数学C / 平面ベクトル

平面ベクトル ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. なす角の計算
  2. ベクトルの分解
  3. 内積とベクトルの大きさ
  4. 三角形の面積(座標)
  5. 内分点と外分点
  6. ベクトルの大きさの最小
  7. 垂直な単位ベクトル
  8. 直線のベクトル方程式
  9. 内積からなす角の条件
  10. 平行・垂直の判定
  11. 位置ベクトルと分点
  12. 内積を用いた垂直の証明

問1なす角の計算

★★ 標準なす角内積

問題

、 のなす角 を求めよ。

ヒントを見る

内積と大きさをそれぞれ計算して を出す。出てきた値がどの角に対応するかは、有名角の表から。

解答・解説

方針

。内積(成分)と大きさを求めて代入し、 から角を読む。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) なす角は、内積の定義式を について解いた

で求める。部品は つで、内積(成分の積の和)と、 つの大きさ(三平方)だ。計算すると 、よって 。 の値から角を読む最後の一歩は、有名角の表(単位円)を使う。

公式なす角

① 内積と大きさを求める。

② を計算する。

③ 角を求める。 より 。

xyOab30°
a=(1,√3),b=(√3,1) のなす角は30°

まとめ:なす角は「内積 ÷(大きさの積)= 」。 は 。成分の内積 と大きさ を正確に。

発展。 偏角の目で内積の公式を見直すと、( は各偏角)となる。つまり内積は加法定理 を別の形で表したものだ。成分の内積 が、この右辺に対応している。ベクトルと三角関数が同じ事実を共有している好例である。

なお が有名角の値にならない場合は、 は「 を満たす角」のように値のまま答える。角そのものより の値を使う場面も多い。

答

別解

この 本は有名な向きのベクトルなので、それぞれの向き(偏角)を先に読むと、公式なしで角が出る。 は、横 に対して縦 である。これは 軸から の向きだ(、–– の三角形の形)。 は横 に縦 で、 軸から の向きだ。

なす角は向きの差

内積の計算と一致する。

本のベクトルが について鏡写し(成分の入れ替え)であることに気づけば、「 の線をはさんで対称に ずつ」という配置まで見える。成分が有名角の形( と 、 と など)のときは、偏角読みが最速で、内積公式の検算にもなる。

ポイント

  • 。
  • 。

よくある間違い

  • 内積を のように積の積にする(成分ごとの積の「和」)
  • 大きさを と和にする(三平方で )
  • から と読む( は )

問2ベクトルの分解

★★ 標準1次結合

問題

、 とする。 を の形に表せ。

ヒントを見る

を成分で書き並べると、、 の連立方程式になる。成分ごとに等しいとおくだけ。

解答・解説

方針

を成分で書き、 と成分を比べる。 成分・ 成分の つの式(連立方程式)を について解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 を と の合成で表せ」とあるので、未知の係数 を置いて、成分を比較する。

成分と 成分で式が 本、未知数も つなので、連立方程式を解くと 、 となる。 と が平行でない(一次独立)から、この分解は必ずただ 通りに決まる。

重要 は、成分を比べて の連立方程式にする

① 成分で書く。

② と成分を比べる。

③ 連立方程式を解く。 上の式から 。下に代入:、、、。。

xyOabc
c=(7/5)a+(6/5)b(a,b方向の平行四辺形の対角線)

まとめ: 次結合 で表すのは「成分を比べて連立方程式」。 成分・ 成分の 式から を求める。 が平行でなければ必ず解ける。

発展。 平行でない 本があれば、平面のどんなベクトルもただ 通りに分解できる。この事実は座標の考え方そのものだ。ふだんの 座標は 、 を選んだ特別な場合で、今回の問題は「基底を取り替えた座標」を計算している(斜交座標)。

分解の一意性はベクトル方程式の係数比較(「 なら 」)の根拠として、位置ベクトルの図形問題全般を支える。この単元の後半で最も頻繁に使う論法の基礎が、この計算問題である。

答

別解

連立を解かずに、面積(クロス積)で係数を直読みする方法がある。 つのベクトル 、 から作る量 (クロス積)は、 本の張る平行四辺形の符号付き面積。この量は「同じベクトルどうしなら 」という性質を持つ。

