数学A / 整数の性質

整数の性質 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 2つの素数のべきの和が素数になる組
  2. 2のべき乗+1が素数になる条件
  3. 3つの平方数の和で表せない数
  4. x²−2y²=1 の自然数解
  5. 単位分数の和 1/2 への分解
  6. メルセンヌ素数と完全数
  7. 約数すべての積が n³ になる数
  8. 隣り合う階乗+1の最大公約数

問12つの素数のべきの和が素数になる組

最難関編素数合同式

問題

を素数とする。 が素数となる組 をすべて求めよ。

ヒントを見る

素数がからむ和では、まず偶奇を見る。両方が奇数だと和はどうなるか。片方が2に決まったら、残る をさらに小さな法で仕分けられないか。平方数の余りは種類が少ない。

解答・解説

方針

まず偶奇で絞る: 両方が奇素数だと和は偶数になって不適、だから一方は2。次に が素数になる を、3で割った余りで絞る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「素数になる組をすべて」型は、候補を消していく消去法で進める。

第一の刃は偶奇だ。 がともに奇素数なら、 は奇数+奇数=偶数で、2より大きいから合成数。よって一方は2。

として を調べると、 で17(素数)が見つかる。問題は「 では全部だめ」とどう言い切るかだ。ここで法を3に切り替える。 だから の余りは の偶奇だけで決まり、 の余りは「3で割れない数の平方は1」で決まる。2つを足すと3の倍数になってしまう、という仕掛けだ。

重要消去法の二段構え: まず偶奇(法2)、だめなら法3。 なら 、3で割れない数の平方は

① 一方は2。 がともに奇素数なら は偶数で4以上だから素数でない。対称性から の場合を調べ、最後に の入れ替えを含めればよい。

② 小さい を試す。 : で不適。: は素数。候補になる。

③ の素数はすべて不適。 は奇数で、3の倍数でもない。 より

また は3で割れないから 。よって

つまり は3の倍数で、明らかに3より大きいから合成数。

④ 結論。 と、入れ替えた のみ。値は 。

まとめ: 偶奇 → 法3、と刃を持ち替える消去法。「 の奇数乗は 」「3で割れない数の平方は1」という2つの小さな道具を組み合わせると、無限個の候補がまとめて消える。

発展。 実は が素数になる組は、 型のほかには1つも知られていない。2つの素数の組合せだけの問題なのに、その先はまだ分かっていない。問題の意味は易しいのに答えが分かっていない、整数論によくある問いの例だ。

答

(このとき )

別解

法の選び方:なぜ「3」を試すのか(得意な人向け)。 本解の法3は天下りに見える。候補の法を順に打診する思考をそのまま見せよう。

の余りを調べやすい法は、 か の余りが単純になる法だ。

  • 法4: なら 、 は奇数で 。和は 。矛盾は出ない
  • 法8: 同じく 、奇数の平方は 。和は 。やはり決まらない
  • 法3: だから ( 奇数)。 が3の倍数でなければ 。和は となり、当たり

平方の余りが単純な法(3, 4, 8)を並べ、 の余りの周期と噛み合うものを探す。この「打診」の目で見ると、法3は偶然ではなく、 という好都合の帰結だと分かる。合同式の問題で法をどう選ぶか。その判断こそがこの種の問題の本当の技術だ。

ポイント

  • 両方奇素数なら和が偶数 → 一方は2。
  • なら で合成数。
  • のみ、値は17。

よくある間違い

  • の検算(、不適)を飛ばす。消去法は小さい候補の直接確認から。
  • だけ書いて、入れ替えの を落とす。 は対称だから組は両向き。
  • の根拠( が奇数であること)を書かない。偶数乗なら になってしまう。

問22のべき乗+1が素数になる条件

最難関編素数因数分解

問題

を自然数とする。

(1) が3以上の奇数の約数をもつならば、 は素数でないことを示せ。

(2) の範囲で、 が素数となる をすべて求め、そのときの の値を答えよ。

ヒントを見る

が を割り切るのは がどんなときだったか。 のもつ奇数の約数 を使って、 を「何かの 乗」の形に見立てられないか。

解答・解説

方針

が奇数のとき は で割り切れる。( は3以上の奇数)なら と読み替えて を代入すると、真の約数 が現れる。よって素数になり得るのは が2のべきのときだけ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「素数でない」ことを示すには、1と自分以外の約数を実際に見つける。つまり因数分解を作るのが本筋だ。

