数学A / 整数の性質

整数の性質 実戦編の問題 全8問

難関大の総合問題。複数の単元を融合した単元横断の演習

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 100! の末尾に並ぶ0の個数(素因数の個数)
  2. フェルマーの小定理(二項定理と帰納法)
  3. 3の2024乗を100で割った余り(位数)
  4. (2+√3)ⁿ の整数部分は奇数(共役と漸化式)
  5. ピタゴラス数の積は60の倍数(合同で場合分け)
  6. オイラー関数の値(互いに素な数の個数)
  7. 連続する和が n の倍数(鳩の巣原理)
  8. 素数を法とする二項展開(フロベニウスの夢)

問1100! の末尾に並ぶ0の個数(素因数の個数)

実戦編整数の性質素因数分解数え上げ床関数単元横断

問題

()を計算すると、末尾に が連続して何個並ぶか求めよ。

ヒントを見る

末尾の の個数 因数 の個数 。 の方が多いので の個数を数える。 の倍数は を2個持つことに注意。

解答・解説

方針

末尾の は の因子の数、すなわち 。 は より多いので の個数を数える。 の倍数を段階的に数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 末尾の の個数は、 が で何回割れるかで決まる。 だから、答えは「因数 の個数」と「因数 の個数」の小さい方だ。

には偶数がたくさんある。因数 は明らかに より多いので、少ない方= の個数を数えればよい。数え方にもコツがある。 の倍数は を 個ずつ持つが、 の倍数はもう 個余分に持つ。段階的に数え足すのが正確だ。

重要 に含まれる素数 の個数 (ルジャンドルの公式)

① の個数 の個数。 末尾の の個数 。偶数は 個以上あり の個数は の個数より多いので、 の個数を数えればよい。

② の個数を段階的に。 で

  • の倍数は 個(それぞれ を少なくとも 個持つ)、
  • の倍数は 個(さらにもう 個ずつ持つ)、
  • の倍数は 個。

③ 合計。 の因数は よって末尾に は 個並ぶ。

まとめ末尾の は因数 の個数(少ない方)。 の倍数を段階的に数えて 。整数(素因数)と数え上げの融合。 の倍数を二重に数えることを忘れない。

発展。 因数 の個数は、 が の倍数をまたぐ瞬間に 以上ジャンプすることがある。実際 までは 個、 でいきなり 個になる。だから「末尾にちょうど 個の が並ぶ 」は存在しない。届かない個数がある。これは床関数の和ならではの現象だ。

答

末尾の の個数 に含まれる素因数 の個数 。

別解

別解:桁和の公式ですぐに出す(得意な人向けの高い視点)。 階乗に含まれる素因数 の個数には、 進法を使った閉じた公式がある。

を 進法で書いたときの桁の和を とすると、 に含まれる因数 の個数は になる(床関数の和 を桁ごとに整理すると、各桁が等比数列の和を作ることから出る)。 は 進法で ()。桁和は だから

床関数を 段ずつ足す本解と同じ が、桁の情報だけから出る。 でも は 進法で 、桁和 で と即答できる。

ポイント

  • 末尾の の個数 の個数。
  • の倍数は を2個持つので二重に数える。
  • 。

よくある間違い

  • 「 の倍数の個数」を数えて 個と答える( を作るのは因数 の組。 のような数も 個ずつ寄与する)。
  • が を 個持つことを忘れ、 個と答える。
  • 念のためにと因数 の個数( 個)まで正確に数えて時間を使う(「偶数だけでも 個 」の一言で の方が多いことは十分)。

問2フェルマーの小定理(二項定理と帰納法)

実戦編整数の性質合同二項定理数学的帰納法単元横断

問題

を素数とする。すべての整数 について が成り立つことを、二項定理と数学的帰納法で示せ。

ヒントを見る

のとき は の倍数。すると を二項展開すると、中間項が消えて に合同。 について帰納法。

解答・解説

方針

のとき が の倍数であることを使うと、。これを使って に関する数学的帰納法で示す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「すべての整数 で成り立つ」を示すなら、 に関する帰納法が自然だ。 から へ渡る橋がほしい。

橋になるのが二項定理である。 を展開すると、 が素数なら の はすべて の倍数。つまり中間項が で全部消える。

残るのは 。この「 つずつ進める」関係をもとに、 から積み上げればよい。

定理 が素数で のとき は の倍数(分子の が分母で約されない)

