数学B / 数列

数列 ★ 基礎の問題 全12問

教科書レベル。定義・公式の確認と基本操作

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 等差数列の一般項
  2. 等差数列の和
  3. 等比数列の一般項
  4. 等比数列の和
  5. Σ の計算(k の和)
  6. Σ の計算(k² の和)
  7. Σ の計算(1次式)
  8. 等差数列の項数
  9. 等比数列の決定
  10. 奇数の和
  11. 等差中項・等比中項
  12. Σ の計算(k³ の和)

問1等差数列の一般項

★ 基礎等差数列

問題

初項 、公差 の等差数列の一般項 を求めよ。また、第 項を求めよ。

ヒントを見る

等差数列の一般項は『初項に、公差を何回足したか』で決まる。第 項までに公差を何回足すかを考えて式にしよう。

解答・解説

方針

等差数列は「初項に公差を 回足す」。公式 に 、 を入れて整理する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 等差数列は「同じ数を足し続ける」数列だ。

第 項を求めるには、「初項から何回足したか」を数える。

  • 第 項: ( 回足す)
  • 第 項: ( 回)
  • 第 項: ( 回)
  • 第 項: 回

注意するのは だ。 第 項までに足す回数は、 回ではなく 回だ。

第 項。

覚えるのは 「初項 公差 ()」 の 本だ。

公式等差数列の一般項 ( は初項、 は公差)

① 公式に代入する。 、。

② 展開して整理する。

③ 第 項を求める。 を代入。

まとめ:等差数列は「初項 + 公差 ×(何個進んだか)」。 が「初項から 歩進む」を表す。 で に戻るか確かめると安心だ。

発展。 数列を「関数」として見ると、ほかの単元とのつながりが分かる。

数列 とは「自然数 に、数 を対応させる関数」である。

数列とは、定義域が「自然数だけ」の関数のことだ。

この見方の帰結。

: 数列も、グラフが描ける。 ただし、点が飛び飛びに並ぶ(連続な曲線にはならない)。: 数列にも「極限」がある。

関数の と、まったく同じ発想だ(数IIIで学ぶ)。: 数列の「差」は関数の「微分」に対応する。

等差数列は、差が一定 → 微分すると定数( 次関数): 数列の「和」は、関数の「積分」に対応する。

この対応は「離散」と「連続」の対応であり、差分学という分野を作っている。

連続(関数) 離散(数列)
微分 階差
積分 和
微分方程式 漸化式
微積分学の基本定理 「和の階差は元に戻る」

漸化式は微分方程式の「離散版」である。

そして、コンピュータで微分方程式を解くとき、実際には「漸化式に直して」計算する(数値計算法)。

連続を離散で近似するのである。スーパーコンピュータの気象予報もこの方法で動いている。「数列は、関数の飛び飛び版」と考えれば、数列と微積分が別々の単元ではなくなる。

答

、第 項は

別解

等差数列の一般項 は、 の 次式だ。 この事実に気づくと、数列を「直線」として見ることができる。表を書いて、確かめる。

。公式と一致した。この点 を、座標平面にプロットしてみよう。

すべて、 本の直線の上に並ぶ。

「公差」は「傾き」だ。

この見方をすると、公式が「当たり前」になる。傾き で、 のとき を通る直線は?

数IIで習った「 点と傾きの直線」の公式は、等差数列の一般項の公式そのものだった。

完全に同じ形。

「 って何?」という疑問も、これで解ける。 直線の式で と書くのと同じで、基準点()からのズレを測っているのだ。

この視点の便利さ。

「等差数列で、第 項が 、第 項が 。一般項は?」

直線として考える。 点 、 を通る直線だ。傾き(公差)は

「 点間の傾き」の公式そのものだ。

公式を暗記していなくても、直線の知識で解けた。数列を「点の列」として見ると、多くのことが分かる。

  • 等差数列 → 直線( 次関数)
  • 等比数列 → 指数関数の点列(次の問題)
  • 階差数列が等差 → 次関数

「数列は、飛び飛びの関数である」と見ると、数列と関数を結びつけて考えられる。

そして、この橋は数IIIの極限へ続く。 での数列の振る舞いは、関数の での振る舞いと、同じように考えられるのだ。

ポイント

  • 。 に注意( ではない)。
  • を入れて初項に戻るか確認。

よくある間違い

  • としてしまう( を掛けるのが正しい。 で初項3になるか確認する)
  • 第10項を求めるとき、 を代入し忘れて一般項のまま答える
  • 公差を「隣の項との差」でなく「初項との差」と誤解する

問2等差数列の和

★ 基礎等差数列和

問題

初項 、公差 の等差数列の、初項から第 項までの和 を求めよ。

ヒントを見る

等差数列の和には『最初と最後を足して、個数をかけて半分』という覚え方があった。最後の項(第 項)を先に用意しよう。

解答・解説

方針

等差数列の和は「(初項 + 末項)× 項数 ÷ 2」。まず末項 を求め、和の公式に入れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 等差数列の和には、便利な公式がある。

必要なのは「項数」「初項」「末項」の つ。末項(第 項)は前問で求めた。

代入する。

この公式、どこかで見た形ではないだろうか。

台形の面積公式とそっくりだ。偶然ではない(別解で説明する)。やることは「初項と末項を足して、項数を掛けて、 で割る」だけである。

公式等差数列の和

① 末項を求める。 。

② 和の公式に代入する。 初項 、末項 、項数 。

まとめ:等差数列の和は「(初項 + 末項)÷ 2 × 項数」= 平均 × 個数。末項が分からないときは の形を使う。

発展。 等差数列の和 を、 の式で書くとどうなるか。

の 次式になる。(定数項がないのが特徴だ。)この問題なら

確かめる:

