数学B / 数列

数列 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 平方根の逆数の和の整数部分
  2. 平方の逆数の和の上からの評価
  3. ガウス記号の和(値ごとの群れ)
  4. 数列の最大項(隣接比と等号)
  5. 約数の個数の総和(数える向きの交換)
  6. 分数を並べた群数列
  7. すべての組の差の総和
  8. 平方数と立方数を除いた数列

問1平方根の逆数の和の整数部分

最難関編和の評価はさみうち

問題

とする。 の整数部分( を超えない最大の整数)を求めよ。

ヒントを見る

和そのものは求まらない。求まらない和は、足したときに間が消える「差の形」で上下からはさむのが常道だ。 を、分母を少し取り替えた差の形と比べられないか。

解答・解説

方針

この和は正確には求まらないが、整数部分だけなら を隣り合う整数の間に閉じ込めればよい。 を「足すと消える差の形」 と で両側からはさむと、和が望遠鏡式に消える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 100項の和は、閉じた式にならない。だが問われているのは整数部分だけ。つまり のように、隣り合う整数の間に閉じ込めれば十分だ。

和が求まらないときの常道は、各項を「足すと途中が消える差の形」で置き換えること。有理化の逆向き に気づけるかどうかで決まる。分母の を と比べれば、 が差の形で両側からはさめる。

重要有理化の逆向き: 。分母の大小比較で を差の形ではさみ、和を望遠鏡式に消す

① 各項を両側から評価する。 だから

同様に では だから

② 下からはさむ。 すべての で左の評価を足すと、間が消えて

より だから 。

③ 上からはさむ。 第1項の だけ別に残し、 に右の評価を使うと

④ 結論。 だから、 の整数部分は 。

まとめ: 「求まらない和は差の形で両側からはさむ」。 の望遠鏡評価は 型でよく使う方法で、端の項()だけを正確に残すことで、上下の幅を1未満に保てる。

発展。 両側の評価 は、 が「」で成長することを示している。差の形 は、数学IIIで学ぶ の離散版そのもの。「和を積分で評価する」という一般的な方法の、最初の一歩がこの問題だ。

答

別解

評価を予想して帰納法で確定する(発見と検証の分業)。 はさむ不等式そのものを目標として、数学的帰納法で示す手もある。主張はこうだ:

: 左は 、右は で成立(右は等号)。ステップ: に仮定を使う。右側は

(最後の不等号は 、つまり に帰着。)左側も同様に から進む。 で と が出て、本解と同じ結論になる。

望遠鏡(本解)は評価を発見する道、帰納法は予想した評価を検証する道。入試では「 を示せ」と誘導されることも多く、そのときはこの帰納法(または本解の項別評価)がそのまま答案になる。

ポイント

  • 。
  • 下から 、上から 。
  • より整数部分は18。

よくある間違い

  • 上からの評価で の項まで に置き換えてしまう( で と緩みが大きく、上界が になって整数部分が確定しない)。端の項は正確に残す。
  • の評価が雑で下界が を超えることを示せない。 のように、2乗して比べる形で書く。
  • から分数の大小を逆に写す(分母が大きいほど分数は小さい)。

問2平方の逆数の和の上からの評価

最難関編和の評価部分分数

問題

すべての自然数 について、次の不等式が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

分母が積の形なら差に割れて和が消える。 をそれより少し大きい「積の形」と比べられないか。全部の項を粗く置き換えると上界が緩みすぎる。どこから置き換え始めるかを調整してみると。

解答・解説

方針

の和は求まらないので、少しだけ大きくて和が求まる に取り替える。ただし取り替えを始める位置が大事だ。最初の2項を正確に残して3項目から評価すると、上界がちょうど に収まる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の和に公式はない。そこで、少し大きくて和が求まる形に取り替える: 。差の形だから、足すと望遠鏡式に消える。