① 二項定理で 進める。 で だから すなわち 。

② 帰納法。 : で成立。 で を仮定すると、①より よって でも成立。

重要数学的帰納法: で成立し、 で成立すれば でも成立 → すべての で成立

③ 結論。 すべての整数 で 。

まとめ から 、 の帰納法でフェルマーの小定理 。整数(合同)・二項定理・帰納法の融合。

発展。 逆は成り立たない。 だが、 は合成数である(擬素数とよばれる。底を に変えると見破れる)。「フェルマーの小定理を満たすか」は素数判定の一次試験にすぎず、これをすり抜ける合成数の存在が、現代の素数判定法を精密にした。

答

で なので 。 についての帰納法で 。

別解

別解:「掛けても並べ替わるだけ」の証明(得意な人向けの高い視点)。 が の倍数なら両辺とも で明らか。そこで が で割れないとする。

を で割った余りを見る。もし なら で、 が と互いに素だから 。つまり余りはすべて異なり、 の並べ替えになっている。

全部掛け合わせると

は と互いに素だから両辺から払ってよく、。両辺に を掛ければ 。帰納法で 段ずつ登る本解に対し、こちらは「 倍という操作が余りの集合を並べ替えるだけ」という全体の対称性を使う。ひとつの定理を別々の方法で示せる例だ。

ポイント

  • で は の倍数(素数だから)。
  • 。
  • についての帰納法で 。

よくある間違い

  • の理由を「分子に があるから」で済ませる( が素数で、分母 の因数がすべて 未満だから約分で消えない、まで言う)。
  • 帰納法の出発点( で )を書き忘れる。
  • と を混同する(後者は が の倍数のとき成り立たない。 で割る前に互いに素の確認が要る)。

問33の2024乗を100で割った余り(位数)

実戦編整数の性質合同位数周期単元横断

問題

を で割った余りを求めよ。

ヒントを見る

の を法とするべきは周期的。 と計算して に戻る指数(位数)を探す。 をその周期で割った余りが要点。

解答・解説

方針

の周期(位数)を求める。 を順に計算して に戻る を見つけ、 をその周期で割った余りに帰着させる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を直接計算するのは論外だ。だが求めるのは「 で割った余り」だけ。余りで考えると、 のべきはいつか必ず に戻り、そこから同じ列を繰り返す。

そこで となる最小の (位数)を探す。周期が分かれば、指数 をその周期で割った余りに置き換えられる。大きな指数を「周期で折りたたむ」。これが位数の考え方だ。

重要 となる最小の (位数)が周期。指数はこの周期で割った余りに置き換えてよい

① 位数を求める。 で よって位数は ()。

② 指数を周期で割る。 だから ③ 余り。 。よって を で割った余りは 。

まとめ のべきは で周期 ()。 だから 。整数(合同)・位数・周期の融合。

発展。 で と互いに素な数はちょうど 個あり、 の位数 はこの の約数になっている。「位数は全体の個数の約数」という関係は一般に成り立ち、位数の候補を絞る道具になる(オイラーの定理につながる)。

答

(位数 )。 より 。

別解

別解: に分けて別々に攻める(得意な人向けの高い視点)。 の代わりに、互いに素な と で別々に余りを求め、最後に合体させる。

では だから、。 では のべきを追うと (周期 )。 より 。「 で割ると 余る」 の数は の つ。このうち「 で割ると 余る」のは だけ。よって 。

法を素因数のかたまりに分けると、周期探しが小さな法()で済む。大きな法を分解して1つずつ調べる方法は、ほかの合同式の問題でも広く使える。

ポイント

  • は周期的、位数(最小の )を探す。
  • 。
  • より 。

よくある間違い

  • (下 桁)の周期 を見つけて、それを にそのまま流用する(下 桁の周期は 。法が変われば周期も変わる)。
  • 周期を途中まで見て「見つけたつもり」になり、 を最後まで計算で確かめない。
  • の余り計算を誤り、 でない別のべきを評価する(指数の割り算こそ検算する)。

問4(2+√3)ⁿ の整数部分は奇数(共役と漸化式)

実戦編整数の性質数列漸化式共役単元横断

問題

を自然数とする。 について、(1) は整数で を満たすことを示せ。

(2) の整数部分は奇数であることを示せ。

ヒントを見る

(1) と は和 、積 。だから両方 の解で 。(2) に注目。 の偶奇は?