「等差数列( 次式)の和は、 次式になる」これは、積分と同じ構造だ。

和をとると、次数が 上がる。積分と同じだ

一般に

数列 和
定数( 次) 次式
次式(等差) 次式
次式 次式
次式 次式

この対応が の公式の背景にある。

そして、この逆も使える。

「 から を求める」 ときは、差をとる。

微分と同じだ。

「和の階差は、元の数列に戻る」というのは、微積分学の基本定理の離散版である。

ただし、 のときは別扱い( が定義されないので)。この例外処理が数列の問題でよくある間違いの原因になる。

と の関係は積分と微分の関係そのもの。 数列と微積分は、同じ構造を共有している。

答

別解

この公式は、 歳のガウスが発見した(という伝説がある)。 その方法を追体験しよう。

ガウスの逸話。

年代、小学校の教師が「 から まで足しなさい」と課題を出した(時間稼ぎのつもりだった)。 歳のガウスは数秒で答えを出した。 である。

彼の方法。

和を 回書く。 回目は普通に、 回目は逆順に。

縦に足す。

どのペアも、和が になる。

この問題でも、同じことをやってみよう。

縦に足すと

公式と同じ答え。

なぜ、どのペアも同じ和になるのか。

片方は ずつ増え、もう片方は ずつ減る。つまり増減が打ち消し合うからだ。

これが公式の証明である。

そして、台形との関係。

数列を棒グラフで描いてみよう。 高さ の棒が、 本並ぶ。

棒の先端は直線上に並んでいる(等差数列だから)。この棒グラフの「面積」(全部の棒の高さの和)が、 だ。そして、棒の集まりはほぼ台形の形をしている。

  • 上底: 最初の棒の高さ
  • 下底: 最後の棒の高さ
  • 高さ(横幅): 棒の本数

台形の面積公式

「等差数列の和 台形の面積」であり、図形と数列が つの公式で結ばれている。

ガウスの発想は「対称性を使う」ことだった。 逆順に並べて足すというわずか 行の工夫で、 個の足し算が 回の掛け算になった。

「うまい見方を つ見つければ、計算は消える」ことが、この例から分かる。

ポイント

  • (平均 × 個数)。
  • 末項が不明なら 。

よくある間違い

  • 末項()を求めずに、公式に代入できない
  • で割るのを忘れる(公式の分母 )
  • 項数と末項を取り違える( が項数、 が末項)

問3等比数列の一般項

★ 基礎等比数列

問題

初項 、公比 の等比数列の一般項 を求めよ。また、第 項を求めよ。

ヒントを見る

等比数列の一般項は『初項に、公比を何回かけたか』。第 項までに公比を何回かけるかを考えれば書ける。

解答・解説

方針

等比数列は「初項に公比を 回かける」。公式 に 、 を入れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 等比数列は「同じ数を掛け続ける」数列だ。

等差が「足す」なら、等比は「掛ける」。第 項までに、何回掛けるか。

  • 第 項: ( 回)
  • 第 項: ( 回)
  • 第 項: ( 回)
  • 第 項:

ここでも 。 等差のときと同じ理屈だ( 回ではなく 回)。

第 項。

「初項 公比の 乗」という形は、等差の公式と構造がそっくりである。

公式等比数列の一般項 ( は初項、 は公比)

① 公式に代入する。 、。

② 第 項を求める。 、指数は 。

まとめ:等比数列は「初項 × 公比の 乗」。指数が ではなく なのに注意( で となり初項に戻る)。

発展。 等比数列の「増え方」は人間の直感を軽々と超える。

有名な「米粒の逸話」。

チェス盤の マス目に米 粒、 マス目に 粒、 マス目に 粒 と、倍々にしていく。 マス目には何粒か?

約 京粒。 全部足すと 粒になり、世界の米の年間生産量の、数百年分にあたる。

倍々に増やすと、 回でこれほど大きな数になる。

「複利は人類最大の発明である」(アインシュタインの言葉とされる)。年利 で 万円を運用すると:

  • 年後: 万円
  • 年後: 万円
  • 年後: 万円

年で 倍以上。 元本の ( 万円)ずつ足していく単利なら 万円なので、等比と等差の差は、時間とともに開く一方だ。

「 の法則」 という便利な目安がある。

年利 なら、 年で 倍。

なぜ か。 対数で計算すると

約 年 となる。 と、小さい での という近似から、 が出る。 は割り切れやすいので、実務で使われている。

逆に、注意すべき面もある。

インフレ率 が続くと、 年でお金の価値は半分になる()。

細菌が 分で 倍に増えるなら、 日( 回分裂)で 個になり、地球を覆い尽くす計算になる(実際には栄養が尽きて止まる)。

等比数列の増加は指数関数的である。 そして指数関数はどんな多項式よりも速く増える。

でさえ、 よりは小さくなる。「倍々」の力を、決して侮ってはいけない。

答

、第 項は

別解

等差と等比を、徹底的に対比しよう。 つは「足し算」と「掛け算」を入れかえた関係にある。

対比表。

等差数列 等比数列
作り方 公差 を足す 公比 を掛ける
一般項
関数の型 次関数(直線) 指数関数(曲線)
隣り合う項の関係 差が一定 比が一定
中間の項 相加平均(等差中項) 相乗平均(等比中項)
和の公式

「足す」と「掛ける」を入れかえると、等差が等比に変わる。そして、この つは「対数」で結ばれている。等比数列 の、各項の対数をとってみよう。

計算すると

ずつ増えている。 つまり等差数列になった。

なぜか。

を公差とする、等差数列の一般項の形

「掛け算を足し算に変える」という対数の性質が、ここでも働いている。

この事実の実用性。

等比数列の問題を、対数をとって等差数列の問題に変えることができる。例: 「初項 、公比 の等比数列で、 を超えるのは第何項か?」

両辺の常用対数をとる。

第 項で を超える。

確かめる: 、

指数の問題が対数で 次不等式になった。

「等差」と「等比」を行き来する道具が、対数である。 数IIの指数対数と、数Bの数列が、ここでつながる。そして、この関係は現実にも現れる。

  • 音階: 振動数は等比数列()だが、人間には等差(半音ずつ)に聞こえる。耳が対数をとっているのである。
  • 地震のマグニチュード: エネルギーは等比、 は等差
  • 株価: 「 上昇」は等比、対数グラフで見ると等差(直線)

