数学A / 整数の性質

整数の性質 ★ 基礎の問題 全12問

教科書レベル。定義・公式の確認と基本操作

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 倍数の判定法
  2. 素因数分解
  3. 約数の個数と総和
  4. 最大公約数・最小公倍数
  5. 互いに素と既約分数
  6. 余りによる整数の分類
  7. 連続する整数の積
  8. ユークリッドの互除法
  9. 1次不定方程式の整数解
  10. 分数が整数になる条件
  11. n進法と10進法の変換
  12. 有限小数と循環小数

問1倍数の判定法

★ 基礎倍数の判定

問題

次の問いに答えよ。

(1) が の倍数か、 の倍数かを判定せよ。

(2) 桁の整数 が の倍数となるような、十の位の数字 (〜)をすべて求めよ。

(3) 桁の整数 が の倍数となるような、十の位の数字 を求めよ。

ヒントを見る

・ の倍数は『各位の数字の和』が ・ の倍数かで決まる。 の倍数は『下2桁』だけ見ればよい。まず、その和や下2桁を書き出そう。

解答・解説

方針

倍数かどうかは割り算しなくても『判定法』で見分けられる。 と は各位の数字の和を、 は下2桁だけを見る。これを使い分ければよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 倍数の判定法は、どこを見るかが数によって違う。ここを取り違えないことがすべてだ。

  • の倍数・ の倍数 → 各位の数字の和を見る
  • の倍数 → 下 桁だけを見る
  • ・ の倍数 → 一の位だけを見る

(1) の各位の和は 。 は の倍数だから、 も の倍数。 の倍数は自動的に の倍数でもある。

(2) の倍数は下 桁で決まる。上の は関係ない。 が の倍数になる を探せばよい。

(3) が の倍数。 は 〜 の 桁だから、和は 〜 の範囲に収まり、 しかありえない。

公式倍数判定:3・9 の倍数 → 各位の数字の和が 3・9 の倍数

(1) の倍数・ の倍数は、各位の数字の和で見分けられる。 の各位の和は

は の倍数(だから の倍数でもある)。よって は の倍数でも の倍数でもある。(なぜ和で判定できるのか。 で、、。 と は の倍数だから、 を で割った余りは『各位の和 を で割った余り』と同じになる。)

(2) の倍数かどうかは、下2桁だけで決まる( が の倍数なので、百の位から上は で割り切れる)。 の下2桁は 。これが の倍数になる を探す。 のうち で割り切れるのは 。よって

(3) の各位の和は 。 は 〜 なので、 は 〜。この中の の倍数は だけなので 、つまり

発展。 ここで使った「 と分解する」という技は、合同式という記号を使うとずっと簡潔になる。

(「 を で割った余りは 」と読む。) 合同式は掛け算・足し算がそのままできるので

したがって

行で証明が終わる。

の判定なら を使えば、百の位から上が丸ごと消える。「余りだけを追いかける」という発想で、桁の話がすぐに片づく。

合同式はこの単元(整数の性質)全体を貫く道具である。倍数判定、余りの分類、不定方程式、 進法は、すべて「余り」についての話だ。 つの記号がバラバラに見えた話を 本につないでくれる。

答

(1) の倍数かつ の倍数 (2) (3)

別解

なぜ「各位の和」で の倍数が分かるのか。なぜ は「下 桁」なのか。 理由を知れば、判定法は暗記事項でなくなる。忘れてもその場で作り直せる。

の判定法のからくり。

を位ごとにばらす。

ここで 、 と書きかえる。

前半は問答無用で の倍数( も も の倍数だから)。だから が の倍数かどうかは、後半の「各位の和」だけで決まる。

はすべて の倍数なので、この理屈は何桁でも通用する。「 を で割ると 余る」という つの事実が判定法の根拠だ。

の判定法のからくり。

こちらは に注目する。 は の倍数だ。

百の位から上は、 が掛かっているので全部 の倍数。だから の倍数かどうかは下 桁だけで決まる。上の桁が何であろうと関係ない。

これで(2)が解ける。 が の倍数になるのは

同じ理屈で、判定法が次々に作れる。

  • の倍数: が の倍数 → 下 桁を見る
  • ・ の倍数: が でも でも割れる → 下 桁を見る
  • の倍数: を で割ると 余る( と同じ理屈)→ 各位の和

の倍数も見てみる。 を で割ると 余ると考えると、一の位から交互に して足した和( のような)で判定できる。 なら で の倍数ではない、と分かる(実際 )。

判定法は「 のべきを、その数で割った余り」から生まれる。 覚えるべきは 個の判定法ではなく、この つの仕組みである。

ポイント

  • ・ の倍数 → 各位の数字の和で判定
  • の倍数 → 下2桁で判定( が の倍数だから)
  • の倍数なら必ず の倍数(逆は成り立たない)

よくある間違い

  • の倍数を各位の和で判定しようとする(下2桁で見る)
  • (3)で ()まで考えてしまう( は1桁)
  • (2)で (つまり )を「04 は2桁でない」として除いてしまう( は4の倍数なので正しい解)

問2素因数分解

★ 基礎素因数分解

問題

次の整数を素因数分解せよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

小さい素数()で、割り切れる限り割っていく。 で割れなくなったら次の素数へ。同じ素数で何回割れたかが指数になる。

解答・解説

方針

素因数分解は『小さい素数から順に、割れるだけ割る』。 で割れなくなったら 、次は 、…と進める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 素因数分解は、小さい素数から順に、割り切れなくなるまで割る。手順は決まっている。

で割れるだけ割ってから へ、 で割れるだけ割ってから へと進む。飛ばさず、戻らずに割っていく。注意する点は つある。

つ目: 素数でない数で割らない。 や で割ると、分解が途中で止まったり、素因数を見落としたりする。

つ目: 最後に残った数が素数かどうか、必ず確かめる。 を「もう割れない」と思って素数扱いすると、 を見逃す。 である。

どこまで試せばよいか。割る素数が を超えたら、残りは素数だと分かる。

(1) 小さい素数から順に割る。

はもう で割れない。次は :。 は素数。まとめると

(2) 同じように から。

は で割れない。 で割ると 、そして 。よって

(検算:。組み立て直して元に戻るか確かめると安心だ。)

発展。 「どんな分解の道を通っても同じ答えになる」という当たり前に見える事実には、素因数分解の一意性(算術の基本定理)という名前がついている。

当たり前だと思うだろうか。 しかし、使う数の範囲を少し変えると、この性質はあっさり壊れる。たとえば「偶数だけの集まり」を考えると、 となり、 はどれもその中ではそれ以上分解できない数になる(この集まりに や はない)。分解が 通りできてしまうのだ。