決め手は、 が奇数のときの恒等式 ( を代入すると0になるから、 を因数にもつ)。 が奇数の約数 をもつなら と書けて、。 を代入すれば、因数 が現れる。

公式 が奇数のとき

① (1) の証明。 ( は3以上の奇数、 は自然数)とする。 とおくと

ここで より だから

つまり は の真の約数で、 は素数でない。

② 素数になり得る の形。 (1)の対偶から、 が素数なら は3以上の奇数の約数をもたない。すなわち は の形()だ。

③ (2) の答え。 で2のべきの形は 。値を確かめる:

3, 5, 17 は素数。257 は だから 2, 3, 5, 7, 11, 13 で割れないことを確かめればよく、実際どれでも割れないので素数。ほかの ()はすべて3以上の奇数の約数をもつので、(1)より不適。

まとめ: 素数性の議論は「合成数になる仕組み=因数分解」から攻める。指数の奇数因子がそのまま因数分解を生むので、 が素数になり得るのは が2のべきのときに限られる。

発展。 の形の数はフェルマー数と呼ばれる。 と5連続で素数だったため、フェルマーは「すべて素数」と予想した。だが次の は で割り切れる(オイラーの発見)。その先、新しい素数は1つも見つかっていない。

答

(1) 証明(奇数乗の因数分解) (2) (値は )

別解

合同式で1行に畳む(得意な人向け)。 因数分解の恒等式を、合同式の言葉で書き直すとさらに短くなる。( は3以上の奇数)とする。法を に取ると

(これは定義そのもの。)両辺を 乗すれば、 が奇数だから

すなわち 。つまり は を割り切る。あとは で真の約数と確認するだけだ。

恒等式の長い第2因子を書かずに、「 の奇数乗は 」の一言で同じ約数に到達する。因数分解と合同式は、同じ事実の2つの表し方である。

ポイント

  • 奇数乗の恒等式で という真の約数を作る。
  • 素数になり得るのは の形だけ。
  • では 、値は 。

よくある間違い

  • (1)の逆「 が2のべきなら素数」と読み違える。 が反例(発展)。(1)は片方向の主張。
  • 恒等式を が偶数のときにも使う。 は で割り切れない( で )。奇数限定。
  • を「奇数の約数1をもつから不適」と誤って除外する。条件は「3以上の」奇数の約数。 は立派な素数。

問33つの平方数の和で表せない数

最難関編合同式存在しないことの証明

問題

方程式 を満たす整数 は存在しないことを示せ。

ヒントを見る

解を実際に探すのは果てしないが、余りで考えれば候補は有限だ。平方数をある数で割った余りは種類が少ない。4で見て決まらなければ、もう一段細かい法で見るとどうか。

解答・解説

方針

平方数を8で割った余りは 0, 1, 4 の3種類しかない。3つ足しても余り7は作れないが、2023 を8で割った余りは7になる。この食い違いで矛盾を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「解が存在しない」ことの証明は、うまい法(割る数)を選んで両辺の余りを比べ、矛盾を出すのが基本だ。

平方数は法4で余り 0, 1 の2種類。だが は で作れてしまい、矛盾が出ない。

そこで一段細かく、法8で見る。平方数の余りは 0, 1, 4 の3種類しかなく、3つ足しても余り7だけは作れない。 だから、これで結論が出る。法の選び方(4でだめなら8)が決め手だ。

重要平方数を8で割った余りは 0, 1, 4 のみ。とくに奇数の平方は必ず の形

① 平方数の余りを分類する。 整数 を偶奇で分ける。

  • のとき 。 が偶数なら の倍数で余り0、 が奇数なら で余り4
  • のとき 。 は連続2整数の積で偶数だから、 の形で余り1

よって の8で割った余りはどれも 0, 1, 4 のいずれか。

② 3つの和の余りを調べる。 0, 1, 4 から3つ(重複可)選んで足した和は

のいずれかで、8で割った余りとしては のどれか。余り7だけは決して作れない。

③ 矛盾。 一方、 だから、 の左辺の余りは7でなければならない。これは②に反する。よって整数解は存在しない。

まとめ: 「存在しない」ことは余りで考えて示す。平方数の余りの表(法8で 0, 1, 4)は、平方和の問題でよく使う道具だ。実は の形の数はどれも3つの平方数の和では表せない。2023はその一例にすぎない。