の両辺と のクロス積をとると、 どうしの項が消えて

同様に とのクロス積で

割り算 回で終わり。分母が共通( の面積 )なのも計算を軽くする。

消したい相手とクロス積をとる。これは連立方程式の加減法を、ベクトルの言葉で1行にまとめた形だ(大学ではクラメルの公式と呼ばれる)。分母 は 、つまり分解できない場合で、一次独立の条件が分母の形で現れている。

ポイント

  • 成分を比べて の連立方程式。
  • が平行でなければ一意に決まる。

よくある間違い

  • 連立の消去で係数の掛け忘れ( を 倍せず引く等)
  • を求めた後、もとの式に戻して検算しない( の確認)
  • 成分と 成分の式を取り違えて連立を組む

問3内積とベクトルの大きさ

★★ 標準内積

問題

、 のとき、 を、内積の性質を用いて求めよ。

ヒントを見る

は内積の展開( 乗の展開と同じ形)で計算できる。 つの部品( つの大きさと内積)を先にそろえよう。

解答・解説

方針

(展開公式)。、、 を求めて代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「内積の性質を用いて」とあるので、大きさの 乗を内積で開く。展開公式の練習だ。

の展開とそっくりなのは、内積が「掛け算のように」分配できるからだ。部品を計算する。、、。代入して 。

公式(内積の展開)

① 各量を求める。 、、。

② 展開公式に代入する。

(確認:、。)

xyOaba+b
a+b=(4,6)。|a+b|²=52

まとめ: は「」のベクトル版。 の代わりに内積 が入る。 は自分自身との内積()であることを使う。

発展。 展開公式を幾何で読むと余弦定理そのものだ。 で を入れれば、 となる。数Iの定理が内積の分配法則の 行にまとまっている。

垂直()のときは中間項が消えて となり、これは三平方の定理だ。余弦定理も三平方も、内積の展開の特別な場合として一望できるのが、ベクトルを使う強みである。

答

別解

成分が分かっているのだから、先に足してから測る直行ルートでも出せる。

行で終わり、展開公式より速い。

では、なぜ問題はわざわざ「内積の性質を用いて」と言うのか。成分が与えられない問題( のとき は?)では、展開公式しか道がないからだ。今回はその公式を、成分ルートという「答え合わせ」付きで練習できる問題になっている。

つのルートが同じ を出すこと自体が、展開公式の正しさの数値実証。両方できる問題では両方やる。公式への信頼と検算を同時に得られる。

ポイント

  • 。
  • 。

よくある間違い

  • 中間項の を落として とする
  • と を混同する(等しいのは垂直のときだけ)
  • を聞かれているのに まで直して答える(問いの形を確認)

問4三角形の面積(座標)

★★ 標準面積

問題

点 、、 を頂点とする三角形の面積を求めよ。

ヒントを見る

辺のベクトルの成分から、三角形の面積をすぐに出す式があった。まず と を作るところから。

解答・解説

方針

、 とすると、面積 。 が原点なので 、。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 頂点の つ()が原点なので、面積公式がそのまま使える配置だ。

(、。) が原点なので 、 がそのまま使える。

「たすき掛けの差の半分」は座標三角形の面積をいちばん速く出す公式である。

公式 ベクトル 、 が作る三角形の面積

① 辺のベクトルを出す。 が原点なので 、。

② 面積公式にあてはめる。

xyOBC
3点 O(0,0), B(3,1), C(1,2) の三角形の面積=5/2

まとめ:座標が分かる三角形の面積は (たすきがけの差の絶対値の半分)。 辺のベクトルの成分を入れるだけ。絶対値を忘れずに(面積は正)。

発展。 という「たすき掛けの差」は、分解の問題(クラメルの分母)にも、平行判定( が平行)にも現れた。この単元で何度も使う量だ。これは「 本のベクトルが張る平行四辺形の符号付き面積」を表す。面積・平行・分解可能性がすべてこの つの量で表せる。

頂点が格子点の多角形なら、ピックの定理(面積 内部の格子点 辺上の格子点 )という数え上げの別業もある。今回の三角形で試すと、内部 点・辺上 点で となり、三たび同じ答えになる。