対数をとると、掛け算が足し算に変わる。 対数はその架け橋である。

ポイント

  • 。指数は 。
  • で 、初項に戻る。

よくある間違い

  • としてしまう(指数は 。 で初項2になるか確認する)
  • を と計算してしまう(掛けるのは だけ)
  • 公比を「差」と混同する(等比は隣の項の「比」)

問4等比数列の和

★ 基礎等比数列和

問題

初項 、公比 の等比数列の、初項から第 項までの和 を求めよ。

ヒントを見る

等比数列の和の公式を思い出そう。公比と項数を確認して当てはめる。分母の形と累乗の計算だけ丁寧に。

解答・解説

方針

等比数列の和は公式 ()。、、 を代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 等比数列の和には、専用の公式がある。

代入する。 初項 、公比 、項数 。

指数は項数 そのもの( ではない)。一般項では だったが、和の公式では になる。ここが紛らわしい。

検算しよう。実際に 項を足してみる。

公式と一致した。

のときは、この公式が使えない(分母が になる)。そのときは、全部同じ数なので である。

公式等比数列の和 ()

① 公式に代入する。 、、。

② 計算する。 。

まとめ:等比数列の和は 。 ならこの形、 なら と符号をそろえると計算しやすい。 のときは別扱い(和 )。

発展。 等比数列の和で、項数を無限にすると、どうなるか。

公比 の大きさによって、振る舞いが分かれる。

のとき(この問題の など): 無限大に発散する。 和は存在しない。

のとき: 有限の値に収束する。

無限個の数を足したのに、答えが有限。例:

無限個の分数を足すと、ちょうど 。この事実がゼノンのパラドックスを解決する。

「アキレスと亀」( 年前、ゼノンの提出した難問)アキレス(俊足)が、 m 先の亀を追いかける。アキレスが m 進むと、亀は m 進んでいる。アキレスがその m を進むと、亀は m 進んでいる

「追いつくには無限回の『追いかけ』が必要だから、永遠に追いつけない」しかし、実際には追いつく。なぜか。

各段階の「時間」を足してみよう(アキレスの速さを m/秒、亀を m/秒とする)。

これは公比 の無限等比級数だ。

無限回の「追いかけ」の合計時間は 秒にすぎない。

「無限回の操作」が「無限の時間」を意味するわけではない。 これがパラドックスの解決だ。無限個の数を足しても、有限になることがある。

この事実が厳密に説明されるまでに、 年以上かかった。 極限の概念が確立したのは 世紀である。 という公式を使えば、 年前からの哲学の難問が 行の計算で解ける。

答

別解

この公式は「ずらして引く」というトリックで導かれる。 等差数列で「逆順に足した」のと、対をなす発想だ。公式の導出: と を引き算する。

を書く。

倍する()。

縦にそろえて、引き算する。

真ん中の項がまとめて消えた。

等比数列の和の公式が出るのは、「ずらして引くと、中身が打ち消し合う」からだ。一般に

引くと

公式が導けた。

この「ずらして引く」技は、望遠鏡のように途中が畳まれるので、望遠鏡和とも呼ばれる。等差と等比の、和の導出を比べてみよう。

等差数列 等比数列
技 逆順に足す 倍してずらし、引く
効果 すべてのペアが同じ和に 中間項が打ち消し合う
発想 対称性 望遠鏡和

どちらも「 つの工夫で、 個の足し算が消える」。そして、この「ずらして引く」技は、応用範囲が広い。

(等差)(等比)の形の和

この和も を作ってずらして引けば求まる(数Bの標準問題)。

の和

部分分数に分けると、隣どうしが打ち消し合う。これも望遠鏡和だ。「打ち消し合う形を作る」のは、数列の和を求めるときの最も有効な方法である。

公式を暗記するより、この「導出の技」を身につけるほうが、はるかに応用が利く。

ポイント

  • ()。
  • のときは和 。

よくある間違い

  • 和の公式の指数を としてしまう(和の公式では )
  • 分母 を としてしまう
  • のときも公式を使おうとする(分母が0。そのときは )

問5Σ の計算(k の和)

★ 基礎シグマ

問題

を求めよ。

ヒントを見る

から までの和の公式があった。丸暗記が不安なら、、、…とペアを作る考え方から自分で導ける。

解答・解説

方針

から までの和は公式 。 を代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、「 に から を順に入れて、全部足す」という意味。

公式がある。

この公式は等差数列の和の公式そのものである(初項 、末項 、項数 )。

記号におびえないこと。 意味は「 に順に数を入れて足す」だけだ。

の下が 、上が なので、 を から まで動かす、という指示である。

公式

を代入する。

これは を等差数列の和とみても同じ(初項 、末項 、項数 で )。

1+2+…+n は段々の面積 = n(n+1)/2(n×(n+1)長方形の半分)