解答・解説

方針

(1) が満たす2次方程式から3項間漸化式を導き、初期値が整数であることを示す。(2) 共役 が と の間にあることと、 の偶奇を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 単独は無理数で扱いにくい。だが共役 を足すと、 の部分が打ち消し合って整数になる。 はこの整数のことだ。

は和 ・積 の 数だから、 の解。ここから 項間漸化式が出て、 が整数であることも芋づる式に従う。

(2) の決め手は だ。 乗しても と の間の小さな数のままだ。だから の整数部分は で、あとは の偶奇を漸化式で追えばよい。

① 整数と漸化式。 は和 、積 だから、ともに を満たす。よって 。両者を足すと は整数で、漸化式が整数係数だから、すべての は整数。

② は偶数。 はともに偶数。 だから、偶奇は つ前と同じ。ゆえに全ての は偶数。

③ 整数部分は奇数。 より 。 は整数で、そこから と の間の数を引くので、 の整数部分は 。 が偶数だから は奇数。よって整数部分は奇数。

重要( 整数、)の整数部分は

まとめ共役を足すと整数 、漸化式 で偶数と分かる。 より の整数部分は (奇数)。整数・数列・共役の融合。

発展。 同じ仕掛けは でも動く( で全項偶数)。ただし は負なので の符号が交互に変わり、 の整数部分は が偶数なら奇数 、 が奇数なら偶数 と、偶奇が入れ替わる。共役の符号まで観察が要る分、一段むずかしい。

答

は の解なので 、 で整数。 かつ は偶数なので、 の整数部分 は奇数。

別解

別解:二項定理で開いて直接見る(苦手な人向け)。 と を二項定理で展開して足すと、何が起きるかを直接見てみる。

の奇数乗の項は、 と で符号が逆になり、足すと消える。偶数乗の項は が整数で、同じものが 回現れて 倍で残る。つまり

これは「(整数)」の形そのものだ。 が整数であることも、偶数であることも、この式から一目で分かる(本解は偶奇を漸化式の帰納で追うが、こちらは形から即座に出る)。漸化式の計算の速さと、展開の見通しのよさ。両方を持っておくと確かめ合いができる。

ポイント

  • 共役を足すと無理数部分が消えて整数 。
  • は の解、。
  • と が偶数から、整数部分 は奇数。

よくある間違い

  • 整数部分を と答える(正しくは 。 で、小さな正の数を引いた分だけ を下回る)。
  • の確認を飛ばす(これがないと が と の間にとどまる保証がない)。
  • が偶数であることを初期値だけで済ませ、漸化式 (偶数の 倍から偶数を引くと偶数)による帰納を書かない。

問5ピタゴラス数の積は60の倍数(合同で場合分け)

実戦編整数の性質合同ピタゴラス数倍数単元横断

問題

を満たす自然数 について、積 は の倍数であることを示せ。

ヒントを見る

。 で割り切れることを別々に。平方数 は だけ、 は 、 は 。 でどれかが割り切れる。

解答・解説

方針

なので、 が で割り切れることを個別に示す。平方数を で見ると取りうる値が限られ、 のどれかが各素因数で割り切れることが従う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と分解する。 は互いに素だから、 が でも でも でも割り切れることを別々に示せば十分だ。

決め手は「平方数を小さい数で割った余りはごく限られる」ことだ。 では 、 でも 、 では しかない。この制約を に当てはめる。「どれも割り切れない」と仮定した瞬間に余りが合わなくなり、 のどれかが各素因数を担うと分かる。

重要平方数 は 、 は 、 は のいずれか

① の倍数。 もし がともに で割れないなら 、。だが平方数は で になれない。矛盾。よって の少なくとも一方は の倍数、 は の倍数。

② の倍数。 もし がともに奇数なら 、。だが平方数は で になれない。よって の少なくとも一方は偶数。偶数の平方は の倍数(かつ奇数²は の考察で、 の一方は の倍数になる)。ていねいには、 の一方が偶数で、その偶数 について、 の偶奇から (または )が の倍数と分かる。いずれにせよ は の倍数。

③ の倍数。 もし がすべて で割れないなら、平方は で か 。 を の組で調べると、。 に一致するのは無い( はいずれも不適)。矛盾。よって のどれかは の倍数、 は の倍数。

まとめ 。平方数の の値が限られることを使うと、 のどれかが各素因数で割り切れ、 は すべての倍数。よって の倍数。整数(合同)と場合分けの融合。

発展。 の担当は別々でもよいし、 つの数が兼任してもよい( では が と を兼任する)。また はこれ以上大きくできない。 自身の積が だからで、 は「すべてのピタゴラス数の積の最大公約数」である。

答

。 が の倍数・ の倍数・ の倍数であることを、平方数の の値で場合分けして示す。

別解

別解:一般形 で見る(得意な人向けの高い視点)。 原始的な( 数に共通因数がない)ピタゴラス数は、互いに素で偶奇の異なる を使って 、、 と書けることが知られている。一般の解はその整数倍だから、原始解で を示せば十分だ。