整数で一意性が成り立つのは、 つの定理として証明されるべき事実であって、当たり前ではない。約数の個数の公式も、最大公約数の求め方も、この一意性をもとにしている。

現代の暗号技術はこの定理を逆手にとっている。 つの大きな素数を掛けるのはすぐにできるが、その積を素因数分解するのはきわめて難しい。インターネットの通信を守る暗号(RSA暗号)は、この非対称性を利用している。

桁の合成数を素因数分解するのは、現在の計算機では数万年かかる。素因数分解は簡単そうに見えて、実はきわめて難しい問題である。 を割る今回の計算も、この問題の小さな例になっている。

答

(1) (2)

別解

知っている掛け算から分解していくやり方も紹介しよう。慣れると、小さい素数で順に割るより速い。そして「どこまで試し割りすればよいか」の理屈も押さえる。

別ルート: 覚えている積に分けて、そこから枝を伸ばす(樹形図)。

(1) 。 「」はすぐ思いつく。あとはそれぞれを分解する。

の個数を数え間違えないこと。 から 個、 から 個で、合わせて 個 → 。

どんな道を通っても、たどり着く答えは同じ。 でも同じである。これは偶然ではなく、素因数分解の一意性という定理が保証している(下の発展を参照)。

(2) 。 こちらは目星がつきにくいので、素直に で割っていく。

は奇数なので では止まり。次は 。各位の和が で の倍数だから割れる。

ここが山場。 を「割れない」と早合点しない。 である。

どこまで試し割りすればよいか。 を分解するとき、 とどこまで試せばよいのだろう。答えは まで。 以下の素数()で全部割り切れなければ、残った数は素数だと確定する。

なぜ で足りるのか。 もし が合成数なら (、どちらも 以上)と書ける。ここで と の両方が より大きいことはありえない(もしそうなら となって矛盾)。

つまり、合成数なら必ず 以下の約数を持つ。 まで探して見つからなければ、それは素数だ。

この事実は実用的に大きい。 を調べるのに 回割る必要はなく、 までの素数 個を試すだけでよい。探索範囲が大きく縮む。素数判定のアルゴリズムはまずこの一手から始まる。

検算の習慣。 分解できたら、必ず掛け戻す。

ポイント

  • 小さい素数から順に、割れなくなるまで割る
  • 同じ素数で割った回数がその素数の指数
  • 最後は必ず素数だけの積になる(検算で元に戻るか確認)

よくある間違い

  • や など、素数でない数で割ってしまう
  • を素数と勘違いして割り残す
  • 分解が終わったのに掛け戻しの検算をしない(指数の数え間違いはここで見つかる)

問3約数の個数と総和

★ 基礎約数の個数約数の総和

問題

について、次の問いに答えよ。

(1) 正の約数は何個あるか。

(2) 正の約数の総和を求めよ。

ヒントを見る

まず素因数分解する。約数は『各素因数を 個〜最大個のうち何個使うか』の組み合わせだ。その通り数のかけ算が個数になる。総和は各素因数の( 個〜最大個の)和どうしをかける。

解答・解説

方針

まず素因数分解する。約数の個数も総和も素因数分解の『指数』から公式ですぐに出せる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 約数の問題は、まず素因数分解。話はそこからだ。

の約数とは を何個・ を何個・ を何個使うか、を決めて掛け合わせたもの。

  • の使い方: 個 → 通り
  • の使い方: 個 → 通り
  • の使い方: 個 → 通り

独立に選べるので、掛けて

個使う場合を忘れない。だから指数に する。総和も同じ発想で「各素数の使い方の合計」を掛け合わせる。

公式約数の個数: なら 個

まず素因数分解する。。

(1) 約数は の形になる。 は の 通り、 は の 通り、 は の 通り。どれも独立に選べるので

『 個(その素数を使わない)』も1通りに数えるのがポイントだ。

(2) 約数の総和は各素因数について『 乗から最大乗までの和』を作り、それらをかけ合わせると出る。

(なぜかけ算でよいのか。この積を展開すると、 の形の項が『約数の選び方の分だけ』ちょうど1回ずつ現れる。つまり全約数の和そのものになる。)

発展。 約数の総和を と書く。 である。

この関数には、 年以上前から人を惹きつけてきた問題がある。自分自身を除いた約数の和が、ちょうど自分自身になる数を、完全数という。

( で書けば 、。)次の完全数は 、その次は 。ユークリッドは「 で が素数なら完全数」と証明した( で 、 で )。そして、 年経った今も解けていない問題がある。

  • 奇数の完全数は存在するか?( つも見つかっていないが、存在しない証明もない)
  • 完全数は無限にあるか?(現在 個程度しか知られていない)

小学生でも意味が分かる問いが、 年以上たった今も解かれていない。 整数論とはそういう分野だ。 の約数を数える今回の作業も、この未解決問題と同じ「約数の和」を扱っている。簡単に見える問いほど、解くのが難しいことがある。

答

(1) 個 (2)

別解

部品ごとに計算して、最後に掛ける。この見方をすると、総和の公式が自然に理解できる。 を、 つの独立な部品に切り分ける。

この つは互いに素(共通の素因数がない)。それぞれの約数の総和を、単独で計算する。

  • の約数: → 総和
  • の約数: → 総和
  • の約数: → 総和

掛ける。

これが答え。 個の約数を全部書き出して足す必要はない。

なぜ掛けてよいのか。 の約数は「 の約数」「 の約数」「 の約数」の形にただ 通りに書ける(素因数分解の一意性)。たとえば約数 は、 の約数 、 の約数 、 の約数 の組から作られ、他の組み合わせでは作れない。

だから、 つの和を掛け合わせて展開すると、 個の項がちょうど 個の約数と 対 に対応する。

個の項 個の約数。「掛けて展開する」ことが「全部の約数を作って足す」ことと同じだ。

この性質を数学では乗法性という。 「互いに素な部分に分けて、それぞれで計算し、最後に掛ける」のは、整数の問題でよく使う方法である。約数の個数も同じ()。

検算の手。 約数をペアで数えてみよう。掛けて になる組は で、ちょうど 組ある。 組に 個ずつだから 個。公式の答えと一致した。

約数の総和 は元の数 の 倍以上もある。約数がたくさんある数( は 個も持つ)では、こういうことが起こる。約数の「豊かさ」を測る量として、整数論では σ(シグマ)という記号で書かれ、完全数や友愛数といった話題で使われる。