答

別解

公式を忘れても、方眼紙の発想で面積は出せる。囲んで、引けばよい。 点を全部含む最小の長方形は、 から までの長方形で、面積は だ。

長方形から、三角形の外側にある直角三角形 つを切り落とす。

  • – の下側: 底辺 ・高さ で面積
  • – の左側: 底辺 ・高さ で面積
  • – の右上: 底辺 ・高さ で面積

公式と一致した。実は公式 は、この「長方形から直角三角形を引く」操作を文字で一般化したものにすぎない。斜めの図形の面積を、軸に平行な部品で測るという考え方だ。

ポイント

  • 面積 。
  • 辺のベクトル成分を入れる。

よくある間違い

  • たすき掛けの組を誤り (内積もどき)を計算する
  • を掛け忘れて平行四辺形の面積 を答える
  • が原点でないときにこの座標をそのまま使う(一般には を引いてベクトルにする)

問5内分点と外分点

★★ 標準内分点外分点

問題

点 、 について、線分 を に内分する点 と、 に外分する点 の座標を求めよ。

ヒントを見る

内分と外分で公式の形がどう変わるか。外分は比の一方を負とみなす、という読み替えを思い出そう。

解答・解説

方針

内分 、外分 。 なので 、。外分は「 を にした内分」と覚える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 内分と外分は、公式のペアで処理する。

内分(): 。遠い方の比が相手の点に掛かる(比 なら 寄りで、係数は に 、 に )。外分(): 内分の を に替えるだけなので、 となる。

で計算すると 、。

公式 内分 、 外分

① 内分点。 、。。

② 外分点。 。

xyOABP(内分)Q(外分)
AB を 2:1 に内分する P(5,6) と外分する Q(13,14)

まとめ:外分は「内分の を に変える」だけ。 外分は分母が になり、線分の外側( の先)に点がくる。内分と外分をセットで覚える。

発展。 答えの検算は比の測り直しで。、 で、確かに 。 は 、 で 、かつ の外側にあり、外分の名のとおりだ。

を実数全体に動かした は直線 そのもの(直線のベクトル方程式)。内分・外分・直線が「倍率 の値域の違い」で統一される。別解の見方は、そのまま次の話題につながっている。

答

、

別解

公式の分数を忘れても、 から何歩進むかで両方出せる。 から への移動ベクトルは 。これを「 歩」とする。

内分 : は 間を に切るから、 から全体の だけ進む。

外分 : は なので、 を通り越して、 から全体の 倍進んだ点だ。

「内分は と の間の倍率、外分は を超える(または負の)倍率」と見れば、どちらも という同じ形の 違いにすぎない。数直線に を並べた絵を描けば、 と の位置は一目である。

ポイント

  • 内分 、外分は 。
  • 外分点は線分の外側にくる。

よくある間違い

  • 内分公式の分子で係数を逆()にする(遠い方の比が相手に掛かる)
  • 外分で符号を替える側を誤り 型の混乱に陥る(検算: 出た点が の延長上か)
  • 外分の分母 を のまま使う

問6ベクトルの大きさの最小

★★ 標準内積最小

問題

、 とする。 が実数全体を動くとき、 を最小にする の値を求めよ。

ヒントを見る

を内積で展開すると の 次関数になる。あとは頂点の を求めるだけだ。ベクトルの問題が 次関数の問題になる。

解答・解説

方針

を展開すると の 次関数になる。。平方完成して最小の を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) が動くときの は、展開すると の 次関数になる。

(、、。)下に凸の放物線だから、頂点で最小。平方完成(または頂点の公式 )で 。「ベクトルの大きさの最小 次関数の頂点」という、数Iへの橋渡しの型だ。

重要( の 次関数)

① 各量を求める。 、、。

② の 次関数にする。

③ 平方完成して最小を求める。

よって で最小。

xyOa (t=0)最小
点は直線 a+tb 上を動く。|a+tb| 最小は O からの垂線の足(t=−3/2)