まとめ: は「 から までの合計」。公式 は等差数列の和そのもの。数え上げの基本になる。

発展。 三角数()には、次のような性質がある。

性質1: 連続する つの三角数を足すと、平方数になる。

図で見れば当たり前だ。 つの三角形を組み合わせると、正方形になる(片方は 段、もう片方は 段)。

性質2: フェルマーの多角数定理。「どんな自然数も、 個以下の三角数の和で表せる。」

この定理を、ガウスは 歳のときに証明した。 彼の日記( 年 月 日)には、こう記されている。

「わかった!(エウレカ!)すべての数は、 つの三角数の和である。」

アルキメデスの「エウレカ」を、ギリシャ文字でそのまま書いている。書いた本人はこのとき 歳で、この記録は 年以上たった今も残っている。性質3: 三角数と組合せ。

「 個から 個を選ぶ選び方」 と同じ数だ。

なぜか。 個の点から 個を選んで線で結ぶと、線の本数は 本になる。これは握手の回数と同じである。

「 人が全員と握手すると、何回の握手が起こるか?」の答えは 回。この問題の答えと同じだ。

足し算の問題と、組合せの問題が、同じ答えを持つ。

同じ数が別々の問題の答えとして現れることがある。三角形の点の数、握手の回数、 の値は、すべて という つの数になる。

答

別解

この和 には、 つの「顔」がある。三角形と、ガウスの工夫だ。顔1: 三角数(点を三角形に並べる)。

点をこう並べてみよう。

段目に 個、 段目に 個、 段目に 個 段目に 個。

全部で何個か? その個数が だ。この三角形の形から、公式が「見える」。

同じ三角形を、もう つ用意して、逆さまにしてくっつける。

長方形になった。

  • 縦: 段()
  • 横: 個()

長方形の点の総数は 。 その半分が三角形の点の数だ。

図形が公式を証明した。

この数を「三角数」という。 と続く。ボウリングのピン( 本 第 三角数)や、ビリヤードのラック( 個 第 三角数)も三角数だ。

顔2: ガウスの工夫(逆順に足す)。

縦に足すと、すべて 。

つの形は同じことを表している。 「逆順に足す」は「三角形を逆さまにくっつける」の代数版だ。そして、 の性質を押さえておこう。

最後の式に注意。 であって、 ではない。 が式に現れなくても、 回足すのだ。

「 は線形」であり、積分や微分と同じ性質を持っている。バラして計算できるのは、この線形性があるからだ。

ポイント

  • 。
  • の等差和と同じ。

よくある間違い

  • の で割るのを忘れる
  • に でなく別の数を代入してしまう
  • のような定数の和を としてしまう(正しくは )

問6Σ の計算(k² の和)

★ 基礎シグマ

問題

を求めよ。

ヒントを見る

乗の和には専用の公式がある。当てはめたら、先に約分してから掛け算すると計算が楽になる。

解答・解説

方針

乗の和は公式 。 を代入する。分子を順にかけてから で割る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、平方数の和だ。

公式を使う。

代入する。

計算のコツ: 先に約分する。

、、そして 。

分母 を忘れない。 そして の部分( に を入れて )を、 と間違えないこと。 つの因数 、、 を、順に書き出してから掛ける。

公式

を代入する。。

まとめ: の公式は 。分子を とかけてから で割る。 つの因数の並びを覚えておく。

発展。 の公式を、次数ごとに並べてみよう。

規則性が見える。

そして、最高次の項は必ず である。

これは、積分の公式とそっくりだ。

まったく同じ形だ。

偶然ではない。 は、 の下の面積を、幅 の長方形で近似したものだ。 が大きければ、積分に近づく。

主要項は 。積分と一致する。

残りの項( など)は長方形と曲線の「ズレ」を補正している。この補正項には、名前がついている。

係数に現れる 、、、 を、ベルヌーイ数という。この数列は整数論の最深部に現れる。

  • リーマンゼータ関数の特殊値: 、 などがベルヌーイ数で書ける
  • フェルマーの最終定理の研究(クンマーの理論)
  • オイラー・マクローリンの公式(和と積分を結ぶ)

という素朴な計算。 その公式の係数には、 や整数論の難しい問題と関係する数が現れる。そして、世界初のコンピュータ・プログラム( 年、エイダ・ラブレスが書いた)は、「ベルヌーイ数を計算する」ものだった。

の公式は計算機科学の出発点でもあったのだ。

答

別解

この公式はどうやって作られたのか。 「望遠鏡和」という方法で導いてみよう。公式を忘れても、その場で作り直せるようになる。

導出: を考える。

展開すると

この式の、両辺を から まで足す。

左辺(望遠鏡和)。

次々に打ち消し合う。

残るのは、最初と最後だけになる。これが望遠鏡和だ。

右辺。

左辺 右辺 とおいて、 について解く。

整理すると(計算は少し骨が折れるが)

公式が導けた。

で確かめる。

左辺(望遠鏡和):

右辺:

ぴったり一致した。

この導出法の何が便利か。

の公式も同じ方法で作れる。 を使えばよい。

も、 も、同じ手順で導ける。何乗の和でも、同じように続けられる。

「 つ上の次数の差を作って、望遠鏡和にする」という方法で、すべての 公式が作れる。そして、これは積分と同じ構造をしている。

「差の和は、両端だけになる」ことの連続版が積分の基本定理、離散版が望遠鏡和である。同じ原理が連続と離散の つの場面に現れている。

ポイント

  • 。
  • 分子を先にかけ、最後に で割る。

よくある間違い

  • を と書き間違える( なら )
  • 分母の を忘れる、または にしてしまう
  • ()と混同する( とは別物)

問7Σ の計算(1次式)

★ 基礎シグマ

問題

を の式で表せ。

ヒントを見る

和の記号は『定数倍と足し算に分けてよい』。 と の つに分解しよう。 が何になるかを勘違いしやすいので注意。

解答・解説

方針

は項ごとに分けられる。、(定数を 回足す)。それぞれ公式で計算して足す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) はバラせる(線形性)。

つの部品に分けた。

部品1:

部品2:

ここで間違えやすい。 は ではなく ( を 回足すから)。

組み立てる。

計算は「バラして、公式を当てて、組み立てる」の 段階だ。

公式、(定数の和)

① 項ごとに分ける。

② 各公式を使う。 、。

まとめ: の中が和や差なら項ごとに分けて別々に公式を使う。定数 の和は (「 を 回足す」)。ここを と間違えやすい。

発展。 という結果を、少し違う角度から見てみる。

は から始まる奇数だった。もし ( から始まる奇数)なら?