ポイント

  • 素因数分解 → 約数の個数は
  • 約数の総和は
  • 個数では『 個(使わない)』も1通りに数える

よくある間違い

  • 個数を とする( を忘れる)
  • 総和で各素因数の 乗()を足し忘れる
  • 総和の式をたし算でつなぐ( は誤り。かけ算でつなぐ)

問4最大公約数・最小公倍数

★ 基礎最大公約数最小公倍数

問題

と について、次の問いに答えよ。

(1) 最大公約数と最小公倍数を求めよ。

(2) (最大公約数)(最小公倍数)が、 に等しいことを確かめよ。

ヒントを見る

両方を素因数分解する。各素因数について、指数の小さいほうを取れば最大公約数、大きいほうを取れば最小公倍数。

解答・解説

方針

両方を素因数分解すると、共通部分(最大公約数)も全体(最小公倍数)も分かる。指数の『小さいほう』を集めると最大公約数、『大きいほう』を集めると最小公倍数だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 最大公約数(gcd)と最小公倍数(lcm)は、素因数分解して指数を見比べるとすぐに出る。

  • 最大公約数: 両方が持っている素因数を、少ないほうの個数だけとる
  • 最小公倍数: どちらかが持っている素因数を、多いほうの個数だけとる

は 個と 個 → gcd では 、lcm では 。 は 個ずつ → どちらも 。 は だけ → gcd には入らない、lcm には 。

「共通のものだけ・少ないほう」が gcd、「全部・多いほう」が lcm。 迷ったら指数を並べて書く。

公式素因数分解して、最大公約数は指数の小さいほう、最小公倍数は大きいほうを集める

、 と素因数分解する。

(1) 各素因数の指数を見比べる。

最大公約数(共通して持てる分=指数の小さいほう): は 個、 は 個、 は片方にしかないので 個。よって

最小公倍数(どちらも割り切る最小の数=指数の大きいほう): は 個、 は 個、 は 個。よって

(2)

まとめ:確かに等しい。これは偶然ではない。どの素因数も『小さいほうの指数 大きいほうの指数 元の2数の指数の和』になるから、 はいつでも成り立つ。

発展。 最小公倍数は身のまわりで意外なほど活躍する。

歯車。 歯数 と の つの歯車がかみ合って回るとき、最初と同じ歯どうしが再び出会うのは、 個の歯が噛み合ったとき。小さい歯車は 回転、大きいほうは 回転している。

うるう年・カレンダー。 「同じ曜日・同じ日付」が戻ってくる周期も、 と (や )の絡んだ公倍数の問題だ。

セミ。 北アメリカには 年ゼミと 年ゼミがいる。どちらも素数年なのは偶然だろうか。もし周期が 年なら、 年周期の天敵と頻繁に鉢合わせしてしまう。素数なら、天敵との出会いの周期(最小公倍数)が最大になる。 と が同時に地上に出るのは、 年に 度だけだ。

進化が最小公倍数を計算していたという説である(異説もある)。

歯車の噛み合い、暦の巡り、生物の生存戦略など、「いつ再び出会うか」という問いがあるところには、必ず最小公倍数が現れる。最小公倍数を使えば、こうした周期の問題を式で扱える。

答

(1) 最大公約数 、最小公倍数 (2)

別解

(2)で確かめた という関係は、偶然ではない。 なぜ必ず成り立つのかを見抜けば、この式は「暗記する公式」から「当たり前の事実」に変わる。

指数を表にして並べる。

素因数 の指数 の指数 gcd(小さいほう) lcm(大きいほう)

ここで、いちばん右の 列に注目してほしい。

の行: gcd の指数 と lcm の指数 。足すと 。 一方、元の つの数の指数は と 。足すと 。

同じだ。

の行: gcd が 、lcm が → 和は 。元は と → 和は 。やはり同じ。

当たり前である。 つの数 、 について、小さいほう(min)と大きいほう(max)を足せば、必ず元の つの和になるからだ。

( なら 、 で、和は当然 になる。)

だから、すべての素因数について指数の和が保たれる。 指数の和が同じということは、掛け算の結果が同じということ。

と を足せば元に戻る、という事実が、この公式の根拠だった。実用上、この関係はとても役に立つ。

lcm はgcd さえ分かれば割り算 回で出る。 そして gcd は素因数分解しなくても互除法で高速に求められる(後で学ぶ)。

大きな数ほど、この方法が役に立つ。 たとえば を素因数分解で求めるのは骨が折れるが、互除法で と分かれば

素因数分解を一切せずに、最小公倍数が出た。 「gcd を先に、lcm は割り算で」求めるのが実戦の手順である。

なお、 つ以上の数ではこの公式は成り立たない( が普通)。 数限定の関係だと覚えておきたい。

ポイント

  • 素因数の指数の小さいほうを集める → 最大公約数
  • 素因数の指数の大きいほうを集める → 最小公倍数
  • が常に成り立つ

よくある間違い

  • 最大公約数と最小公倍数の『小さい・大きい』を取り違える
  • 片方にしかない素因数を最大公約数に入れてしまう
  • つ以上の数にも を使ってしまう(2数だけの関係)

問5互いに素と既約分数

★ 基礎互いに素既約分数

問題

分数 を、これ以上約分できない分数(既約分数)にせよ。

ヒントを見る

分母と分子の最大公約数で、いっぺんに割ると速い。互除法か素因数分解で最大公約数を出そう。少しずつ約分してもよいが、最後に『もう共通の約数がないか』を確認する。

解答・解説

方針

約分は『分母と分子の最大公約数で割る』のが一番速い。最大公約数を1回で出して割れば、すぐに既約分数になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「これ以上約分できない」とは、分子と分母の最大公約数が ( 互いに素)ということ。

だから最大公約数でまとめて割るのが最短ルートだ。

共通するのは ( 個ずつ)、( 個ずつ)、( 個ずつ)。

で割って 、 で割って 、 で割って と少しずつ進めてもよいが、途中で「もう終わり」と勘違いしやすい。最大公約数で 回で割り切るほうが安全である。分母と分子の最大公約数で割ると、一度で既約分数になる。

、。共通の素因数は が 個、 が 個、 が 個だから、最大公約数は

分母・分子を で割って

と には 以外の共通の約数がない(互いに素)ので、これ以上は約分できない。これが既約分数だ。

発展。 「互いに素」という関係は、整数論のいたるところで使われる。

から までのうち、 と互いに素な数の個数を (オイラー関数)と書く。たとえば ( の 個)。この関数は現代の暗号(RSA暗号)で使われている。インターネットの買い物で使われる暗号にも、「互いに素」という考え方が使われている。