まとめ: は展開すると の 次関数。平方完成で最小の が出る。このとき は に垂直になる(最短距離の垂線)というのが幾何的な意味だ。

発展。 最小を与える は、 の 方向への正射影(影)と呼ばれる重要な量。「 を 方向成分と垂直成分に分ける」操作で、最小値 は垂直成分の長さの 乗にあたる。

この分解は、データの近似(最小二乗法)・物理の力の分解・大学の直交射影まで一直線につながる。「 次関数の最小」として現れたこの問題は、線形代数の中心概念の基礎になっている。

答

別解

この最小化には、計算より速い幾何の絵がある。 は を動かすと「点 を通り、方向 の直線」の上を動く点だ(直線のベクトル方程式そのもの)。 は原点からその点までの距離。

原点から直線への距離が最小になるのは、垂線の足である。つまり最小の瞬間、ベクトル は直線の方向 と垂直になっている。

展開も平方完成もなしで、 次方程式 本。 次関数の頂点(代数)と垂線の足(幾何)が同じ を指す。平方完成の頂点の式 は、垂直条件そのものである。この垂直の目は「点と直線の距離」「正射影」へ直結する、この単元の要の視点だ。

ポイント

  • は の 次関数。
  • 最小のとき 。

よくある間違い

  • 展開の中間項の係数を のまま( 倍せず)にする
  • の係数を ( 乗し忘れ)とする
  • 最小にする と最小値()を取り違えて答える(問いは )

問7垂直な単位ベクトル

★★ 標準垂直単位ベクトル

問題

に垂直な単位ベクトルを求めよ。

ヒントを見る

に垂直なベクトルは、成分を入れかえて片方の符号を変えると作れる(内積で確認できる)。あとは長さを に整える。答えが つある理由も考えよう。

解答・解説

方針

に垂直なベクトルは または (成分を入れかえて片方の符号を変える)。それを大きさで割って単位ベクトルにする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「垂直」と「単位」の つの条件を順に満たしていく。

垂直なベクトルは成分を入れかえて片方の符号を反転すれば作れる: に対して (内積 で確認)。単位ベクトルにするには、大きさで割る。 だから 。

垂直な向きは反対側にもあるので、 も答えになる。 本セットで答えるのを忘れない。

重要 に垂直なベクトルは (成分を入れかえて一方の符号を変える)

① 垂直なベクトルを作る。 に対して 。確認:内積 で垂直。

② 単位ベクトルにする。 で割る。

③ 逆向きも答え。 垂直な向きは つ(反対向き)。

xyOa(4/5,−3/5)(−4/5,3/5)
a=(3,4) に垂直な単位ベクトルは2つ(反対向き)

まとめ: に垂直なのは「成分を入れかえて一方にマイナス」= 。内積が になるのですぐ確認できる。単位ベクトルは大きさで割る。垂直方向は反対向きも含めて つある。

発展。 単位化した と のペアは「互いに垂直な単位ベクトルの組」(正規直交基底)で、傾いた座標軸としてそのまま使える組だ。あらゆるベクトルがこの 本で分解でき、内積の計算が普通の座標と同じ形で通る。

は の有理数版()。ピタゴラス数から作れる「きれいな角度」は、問題作成でもよく使われる。–– や –– のような組が出てきたら、同じ形を疑ってよい。

答

と

別解

「成分を入れかえて符号反転」は、 回転のことだ。

ベクトル を原点まわりに反時計回りへ 回すと 、時計回りなら になる。紙の上で 、 を確かめると、この置き換え規則が分かる。回転は長さを変えず角度を 変えるから、出てくるベクトルは自動的に垂直で同じ長さだ。

を両向きに回すと と 。長さは元と同じ (有名な –– の直角三角形)なので、 で割って

「垂直なベクトルは 回転で作る」という見方は、法線ベクトル(直線 の と方向 の関係)や、複素数平面の 倍( 回転)と同じものだ。単元をまたいで繰り返し出会う、平面の基本操作である。

ポイント

  • に垂直 = 。
  • 大きさで割る。反対向きも答え( つ)。

よくある間違い

  • 成分を入れかえるだけ()で符号反転を忘れる(内積 )
  • 単位化を忘れて のまま答える(「単位ベクトル」の条件)
  • 逆向きの 本を落として片方だけ答える