ちょうど になる。

「最初の 個の奇数を足すと、平方数になる」ことは、問題 で扱う有名な事実だ。そして、今回の との関係は?

各項を ずつ増やしたので、合計は 増えたわけで、筋が通っている。別の見方:

「 を除いた、最初の 個の奇数の和」 と読める

同じ答えに、 つの道から到達した。

つの式を、いろいろな形に書き直すと、式の意味がよく分かる。

どれも同じ数だが、それぞれ違うことを表している。

  • : の計算結果( 次式)
  • : 因数分解された形( つの整数の積)
  • : 平方数から 引いた形

という恒等式は、差が の 数の積が、その中間の数の 乗より 小さい、ということを言っている。

この事実は暗算の技として使える。 を計算するとき、 と即答できる。数式の別の読み方を知っていると、思わぬところで役に立つ。

答

別解

を使わず、「等差数列の和」として解ける。 という式が、実は等差数列だからだ。

の中身を見る。

は、公差 の等差数列だ。(奇数が並んでいる。)等差数列の和の公式を使う。

  • 項数:
  • 初項: ( のとき)
  • 末項: ( のとき)

の公式を使わずに、同じ答えが出た。

この見方の意味。

という形は必ず等差数列(公差 )になる。だから、 次式の はどちらの方法でも解ける。検算しよう。 で確かめる。

直接足す:

公式:

の式で答えが出たら、必ず小さい で検算する。 、、 あたりで試せば、すぐに正誤が分かる。

: 直接 、公式

この検算は の計算では必須だ。 公式の適用ミス( と の取り違え、係数忘れ)は、必ず小さい で露見する。

そして、もう つの見方。 という答えの「形」に注目してほしい。

が 次式の和だから、答えは 次式 で、前の問題(発展)で見た「和をとると次数が 上がる」という法則と一致する。

答えの次数が合っているかを見るのも、有力な検算になる。

  • 次式の → 次式
  • 次式の → 次式

もし 次式の を計算して 次式が出てきたら、確実にどこかで間違えている。計算の最後には必ず「答えの形が、期待される形か」を確認したい。

ポイント

  • は項ごとに分けられる。定数倍は外に出す。
  • (定数 を 個)。

よくある間違い

  • を としてしまう(正しくは )
  • の係数 を掛け忘れる
  • 答えを の1次式にしてしまう(1次式の和は2次式になる。次数で検算する)

問8等差数列の項数

★ 基礎等差数列

問題

初項 、公差 の等差数列で、 は第何項か。

ヒントを見る

まず一般項を の式で書く。『それが に等しい』という方程式を解けば、項番号が出る。

解答・解説

方針

一般項 が に等しいとおいて、 について解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 は第何項か?」を求めるには、一般項を作って、方程式を解く。

一般項。 初項 、公差 だから

これが になる を求める。

第 項。

検算しよう。

「項数を求める」問題は一般項の方程式を解くだけ。

答えが整数にならなかったら、「その数は数列に現れない」ということになる。これも大事な結論だ(たとえば は から となり、この数列には現れない)。

公式「 は第何項か」は を について解く

① 一般項を求める。

② とおいて解く。

よって は第 項。

まとめ:「ある値が第何項か」は、一般項 = その値 の方程式を解くだけ。 が正の整数になるか(数列の項として存在するか)も確かめると確実だ。

発展。 「等差数列に、ある数が現れるか?」という問いは、整数論の問題に言いかえられる。

この数列の一般項は 。

現れる数は、

共通点は? 調べると、すべて「 で割ると 余る数」だ。

は? → で割ると 余る。だから現れる。

は? → 余りが → 現れない。

「余りを見るだけで、現れるかどうかが分かる」ので、計算せずに判定できる。この視点で、有名な定理を紹介しよう。ディリクレの算術級数定理( 年)

たとえば ( と は互いに素)には、素数が無限にある。

「 で割って 余る素数」も無限にある()。

「 で割って 余る素数」も無限にある()。素数はどの「剰余類」にも公平に無限個ずつ現れる。逆に、初項と公差が互いに素でないと、話が変わる。

(初項 、公差 。)なら

素数は つも現れない( より大きい偶数は、素数ではないから)。「互いに素」という条件が、素数の存在を保証する。

そして、この定理の証明はとても難しい。 ディリクレは解析学(L関数と呼ばれる級数)を使って証明した。整数の問題を、連続量を扱う分野の道具で解いたのだ。

「素数がどこに現れるか」という問いは、リーマン予想( 万ドルの懸賞金がかかった未解決問題)へと続いている。

という単純な等差数列。 その中の素数の現れ方は、素数論の難しい問題につながっている。

答

第 項

別解

式を立てずに、「何歩進んだか」を数えるだけでも解ける。 直感的で、暗算でもできる方法だ。

「歩数」で考える。

初項 から、 まで、どれだけ離れているか。

歩あたり、 進む(公差 )。

何歩必要か。

歩進んだところが 。

しかし、初項が「第 項」であることに注意。

歩進むと、第 項。

式を立てずに、暗算で解けた。この「」が、公式に が出てくる理由だ。

「 番目」と「 歩」の食い違いが、数列で最も多いミスの原因である。この食い違いは日常でもよく起きる。「電柱が 本並んでいる。両端の電柱の間の距離は?」

電柱の間隔が か所? これは違う。 か所である。

「植木算」 と呼ばれる、有名な引っかけ問題だ。

数列の はこの「植木算」と同じ構造をしている。同じ構造は他にもある。

  • 「 月 日から 月 日までは何日間?」 → 日間(両端を含む)
  • 「 月 日から 月 日までは何日後?」 → 日後(歩数)