もう つ、関連する事実を紹介する。 つの自然数をランダムに選んだとき、それらが互いに素である確率はいくつだろうか。答えは

が出てくる。 円周率が整数の話に現れる理由は、大学の解析学と整数論の両方にまたがる内容だ。

約分という小学校以来の作業から、 が出てきた。 を に直す約分も、この確率の話とつながっている。

答

別解

素因数分解をせずに、互除法で最大公約数を求めるルートを見ておこう。大きな数になったとき、この差は大きくなる。互除法(割り算を繰り返す)。

余りが になった。そのときの「割る数」 が最大公約数である。

素因数分解をまったくしていない。 割り算 回で終わった。

なぜこれで gcd が出るのか。 使うのは次の事実だ。

だから、 と を割り切る数は も割り切る。逆も同じ。つまり「元の 数の公約数」と「割る数と余りの公約数」は、まったく同じ集合である。

だから数をどんどん小さくしながら gcd を保てる。大きい数の問題を、小さい数の問題にすり替えていく。これが互除法の仕組みだ。

どちらのルートを選ぶべきか。

  • 小さい数( 以下くらい)→ 素因数分解が直感的で速い
  • 大きい数( 桁以上、素因数が見えにくい)→ 互除法のほうがずっと速い

たとえば を約分せよ、と言われたら。素因数分解は苦しい( に気づけるだろうか)。しかし互除法なら

回の割り算で 。約分すると だ。

素因数分解は「難しい」が、最大公約数は「易しい」。 この差は大きい。 つの 桁の数の素因数分解には数万年かかるが、その最大公約数は 秒未満で求まる。

紀元前 年ごろのユークリッドが書き残したこの手続きは、 年後の今もコンピュータの中で毎秒動き続けている。知られている中で最も古く、今も使われているアルゴリズムである。

ポイント

  • 約分は最大公約数で1回割れば既約分数になる
  • 既約分数 = 分母と分子が互いに素( 以外の共通約数なし)
  • 約分後に『まだ共通の約数がないか』を必ず確認

よくある間違い

  • だけで約分して で止める(まだ約分できる)
  • 分母だけ、分子だけを割ってしまう(両方を同じ数で割る)
  • 約分の途中で「もう割れない」と早合点する(最後に分子と分母が互いに素かを確かめる)

問6余りによる整数の分類

★ 基礎余りによる分類

問題

整数 を で割った余りに着目して、 を で割った余りとしてありえるものをすべて求めよ。

ヒントを見る

整数を『 で割った余り』で グループ()に分ける。各グループを 、、 と文字で表し、 を計算して で割った余りを見よう。

解答・解説

方針

整数は無限にあるが、『 で割った余り』で分ければ の 種類だけ。各グループの代表で の余りを調べれば、すべての整数を調べたことになる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 はどんな整数でもよい」とある。無限にある整数を、どうやって全部調べるのかを考える。

答えは余りで仲間分けすること。 で割った余りは 、、 の 種類しかない。だから整数は

の グループに完全に分かれる。無限個の整数が 通りにまとまった。

あとはこの 通りそれぞれについて を計算し、 で割った余りを調べればよい。

通りとも調べること。 つでも飛ばせば「すべての整数について」の証明にならない。余りによる分類は無限を有限にする技である。

重要整数は余りで分類: で割ると のどれか

整数 は で割った余りによって 種類に分けられる。、、( は整数)のどれかだ。それぞれで を計算して、 で割った余りを調べる。

のとき:。余りは 。 のとき:。余りは 。

のとき:。余りは 。どの場合も余りは か で、 にはならない。

まとめ:この『余りで分けて調べる』方法は整数の証明で役に立つ道具になる。たとえば『 は平方数にならない』も、この結果から言える(平方数の余りは なのに、 は余り だからだ)。

発展。 同じ発想を でやってみよう。整数は か だから

平方数を で割った余りは か だけ。ここから、たちどころに次が分かる。 つの平方数の和 を で割った余りは

の 通りしかない。 にはならない。

だから 、、 には整数解がない( を で割ると 余る)。無限個の数を1回の計算で否定できた。

このように「どの数で割って見るか( を何にするか)」を選ぶセンスが、整数問題の腕の見せどころだ。、、、 など、平方数、立方数、素数の性質に応じて、有効な法が変わる。

大学入試の整数問題で「解が存在しないことを示せ」と言われたら、まず適当な数で割ってみる。 割はこれで片がつく。余りで考えることは、不可能を証明するのに向いている。

答

を で割った余りは または ( にはならない)

別解

合同式という記号を使うと、この証明が数行で終わる。しかも、そこから応用が生まれる。

合同式の書き方。 を で割った余りが のとき

と書く。「」は「割った余りで見る」という意味だ。この記号の便利なところは、足し算・掛け算がそのままできることだ。

だから、 なら が言える。 通りの について を計算するだけでよい。

表 つで証明が終わった。 を で割った余りは か だけ。 は決して出てこない。

と展開する必要すらない( も も の倍数なので消え、 が残る。合同式を使えば、この計算を自動で済ませられる)。さて、この結論は何の役に立つのか。

「 で割って 余る数は、決して平方数ではない」 ということが使える。たとえば、こう問われたとしよう。「 は平方数か?」

わざわざ平方根を計算しなくてよい。 の各位の和は なので、 で割った余りは 。

平方数の余りは か しかない。だから は平方数ではない。これで証明が終わる。(ちなみに で、惜しくも 違いだった。)

この手口は「不可能の証明」でとても役に立つ。

  • を満たす整数はあるか? → で考えると存在しないと分かる
  • ある方程式に整数解はあるか? → 適当な数で割った余りを見て、矛盾を探す

「実際に探して見つからない」ことと「存在しないと証明する」ことは、まったく違う。 前者は永遠に終わらないが、後者は余りの表 つで片づく。

余りの種類は少ない( 通りだけ)。だからこそ、余りで矛盾を見つければ、無限にある整数の話に決着がつく。 これは整数論でよく使う方法である。

ポイント

  • 整数は『 で割った余り』で 種類に分けられる
  • の3通りを調べれば全整数を尽くせる
  • 平方数を で割った余りは か (証明の道具になる)

よくある間違い

  • のときだけ調べて済ませる(3通りとも必要)
  • の展開で の項を落とす
  • 「余りは 0 か 1」を「 は 3 の倍数か 1」と読み違える(余りが 1 の数は 3 の倍数ではない)