ただし から全部取り替えると、上界は までしか下がらず に届かない。

評価の粗さは「どこから始めるか」で調整できる。 最初の2項 を正確に残し、 から取り替えれば解ける。

重要上からの評価は「途中から」使う: 最初の数項を正確に残すほど上界は鋭くなる。

① 各項の評価()。 だから

② のとき。 最初の2項を残して足し上げると、差の和は間が消えて

だから

③ 小さい を確かめる。 : 。: 。よってすべての自然数 で成り立つ。

まとめ: 「和が求まる形(積の分母 → 差)への取り替え」と「取り替え開始位置の調整」の2段構え。ちなみにこの和は を限りなく大きくしても 程度にしかならないことが知られていて、 の壁はこの初等的な評価だけで保証できる。

発展。 この和は を限りなく大きくすると に収束することが知られている(バーゼル問題。オイラーが1735年に解いた)。 も別解の も、その真の値のすぐ外側に立つ壁だ。初等的な望遠鏡評価だけで、円周率を含む定数を の精度まで近似できている。

答

証明( で と評価し、最初の2項は正確に残す)

別解

分母を半分だけずらす(さらに鋭い上界 )。 取り替え先を でなく、 を中心に半分ずつずらした積にすると、評価が一段と鋭くなる。

(分母を小さくしたので分数は大きくなる。そして差の形なので消える。)今度は から使ってよい:

だから、求める不等式はさらに強い形で示せた。本解の「開始位置の調整」に対して、こちらは「取り替え先の設計」で精度を稼ぐ。中心 から対称に ずらすと誤差が打ち消し合う、という感覚は、評価問題で大いに役立つ。

ポイント

  • で (望遠鏡式)。
  • 最初の2項 は正確に残す(粒度の調整)。
  • 上界 。

よくある間違い

  • から粗い評価を使い、上界 までしか出ずに詰まる。「どこから取り替え始めるか」が調整のつまみだと気づけるか。
  • 部分分数の向きを と逆に書く(引く順は「小さい分母が先」)。
  • 評価が からなのに、 の個別確認を書かずに「すべての自然数で成立」と締める。

問3ガウス記号の和(値ごとの群れ)

最難関編ガウス記号群れで数える

問題

を求めよ。ただし は を超えない最大の整数を表す。

ヒントを見る

と順に足すのではなく、 の値が同じ をまとめてしまえないか。値が になる は何個あるか。平方数と平方数の間の幅を数えてみるとよい。

解答・解説

方針

は平方数をまたぐたびに1増える階段。 の順に足さず、値が になる の群れ( の 個)ごとにまとめて足す。端の だけ群れが切れることに注意。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、 が平方数に達するたびに1増える階段状の量だ。

こういう和は の順ではなく、同じ値をとる の群れごとに「(値)×(個数)」で足すのが正しい向き。値が になるのは のときで、個数は 個ある。ただし上限 では、 の群れが始まった直後に切れる。端の群れだけ別扱いする。

重要階段状の量の和は「値ごとの群れ」で: となる は 個(区間 の幅)
k1491625値1(3個)値2(5個)値3(7個)値4(9個)
値が同じ k の群れ: [√k]=m となるのは m² ≤ k < (m+1)² の 2m+1 個。平方数 1, 4, 9, 16, 25 が群れの境目

① 群れの構造。 の群れは丸ごと入り、それぞれ 個。 は の1個だけ( 以降は範囲外)。個数の検算: でちょうど100個。

② 群れごとに足す。

、 だから

まとめ: 「 で足す」を「値 で足す」に入れ替える。決め手は足す順番の交換だ。群れの幅 (平方数の間隔)と、端の群れの切れ目の2点を押さえれば、ガウス記号の和は等差・等平方の和に書き直せる。

発展。 交換ルートの式 は、「階段の和=長方形領域の格子点の個数」という見方そのもの。この格子点の数え方は双曲線の下の格子点(約数の個数の和)など、ガウス記号を含む和で広く使える。

答

別解

数える向きを交換する(端の場合分けが消える)。 は「 以下の平方数の個数」に等しい。すなわち

だから和は条件 を満たす組 の総数。これを ごとでなく ごとに数え直すと、 を固定したとき は から までの 個:

