する。

まとめ:逆関数の微分係数は「」で、 を求めずに の微分だけで出る。 の解 を見つけ()、 の逆数 。逆関数のグラフの傾きは元のグラフの傾きの逆数、というのが背景。

発展。 逆関数のグラフは元のグラフを直線 で折り返したもの。折り返すと縦横が入れ替わるので、傾きは逆数になる。点 が に移り、傾き が に変わる。

そもそも が逆関数をもつのは、 で常に増加だから。単調増加なら 対 で、逆向きにたどれる。「傾きが逆数」は、 を微分すれば出る自然な帰結。逆関数の微分はこの折り返しの幾何を式にしたものだ。

答

別解

別解:恒等式 を微分して導く(得意な人向けの視点)。 公式を暗記せず、逆関数の定義式から作れる。

とおくと、逆関数の定義から が恒等的に成り立つ。両辺を で微分する。左辺は合成関数の微分で

これが逆関数の微分公式そのもの。 を入れると、(なぜなら )だから

公式に当てはめる本解と同じ。 を微分するだけで公式が出るので、忘れてもその場で導ける。合成関数の微分が「」になることから、逆数の形が出てくる。

ポイント

  • より 。
  • 、。

よくある間違い

  • (= の解 )を求めず、公式に代入できない。
  • 逆数をとらず、 をそのまま答える。
  • の の微分を、 でなく別のものにする。

問8第n次導関数(指数と1次式の積)

★★★★ 難関高次導関数積の微分

問題

の第 次導関数 を求めよ。

ヒントを見る

を数回微分して、 の前の 次式と のべきの規則を見つける。 回微分した結果を並べて一般項を推測。

解答・解説

方針

積の微分を数回行い、規則を見つける。、、 と、 の係数( 次式)と のべきの規則を読み取る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 第 次導関数は数回微分して規則を推測する。

は積なので、微分のたびに積の微分で の前の 次式が変わり、 のべきが増える。 回微分した結果を並べる。 の係数( 次式)と のべきのパターンを読み取って一般化する、と見通す。

重要第 次導関数は数回微分して規則を推測。 を含む積では、微分のたびに が現れる

① 数回微分する。 積の微分( の微分は )で

② 規則を読む。 の係数は 。 のべきは 、かっこ内は 。よって

③ 確認。 :、:。上の計算と一致。

まとめ:第 次導関数は「数回微分して規則を推測」。 は微分のたびに のべきが増え()、 の前の 次式が に。 回の結果でパターンを確信してから一般化する。

発展。 積の 次導関数には、ライプニッツの公式 がある。二項定理とそっくりの形だ。

は が 次式なので、 以降が消え、 の 項だけ残る。だから一般項が短くまとまる。

なら残るのは 項。「片方が多項式なら、その次数ぶんだけ項が残る」というのが、規則がきれいになる理由。パターン推測の裏に、ライプニッツの公式という保証がある。

答

別解

別解:ライプニッツの公式で一度に出す(得意な人向けの視点)。 数回微分して規則を推測するかわりに、積の 次導関数の公式を使うと途中を飛ばせる。

、 とおく。、 なので、ライプニッツの公式は の 項だけ残る。

は微分のたびに 倍だから 。、 を入れると

低次から規則を読む本解と同じ。 が 次式なので 項で終わる、と最初から分かるのがこの公式の強み。推測に頼らず、いきなり一般項へ到達できる。

ポイント

  • 、、。
  • 規則より 。

よくある間違い

  • の微分で を掛け忘れる。
  • のべき()やかっこ内()の規則を取り違える。
  • 積の微分で、 の項の寄与( の微分ぶん)を落とす。