問7連続する整数の積

★ 基礎連続する整数の積倍数の証明

問題

を整数とする。連続する つの整数の積 は、必ず の倍数(偶数)になることを証明せよ。

ヒントを見る

連続する2つの整数のうち、一方は必ず偶数。 が偶数のとき・奇数のとき、で場合を分けて、積が『(整数)』の形になることを示そう。

解答・解説

方針

連続する2つの整数のうち、片方は必ず偶数だ。だから積も偶数になる。これを の偶奇で場合分けして、きちんと示す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「必ず になる」を示せと言われたら、具体例をいくつ挙げても証明にならない。、、 はすべて偶数だが、これは「たまたま調べた 個がそうだった」だけだ。

すべての整数 について言えなければならない。そこで偶奇で場合分けする。整数は必ず

のどちらかだ( は整数)。この つで、すべての整数を尽くしている。

あとは、それぞれで を計算し、 の形になることを見せる。

「(整数)」と書けたら、それが偶数の定義そのもの。ここまで書き切って、はじめて証明になる。

重要連続する2整数の積は必ず偶数(一方が偶数だから)

連続する つの整数 、 のうち、必ず一方は偶数だ。それを の偶奇で分けて示す。 が偶数のとき:( は整数)とおけて

となり、(整数)なので偶数。 が奇数のとき: が偶数になる。 とおけて

となり、やはり偶数。どちらの場合も は の倍数である。

(同じ考え方で、連続する つの整数の積は必ず の倍数になる。このうち1つは必ず偶数、1つは必ず の倍数だからだ。)

発展。 この問題から分かるのは、数学の証明における 「すべて」と「ある」の違いである。

  • 「すべての で成り立つ」を示すには → 論証が要る。例をいくつ並べても足りない
  • 「成り立たない がある」を示すには → 反例を つ挙げれば終わり

この非対称性をいつも意識したい。たとえば「 は必ず素数である」という主張を考えよう。 まで試すと、 個すべてが素数になる(オイラーが見つけた有名な式だ)。

「 個も確かめたのだから正しいだろう」と思える。しかし で破綻する。

の倍数になってしまう。 個の成功例は 個の反例の前に無力だった。

「たくさん確かめたから正しい」は、数学では通用しない。 逆に「 つ反例を見つけたら、それで終わり」でもある。

が偶数であることを、 個の例で確かめても証明にはならない。しかし と の 行を書けば、無限個すべてをまとめて証明できる。

論証を使えば、無限個の場合を有限の手順で示せる。

答

が偶数でも奇数でも は偶数(証明は解答参照)

別解

「連続する 整数のうち、一方は必ず偶数」 という一言で証明を終わらせる、より直接的なルートを見る。そして、この事実の一般化を紹介する。別証明1: 偶数は交互に現れる。

整数を数直線に並べる。

偶数と奇数は、必ず交互に並ぶ。 だから隣り合う つの整数 、 は、必ず一方が偶数で他方が奇数になる(両方とも奇数、ということはありえない)。

偶数を つでも含む積は、偶数である。よって は偶数。証明終わり。

場合分けの計算をせずに、構造(偶奇の交替)を見て言い切る。これが「見通しのよい証明」だ。別証明2: 組合せの個数として見る。

右辺は「 個から 個を選ぶ選び方の数」 なので、当然整数である(何かの個数なのだから、分数や小数であるはずがない)。左辺が整数ということは、 は で割り切れる。証明終わり。

「数え上げの個数だから整数」という論法は、整数論では有効な方法になる。計算をせず、意味に訴えて割り切れることを示すのだ。そして、これは一般化する。

つまり連続する 整数の積は必ず ()の倍数。一般に

連続 個なら の倍数、連続 個なら の倍数、連続 個なら の倍数。

なぜか。 連続する 個の中には の倍数も、 の倍数も、、 の倍数も、必ず含まれているからだ(もっと正確には、上の組合せの式で保証される)。

この一般化は入試の整数問題でよく使われる。「 が の倍数であることを示せ」という問題なら、因数分解すれば

連続する 整数の積だ。だから の倍数。 場合分けも合同式も要らない。

問題を「連続整数の積」の形に持ち込めれば、解ける。 そのために因数分解する。この一手に気づけるかどうかが、整数問題の分かれ目である。

ポイント

  • 連続する2整数の一方は必ず偶数
  • 偶数を とおけば『(整数)』の形が作れる
  • 連続する 個の整数の積は の倍数(発展)

よくある間違い

  • 具体例( など)をいくつか示すだけで『証明』とする
  • とおいたのに『(整数)』の形まで書き切らない
  • が負のときや のときを別扱いしてしまう( が整数なら の形で負も0も尽くせている)

問8ユークリッドの互除法

★ 基礎ユークリッドの互除法最大公約数

問題

ユークリッドの互除法を用いて、 と の最大公約数を求めよ。

ヒントを見る

大きい数を小さい数で割って余りを出す。次は『さっき割った数』を『余り』で割る、をくり返す。余りが になったときの割る数が答え。

解答・解説

方針

大きいほうを小さいほうで割り、余りが出たら『割る数と余り』で同じことを繰り返す。余りが になったときの『割る数』が最大公約数だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と の最大公約数。素因数分解しようとしても、手が止まるはずだ( を割り切る素数がすぐには見えない)。

こういうときのための道具がユークリッドの互除法である。手順は機械的だ。大きいほうを小さいほうで割り、余りを出す。次は「割る数」と「余り」で同じことを繰り返す。余りが になったら、そのときの割る数が答え。

余りが になった。そのとき割っていた数 が最大公約数。

最後の余り()ではなく、その手前の「割る数」が答え。 ここを取り違えないこと。

公式ユークリッドの互除法: なら 。余りで割るをくり返す

互除法は『割って余りを出す』をくり返すだけだ。 を で割ることから始める。

余りが になった。そのときの割る数 が最大公約数だ。

(なぜこれで求まるのか。『 と の公約数』は『 と余り の公約数』とぴったり同じだ。余りを取っても公約数は変わらない。だから数をどんどん小さくしていって、最後に残る数が最大公約数になる。素因数分解しにくい大きな数でも使えるのが強みだ。)