本解で必要だった「端の群れ( が1個だけ)の別扱い」が、この向きでは自動的に処理される( のとき 個と式が勝手に数える)。

群れで数える(本解)と、向きを交換する(本ルート)。同じ二重数えの表を縦に読むか横に読むかの違いで、場合分けの少ない側を選べるのが交換の強みだ。

ポイント

  • の群れは 個( 〜 )。
  • は の群れの1個だけ(端の別扱い)。
  • 。

よくある間違い

  • 端の群れを丸ごと 個として の寄与を にする( の1個だけ。 の過大)。
  • 群れの幅を とする(。個数の検算 で防げる)。
  • を とする(ちょうど平方数のときの値)。

問4数列の最大項(隣接比と等号)

最難関編最大項隣接比

問題

数列 ()が最大となる をすべて求め、その最大値を求めよ。

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差を取るとべきの計算が濁る。全部の項が正なら、増減を調べる道具は差だけではないはず。比と1の大小の境目で「ちょうど等しい」が起きたら、最大は何か所になるか。

解答・解説

方針

各項が正なので、増減は隣どうしの比 と1の大小で判定できる。比が1になる がちょうど存在するため、最大が2か所に並ぶ。この等号を見落とさないことが大事だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 倍と 倍のせめぎ合いで、初めは増えてやがて減る形が予想される。

各項が正の数列の増減は、隣接比 と1の大小で調べるのが基本だ。べきが約分されて、計算がずっと軽くなる。

比が1より大きい間は増加、小さくなれば減少。そして比がちょうど1になる があれば、そこで隣どうしが同じ値になり、最大が2つ並ぶ。この等号の処理が本問で間違えやすいところだ。

重要正項数列の増減は隣接比で: で増加、 で減少、 なら隣どうしが同じ値(最大が並び得る)

① 隣接比を計算する。

② 1との大小を調べる。 と の大小は と の大小、つまり と の大小で決まる:

  • のとき比 →
  • のとき比 →
  • のとき比 →

③ 最大を確定する。 並べると だから、最大となるのは と の2か所。最大値は

xyO最大 1024/625458
aₙ = n(4/5)ⁿ の値。n=4 と n=5 が同じ高さで並んで最大(赤)。比が1になる境目では最大が2つ並ぶ

まとめ: べきを含む数列の増減は、差ではなく比で調べるのが原則だ。そして比が1になる境目では最大が2つ並ぶ。「」とだけ答えて等号が成り立つもう1つの を落とすのが、この型でいちばん多い失点だ。

発展。 一般に ()の増減の境目は、比 を解いた 。この値がちょうど自然数になるとき(本問は で )だけ最大が2つ並び、そうでなければ最大は1か所になる(たとえば なら境目は で、最大は のみ)。「等号が起きるパラメータは特別」という感覚は、場合分けの見通しをよくする。

答

で最大、最大値

別解

差をとって因数分解する(比が苦手な人へ)。 増減調べのもう1つの道具、隣接の差でも進める。共通因数 でくくるのがコツだ:

だから、差の符号は の符号そのもの:

  • で差は正(増加)
  • で差は ()
  • で差は負(減少)

本解の比とまったく同じ結論に着く。「べきを含むから比」が基本だが、共通因数でくくれば差でもきれいに割れる。等号 が「差 」として目に見えるのは、むしろ差ルートの長所だ。

ポイント

  • 隣接比 と1を比較。
  • で増加、 で比1()、 で減少。
  • 最大は 、値 。

よくある間違い

  • 等号が成り立つもう1つの値を落として「 のみ」と答える(この型でいちばん多い失点。比 ⟹ 隣が同じ値)。
  • と の比較で分母を払うときの不等式の向きを誤る( だから向きは保たれる)。
  • 最大値の計算 を焦って のまま答える。

問5約数の個数の総和(数える向きの交換)

最難関編二重数え約数

問題

自然数 の正の約数の個数を と書く。 を求めよ。

ヒントを見る

の表を作って足すのは手間がかかる。この和が数えている「もの」は何か。組にして言い直せないか。同じ組の集まりを、逆の側から数えてみる。

解答・解説

方針

を1つずつ求めて足すこともできるが、見方を変える: 和は「 が を割り切る組 ()の総数」。これを ごとでなく ごとに数え直すと、 の倍数の個数 の和になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を20個計算して足しても届く。だが、この和が何を数えているかに気づくと、ずっと簡単になる。