問8直線のベクトル方程式

★★ 標準ベクトル方程式

問題

点 を通り、方向ベクトルが である直線上の点 を、媒介変数 を用いて表せ。また に対応する点の座標を求めよ。

ヒントを見る

直線上の点は『通る点 + 方向ベクトル』で表せる。成分ごとに書き下ろせば媒介変数表示になる。

解答・解説

方針

直線のベクトル方程式は (通る点 + ×(方向))。成分で書くと 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 直線をベクトルで表す部品は、通る点と方向の つだ。

「点 から出発して、方向 に 倍だけ進む」と読む。 が全実数を動けば、点 は直線全体を掃く。成分で書けば 。 なら で、出発点から方向ベクトル 本分だけ進んだ地点である。

公式直線のベクトル方程式 (通る点 + ×(方向ベクトル ))

① ベクトル方程式を書く。

② を代入する。

xyOdA(t=0)(t=1)
点A(1,2)を通り方向 d=(3,1) の直線。t=1で(4,3)

まとめ:直線は「通る 点 + 方向ベクトルの実数倍」で表せる。。 を動かすと点が直線上を動く。 で方向に 歩進んだ点 。媒介変数表示の基本だ。

発展。 消去して出た の係数 は、この直線の法線ベクトルである。方向 と内積をとると で確かに垂直だ。「方程式の係数 法線、媒介変数の係数 方向」という対応は、 つの表現の橋として覚えておく価値がある。

に時刻の意味を持たせれば、これは等速直線運動の記述そのもの( の点は「 秒後の位置」)。空間(数C後半)でも直線はまったく同じ で書ける。方程式による表現は次元ごとに形を変える( 次元は 本、 次元は 本)が、ベクトル方程式は次元によらず同じ形で書ける。

答

、 で

別解

この媒介変数表示が見慣れた直線の方程式と同じものであることを、 を消去して確かめよう。

本目から 。 本目に代入して

普通の 次方程式が出てきた。通過点 を入れると 、 の点 も で、同じ直線だ。

つの表し方は役割が違う。方程式 は「直線上にいるかどうかの判定器」、媒介変数 は「直線上の点を生産する機械」( に値を入れるたび点が つ出る)。軌跡や交点の計算では判定器が、動く点や時刻を追う問題では生産機が便利だ。 つの表し方を行き来できるようにしておきたい。

ポイント

  • 直線 。
  • は通る点、 は方向。

よくある間違い

  • 通る点と方向ベクトルの役割を混同し とする
  • 成分ごとの式で に 方向の成分を足す(、 の取り違え)
  • の代入で片方の成分だけ更新する

問9内積からなす角の条件

★★ 標準内積なす角

問題

、、 のとき、 と の内積 を求めよ。

ヒントを見る

を内積で展開すると、既知の量と求めたい内積だけの式になる。方程式として解こう。

解答・解説

方針

を展開する:。与えられた値を代入して について解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 成分は与えられていないので、大きさの情報だけで内積を求める問題だ。使える橋は大きさの 乗の展開公式。

左辺は 、右辺は 。方程式として解いて

は 乗して開くと内積が現れる。この型の問題ではいつもこう考える。

公式

① 展開公式に値を代入する。 、、。

② について解く。

xyOaba−b
|a|=2,|b|=1,|a−b|=√3 の三角形。a·b=1

まとめ:大きさの情報から内積を出すには、 の展開公式を使う。 を展開すると内積 が現れるので、それについて解く。数の 乗の展開と同じ形だ。

発展。 同じ部品で も出せる: 。 となり、平行四辺形の「対角線の 乗の和 辺の 乗の和の 倍」(中線定理の親戚)が成り立っている。

この問題の型(大きさ つ → 内積 → なす角や別の大きさ)は、ベクトルの計算問題の最頻出パターン。成分が「ない」ことで、かえって内積という道具そのものの使い方が試される。成分は座標の選び方に依存するが、内積・大きさ・角は図形そのものの量だからだ。

答

別解

つの長さ 、、 を、三角形の 辺として絵に描くと、この問題の構造が分かる。 と を同じ点から生やすと、 は つの先端を結ぶ辺になる。つまり辺の長さ の三角形ができる。この 辺、よく見ると