発展。 逆も知られている。 の形「以外」の自然数は、必ず3つの平方数の和で表せる(ガウスの三平方の定理)。表せない数がどんな数かまで、完全に分かっている。

答

存在しない(8で割った余りを比較して矛盾)

別解

法4で追い込んでから、偶奇でとどめ(2段ロケット)。 法8の表を使わずに、法4と「連続整数の積」だけで落とす道もある。

まず法4。平方数の余りは 0 か 1 で、。余り3を作る組合せは しかない。つまり、解があるなら はすべて奇数だ。

そこで とおいて代入する。 だから

整理して 。ここでとどめ。 は連続2整数の積で必ず偶数。3つ足しても偶数だ。ところが右辺505は奇数。矛盾。

法8の「余りの表」を暗記していなくても、法4 → 奇数を強制 → 連続積の偶奇、という自前の2段で同じ結論に届く。実はこの計算は、法8の表の「奇数の平方は 」を自分の手で見つけ直していることと同じだ。

ポイント

  • 平方数 (奇数の平方は )。
  • 3つの和の余りに7は現れない。
  • だから解なし。

よくある間違い

  • 法4で終わろうとする。 が作れるので矛盾が出ない。決まらないときは法を細かくする(4→8)。
  • 平方数の法8の余りを 0, 1, 4 以外も含めて書いてしまう。偶奇の場合分け(①)で自分の手で確かめる。
  • 「探しても見つからない」を証明の代わりにする。非存在は余りなどの不変量で全候補を一括で消して初めて証明になる。

問4x²−2y²=1 の自然数解

最難関編不定方程式生成と下降

問題

を満たす自然数の組 を考える。

(1) がこの方程式を満たすならば、 も満たすことを示せ。

(2) が小さい方から4番目の組を求めよ。

ヒントを見る

(1)は手を動かすだけ。難しいのは(2)だ。作った列の「間に別の解が挟まっていない」ことをどう言い切るか。(1)の写像を逆向きにたどると、解はどこへ運ばれ、大きさはどうなるか。

解答・解説

方針

(1)は代入して展開するだけ。(2)は最小解 から(1)の写像で と作れるが、「間に別の解がない」ことを言うために逆向きの写像 で任意の解が最小解まで降りることを確かめる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1)の写像で から次々に解が作れる。だが「4番目」と言い切るには、この列がすべての解を尽くしていることが要る。

そこで逆向きの写像 を考える。これも解を解に移し、しかも( の解なら) を真に小さくする。どんな解もこの下降を繰り返すと、いつか最小解 に落ちる。つまり、逆に から昇る列がすべての解だ。

生成(作る)と下降(全部であることの保証)の両輪で、解の全リストが確定する。

重要生成と下降: 写像で解の列を作り、逆写像で「どの解も列の出発点へ降りる」ことを示すと、解がその列で尽くされると言い切れる

① (1) の証明。 代入して展開する:

② 解の列を作る。 最小の解は を試して ( は で不適)。(1)の写像を繰り返すと

( は で真に増えるから、この列は の小さい順に並ぶ。)

③ この列で全部であること。 解 に対し とおくと、①と同じ展開で 。さらに を使うと

  • : で常に成立
  • : 、つまり なら成立
  • : で常に成立

よって のどんな解も下降するとより小さい自然数解に移る。下降を繰り返すと の解、すなわち に必ず到達する。つまりすべての解は から②の列を昇って得られるものに限る。

④ 答え。 4番目の組は 。(検算: 。)

まとめ: 「作れる」ことと「それで全部」は別の仕事だ。無限降下の親戚である下降の議論が「間に解はない」を保証して、はじめて「4番目」が確定する。

発展。 は と小数第5位まで一致する。 の解は の最良クラスの近似分数を次々に与え、この型の方程式はペル方程式と呼ばれ、連分数の理論とつながっている。

答

(1) 展開して確認(証明) (2)