「個数」と「間隔の数」は、必ず ずれる。

この のズレを、プログラミングでは つずれ誤差と呼ぶ。 最も頻繁に起こるバグとして恐れられている。「数え始めをどこにするか」は、昔から多くの人が間違えてきた小さな問題だ。数列の はその最前線である。

検算の習慣を持とう。 答えが出たら、必ず一般項に代入して確かめる。

秒の検算で、 のミスは根絶できる。

ポイント

  • 第何項か = を で解く。
  • が正の整数になるか確認。

よくある間違い

  • 歩数()をそのまま項番号としてしまう(初項が第1項なので する)
  • 一般項を としてしまう( で初項5になるか確認する)
  • 答えが整数にならなくても、無理に整数に丸めてしまう(その数は数列に現れない、が正しい結論)

問9等比数列の決定

★ 基礎等比数列

問題

第 項が 、第 項が である等比数列の初項と公比を求めよ。ただし公比は正とする。

ヒントを見る

第 項と第 項の比をとると、初項が消えて公比だけの式になる。公比が決まれば初項はすぐ。

解答・解説

方針

(第 項から公比を 回かけると第 項)。この関係で を求め、 から初項を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 未知数は初項 と公比 の つ。条件も つ。連立方程式が立つ。

一般項 に、条件を入れる。

この連立を解く。うまい手は「割る」ことだ。 下の式を上の式で割る。

が約分で消えた。 これが割り算の狙いである。

問題文に「公比は正」とあるので

に戻して を求める。

初項 、公比 。等比数列の連立では「割る」ことを考える。足したり引いたりせず、割って文字を消すのが基本だ。

公式等比数列は ( 項から 回かける)

① 公比を求める。 第 項から 回かけると第 項なので 。

公比は正なので 。

② 初項を求める。 。

まとめ:離れた 項が分かれば、間の公比の累乗で結べる。 から の つだが、条件「公比は正」で に絞る。符号の指定を見落とさない。

発展。 「公比が正」という条件がなければ、どうなるか。

の場合も調べてみよう。

数列は

符号が交互に変わる。

確かめる: 、 となり、条件を満たしている。

つまり、条件を満たす等比数列は つあった。

  • 、: (すべて正)
  • 、: (符号が交互)

問題文の「公比は正」という条件が、 つに絞ってくれていた。この条件がなければ、 つとも答えなければならない。「条件を見落とすと、解が増えたり減ったりする」ので、数学の答案では条件の確認が欠かせない。

さて、公比が負の等比数列は、どんな振る舞いをするか。

符号が交互に変わり、絶対値は増えていくので、振動しながら発散する。

で が負なら?

振動しながら、 に収束する。公比 の値によって、数列の振る舞いが決まる。

の範囲 振る舞い
正のまま、無限大へ発散
一定()
正のまま、 に収束
振動しながら に収束
(振動、収束しない)
振動しながら発散

つの数 だけで、数列の先の値がすべて決まる。

なら収束、 なら発散する。境目は である。

この分類が無限等比級数の収束条件()の根拠になっている。 数IIIの極限ではこの表をよく使う。

答

初項 、公比

別解

「等比中項」を使うと、もっと短く解ける。 等差数列の「中間の項」に対応する概念だ。

等比中項とは。

「真ん中の項の 乗 両隣の積」

なぜか。 公比を とすると 、 だから

この問題に使う。

、、 なので、 が等比中項だ。

第 項が と分かった。公比は隣の項の比。

初項は を で割る。

同じ答え。しかも、連立方程式を解いていない。

等比中項の使いどころ。 「 つ飛ばしの 項が分かっている」ときに、間の項を「補間」できる。

は、 数の相乗平均である。等差との対比を、しっかり押さえよう。

等差中項 等比中項
条件
中間の項
名前 相加平均 相乗平均

「等差数列の真ん中は相加平均、等比数列の真ん中は相乗平均」そして、この つのあいだには、有名な不等式がある。

相加相乗平均の関係だ。

「等差中項 等比中項」 と読める。

この問題で確かめよう。 と の

  • 相加平均:
  • 相乗平均:

確かに、相加平均のほうが大きい。

等号が成り立つのは、 のときだけ。 なので、この場合は狭義の不等号()になる

数列の「中項」と、不等式の「平均」が、 つの構造で結ばれている。 問題 で、この関係をさらに掘り下げる。

ポイント

  • ( 項離れれば )。
  • は 。条件で符号を決める。

よくある間違い

  • から だけを答え、 の可能性を検討しない(この問題では「正」の条件で除外できる)
  • を としてしまう(第2項の指数は )
  • 連立を「引き算」で解こうとして、文字が消えず行き詰まる(等比では「割る」)

問10奇数の和

★ 基礎シグマ等差数列

問題

(初項から数えて 個の奇数の和)を求めよ。

ヒントを見る

等差数列の和として計算できる。あるいは、奇数を小さい順に足した和には規則がある。、、 と試して見つけてみよう。

解答・解説

方針

奇数の列は初項 、公差 の等差数列。第 項は 。 個の和は等差数列の和、または「奇数 個の和 」を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、奇数を 個足す計算だ。

これは等差数列の和(初項 、公差 、項数 、末項 )。

答えは 。

ここで、 という数に注目してほしい。

項数()の 乗になっている。

偶然だろうか。 実は、偶然ではない。

「最初の 個の奇数を足すと、 になる」ことが知られている(別解で、その理由を絵で見る)。

重要奇数を初項から 個足すと ()

① 何個の和か確かめる。 は 個。第 項は 。

② 公式で計算する。 奇数 個の和は 。

(等差数列の和でも同じ:。)

1357911
1+3+5+…+11 = 6² = 36(奇数を L字に積むと正方形)

