数学III / 微分法の応用

微分法の応用 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 法線の方程式
  2. 極値((x-1)eˣ)
  3. 変曲点(eˉˣ²)
  4. グラフの概形(漸近線つき)
  5. 最大・最小(x²eˉˣ)
  6. 不等式の証明(微分)
  7. 速度と加速度(3次)
  8. 原点を通る接線
  9. 第2次導関数による極値判定
  10. 最大・最小(三角関数)
  11. グラフの概形(log x / x)
  12. 平均値の定理と不等式

問1法線の方程式

★★ 標準法線

問題

曲線 上の点 における法線の方程式を求めよ。

ヒントを見る

法線は接線と垂直。まず接線の傾きを出し、垂直条件(傾きの積が )で法線の傾きに変換する。

解答・解説

方針

法線は接線に垂直な直線。接線の傾き に対し、法線の傾きは (垂直な直線の傾きの積は )。接線の傾き から法線の傾きを出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 法線とは、接点で接線と垂直に交わる直線。だから道順は「接線の傾き → 垂直の傾き → 直線の式」。

接線の傾きは微分係数 。垂直な 直線の傾きは、積が 。傾き に垂直なのは傾き だ。点 を通る傾き の直線として が出る。

公式法線の傾きは接線の傾き の (接線に垂直)

① 接線の傾きを求める。 、。

② 法線の傾きを求める。 接線の傾き に垂直なので 。

③ 点 を通る直線を作る。

xyO(0,1)
y=eˣ と点(0,1)での法線 y=−x+1(接線に垂直)

まとめ:法線は接点で曲線に垂直な直線。傾きは接線の傾きの「逆数の 倍」()。垂直な 直線の傾きの積が という関係から出る。接線 と法線 は で直交する。

発展。 接線の傾きが (水平)の点では、 が定義できないので、法線は垂直線 になる。公式の「例外」は 回転の絵なら例外ですらない(水平を回せば垂直)。式より絵が広い場面のひとつだ。

法線は「曲線に直角にぶつかる方向」だから、光の反射(鏡面の法線)、最短距離(点から曲線への最短は法線に沿う)、円の中心(円の法線はすべて中心を通る)など、応用では接線より法線を使うことも多い。

答

別解

「傾きの積が 」を回転の絵で持っておくと、公式の意味ごと覚えられる。

傾き の直線の進む向きは、ベクトル (右へ 、上へ )。これを 回転すると になる。つまり垂直な直線は「右へ 、上へ 」で、傾きは だ。逆数にして符号を反転、という操作は 回転の座標版だ。

今回は接線方向が ( の向き)。 回した が法線方向で、傾き 。検算は内積で

確かに直交している。傾きが の場合は特別だ。接線が のとき、法線は で「傾きの逆数の符号反転」がちょうど に一致し、接線と法線が 、 という対称なペアになる。図を描くと、 で直角に交わる十字の形になる。

ポイント

  • 法線の傾き 。
  • 垂直な 直線は傾きの積が 。

よくある間違い

  • 法線の傾きを (符号だけ反転)や (逆数だけ)とする(両方セットで )
  • 接線の方程式を求めて満足し、法線を答え忘れる
  • 接点以外の点(たとえば 切片)で微分係数を計算する

問2極値((x-1)eˣ)

★★ 標準極値

問題

関数 の極値を求めよ。

ヒントを見る

積の規則で微分すると、きれいにくくれる形になる。指数関数の部分は常に正なので、符号を決めるのは残りの因数だけだ。

解答・解説

方針

積の微分で を求める。 なので符号は残りの因数で決まる。 を解き、符号変化で極大・極小を判定する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 極値は の点の候補から。積の微分で

ここで を使うと、 の符号は因数 だけで決まる。 で減少、 で増加。 で減少から増加に転じるから極小で、極小値は 。「指数関数の因数は符号に影響しない」ことが、 入りの増減を調べるときの要点である。

公式積の微分 。 なので符号は残りの因数で決まる

① を求める。 、。

② を解く。 なので 。

③ 符号を調べる。 は で負、 で正。負→正 なので で極小。

xyO極小(0,−1)
y=(x−1)eˣ の極小値 −1(x=0)