別解

倍の意味(数としての掛け算)。 (1)の写像は、じつは「数を掛けているだけ」だ。左辺は と因数分解できる。そこで解 を数 で代表させる。 は だ。掛け算してみると

これで(1)の写像そのものが現れた。積 どうしを掛けても積は1のままだから、解が解に移るのは当然である。この見方の御利益は計算にもある。4番目の解は で、2乗を2回すればよい:

3回の写像が2回の平方に縮んだ。「解の変換=数の掛け算」という視点は、この型の方程式の理論全体の基礎である。

ポイント

  • 写像 は解を保つ(展開で確認)。
  • 逆写像 は の解を真に小さい解へ降ろす → 列で全部。
  • 。

よくある間違い

  • (1)の写像で列を作っただけで「これで全部」と断定する。間に別の解がないことは、下降の議論(③)で初めて言える。
  • 最小解を探すとき ()の不適の確認を飛ばす。最小解の特定がリストを作る出発点になる。
  • 下降の不等式評価で の代入を忘れる。 と の比較は方程式で結んで初めて進む。

問5単位分数の和 1/2 への分解

最難関編不定方程式はさみうち

問題

を満たす自然数の組 ()をすべて求めよ。

ヒントを見る

未知数3つに式1本だが、大小順がついている。いちばん大きい項 は、全体 に対して最低どれだけの割合を占めるはずか。両側からはさむと の候補は数個に落ちる。

解答・解説

方針

大小順から最大の項 をはさむ: かつ より 。 を決めるごとに残り2項で同じ論法を繰り返し、 は式から割り切れるかで確定する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 3変数に方程式1本では、自由度が高すぎるように見える。だが から 。最大の項 は「3項の平均以上」つまり 、かつ単独では全体未満 だ。

この両側からのはさみうちで、 は数個に絞られる。 を固定すれば残りは2変数の同じ問題。同じ論法をもう一度使えば も絞られ、 は式から自動的に決まる。

重要大小順のついた単位分数の和は、最大項のはさみうち かつ で先頭から順に確定していく

① を絞る。 より 。また より 。よって 。

② のとき。 、 だから かつ より 。順に を求めると

  • : / : / : / : / : (いずれも整数で適)
  • : で が整数にならず不適

この場合5組。

③ のとき。 同じはさみうちで

  • : 、 → の3組( は不適)
  • : 、 かつ より → で 、 は不適。1組
  • : 、 かつ より → の1組

④ 結論。 あわせて 組:

まとめ: 「大小順をつける → 最大項をはさむ → 先頭から確定」の反復。無限にありそうな分数の分解がはさみうち1つで有限の場合分けに落ちる。

発展。 が すべての で解けるか、という問い(エルデシュ・シュトラウス予想)は、いまだに未解決だ。単位分数の分解は遊びのように見えて、今も研究されている問題につながっている。

答

の10組

別解

積の形に直す(因数分解を使う近道)。 2変数に落ちた後の は、分母を払って因数分解の形にできる。

あとは36の約数ペアを書き出すだけだ。 に対応して

の5組。 となり、②の結果と一致する。 が消える理由も明快で、 が36の約数でないからだ。

の場合も同様に から の3組。「 ⟺ 」という変形は、単位分数の2変数問題を約数の列挙に変える有効な道具だ(分子が1でないときは少し手直しがいる)。はさみうちと使い分けたい。

ポイント

  • と で 。
  • ごとに同じはさみうちで を絞り、 は割り切れるかで判定。
  • 全部で10組。

よくある間違い

  • の下限を でなく1から回す。大小順 を忘れると、同じ組を並べ替えで二重に数える。
  • 割り切れない候補( など)の処理を忘れる。分数が整数 を与えるかは毎回検品する。
  • はさみうちの片側だけで絞る。上からと下からの両方(平均以上・全体未満)で挟んで初めて有限になる。