  • の倍数: は偶奇が異なるので は偶数。よって は の倍数。
  • の倍数: とも で割れないなら で、。
  • の倍数: とも で割れないなら 。同じ値なら 、違う値なら 。

どの素因数も の誰かが必ず担う。本解のもどかしい の議論も、一般形の上では「 が偶数」の一言に整理される。

ポイント

  • 、各素因数で割り切れることを別々に示す。
  • 平方数の の取りうる値が限られる。
  • に当てはめ、どれかが割り切れると背理法で示す。

よくある間違い

  • 平方数の余りの表( で など)を確認せずに使う( を割ってみるだけの数行を惜しまない)。
  • の段で「 の一方が偶数」まで示して満足する(積に因数 が 個では足りない。その偶数が実は の倍数であることまで詰める)。
  • の段で を候補から外す( や と違い、 は が担うことがある。例: では )。

問6オイラー関数の値(互いに素な数の個数)

実戦編整数の性質オイラー関数包除原理数え上げ単元横断

問題

以下の自然数のうち、 と互いに素なものの個数 を求めよ。

ヒントを見る

。互いに素 のどれでも割り切れない。包除原理で数えるか、公式 を使う。

解答・解説

方針

の素因数は 。 のいずれでも割り切れない数を包除原理で数える。これは に等しい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と互いに素とは、 の素因数 のどれでも割り切れないことだ。

だから数えるべきは「 でも でも でも割り切れない数」。裏返して、 または または で割り切れる数を包除原理で数え、全体 から引けばよい。

この計算を整理すると、素因数 ごとに「割り切れない割合 」を掛ける形にまとまる。 という積の公式だ。

定理オイラー関数 ( は の相異なる素因数)

① 素因数分解。 。相異なる素因数は 。

② 公式にあてはめる。 ③ 計算する。 順に 、、。よって (包除でも:。)

まとめ互いに素 素因数 で割り切れない。包除原理を整理した公式 で 。整数(オイラー関数)と数え上げの融合。

発展。 には、 が互いに素なら という乗法性があり、 とも計算できる。さらに約数全体で足すと という等式が成り立つ(分数 を約分して分母で仕分けると分かる)。

答

。包除原理(または積の公式)で 。

別解

別解: ごとの繰り返しで数える(苦手な人向け)。 と互いに素かどうかは、 で割り切れるかだけで決まる。そしてこの割り切れ方は ごとに同じパターンを繰り返す。

まず で、 のどれでも割り切れない数を書き出す。

だから、このパターンが 回繰り返される。。包除原理の式を経由しなくても、周期性と手の数え上げだけで同じ に届く。素因数が小さいときは、この「 周期だけ数える」方法が確実で速い。

ポイント

  • 互いに素 素因数 のどれでも割り切れない。
  • 包除原理を整理すると 。
  • 。

よくある間違い

  • 包除で 重の重なり( の倍数)を足し戻し忘れる。
  • 積の公式の に素因数のべき()を入れて などとする( は素因数そのもの )。
  • 「互いに素」を「どちらかが素数」と混同する( は素数でないが と互いに素。共通の素因数がない、が定義)。

問7連続する和が n の倍数(鳩の巣原理)

実戦編整数の性質鳩の巣原理合同数え上げ単元横断

問題

個の整数 が与えられたとき、連続して並ぶいくつかの和 ()で の倍数になるものが必ず存在することを示せ。

ヒントを見る

部分和 ()を 個作る。 で割った余りは 種類。 個を 個の箱に入れると?

解答・解説

方針

個の部分和 を で割った余りで分類する。余りは 種類しかないので、鳩の巣原理で同じ余りの2つが存在し、その差が求める連続和。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 連続和 は、部分和の差 で書ける(、)。

だから「連続和が の倍数」は「 となる つがある」と同じことだ。部分和は の 個。 で割った余りは 種類しかない。 個を 個の箱に入れるのだから、鳩の巣原理で同じ箱に入る つが必ずある。

定理鳩の巣原理: 個のものを 個の箱に入れると、 つ以上入る箱が必ずある

① 部分和を作る。 ()とすると、これは 個。連続和は差で ② 余りで分類。 を で割った余りは の 種類。 個の部分和を 個の余りに分けると、鳩の巣原理で同じ余りをもつ つ ()が存在する。