まとめ: の微分は積の微分で ときれいにまとまる。 なので符号は だけで決まり、 で負→正、極小値 。因数分解した形で符号を読むのがコツだ。

発展。 で となるのは、「多項式 指数」の綱引きで指数が必ず勝つから( でも同じく へ)。この事実は ()と同じもので、数IIIの極限の準備になっている。

、 のように、微分するたび因数の 次式が ずつずれる。変曲点は (検算に使った点)で、谷の左肩の丸みが切り替わる位置だ。 一族の微分は、この「ずれの規則」で暗算できる。

答

極小値 ()

別解

微分の前に、両端と目印の点で関数の大づかみの姿を見ておく読み方を紹介する。

  • : が非常に速く に向かうので 。ただし だから、 に下から近づく
  • : (ここで 軸を横切る)
  • : 両因数とも正で大きく、

つなぐと、左の遠くで のすぐ下にあり、どこかで下がって谷を作り、上がってきて で を横切り、右で急上昇する。谷が つだけある形が、微分の前から見えている。

微分の役目は「その谷がどこか」の特定だけ(、深さ )。実際 で、谷底 より浅いので、数値も絵と合う。「両端の極限と零点で大まかな形 → 微分で細部」の順に見ると、増減表の結果が妥当かを自分で判定でき、符号ミスにも即気づける。

ポイント

  • 積の微分 → 。
  • で符号は が決める。極小値 。

よくある間違い

  • 積の微分を とする(公式は )
  • の符号判定で の符号まで場合分けしようとする( は常に)
  • 極小値として (場所)を答え、値 を書かない

問3変曲点(eˉˣ²)

★★ 標準変曲点

問題

関数 の変曲点の 座標を求めよ。

ヒントを見る

変曲点は の符号が変わる点。 を出してから、もう 回微分する。指数部分は常に正なので、多項式部分の符号だけが問題になる。

解答・解説

方針

、 を順に求める。合成関数と積の微分を使う。 を解き、符号が変わることを確認する。この曲線は正規分布でおなじみの釣鐘型。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 変曲点は「曲がり方(凹凸)が切り替わる点」なので、第 次導関数を使う。 を解き、その前後で の符号が変わることを確かめる。

は合成関数。 回目の微分で 、 回目は積 合成で

だから、符号は だけで決まる。 は で、これは釣鐘の左右の「肩」の位置である。

定理変曲点は かつ前後で符号が変わる点

① を求める。 合成関数。。

② を求める。 積の微分。

③ を解く。 なので 、。

(

xyO変曲点
y=e^{-x^2}(釣鐘型)。変曲点 x=±1/√2≈±0.71
前後で の符号が変わるので、確かに変曲点。)

まとめ: は釣鐘型(正規分布の形)。変曲点は の か所で、ここで曲がり方が「上に凸 → 下に凸」に切りかわる。 を合成 + 積の微分で正確に出すのがヤマだ。

発展。 変曲点の意味を運転にたとえると「ハンドルを切り返す瞬間」。山頂からの下り坂は、最初は緩み(上に凸)、肩を過ぎると裾へ向けて曲がりが反転する(下に凸)。スキーのコブの形と同じだ。傾き が最も急になる場所でもある(下りの最急点 変曲点)。

この曲線 はガウス関数と呼ばれ、確率だけでなく熱の拡散・画像のぼかし処理・誤差理論など、「散らばり」を記述する多くの場面で使われる。その形の要点が の肩の位置、というのが今回の計算だった。

答

別解

この釣鐘、統計の正規分布の曲線そのものだ。答えの にも統計の名前がついている。正規分布の密度曲線は の形( は標準偏差)。今回の と指数を見比べると

つまり は「標準偏差 の釣鐘」で、変曲点 はちょうど の位置にある。

これは偶然ではない。どんな正規分布でも、変曲点は平均から の位置にある。「釣鐘の肩(凸から凹に変わる場所)までの距離が標準偏差」という一般法則だ。数Bで に が入ると習ったあの目盛りは、実は曲線の曲がり方の切り替え点として、グラフに目で見える形で刻まれている。

微分の計算によって、統計の中心となる概念の幾何学的な意味が分かる。単元をまたいでつながる例である。

ポイント

  • 。
  • 釣鐘型の変曲点は 。

よくある間違い

  • の 回目の微分で積の公式を使わず とする
  • を解くだけで、前後の符号変化(凹凸の切り替え)の確認を書かない
  • 変曲点と極値( の山頂)を混同する

問4グラフの概形(漸近線つき)