問6メルセンヌ素数と完全数

最難関編約数の総和完全数

問題

を素数とし、 も素数であるとする。 とおく。

(1) の正の約数の総和が に等しいことを示せ。

(2) のときの を求め、(1)の等式が成り立つことを確かめよ。

ヒントを見る

の約数を漏れなく並べると、2つの等比数列にまとまらないか。総和を計算して と比べるとき、 が「とくべつな形」の素数であることがどこで使われるかを確かめたい。

解答・解説

方針

の約数は と の2系列に整理できるので、総和は積の形 になる。等比数列の和が に一致することに気づけばすぐに片づく。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 約数の総和は、素因数分解から機械的に計算できる。( は奇素数)の約数は「()」と「」で全部だ。だから総和は という積にまとまる。

ここで、等比数列の和 がちょうど 自身である、ということに気づけば解ける。あとは掛けるだけで が現れる。

公式( は相異なる素数)のとき、約数の総和は

① 総和を積の形にする((1)の証明)。 で は奇素数だから、約数の総和 は

② を代入する。

これが示すべき等式。自分自身を除いた約数の和が 。つまり は「自分以外の約数の和が自分に一致する数」(完全数)である。

③ で確かめる((2)の答え)。 は素数で、。約数の総和は

たしかに成り立つ。

まとめ: 等比数列の和 がそのまま に戻ってくる、という一致が証明の中心だ。 型の素数(メルセンヌ素数)1つにつき、完全数が1つ生まれる。

発展。 偶数の完全数はすべてこの の形に限られる(オイラーの証明)。一方、奇数の完全数は「存在するかどうか」自体が2000年以上未解決のままだ。本問の等式はこの問題を考えるときの出発点になる。

答

(1) (証明) (2) ()

別解

約数を書き並べて2系列を見る(具体で確かめるルート)。 の で、約数を実際に全部書いてみよう。

前半は の系列、後半はその31倍の系列だ。和を系列ごとに取ると

  • 前半:
  • 後半:

合計 。この計算を見ると、証明の構造が目に見える。「前半の和がちょうど31()になる」から、全体が ときれいに畳まれるのだ。一般の の証明(本解)はこの表の内容をそのまま文字で書いたものである。

ポイント

  • 約数は と の2系列 → 総和は積の形。
  • の一致で 。
  • : 、。

よくある間違い

  • 完全数の定義(自分を除く約数の和=自分)と の関係を混同する。 は自分込みの総和なので2倍になる。
  • 等比数列の和 を書かずに展開で迷子になる。この和が に一致する所が決め手だ。
  • が素数という仮定の使い所を意識しない。 の積公式で因子が で済むのは、 が素数だから。

問7約数すべての積が n³ になる数

最難関編約数ペアリング

問題

を2以上の自然数とする。 の正の約数すべての積が に等しいような のうち、最小のものを求めよ。

ヒントを見る

約数を全部掛けるとき、いちばん小さいものといちばん大きいものから順に組にして掛けると何が見えるか。積が の累乗にまとまるなら、条件は「約数の個数」だけの話にならないか。

解答・解説

方針

約数 と を組にすると各組の積が になるので、約数が 個なら約数全体の積は 。条件は に言い換えられ、「約数がちょうど6個の最小の数」を素因数分解の型から探す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 約数を全部掛ける、という一見つかみどころのない量は、ペアリングで簡単な式になる。約数 と を組にすると、各組の積はちょうど だ。

約数が 個なら組は 組で、積は ( が約数になる場合も、自分と組んだとして同じ式でよい)。すると条件 は、 から指数を比べて 。「約数がちょうど6個」という個数の問題に言い換えられる。

あとは、個数6を実現する素因数分解の型を比べるだけだ。

重要 の約数全体の積は ( は約数の個数)。約数の個数が で決まることと合わせて、条件が「個数」の問題になる

① 約数の積を求める。 約数 が の約数なら も約数で、。全約数をこの組に分ける(平方数のときの は自分と組む)と、積は

② 条件を個数で表す。 で だから、指数を比べて 、すなわち 。

③ 約数6個の最小の数。 素因数分解 に対し 。 または だから、型は

  • 型: 最小は
  • 型: 最小は

よって最小は 。(検算: 12の約数 の積は 。)

まとめ: 「約数の積 → 」「条件 → 個数 」「個数 → 素因数分解の型」と、3回の言い換えで問題がだんだん簡単になっていく。ペアリング( と )は約数の問題でよく使う第一手だ。