6×66×633156
ユークリッドの互除法: 15×6 の長方形から 6×6 の正方形を切り取る操作を繰り返すと、最後に残る正方形の1辺(=3)が最大公約数

発展。 互除法には、逆に読むという使い方がある。計算の跡を逆走すると、次の形の式が作れるのだ。

実際、互除法の式を下から順に代入していくと

、 が見つかった。 確かめると 。一般に、次の定理が成り立つ。

これはとても役に立つ。 特に と が互いに素()なら

を満たす整数が存在する。これが 次不定方程式が解ける理由であり(次の問題で使う)、暗号理論で「逆元を求める」操作の中身でもある。

互除法はgcd を求めるだけの道具ではなく、割り算の跡を逆にたどることで、方程式の解まで求められる。

年前のアルゴリズムが今も現役なのは、速いだけでなく、副産物として方程式の解まで得られるからだ。数学の道具はしばしば作った人の意図を超えて働く。

答

別解

互除法が本当に正しいのか、素因数分解で答え合わせをしよう。そして互除法を図形として見ると、この 年前のアルゴリズムの仕組みがよく分かる。

答え合わせ: 素因数分解でも求めてみる。

共通の素因数は だけ( と は互いに素)。

互除法の答えと一致した。

しかし、この分解を見つけるのは大変だったはずだ。 を で割っても割り切れず、 でようやく割れる。 も まで試す必要がある。互除法なら、割り算 回で終わった。

互除法を図形で見る。 の長方形を、正方形のタイルで敷き詰めることを考えよう。できるだけ大きな正方形で、余りなく敷き詰めたい。

手順1: いちばん大きく取れるのは の正方形。 個切り取ると、 の長方形が残る。

手順2: 残った長方形から、 の正方形を切り取る。 個取れて、 が残る。

手順3: の正方形がちょうど 個で、余りなく埋まった。

最後にぴったり埋まった正方形の 辺が 。これが最大公約数である。

互除法とは「長方形を、できるだけ大きな正方形で敷き詰める手続き」である。ユークリッドが『原論』でこれを幾何の言葉で書いたのは、偶然ではない。 つの数の共通の「ものさし」を探す。それが最大公約数の意味である。

互除法の速さ。 この方法はとても速い。 数がどんなに大きくても、割り算の回数は桁数の 倍程度にしかならない(フィボナッチ数列を使って証明できる)。

桁の数どうしでも、 回程度の割り算で gcd が出る。計算機ならすぐに終わる。一方、同じ数を素因数分解しようとすると、非常に長い時間がかかる。

「割り算を繰り返す」という原始的な操作が、素因数分解という難問を迂回して、答えにたどり着く。 アルゴリズムの勝利である。

ポイント

  • 『割る数を余りで割る』をくり返す
  • 余りが になったときの割る数が最大公約数
  • 大きな数でも素因数分解せずに最大公約数が出せる

よくある間違い

  • 最後の『余り 』の1つ手前の余りを答えにしてしまう(割る数が答え)
  • 割る数と余りの役割を取り違えて次の割り算に進む
  • 途中で余りが大きくなったと勘違いして手順を止める(余りは必ず割る数より小さいので、必ず終わる)

問91次不定方程式の整数解

★ 基礎1次不定方程式

問題

次の方程式を満たす整数 、 の組をすべて求めよ。

ヒントを見る

まず、当てはまる整数の組を1つ、代入して探す(小さい数で試す)。1つ見つかれば、 を ずつ・ を ずつずらしても等式が保たれる。その形で全部の解を書ける。

解答・解説

方針

まず、成り立つ整数解を1組『見つける』。次に、その解を基準にして、すべての解を文字 で表す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を満たす整数の組は、 つではなく無限にある。だから「すべて求めよ」と言われている。

手順は 段階だ。

第 段: 解を つ、何らかの方法で見つける(特殊解)。 小さい数を代入して探せばよい。 とすると から 。

第 段: そこから、他のすべての解を作る。 見つけた解からどうずらせば、また解になるかを考える。 を 増やすと左辺は 増える。 を 減らすと 減る。プラマイちょうど になる。だからまた解になる。

は の係数()だけ、 は の係数()だけずらす。 ここを取り違えやすい。

公式1次不定方程式:特殊解を1組見つけ、 の形で一般解を書く

まず1組見つける。 小さい数を試すと、、 が当てはまる()。

全部の解を表す。 見つけた解を基準にする。 から、 を辺々引くと

左辺は の倍数だから、右辺 も の倍数。 と は互いに素なので、 のほうが の倍数でなければならない。( は整数)とおくと 。これを戻して 、つまり 、。

( の係数 と の係数 が、そっくり入れかわって『ずれ幅』になっているのがおもしろい。 で、最初に見つけた解に戻る。)

xyO(0,4)(3,2)(6,0)
1次不定方程式 2x+3y=12 の整数解は直線上の格子点。1つ見つけると (3,−2) ずつずれる

発展。 の解を座標平面に打つと、直線 の上に、等間隔に並ぶ格子点になる。

方向に 、 方向に ずつ、規則正しく並んでいる。 「不定方程式を解く」とは直線上の格子点をすべて見つけることである。そして、この構造は現実の問題を解く。

「 円切手と 円切手を組み合わせて、ちょうど 円ぶんにしたい。何枚ずつ買えばよいか」

今度は 「非負整数解」だけが意味を持つ。無限にある解のうち、 かつ のものだけを拾う。範囲で絞る。

さらに次の問いも考えられる。「 円と 円の切手で、どうやっても作れない金額は何か?」 を調べると、 円が最大の作れない金額で、 円以上はすべて作れる。この最大値には公式があって

フロベニウスの硬貨問題と呼ばれる有名な結果だ(、 が互いに素なときに成り立つ)。

「解が無限にある」不定方程式に、「範囲」という条件を足すと、有限個の解を調べる問題に変わる。 入試の整数問題はたいていこの形をしている。

答

、( は整数)

別解

特殊解を「勘で探す」のが不安なら、合同式で機械的に絞り込める。 係数が大きい問題では、こちらのほうが確実だ。両辺を で割った余りで見る()。

は の倍数なので、 では消える。 だから

「 を で割ると 余る」と分かった。 つまり

は元の式に代入して出す。

答え: 、( は整数)。

あれ、本解と形が違う。 本解は 、 だった。どちらが正しいのか?