★★ 標準グラフ極値漸近線

問題

関数 の極値と漸近線を求め、グラフの概形を述べよ。

ヒントを見る

極値は から。漸近線は 種類あり、『 をどこに近づけると発散するか』と『 を大きくすると何に近づくか』をそれぞれ調べる。

解答・解説

方針

で極値を、漸近線は「 での縦の漸近線」と「 での近づく直線」を調べる。 なので は直線 に近づく。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) グラフの概形は「極値」と「漸近線」の 点セットで決まる。

極値は から 。漸近線は 方向を調べる。 では が大きくなって となるので、縦の漸近線は だ。 では で、 は直線 に近づく。これが斜めの漸近線だ。「関数 主要部() 消える部分()」と分けて読むのが漸近線の目である。

重要漸近線は「分母 の縦」と「 で近づく直線」の 種類を調べる

① 極値を求める。 。 は 。

  • :負→正 で極小。。
  • :正→負 で極大。。

② 縦の漸近線。 で 。よって が漸近線。

③ 斜めの漸近線。 で なので 。よって直線 が漸近線。

xyO極小(1,2)極大(-1,-2)
y=x+1/x。極大(-1,-2)・極小(1,2)、漸近線 x=0 と y=x

まとめ:分数を含む関数のグラフは「極値 + 漸近線」で形が決まる。縦の漸近線は分母 、斜めの漸近線は で消える項()を落とした残り。極大値 < 極小値 という意外な大小は、 つの枝が離れているためだ。

発展。 この曲線は双曲線である。 回転すると標準形の双曲線に一致し、 本の漸近線( と )がその証拠だ。数Cの 次曲線とつながっている。

「主要部 消える部分」の分解は一般の分数関数で使える。 を割り算して と読む。 なら で斜め漸近線は となる。分子を分母で割った商が漸近線で、余りが消える部分だ。多項式の割り算がグラフの読解術になる。

答

極大値 ()、極小値 ()、漸近線 と

別解

極値の値 は微分を使わず相加相乗平均で出せる。 のとき、正の 数 と に相加相乗平均の関係を使うと

等号は 、つまり のとき。右半分の谷底が だと、不等式だけで確定した。左半分は対称性で済む。 は奇関数(原点対称)だから、右の谷 を原点対称に映した が左の山頂で、極大値は である。

微分ルートとの照合で答えは二重に固まる。さらに「積 が一定 → 和は 数が等しいとき最小」という相加相乗の設計原理が見えると、(最小 )などの親戚問題も微分なしで即答できる。

ポイント

  • 漸近線は「分母 の縦」と「 で近づく直線」。
  • 極大値()< 極小値()もありうる(枝が分かれる)。

よくある間違い

  • 「極大値 が極小値 より小さい」ことに混乱する(別々の枝の話で矛盾しない)
  • 相加相乗を にそのまま使う(負の数には適用できない。対称性で映す)
  • に近づくことを「交わる」と誤解する(差 は にならない)

問5最大・最小(x²eˉˣ)

★★ 標準最大最小極値

問題

における関数 の最大値を求めよ。

ヒントを見る

積の規則で微分してくくると、符号を決める因数が見える。区間の端の値と極値をくらべて最大を決定しよう。

解答・解説

方針

を積の微分で求め、 の候補を出す。 での増減を調べる。 では なので、極大が最大になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) での最大値の候補は「 の点」と「端 」で、それに「 の行き先」も吟味する。

積の微分で 。 なので符号は で決まり、 で増加、 で減少する。 が山頂で、最大値は 。 で (指数の減衰が多項式に勝つ)だから、この山頂を超えるものはない。

公式積の微分。 なので符号は残りの因数で決まる

① を求める。

② を解く。 なので 。

③ 増減を調べる。 は で正、 で負。よって で極大。 で 、 で なので、 の極大が最大。

xyO最大(2, 4/e²)
y=x²e^{−x}(x≥0)の最大値 4/e²(x=2)

まとめ:()は で最大 。両端( と )でともに に向かうので、途中の極大がそのまま最大になる。 で符号を に集約するのが要だ。

発展。 一般化すると の山頂は (対数化なら の 行)。「 乗の押し上げと指数の引き下げが釣り合う場所が 」という覚えやすい規則になる。この関数族はガンマ関数・ポアソン分布など、確率と解析の重要な場面でよく使われる。

で となる。どんな多項式も指数の減衰には勝てない、という事実が「極大 最大」の裏付けだった。増減表の右端の吟味はこの極限の知識と一体で初めて完結する。

答

最大値 ()