まとめ:奇数を順に足すと と平方数になる。 個の和が になるという関係だ。等差の和の公式でもすぐ確かめられる。

発展。 「奇数の和が平方数」という事実は、物理学の重要な発見にもつながっている。

ガリレオの落体の法則( 年頃)。斜面を転がる球の、 秒ごとの移動距離を測ると:

そして、累積距離は

「落下距離は、時間の 乗に比例する。」

ガリレオはこの関係を「奇数の和」として発見した。

なぜ奇数になるのか。 等加速度運動では、速度が一定の割合で増える(等差数列)。そして距離は速度の和(等差数列の和)。

「等差数列を足すと、平方数が出る」という数学的事実が、落下運動の法則として現れた。望遠鏡も微積分もない時代に、ガリレオは斜面と水時計だけで、この法則を見抜いた。そして、この法則がニュートン力学の出発点になった。

同じ構造は他にもある。「 秒後、 秒後、 秒後 の落下距離の比が 」これは、加速度が一定であることの、直接的な証拠だ。

もし空気抵抗があれば、この比は崩れる(奇数の等差から外れる)。ガリレオは理想化された運動(真空中の落下)を数学的に捉えることで、法則を発見した。「現実を理想化し、数学で捉える」のが、近代科学の方法である。

という単純な足し算。 これは、 年前にガリレオが落下の法則を表した関係と同じだ。

数学で自然の法則を書き表せることを示した、早い時期の例である。

答

別解

「奇数の和が平方数になる」理由は、 枚の絵で分かる。 計算も証明もいらず、見れば分かるのだ。正方形をL字型に育てていく。

個の点から始める。

の正方形。 点は 個()。これを に拡張するには、何個の点を足すか?

が新しく足した点。 個だ。(右に 個、下に 個、角に 個。)

次は に拡張。何個足すか?右の列( 個)+ 下の行( 個)+ 角( 個)= 個。

にするには?

右の列()+ 下の行()+ 角()= 個。

気づいただろうか。

なぜ奇数か。 「右の列 個」+「下の行 個」+「角 個」 なので、必ず奇数だ。

この L 字型の追加部分を「グノモン」という(古代ギリシャの日時計の部品にちなむ)。そして、 回目まで足した点の総数は、 の正方形の点の数。

証明終わり。

絵を見るだけで、定理が証明された。 これを「証明なしの証明」という。

この問題では 。

の正方形の点の数は 個

この事実は、 年前のピタゴラス学派が知っていた。 彼らは点を並べて数を研究し、「数は形を持つ」と考えた。

三角数、平方数、五角数など、図形に対応する数の族を、彼らは体系的に調べた。そして、この事実には実用的な応用もある。「 を計算するのに、掛け算を使わない方法」

足し算だけで、 乗が計算できる。 初期のコンピュータ(掛け算器を持たない)は、この方法で 乗を計算していた。

逆に、平方根も求められる。 から と順に引いていき、 になるまでに何回引けたかを数える。 回で になるから 。

足し算と引き算だけで、 乗と平方根が計算できる。奇数の和という単純な事実が、計算機の設計に使われていた。

ポイント

  • 奇数 個の和 。
  • 等差数列(初項 、公差 )の和と一致。

よくある間違い

  • 項数を数え間違える( から までの奇数は6個)
  • 末項 を項数と混同する
  • を、 から までの奇数の和と誤解する(足すのは 個の奇数で、最後は )

問11等差中項・等比中項

★ 基礎等差数列等比数列

問題

(1) 、、 がこの順に等差数列であるとき、 を求めよ。

(2) 、、 がこの順に等比数列であり のとき、 を求めよ。

ヒントを見る

真ん中の項は両どなりとどんな関係になるのだったか。定義(差が等しい・比が等しい)から式を立てれば、公式を忘れていても出せる。

解答・解説

方針

等差数列では、まん中の項は両どなりの平均(前 後)。等比数列では、まん中の項の 乗が両どなりの積(前 × 後)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 数が等差(等比)」とあるので、真ん中の項を中心に考える。

(1) 等差数列 、、。

等差なら、隣どうしの「差」が等しい。

は と の相加平均である。

(2) 等比数列 、、。

等比なら、隣どうしの「比」が等しい。

という条件から

は と の相乗平均()である。中項とは「等差の真ん中は相加平均、等比の真ん中は相乗平均」ということだ。

公式等差中項 (まん中は平均)、等比中項 (まん中の 乗は積)

(1) が等差数列。まん中 は両どなりの平均。

(2) が等比数列。まん中 の 乗は両どなりの積。

なので 。

まとめ: 項が並ぶとき、等差なら「まん中 = 平均」、等比なら「まん中の 乗 = 積」。等比中項は が出るので、符号の条件を必ず確認する。

発展。 平均は相加平均と相乗平均だけではなく、第 の平均がある。

調和平均。

「逆数の相加平均の、逆数」であり、ややこしいが意味は明確だ。

と の調和平均。

つの平均を比べる。

平均の大小はこの順に並ぶ。(等号は のときのみ。)調和平均は、いつ使うのか。

「速さ」の平均だ。

「行きは時速 km、帰りは時速 km で、同じ道を往復した。平均の速さは?」

相加平均( km/h)? それは違う。

距離を km として計算しよう。

  • 行き: 時間
  • 帰り: 時間
  • 合計: 往復 km を、 時間

調和平均と一致した。

「同じ距離を、違う速さで移動したときの平均速度」は、調和平均になる。

なぜか。 遅いほうに、より多くの時間を費やすからだ。そのため遅い側に引っ張られる。

つの平均の使い分け。

平均 使う場面
相加平均 足し算的な量(点数、身長、気温)
相乗平均 掛け算的な量(成長率、倍率)
調和平均 「単位あたり」の量の平均(速さ、燃費、密度)