③ 差が の倍数。 だから は の倍数。すなわち が の倍数。これで存在が示せた。

まとめ連続和を部分和の差とみて、 個の部分和を余り( 種類)で分類。鳩の巣原理で同じ余りの つがあり、その差の連続和が の倍数。整数(合同)と鳩の巣原理の融合。

発展。 「連続」を外して「自由に選ぶ」と、話は急に深くなる。任意の 個の整数からは、和が の倍数になる 個を必ず選べる(エルデシュ・ギンツブルク・ジヴの定理)。しかも 個では足りない( を 個と を 個の例)。鳩の巣原理よりずっと難しい内容だ。

答

部分和 の 個を で割った余りで分類。余りは 種類だから鳩の巣原理で となる組があり、 が の倍数。

別解

別解:小さな例で鳩の巣を「見る」(苦手な人向け)。 、数を としてみる。部分和は

で割った余りは順に 。 個の部分和に余りは 種類しかないから、必ずどこかがかぶる。ここでは と (どちらも余り )。

差をとると 。たしかに の倍数の連続和が見つかった。 を仲間に入れておくのがポイントだ。 とかぶった場合は「先頭からの連続和」が答えになる。証明の一行一行がこの小さな実験の一般化になっている。

ポイント

  • 連続和は部分和の差 。
  • 部分和は の 個、余りは 種類。
  • 鳩の巣原理で 、差が の倍数。

よくある間違い

  • を仲間に入れ忘れ、部分和が 個になって鳩の巣が発動しない( 個そろえるのが命)。
  • 「連続して並ぶ」を「好きに選んでよい」と読み違える(選んでよいとすると、難しさがまるで違う別問題になる)。
  • 余りの種類を 種と数える( から の 種類。個数 との差の が鳩の巣を生む)。

問8素数を法とする二項展開(フロベニウスの夢)

実戦編整数の性質二項定理合同素数単元横断

問題

を素数とする。(1) のとき二項係数 は の倍数であることを示せ。

(2) すべての整数 について を示せ。

ヒントを見る

(1) を整数の等式 に。 素数、 なら と は互いに素。(2) 二項展開の中間項が(1)で消える。

解答・解説

方針

(1) 等式 を使い、 が素数で なら から が の倍数。(2) それを二項定理に入れて中間項を消す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) (1) の決め手は整数の等式 だ。右辺は見るからに の倍数だ。

左辺を見る。 は素数で だから、 は と互いに素。すると は の側を割れないので、 の側を割るしかない。

(2) はこの事実の収穫だ。 を二項定理で開くと、中間項()が で全部消え、両端の だけが残る。「和の 乗がバラバラに乗る」。素数だけで起こる現象である。

重要整数の等式

① が の倍数。 上の等式で右辺は の倍数だから、左辺 も の倍数。 は素数で より 、すなわち と は互いに素。よって は を割る(素数が積を割るとき、互いに素でない方を割る)。ゆえに で 。

② 二項展開の中間項が消える。 二項定理から 中間の和は各係数 が の倍数だから で 。よって

まとめ と から 。二項定理の中間項が消えて 。これはフェルマーの小定理の基礎でもある。整数・二項定理・素数の融合。

発展。 (2) を繰り返すと 。とくに を 個足した式に使えば 、フェルマーの小定理が一行で出る。この単元の帰納法による証明と根は同じ( ずつ足す)ながら、見方の違う方法である。

答

(1) の右辺が の倍数で、 より は と互いに素だから が の倍数。(2) 二項定理の中間項が で消えて 。

別解

別解:円卓の回転で示す(得意な人向けの高い視点)。 を「円周上に等間隔に並んだ 個の席から 席を選ぶ場合の数」と読み替える。

選び方全体を、円の回転( 席ずつずらす)で仲間分けする。 つの選び方は 回の回転で元に戻るから、各グループの大きさは の約数。 は素数なので、大きさは か しかない。

大きさ のグループとは「どの回転でも変わらない選び方」。それは全席選ぶ()か何も選ばない()だけで、 ではあり得ない。よってすべてのグループの大きさはちょうど 。総数 は大きさ のグループの寄せ集めだから、 の倍数である。

数式の割り算(本解)を使わず、「素数個の回転は途中で戻れない」という対称性だけで示せた。この「回転で仲間分け」は円順列など数え上げの証明で繰り返し現れる有効な見方だ。

ポイント

  • と から 。
  • 二項定理の中間項が で消える。
  • 。

よくある間違い

  • (1) を「分子 に があるから」で済ませる(分母との約分で消えない理由=分母の因数はすべて 未満、が本体)。
  • 素数の仮定を落とし、一般の でも が の倍数だと思い込む( は の倍数でない)。
  • (2) で両端の項 まで消してしまう(消えるのは中間項だけ。残る が結論そのもの)。