別解

積の形の最大化は、対数をとってから微分すると計算が軽くなる( で だから対数がとれる)。

積が和に、指数が係数に変わった。最大の場所を探すには、この を微分すればよい( は増加関数なので、 が最大の場所と が最大の場所は同じ)。

積の微分公式なしで、山頂の位置が 行で出た。値はもとの式に戻して 。

この「対数化してから最大化」は でも でも同じように使える。積・商・べき・指数の混ざった正の関数の最大最小は、まず をとって調べる。これは対数微分法を最適化に使う方法である。

ポイント

  • 。。
  • 両端で → 極大が最大。。

よくある間違い

  • の符号で の分まで場合分けする( は常に)
  • (端、)と ()の吟味を省いて「極大=最大」を無断で使う
  • 最大値を (場所)と答えて値 を出さない

問6不等式の証明(微分)

★★ 標準不等式

問題

のとき、不等式 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

差をとって とおき、『 の最小値が 以上』を示す方針へ。 の符号と の値の つで、議論が閉じる。

解答・解説

方針

とおき、 で を示す。 で増減を調べ、最小値が 以上であることを言う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 不等式の証明は「差をとって最小値 」に言い換える。

とおき、 での の最小値が 以上だと言えばよい。 は で正なので、 は で増加する。だから最小は左端 で、。増加関数の出発点が なら、その先はずっと 以上である。

重要「 を示す」= 差 の最小値が 以上を示す

① 差を関数とおく。 。

② 増減を調べる。 。 では なので

よって は で増加(または一定)。

③ 最小値を確認する。 で は増加なので、最小は 。

よって で 、すなわち 。等号は 。

xyO(0,1)
y=eˣ は接線 y=1+x の上にある(だから eˣ≥1+x)

まとめ:不等式の証明は「差を関数にして最小値 」。 から は増加、最小は左端 。 は の での接線で、指数関数がつねに接線より上にある(下に凸)ことを示している。

発展。 この不等式は「指数評価の母」だ。 を に替えれば 、両辺を積み重ねて微分・積分を繰り返すと ()とどこまでも精密化できる。多項式で を下から段階的に押さえていくこの列の極限が、テイラー展開(大学)である。

応用面では、 から のはさみうちが作れるなど、極限の評価の部品としても働く。証明した不等式は次の問題を解く道具になる。入試の大問が小問の不等式から始まるのは、このためだ。

答

g(x)=eˣ-1-x の最小値が 0 なので成立

別解

が何を表すかを知ると、この不等式は 枚の絵で説明できる。 は、曲線 の における接線だ( を通り、傾き )。

そして は なので、どこでも下に凸の曲線だ。下に凸な曲線はどの接線よりも上にある(接点でだけ触れる)。だから

は「曲線は接線の上」という凸性の一言で、しかも全実数で成り立つ( という制限すら不要)。等号は接点 のみ。

微分の計算(本解)はこの絵を式で厳密に言い直したものだ。「差の増減」を追う代わりに「凸 接線」と見る目を持つと、(上に凸は接線の下)や など、解析の頻出不等式が同じ一枚の絵で説明できる。

ポイント

  • ⟺ 差の最小値 。
  • (増加)+ で結論。

よくある間違い

  • の確認だけで増減(単調増加)を言わない、または増減だけで端の値を言わない(両方で証明)
  • 数点の代入( で 等)だけで「成り立つ」と結論する
  • 等号成立()の記述を落とす( の証明では等号の所在も述べる)

問7速度と加速度(3次)

★★ 標準速度加速度

問題

数直線上を動く点の座標が で表される。速度が になる時刻をすべて求め、そのときの加速度を求めよ。

ヒントを見る

速度は 回微分、加速度は 回微分。速度が になる時刻を求めてから、その時刻での加速度を計算する。

解答・解説

方針

速度 、加速度 。 を解いて時刻を出し、その時刻を に代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 位置 が与えられたら、速度は 回微分、加速度は 回微分で求める。定義がそのまま手順になる。

を解くと 。それぞれを に代入して 。「位置 → 速度 → 加速度」の微分の階段を、問われた順に降りるだけである。

公式速度 、加速度

① 速度を求める。

② を解く。

③ 加速度を求めて代入する。 。

txOt=1t=−1
x=t³−3t。t=±1で速度0(折り返し)