発展。 同じ言い換えで、「約数の積が 」なら 。型は (最小128)、(最小24)、(最小30)で、答えは24になる。指数を1つ動かすだけで、型の競争の顔ぶれが変わる。

答

別解

2回書いて掛ける(平方数の心配が消えるルート)。 ペアの作り方で の扱いが気になった人へ。ペアを作らずに済む方法がある。

約数全体の積を とする。約数を小さい順に書いた列と、大きい順に書いた列を、縦に並べて掛ける:

(2列目が「大きい順」になるのは、 が約数全体を逆順に並べ替えるから。)よって

が約数かどうかの場合分けは、最初から現れない。これは、 を「逆順に書いて足す」ガウス少年の計算の、掛け算版だ。ペアにする代わりに全体を2回使う。この小さな変更で、例外処理が要らなくなる。

ポイント

  • 約数の積は (ペア )。
  • 。
  • 約数6個の型 (最小32)と (最小12)→ 答え12。

よくある間違い

  • が平方数のとき( が約数)のペアの扱いで手が止まる。「自分と組む」でよいし、別解の2回書く方式なら最初から問題にならない。
  • 約数6個の型に を入れてしまう。 の約数は 個で、これは の型。
  • 型(32)と 型(12)の片方だけ調べて答える。最小は全部の型を比べて決まる。

問8隣り合う階乗+1の最大公約数

最難関編最大公約数互除法

問題

を自然数とする。 と の最大公約数を求めよ。

ヒントを見る

2つの数の最大公約数は一方から他方の何倍かを引いても変わらない。 に、 の「ちょうどよい倍数」をぶつけて、階乗を消してしまえないか。

解答・解説

方針

最大公約数は一方から他方の倍数を引いても変わらない。 と の差を作ると だけが残り、問題は と の最大公約数に落ちる。 が の倍数であることから互いに素とわかる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 大きな2数の最大公約数は、互除法の原理「(倍数を引いても不変)」で小さくするのが基本だ。

は、 にとても近い。差を作ると階乗が消えて、 だけが残る。これで問題は「 と 」というずっと小さい2数の話になり、最後は「 は の倍数」という当たり前の一言で決着する。

定理互除法の原理: が をともに割り切るなら、 は の形の数もすべて割り切る

① 差を作って小さくする。 とおく。 は2数の組合せ

も割り切る。よって は と の公約数でもある。

② 互いに素で仕上げる。 と仮定する。 だから、 は を因数に含み の倍数。すると

となり に矛盾。よって 、すなわち と は互いに素。

まとめ: 互除法は「割り算」でなく「倍数を引いて小さくする」操作だと捉えると、階乗のような大きな数にも使える。 が 〜 のすべての倍数である、という当たり前のことで最後に決着がつく流れも覚えておきたい。

発展。 ②の議論を裏返すと、「 の素因数はすべて より大きい」ことが分かる。どんな に対しても より大きい素数が存在する。つまり素数は無限にある、という古典の証明(ユークリッド)が、この1行から出てくる。

答

(互いに素)

別解

素因数の目で見る(得意な人向け)。 公約数 を丸ごと扱う代わりに、その素因数 を1つ取って追い詰める。 を の素因数とする。まず から、 の大きさが分かる。もし なら、 は の因数だから 。すると となり矛盾。よって

一方、本解①と同じ引き算で 。素数 が を割り切るなら のはずだ。「」と「」が正面衝突した。そんな素数 は存在しない。素因数をもたない自然数は1だけだから、。

大きさの矛盾で結論を出すこの形は、素数が関係する「互いに素」の証明でよく使う。「 の素因数は より大きい」という部品(発展の種)も、この視点の副産物だ。

ポイント

  • で階乗を消す。
  • かつ なら 。
  • 答えは1(隣り合う階乗+1は互いに素)。

よくある間違い

  • 引き算の組合せを誤る。 倍するのは の側。階乗が消えるように係数を設計する。
  • から「」などと書く。1を割り切る自然数は1だけ、と正しく閉じる。
  • 小さい での検算(、、)を省く。一般論の前後に具体で足場を確かめる。