どちらも正しい。同じ解の集合を、違う「番地」で書いているだけである。確かめよう。本解の に を代入すると

ぴったり一致した。 のふり方(どの解を「」と呼ぶか)が つずれているだけだ。実際に解をいくつか並べてみれば、同じ集合だと分かる。

どちらの式もこの同じ列を生み出す。 出発点(特殊解)をどこに取るかで、式の見た目は変わる。しかし解の集合は つである。

だから、答えが教科書と違って見えても、あわてないこと。 をずらして一致するか確かめればよい。

合同式ルートの利点。 特殊解を勘で探さなくてよいので、係数が大きいときに強い。たとえば のような問題では、代入で解を探すのは苦しいが、 で を絞り込めば機械的に進める(もっと大きな係数なら、互除法を逆にたどる方法もある)。

この方程式が解けるのは、 と が互いに素だからである。もし なら、左辺は必ず の倍数なのに右辺は なので、解は つも存在しない。

解く前に、まず解があるかを確かめる。これが不定方程式の作法である。

ポイント

  • まず特別な解(特殊解)を1組見つける
  • 『 の係数と の係数を入れかえた分』ずつずらすと全解が出る
  • 互いに素であることが、解の形を決める

よくある間違い

  • 特殊解を1組見つけただけで答えとしてしまう(全解を で表す)
  • ずれ幅の と を取り違える( は の係数分、 は の係数分ずれる)
  • 答えの見た目が解答と違うだけで間違いだと思ってしまう( のずらし方が違うだけで同じ解集合のことがある)

問10分数が整数になる条件

★ 基礎約数の利用分数が整数になる条件

問題

が整数となるような自然数 をすべて求めよ。

ヒントを見る

分子 を分母 の形に近づけて、『』の形に分ける。あとの分数が整数になるには、 がその定数の約数であればよい。

解答・解説

方針

分子を分母で割って『整数部分 余りの分数』に分けるのがコツ。残った分数が整数になる条件は『分母が余りの約数であること』だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) に を代入して探し続けるのでは、どこまで探せば終わりなのか分からない。

そこで分子を、分母で割ってしまう。

この変形がすべてだ。 前半の は必ず整数。だから

「無限に探す問題」が「 の約数を挙げる問題」になった。 の約数は の つだけで、有限個である。 は自然数なので 。 は使えない(それは で自然数でない)。

分子を分母に合わせて分ける。 なので

は整数だから、全体が整数になるのは が整数のとき。つまり が の約数であればよい。 の正の約数は 。 は自然数()なので 、よって または 。

  • → (このとき で整数)
  • → (このとき で整数)

まとめ:『分数を整数部分と余りに分ける』→『分母が余りの約数』という流れが、この型のコツだ。

発展。 「 が自然数」という条件が、この問題では欠かせなかった。もし「 は整数」だったら、答えは増える。

は の約数だから、負の約数も許される。

( は分母が になるので除く。) 個に増えた。

「自然数」「整数」「正の整数」のどれかという一語で、答えの個数が変わる。 問題文の条件を読み飛ばすと、正解が不正解になる。整数問題では次の つを毎回確認する習慣をつけたい。

  • 範囲: 自然数か、整数か、正か、 を含むか
  • 分母が にならないか: 除外すべき値はないか
  • 符号: 負の約数を考えるべき状況か

「解を全部求めよ」と言われたら、「全部」の意味を、問題文で定義された範囲で確定させる。 数学の答案は条件の読み取りから始まっている。

答

別解

なぜ「有限個で終わる」と言い切れるのか。 グラフの目で見ると、その理由が視覚的に分かる。ついでに、この問題の型が入試でどう形を変えて出るかも見ておこう。

グラフで見る。

が大きくなると、 はどんどん小さくなる。

になると、値は と のあいだに閉じ込められる。

と のあいだに整数はない。 だから では決して整数にならない。探すのは の つだけでよい。これで有限個に絞れた。

実際に代入すると で 、 で (整数でない)、 で 。

約数ルートと同じ答え。

この「はさみうちで有限に絞る」発想は、整数問題の基本だ。 整数にはすき間がある(隣り合う整数のあいだに他の整数はいない)。だから「値を と のあいだに閉じ込める」ことが、そのまま「解なし」の証明になる。実数では通用しない、整数ならではの論法である。

別の角度: 最大公約数から見る。 が整数ということは、 が を割り切るということ。

が と の両方を割り切るなら、その差 も割り切る。 これは互除法と同じ理屈だ()。だから は の約数だ。 行で本解の結論に到達した。

「差をとる」という一手は、整数問題でとてもよく使う。 なら、分子から分母の 倍を引いて が残るので、 は の約数。同じ手がそのまま通じる。

まとめると、この型には つの解き方がある。

  • 分子を分母で割る(整数部分 余りの分数)
  • 差をとる(割り切るなら差も割り切る)
  • はさみうち( と のあいだに整数はない)

どれか つでも見えれば、無限の探索が有限の確認に変わる。

ポイント

  • と分けるのが第一歩
  • 整数になる条件は『分母が余り()の約数』
  • 自然数の条件()で の範囲を絞る

よくある間違い

  • の約数に ()を入れてしまう(自然数でない)
  • 分けずに を1つずつ代入して探し、もれる
  • 負の約数()まで考えてしまう( が自然数なら )

問11n進法と10進法の変換

★ 基礎n進法

問題

次の変換をせよ。

(1) 進法で表された を 進法で表せ。

(2) 進法の を 進法で表せ。

(3) 進法の を 進法で表せ。

ヒントを見る

(1)は各桁に位の重み()をかけて足す。(2)(3)は逆に、その数( や )で割った余りを、下の位から順に並べる。

解答・解説

方針

進法にするには『位の重み』をかけて足す。 進法から他の進法にするには『その数で割った余り』を下から並べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 進法とは「 個たまったら、 つ上の位に繰り上がる」という数の書き方だ。ふだん使う 進法は「 たまったら繰り上がる」。

位の重みが のべき乗になる。

  • 進法の位: (右から )
  • 進法の位:

(1) 進法 → 進法: 各桁に重みを掛けて足すだけ。

(2)(3) 進法 → 進法: で割り続けて、余りを下から並べる。

「下から」がすべて。 最初に出た余りが一の位、最後に出た余りが最上位。上から並べると逆さまの数になってしまう。

公式 進法 → 10進法:各位に位の重み()をかけて足す

(1) 進法の各位の重みは右から 。 は右から なので

(2) 進法 → 進法は『 で割った余りを下から並べる』。 余り 、 余り 、 余り 、 余り 、 余り 、 余り 。余りを最後から順に並べて

(3) 同じように で割っていく。 余り 、 余り 、 余り 。余りを最後から並べて

(検算:。位の重みをかけて足すと元に戻る。)

発展。 進法の は 桁、 進法の は 桁。同じ数なのに、桁数がまるで違う。

一般に、 進法で を表すのに必要な桁数は、およそ 桁。底が小さいほど、桁は長くなる。 だから 進法の数はやたらと長い。

そこでコンピュータでは、 進法がよく使われる。〜 の後に 〜 を使って 個の数字を表す記法だ。 なので、 進法の 桁が 進法の 桁にぴったり対応する。

()ウェブページの色指定 #FF0000(赤)を見たことがあるだろう。あれは 進法で 桁ずつ、赤・緑・青の強さ(〜)を書いている。 で、これが最大値だ。

画面の色も、ファイルの中身も、この 進法で書かれている。 進法は教科書の中の抽象的な話ではなく、目の前の画面を作っている技術そのものである。

位取り記数法という発明( を含む)がなければ、こうした技術は成立しなかった。数を「書く」方法が数を「使う」力を決める。記数法の歴史からそれが分かる。

答

(1) (2) (3)

別解

割り算を使わずに、「重りで天秤をつり合わせる」ように変換する方法がある。 進法では、こちらのほうが速くて間違えにくい。

(2) を 進法に、重み分解で。

進法の位の重みは 。 を超えない最大の重みから、貪欲に取っていく。

  • から を引く → 残り
  • から を引く → 残り
  • から を引く → 残り
  • から を引く → 残り

使った重みに 、使わなかった重みに を書く。

重み
使う?