まとめ:速度が になる時刻は運動の折り返し点。 では加速度 (右向きに加速=谷で折り返す)、 では (左向きに加速=山で折り返す)。速度と加速度は位置の 階・ 階微分だ。

発展。 「速度が なのに加速度は でない」例として、真上に投げたボールの最高点がある(一瞬止まるが、重力加速度は働き続ける)。 と は独立の事象で、両方同時に になる特別な点(この運動にはない)はまた別の意味を持つ。

微分の階段は積分で逆に降りられる: 加速度 → 速度 → 位置。物理で「加速度一定 等加速度運動の公式」と覚えた式は、 を 回積分した結果にすぎない。数IIIの微積分は力学の文法そのものである。

答

(加速度 )、(加速度 )

別解

数式を「点の運動」として読み直すと、答えの意味がはっきりする。 の符号を追うと、 で正(右へ)、 で負(左へ)、 で再び正(右へ)となる。

つまりこの点は右へ進んできて に一瞬止まって折り返し( の地点)、左へ進んで でまた折り返す( の地点)。「速度 」とはこの折り返しの瞬間のことだ。

加速度の符号から、折り返しの向きが分かる。 では で、左向きに押されて右進から左進へ変わる。 では で、右向きに押されて左進から右進へ変わる。ブランコの端で、常に中心向きに引き戻されるのと同じ配置である。

位置のグラフ で言えば、折り返しの 点は極大・極小そのもの。「( の極値)で ()の符号が折り返す向きを決める」ので、数学の極値判定と物理の運動は同じ考え方で読めることが分かる。

ポイント

  • 、。
  • の各時刻で の符号がちがう。

よくある間違い

  • 加速度を位置の微分()と混同する( は をもう 回微分)
  • の片方だけ答える(「すべて求めよ」の確認)
  • 「速度 だから止まっている(動かない)」と誤解する(一瞬止まって折り返す。加速度は でない)

問8原点を通る接線

★★ 標準接線

問題

曲線 の接線のうち、原点 を通るものの方程式を求めよ。

ヒントを見る

原点は曲線上にない。接点の 座標を文字でおいて接線を作り、原点を通る条件で文字を決める、の順で攻める。

解答・解説

方針

接点を とおく。そこでの接線を作り、それが原点を通る条件から を決める。原点は曲線上にないので、接点を文字でおけば解ける。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 原点 は の上にない( は で 、 で )。曲線外の点から引く接線なので、接点を文字でおく型だ。

接点を とおく。そこでの接線は、傾き で

これが原点を通る条件 から 、。接点 、接線 が決まる。

重要曲線上にない点を通る接線は、接点 を文字でおいて を決める

① 接点をおき、接線を作る。 接点 、傾き 。

② 原点を通る条件を書く。 、 を代入。

③ 接線を書く。 を戻す。傾き 。

xyO接点(e,1)
y=log x の原点を通る接線 y=x/e(接点(e,1))

まとめ:「曲線の外の点(原点)から接線」は、接点 を文字でおくのが決め手。原点を通る条件で の方程式を作ると 、。接点 での接線 が求まる。

発展。 接線 は原点から に引ける唯一の接線だ( の解が つだけだから)。原点を通る直線のうち、この直線より傾きが大きいものは曲線と交わらず、傾きが より大きく より小さいものは 回交わる(傾きが 以下なら 回)。 は「交わり方の境目」で、方程式 の解の個数問題( が境界)の答えを先に示している。

鏡像の 側では、これが「 の解の個数は が境目」という有名問題になる。 と の大小比較も同じ山( の での最大)につながる。原点からの接線 本が指数対数の多くの入試問題で境目になっている。

答

(接点は )

別解

兄弟問題「 の接線で原点を通るもの」を知っていると、この答えは鏡で映すだけで出る。 側を先に解くと: 接点 の接線 が原点を通る条件は 、つまり 。接線は (接点 )。

ここで と は互いに逆関数なので、グラフは直線 について鏡写しだ。鏡写しにすると、接線は接線に、原点は原点(直線 上の点だから動かない)に移る。だから を で折り返した直線が答え。折り返しは と の交換だから

接点 も に移り、直接計算の結果と一致する。指数の問題と対数の問題は の鏡で対になっているので、片方を解けばもう片方は計算なしで分かる。計算の照合にも、片方しか思い出せないときの復元にも使える対称性である。