は「 の約数 」の個数。だから和全体は組 ( は の約数、)の総数を数えている。

この組の集まりを、 ごと(縦)ではなく ごと(横)に数え直す。 を固定すると、 が約数になる とは の倍数のことで、その個数は 個。数える向きの交換(二重数え)が決め手だ。

重要二重数えの向きの交換: (組 、 の総数)

① 対応を確かめる。 「 の約数として を数える」ことと「 の倍数として を数える」ことは、同じ組 を逆から見ているだけ。だから2つの総和は等しい。

② ごとに足す。

前半( 〜 )の和は 、後半は 。よって

③ 検算。 素直に で一致する。

まとめ: 「(約数の個数)の和 =(倍数の個数)の和」は、格子状に並んだ組を縦に数えるか横に数えるかの交換だ。割り切りの関係を組 の表として見る目は、数列と整数にまたがる広い応用をもつ。

発展。 は、 が大きいとおよそ で成長する(調和級数の形)。つまり「 以下の数は平均して約 個の約数をもつ」。双曲線法はこの平均をさらに精密にする研究(ディリクレの約数問題)の基礎で、大学以降の解析的整数論に直結している。

答

別解

対称性で半分だけ数える(双曲線法)。 組 ()は と書けば「 を満たす自然数の組 」と同じもの。つまりこの和は双曲線 の下にある格子点の個数だ。

この見方の御利益は対称性にある。 と は対で現れるから、()の部分だけ数えて2倍し、両方 以下の正方形部分(重複)を引けばよい:

を まで走らせる(本解の交換)代わりに、 までで済んだ。 が大きいほどこの節約の効果は大きく、 程度の項数で が数えられる。「対称な表は半分だけ数えて折り返す」のは、二重数えの上級技だ。

ポイント

  • この和は組 (、)の総数を表す。
  • ごとに数えると 。
  • (直接計算とも一致)。

よくある間違い

  • の値を暗算で誤る(、 など。表に書き出すのが確実)。
  • 「約数として数える」と「倍数として数える」が同じ組の2つの見方だ、という対応の説明を答案から落とす。
  • 双曲線法で重複部分(両方 以下の 組)を引き忘れて と答える。

問6分数を並べた群数列

最難関編群数列規則の式化

問題

次のように分数を並べる(約分はしない)。

第 群には、分子と分母の和が である分数が、分子の小さい順に 個並ぶ。

(1) は第何項か。

(2) 第100項を求めよ。

ヒントを見る

通し番号と中身を直接結ぼうとせず、あいだに「群の番号」をはさむ。この列の分数を見て、群の番号と分子・分母を結ぶ式を先に書き切れるか。分子と分母の和に注目するとよい。

解答・解説

方針

群数列の2方向の橋渡し: (1)は中身→群の番号→通し番号、(2)は通し番号→群の番号→中身。どちらも「第 g 群までの項数 」が橋になる。中身と位置の規則(第 g 群の k 番目は分子 k・分母 g+1−k)を先に式で書き切る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 群数列の問いは、必ず「通し番号 ⇄ 群の番号 ⇄ 中身」の2段の橋渡しになる。橋は第 群までの項数 だ。

本問は中身が分数だが、規則を式にすると「第 群の 番目=分子 、分母 (和が )」。これさえ書き切れば、(1)は中身から通し番号へ、(2)は通し番号から中身へ。橋を逆向きに渡るだけになる。

公式第 群までの項数は 。本問の規則: 第 群の 番目は分子 ・分母

① (1) 中身から通し番号へ。 は分子5・分母8で、和は だから第 群。分子の小さい順に並ぶので群内の位置は 番目。第11群までの項数は

よって は第 項。

② (2) 通し番号から群の番号へ。 第100項が第 群に入る条件は 。

だから第14群で、群内の位置は 番目。

③ 中身を書き直す。 第14群の9番目は分子 ・分母 :

(この列は約分しない約束なので、 のまま答える。)