割り算ゼロで変換できた。 進法の数字は か しかないので、「使うか使わないか」の 択にすぎない。天秤に グラムの分銅を載せて、 グラムをつり合わせる。それが 進法である。

(3) 進法も同じ発想。 重みは 。ただし各桁は 〜 まで使える。

  • に はいくつ入るか → 個()、残り
  • に はいくつ入るか → 個()、残り
  • の位 →

検算(逆変換)を必ずやる。 。

進法は「両替」と同じ考え方である。 円を、 円玉 枚・ 円玉 枚・ 円玉 枚で払うことが、 の意味だ。同じ金額を、違う硬貨の組で表しているだけで、数そのものは何も変わっていない。

なぜ 進法がこれほど広く使われているのか。 コンピュータの回路は「電流が流れる()/流れない()」の 状態しか持てない。だから 進法が使われる。 段階の電圧を正確に区別するのは難しいが、オンとオフなら、ノイズがあっても間違えない。

「表現の仕方」が変わっても、数そのものは変わらない。 も も も、まったく同じ量である。この視点が記数法を理解するうえで大切だ。

ポイント

  • 他の進法 → 進法:各桁 × 位の重み をすべて足す
  • 進法 → 他の進法:その数で割った余りを下(最後)から並べる
  • 変換したら『重みをかけて足す』で元に戻るか検算

よくある間違い

  • 割った余りを上から並べてしまう(下=最後の割り算から並べる)
  • 位の重みを取り違える( 進法は )
  • 進法の各桁に 以上の数字を書いてしまう( 進法で使える数字は から まで)

問12有限小数と循環小数

★ 基礎有限小数循環小数

問題

次の分数を小数で表し、有限小数か循環小数かを答えよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

まず約分して既約分数に。分母を素因数分解して、 と だけでできているかを見る。 と 以外の素因数()があると、循環小数になる。

解答・解説

方針

有限小数になるか循環小数になるかは、既約分数にしたときの『分母の素因数』で決まる。分母が と だけでできていれば有限小数、それ以外の素因数があれば循環小数だ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 分数を小数にするには、素直に割り算をすればよい。

一方は途中で終わり(有限小数)、もう一方は同じ数字を繰り返す(循環小数)。

この違いはどこから来るのか。 割り算の余りに注目すると分かる。 では余りがいつか になるが、 では余りが にならず、同じ余りが再登場してループに入る。

決め手は分母にある。

には という「よそ者」がいる。 この違いで結果が分かれる。詳しくは別解で説明する。

なお、判定の前に必ず約分すること。約分前の分母で判断すると誤る。

重要既約分数の分母の素因数が だけ → 有限小数、それ以外を含む → 循環小数

有限か循環かは既約分数の分母の素因数で決まる。分母が と だけなら有限小数、それ以外の素因数があれば循環小数だ( なので、 と だけは小数点以下で割り切れる)。

(1) はすでに既約。分母 は だけ。だから有限小数になるはず。実際に割ると

(2) も既約。分母 には が含まれる。だから循環小数になるはず。割ってみると

( が無限にくり返す。くり返す部分の上に点をつけて表す。)

発展。 有限小数も循環小数も分数で表せる数、つまり有理数である。逆も成り立つ。

循環小数が分数に戻せることは、 倍のトリックで示せる。 とすると

この操作で、どんな循環小数も分数に戻る。

では、循環しない無限小数は何者か。 それが無理数である。

どこまで行っても、同じパターンが繰り返されない。 だから分数では書けない。

小数の見た目( 終わるか、繰り返すか、繰り返さないか)が、数の種類を完全に分類している。 と の違いを調べる作業は、数の種類を分類する作業でもある。

なお、有名な という等式も、上の 倍のトリックで確かめられる( から )。「 に限りなく近い別の数」ではなく、 そのものである。無限小数を考えるうえで、よい例になる。

答

(1) (有限小数) (2) (循環小数)

別解

割り算をする前に、有限小数か循環小数かを見抜く方法がある。しかも、その理由は単純だ。判定法。既約分数の分母を素因数分解して、

それ以外の素因数()が つでもあれば、循環小数になる。

(1) : 分母 で、 だけでできている。だから有限小数。

(2) : 分母 で、 がいる。だから循環小数。

割り算をせずに、分母を見ただけで結論が出た。

なぜ と が特別なのか。 有限小数とは「分母が のべき乗の分数」に書き直せる、ということだ。

そして なので、 のべき乗は と しか素因数を持たない。

だから、分母を のべき乗にするには、元の分母が と だけでできていなければならない。実際

分母の に、足りない を掛けて を作った。有限小数になる理由はこれである。

一方 は、分母に がいる。 は何を掛けても のべき乗にはならない( は で割り切れないから)。だから、どうやっても有限小数にはならない。

進法だから と になる。 もし 進法を使っていたら、 なので、 が有限小数になっていた( 進法で )。「割り切れる・割り切れない」は数そのものの性質ではなく、 進法という記数法の都合である。

循環小数の性質も見ておく。 を計算してみると

の 桁が循環する。 なぜ 桁か。割り算の余りは 〜 の 通りしかありえず( になったら終わってしまう)、同じ余りが出た瞬間にループが始まるからだ。循環節の長さは必ず「分母 」以下になる。

の点の位置にも注意したい。 で循環するのは だけ( と は循環に入らない)。だから点は の上にだけ打つ。 と書くと「」という別の数になってしまう。

ポイント

  • 既約分数の分母が と だけ → 有限小数
  • 分母に 以外の素因数がある → 循環小数
  • 判定の前に必ず約分して既約分数にする

よくある間違い

  • 約分せずに元の分母で判定する
  • 循環する部分の書き方(点の位置)を間違える
  • 分母に や があっても、割り切れる場合があると思ってしまう(既約分数なら必ず循環する)