「平均」という言葉は つでも、中身は つある。そして、どれを使うかで、答えがまったく変わる。

統計やデータを扱うとき、「その平均は正しい平均か?」と問う習慣を持ちたい。 相加平均を機械的に使うと、しばしば現実を見誤る。

、、 という素朴な等差数列の問題。 ここから、「平均とは何か」という問いにつながる。

答

(1) (2)

別解

この つの答えを比べると、有名な不等式が出てくる。 数列と不等式が、 つの構造で結ばれる瞬間だ。同じ 数( と )で、両方の中項を計算してみよう。

等差中項(相加平均)。

等比中項(相乗平均)。

比べる。

相加平均のほうが大きい。

これは偶然ではない。

相加平均・相乗平均の関係(数IIで学んだ)。

等号が成り立つのは のときだけ。 なので、この場合は

数列の言葉で言い換えると、「等差中項 等比中項」となる。証明も 行だ。

使ったのは平方の非負性で、数IIの不等式の証明で学んだ方法だ。さて、 つの平均にはどんな意味の違いがあるのか。

具体例で考えよう。

「株価が、 年目に 倍、 年目に 倍になった。平均すると、年何倍か?」相加平均だと

「毎年 倍」と考えると、 年で 倍。しかし、実際は 倍にしかなっていない。

相乗平均なら

「毎年 倍」なら、 年で 倍。実際と一致する。

足し算的な量(身長、点数、気温)は相加平均。 掛け算的な量(成長率、利率、倍率)は相乗平均。

この使い分けを間違えると、投資の話で騙される。「 年目 、 年目 。平均すると だから、元本は変わらない?」

違う。

相乗平均で計算すると

「平均 」は嘘で、実際は年 ずつ減っている。

相加平均() 相乗平均() であり、不等式がそのまま「損失」を表している。

この差を「ボラティリティ・ドラッグ」と呼び、金融工学の重要な概念になっている。

等差中項と等比中項の違い。 これは、お金の運用を考えるときにも使う知識である。

ポイント

  • 等差中項:。等比中項:。
  • 等比中項は 。条件で符号を決める。

よくある間違い

  • 等比中項で の負のほうを除外し忘れる( の条件を使う)
  • 等差中項と等比中項を取り違える(等差は和の半分、等比は積の平方根)
  • (2)で と計算してしまう(等比なので相乗平均 )

問12Σ の計算(k³ の和)

★ 基礎シグマ

問題

を求めよ。

ヒントを見る

乗の和の公式は、 から までの和と簡単な関係がある。思い出せなければ、 個だけなので直接足しても手が届く。

解答・解説

方針

乗の和は公式 。これは「 の 乗」に等しいという特徴がある。 を代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は、項数が しかない。

公式を使ってもよいが、直接足すほうが速い。

答えは 。

公式でも確かめる。

この公式の形に注目してほしい。

つまり「立方の和は、和の 乗」になっている。

公式

を代入する。

(確かめ:。)

まとめ: は「 の 乗」という覚えやすい形。 を先に出し、それを 乗する。 が になる、という関係だ。

発展。 の公式を並べると、そこには「隠れた対称性」がある。

だけが で書ける。なぜ 乗だけが特別なのか。実は、 にも似た性質がある。

の多項式で書ける。

一般に、「奇数乗の和は の多項式で書ける」(フォールハーバーの定理)。偶数乗(、)では、こうはいかない。「なぜ奇数乗だけが特別なのか」という問いは、ベルヌーイ数の性質(奇数番目がほとんど )と深く関わっている。

さて、 の公式がより遠くまで届く話をしよう。 は、 でどうなるか?

この和は収束する(各項が急速に小さくなるので)。では、いくつに?

この問題は「バーゼル問題」と呼ばれ、 年間、誰も解けなかった。 年、 歳のオイラーが解いた。

が現れた。

整数の 乗の逆数を足しただけなのに、なぜ円周率が出てくるのか。 この結果で、オイラーは一躍有名になった。そして、この和はリーマンゼータ関数の特殊値である。

偶数のときは、 のべきできれいに書ける。

しかし (奇数)は? これは、 年経った今も、閉じた形が分かっていない。

そして、 の「零点」の位置を問うのが、 で、数学最大の未解決問題( 万ドルの懸賞金がかかっている)である。

という素朴な計算。 その先にはまだ解かれていない問題もある。

答

別解

「立方の和 和の 乗」という事実を、数値と図で確かめる。まず、数値で確認する。

すべて一致した。

これを「ニコマコスの定理」という( 世紀のギリシャの数学者にちなむ)。言い換えると

「立方数の和が、三角数の 乗になる」

なぜ、こんなことが起こるのか。絵で見る証明(その ): 正方形の中の L 字。

辺 の正方形を考える(面積 )。この正方形をL 字型の「層」に分ける。

  • 番目の層: の正方形( の面積に相当)
  • 番目の層: 個の 正方形()
  • 番目の層: 個の 正方形()
  • 番目の層: 個の 正方形()

各層の面積がちょうど になる。

大きな正方形()が立方数の層で、ぴったり埋め尽くされた。絵で見る証明(その ): 掛け算の表。 から までの掛け算の表(九九の表の一部)を作る。

この表の全部の数を足すと?各行の和は の倍数になっている。

そして、この表を L 字型に区切ると、各 L 字の和が になる。たとえば、 の L 字( 行目と 列目)の和は

掛け算の表の中に、立方数が隠れていた。「なぜ立方の和が、和の 乗になるのか」は、この絵を見ると分かる。

数式で証明することもできる(数学的帰納法や、望遠鏡和で)。しかし、絵で見たときの納得感にはかなわない。

この定理は絵で証明できる。 絵による証明は「見るだけ」で終わることも多い。

ポイント

  • 。
  • を先に出して 乗する。

よくある間違い

  • の2乗を忘れる
  • を と計算してしまう(3乗なので )
  • を と混同する(2乗が正しい)