直角三角形だ(–– の有名な形)。 と のなす角は、斜辺 と辺 に挟まれた角で 。内積の定義から

展開公式と同じ答えだ。展開公式は余弦定理のベクトル版だから、 つのルートが一致するのは当然だ。だが「 つの長さが出たら三角形を描いてみる」と、角度・直角・形の情報もあわせて分かる。図が式の検算になり、式が図の裏付けになる。

ポイント

  • 。
  • 大きさ → 内積は展開公式で。

よくある間違い

  • を とする(展開には内積の項が要る)
  • を 乗せず のまま等式に入れる
  • 中間項の符号()を にして と誤る

問10平行・垂直の判定

★★ 標準平行垂直

問題

とする。 と について、 と平行なのはどちらか、 と垂直なのはどちらかを答えよ。

ヒントを見る

平行は実数倍の関係、垂直は内積 。両方の判定を実際に計算して確かめる。

解答・解説

方針

平行は「一方が他方の実数倍()」、垂直は「内積 」。、 それぞれで両方をチェックする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 平行と垂直、判定式は別物だ。

  • 平行: 一方が他方の実数倍 ⟺ (たすき掛けの差)
  • 垂直: 内積 ⟺

: たすき掛け なので平行( と実数倍でも見える)。: 内積 なので垂直。積の差が平行、積の和が垂直に対応する。似た形の 式を取り違えないように注意する。

重要平行 (実数倍)、垂直 (内積 )

① を調べる。 。 なので、。平行。

(内積 なので垂直ではない。)

② を調べる。 内積 。垂直。

xyObac
b=2a(平行)、c⊥a(内積0)

まとめ:平行は「実数倍(たすきがけの差 )」、垂直は「内積 」。 は平行、 は垂直。 つの条件をはっきり区別する。

発展。 つの判定式(内積 とクロス積 )は、実は 、 というペアで、 つ合わせるとなす角 の と の両方が分かる( まで出せる)。垂直は 、平行は にあたり、 つの式は角度の つの成分を見ていたのだ。

複素数平面を学ぶと、この つの量は積 の実部と虚部として つにまとまる。ベクトル・傾き・複素数の つの表し方が、同じ幾何を表している。

答

平行は 、垂直は

別解

ベクトルを直線の傾きで表すと、数IIの知識だけで判定できる。方向 のベクトルは、傾き の直線に対応する( のとき)。

  • : 傾き
  • : 傾き で、同じ傾き ⟹ 平行
  • : 傾き 。 との積は で、傾きの積 ⟹ 垂直

図形と方程式(数II)の「平行 傾き一致、垂直 傾きの積 」がそのまま使えた。

実はベクトルの判定式は、この傾きの規則の分母を払った形だ。傾き一致 を払えば 、積 の式を払えば 。ベクトル版の利点は、傾きが定義できない縦向き()でもそのまま使えることだ。分数を使わないので、例外がない。

ポイント

  • 平行 = 実数倍、垂直 = 内積 。
  • つの条件を区別する。

よくある間違い

  • 平行の式(積の差)と垂直の式(積の和=内積)を取り違える
  • の実数倍を見ただけで垂直の検査を省き、設問の両方の問いに答えない
  • 負の成分の掛け算( 等)で符号を落とす

問11位置ベクトルと分点

★★ 標準位置ベクトル内分点

問題

点 、 を結ぶ線分 を に内分する点 の座標を求めよ。

ヒントを見る

内分点の公式で。比の順序( のどちらが 側か)を図で確認してから代入しよう。

解答・解説

方針

内分点の公式 。 なので 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の内分なので、内分点の公式に当てはめる。

近い方の点に大きい係数( は 寄りだから に )が付く形。成分を入れて

比の数字と係数の対応(たすき掛け)を、図の位置関係で確かめながら書くのが安全だ。

公式 内分点

内分なので 、。。

xyOABP
AB を 1:2 に内分する点 P(4,4)

まとめ:内分点は「係数がたすきがけ」。 内分( に近い)は の重みが 。、 を別々に計算しても、ベクトルでまとめて計算しても同じ。。

発展。 重み付き平均の見方は、内分を超えて広がる。重み (、両方非負)で は線分 全体を、 点なら ()は三角形の内部全体を表す。「点の存在範囲」の問題(この単元の応用の山場)は、この重みの言葉で読むと見通しがよい。