まとめ: 群数列は「累積項数の橋」を両方向に渡る型。中身の規則(分子 ・分母 )を最初に式で固定してしまえば、分数の列でも自然数の群数列とまったく同じ手順で処理できる。

発展。 この斜め走査は「正の分数(すべての正の有理数の表示)が、もれなくいつか現れる」一列の並べ方になっている。つまり分数の全体は自然数と同じように 1番目・2番目…と数え尽くせる(可算)。カントールの対角線走査と呼ばれ、無限集合の大きさを比べる理論の出発点になった由緒ある並べ方だ。

答

(1) 第71項 (2)

別解

格子を斜めに走る(この列が表しているもの)。 分数 を、格子点(分子, 分母)に対応させてみる。

分子分母O1/11/22/11/32/23/11/42/33/24/1第4群
分数を格子点(分子,分母)とみると、第g群は斜めの線 x+y=g+1 上の点を左上から右下へ走ったもの。群数列=格子の斜め走査

第 群は直線 上の格子点()を、左上()から右下()へ走ったものだ。列全体は格子平面を斜めの線ごとに掃いていく走査になっている。

この絵で(1)(2)を読み直す。 は点 で、乗っている斜め線は 、つまり第12群。その線上で 番目。第100項は三角数の橋 から第14群の9番目、すなわち直線 上の点 で 。

計算は本解と同じだが、「群数列=格子の斜め走査」という絵を1枚もっておくと、規則の式( 番目は分子 ・分母 )が図から読めるようになり、暗記が要らなくなる。

ポイント

  • 規則の式化: 第 群の 番目 = 分子 ・分母 。
  • (1) 和13 → 第12群の5番目 → 。
  • (2) → 第14群の9番目 → 。

よくある間違い

  • 「分子と分母の和 」と取り違える(和は 。第1群の で検算すれば )。
  • (2) の境界不等式 の等号の側を逆にして、累積がちょうど群末のときにずれる。
  • 第 群の 番目の分母を や と書く(規則を式で固定せず、雰囲気で処理した結果)。

問7すべての組の差の総和

最難関編二重和分類替え

問題

を求めよ。すなわち、1以上10以下の整数の組 ()のすべてについて を足し合わせた和を求めよ。

ヒントを見る

45組を1つずつ足すのは論外だ。同じ「差」をもつ組はいくつあるか。足す順番を、組の順ではなく差の値の順に入れ替えられないか。

解答・解説

方針

組ごとに差を計算して足すのではなく、差の値 ごとに組をまとめる: 差が の組は 組ある。和は になって、平方和の公式で仕上がる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 組 は 個あるが、足される値 は から の9種類しかない。

なら、値ごとにまとめて「(値)×(個数)」で足すのが速い(分類替え)。差が になる組は の 組。これで二重和が1変数の和 にまとまる。

重要和の分類替え: 組ごとに足す代わりに「同じ値をとる組の個数」を数えて(値)×(個数)で足す

① 差 の組を数える。 となる組は の 組()。

② 分類替えして計算する。

③ もう1つの見方(検算を兼ねて)。 は「 を満たす整数 の個数」だから、この和は3つ組 ()の総数に等しい。 と置き換えると の狭義単調な3つ組と1対1に対応するので、総数は となり、②と一致する。

まとめ: 「分類替え(差の値ごと)」で二重和をまとめるのが本筋、「対応(11個から3つ選ぶ)」が別の見方だ。同じ和が2通りに数えられるときは、片方をもう片方の検算に使える。数え上げの見方は数列の和を求めるときの有効な補助線になる。

発展。 は、 から の中から無作為に2数を選んだときの「差の平均値」。寄与分解はこの平均(期待値)を「参加者ごとの支払い」に割って計算する発想で、確率の期待値の線形性とまったく同じ考え方だ。1つの和を、分類替え・寄与分解・対応()の3方向から数えられるようになれば、二重和は怖くない。