外分は「負の重み」を許した重心。重み と のてんびんは支点が線分の外に出る。内分・外分・存在範囲が「重みの符号と合計」だけで統一される。

答

別解

という式を、てんびんの重心として読むと、係数の付き方が二度と迷わなくなる。

点 に重さ 、点 に重さ のおもりを乗せたてんびんを想像する。釣り合いの支点(重心)はどこか。それは重い方の近くだ。重さが なら、支点は からの距離と からの距離が … つまり線分を 側から に切る点。

内分点の公式は「重み付き平均」であり、分子は重さ 位置の合計、分母は重さの合計、という重心の計算そのものだ。

「比 で分けたい → 逆の の重さを乗せる」という反転(距離の比と重さの比は逆)が、公式の「たすき掛け」の理由だ。三角形の重心 (重さ ずつ)も、チェバ・メネラウスの質点法も、すべてこのてんびんの考え方で説明できる。

ポイント

  • 内分 。
  • 近い点に大きい重み(たすきがけ)。

よくある間違い

  • 係数を比と同じ側に付けて とする( なら 寄り=係数は に )
  • 分母 を忘れて分子だけ答える
  • 出た点が線分上( と の間)にあるかの検分を省く

問12内積を用いた垂直の証明

★★ 標準内積垂直

問題

のとき、 と が垂直であることを示せ。

ヒントを見る

を展開してみる。数の和と差の積と同じ形の展開が、ベクトルでも成り立つ。条件を使うと何が起きるか。

解答・解説

方針

を展開する。。 ならこれが になり、垂直が言える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「垂直を示せ」とある。ベクトルの垂直証明は内積が を言えばよい。

(和と差の積で、 のベクトル版だ。)仮定 より右辺は 。内積 、よって垂直。ただし 、 の断り(零ベクトルに垂直は定義されない)を添えると完全である。

重要垂直の証明は「内積 」を示す。

① 内積を展開する。 のベクトル版。

(内積は交換法則 が成り立つので、中の 項が打ち消し合う。)

② 条件を使う。 より 。

内積が なので と は垂直。

xyOaba+ba−b
|a|=|b| なら平行四辺形はひし形。対角線 a+b と a−b は垂直

まとめ:垂直の証明は「内積 を示す」。 は のベクトル版。これは「ひし形の対角線が直交する」ことの証明でもある( は隣り合う辺が等しい = ひし形)。

発展。 同じ配置で有名な定理がもうひとつ出る。 を「円の半径」と読むと、 と の直交は「直径に対する円周角は直角」(タレスの定理)の証明になる。円周上の点 、直径の両端 に対し、 がちょうど 、 型になるからだ。

図形の定理を内積の展開で機械的に示す。中線定理・重心の性質・垂心の存在など、初等幾何の有名な定理の多くがこの方法で数行で示せる。ベクトルは幾何の「計算機」である。

答

内積 (a+b)·(a-b)=|a|²-|b|²=0 なので垂直

別解

この命題、絵に描くと中学校で習った定理だと分かる。 と を隣り合う 辺とする平行四辺形を描く。すると

  • は、平行四辺形の対角線( 本目)
  • は、もう 本の対角線( の先端から の先端へ)

仮定 は「隣り合う辺の長さが等しい」ことを表す。つまりこの平行四辺形はひし形だ。命題の主張は「ひし形の対角線は直交する」ということだ。対角線を折り目に折るとぴったり重なる、あの見慣れた事実である。

つまり本解の内積計算は中学幾何の定理のベクトルによる再証明だった。逆向きの読みも成り立つ: という恒等式は、「対角線が直交 ⟺ ひし形()」の両方向を一度に含んでいる。展開 行が幾何の定理と同値になる。ベクトルを使った証明のよい例だ。

ポイント

  • 垂直の証明 = 内積 を示す。
  • 。

よくある間違い

  • 展開の中間項 が消えること(内積の交換法則)を断らず飛ばす
  • を と誤読する(大きさが等しいだけで向きは自由)
  • 等の断り(零ベクトルの除外)を落とす