答

別解

寄与で分解する(1つの数がいくら払うか)。 和 を「大きい側の総和 小さい側の総和」と読み替え、各数 の寄与を数える。

が組の大きい側になるのは、相手が の 通り。そのたび を払う。小さい側になるのは相手が の 通りで、そのたび 。よって

分類替え(本解: 差の値ごと)、寄与分解(本ルート: 数ごと)、そして対応(: 本解の検算)。同じ165を3方向から数えたことになる。

寄与分解は「合計を、参加者ごとの支払いに割る」発想で、期待値の計算(1つずつの寄与を足す)へまっすぐつながる。ちなみに が、2数の差の平均値だ。

ポイント

  • 差 の組は 組。
  • 。
  • 別の見方: 3つ組の数え上げで 。

よくある間違い

  • 差 の組数を とする( から までの 組。 で1組、の検算が役に立つ)。
  • の展開で の係数を取り違える。
  • 組の総数を や とする( の組は )。

問8平方数と立方数を除いた数列

最難関編個数関数包除原理

問題

自然数を1から順に並べ、平方数()と立方数()をすべて取り除いてできる数列

の第2026項を求めよ。

ヒントを見る

第 n 項を直接追いかけるのではなく、「x 以下に何個残るか」を数える式を作れないか。平方数と立方数を両方引くとき、二重に引いてしまう数はないか。そこに気づけるかが決め手だ。

解答・解説

方針

「第2026項が x」とは「x 以下に残る数がちょうど2026個で、x 自身が残っている」こと。x 以下に残る個数は (平方かつ立方である6乗数を引きすぎるので足し戻す)。見当をつけてこの方程式を解き、最後に検証する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 順に数えて2026個目を探すのは論外だ。「第2026項 」を、個数の等式に読み替える。

以下に残る数の個数を とすると、条件は「 かつ 自身が残っている」。 は から平方数 個と立方数 個を引くが、ここに注意点がある。

平方数でも立方数でもある数(=6乗数)を2回引いている。 だから 個を足し戻す(包除原理)。あとは と見当をつけて検証すればよい。

重要残る個数は 。「平方かつ立方 ⟺ 6乗数」の足し戻しが包除原理

① 個数関数を作る。 以下の平方数は 個、立方数は 個。両方に属する数は の形(6乗数)で 個。よって取り除かれる個数は で、残る個数は

② 見当をつける。 は2026より「取り除かれた分」だけ大きいはず。、、 と見て

③ 検証する。 より 。 より 。 より 。よって

さらに は平方数でない( と の間)し立方数でもない( と の間)から、 自身が数列に残っている。 は残っている数のところでだけ1ずつ増えるので、 かつ が残っていることから、第2026項はちょうど 。

まとめ: 「第 項を求める」を「個数関数の方程式 」に読み替えれば解ける。そして2種類を取り除くときは、両方に属するもの(ここでは6乗数)の足し戻しを忘れない。忘れると答えが3つずれる。見当 → 検証の2段構えで確定させる。

発展。 「取り除かれた分だけ前へ進む」という見当のつけ方は、、 という反復として系統化できる(本問は1回で に到達し、以後動かない=自己無撞着)。「間引かれた列の第 項」を個数関数の逆問題として解くこの型は、素数の第 番目の見積もりなどにも通じる考え方だ。

答

別解

目印の平方数から歩く(見当が苦手な人へ)。 きりのよい目印として、 の直前の平方数 を使う。まず までに残る個数を数える。、()、()だから

は平方数で取り除かれるので、次の が第 項。ここから先、次の平方数は 、次の立方数は 。つまり から までは1つも取り除かれない。第 項から数えて 個先へそのまま歩けば

これが第2026項(範囲 未満に収まっているので安全)。個数関数の方程式(本解)は一般に有効だが、目印+歩数は「次の障害物まで一直線」という状況で最速になる。どちらも の考え方がもとにあるのは同じだ。

ポイント

  • (6乗数の足し戻し)。
  • 見当 。
  • かつ 2080 は残っている → 第2026項は2080。

よくある間違い

  • 6乗数の足し戻しを忘れて とする(答えが3ずれ、検証も合わずに迷走する)。
  • の確認だけで「 自身が残っている」の確認を飛ばす( が除かれる数なら第2026項はその手前の数)。
  • の評価を雑にやって とする(。境界の3乗は必ず書いて比べる)。