ポイント

  • 接点を とおく(原点は接点でない)。
  • 通る条件で を決める。。

よくある間違い

  • 原点を接点だと思い込み を計算しようとする( は定義域外ですらない)
  • 接線の式に接点の座標 でなく一般の を混在させて式が壊れる
  • から とする( の定義: )

問9第2次導関数による極値判定

★★ 標準極値凹凸

問題

関数 の極値を、第 次導関数を用いて判定せよ。

ヒントを見る

増減表の代わりに、 の点での の符号で極大・極小を判定する方法(問題の指定)。 の符号と凹凸の関係から、どちらが極大に対応するかを考えよう。

解答・解説

方針

の点を求め、そこでの の符号で極大・極小を判定する。 なら下に凸で極小、 なら上に凸で極大。符号表を書かずに判定できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 極値判定の第 の方法として、増減表(符号表)の代わりに の符号を使う。

の候補の点で

  • なら、そこは下に凸の底なので極小
  • なら、上に凸の頂なので極大

から 。 に入れて、 では (極小)、 では (極大)。符号表を書かず、点の情報 つで判定が終わる。

定理第 次導関数による判定: かつ なら極小、 なら極大

① の点を求める。 より 。

② 各点で の符号を調べる。 。

  • : なので極大。。
  • : なので極小。。

xyO極大(−1,2)極小(1,−2)
y=x³−3x の極大(−1,2)・極小(1,−2)。y″の符号で判定

まとめ: の符号で極値を判定する方法。(下に凸=谷)なら極小、(上に凸=山)なら極大。符号表を書く方法と結果は同じだが、 が計算しやすいときはこちらが速い。

発展。 判定で見ているのは「候補点のまわりで曲線がどちらに曲がっているか」だ。物理でいえば、速度 の点で加速度の符号を見て折り返しの向きを知るのと同じ論法だ(速度と加速度の問題がこの配置だった)。

で保留になったら、 と先を見る一般判定もある( なら 階で初めて非零、偶数階で正なら極小)。高階の情報で局所の形を読む考えを進めると、やはりテイラー展開にたどり着く。

答

極大値 (、)、極小値 (、)

別解

判定と増減表判定の使い分けと限界を、実例で押さえておこう。まず今回を増減表で解くと: の符号は なので、 で極大、 で極小。 判定と同じ結論で、どちらでも正しい。

では 判定はいつでも使えるかというと、使えない場合がある。 を見てほしい。 は で 、そして も で 。判定条件( の符号)が空振りする。実際には は極小(グラフは平底の谷)だが、それは増減表( が )でしか確認できない。

まとめると

  • 判定: 候補点の値 つで済み速い。ただし のときは判定保留
  • 増減表: 手間はかかるが、どんな場合も白黒がつく方法

「まず 、ダメなら増減表」の二段構えが実戦の型。 判定は増減表の近道であって、置き換えではない。

ポイント

  • で極小、 で極大。
  • 凹凸(谷・山)のイメージと一致。

よくある間違い

  • を「増加だから極大」と逆に結びつける(下に凸の底なので極小)
  • の点を機械的に「極値でない」と判定する(保留して増減表へ)
  • に入れる点を の解でなく適当な点にする(判定は候補点で行う)

問10最大・最小(三角関数)

★★ 標準最大最小三角関数

問題

における関数 の極値をとる を求めよ。

ヒントを見る

微分すると三角方程式になる。 の値から を求めるとき、範囲内に解が つあることを単位円で確認しよう。

解答・解説

方針

。 を解くと 。 での解を求め、符号変化で極大・極小を判定する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 極値の候補は から。

でこの方程式を解くと 。あとは各点の前後で の符号( と の大小)がどう変わるかを見る。三角関数入りの増減は「 を三角方程式として解く → 符号は単位円で読む」の二段だ。

公式

① を解く。 。

での解は 。

② 符号を調べる。 は、( が や の近く)で負、(中央付近)で正。

  • :負→正 で極小。
  • :正→負 で極大。
xyOπ/35π/3極小極大
y=x−2sin x の極小(x=π/3)・極大(x=5π/3)

まとめ:三角関数を含む関数も を三角方程式として解く。 の解を範囲内で つ拾い、 の符号で極大・極小を判定する。 は全体として増加傾向だが、途中で波打つ。

発展。 は「直進(傾き )と振動()の合成」。振動の振幅の傾き成分 が直進の を上回る区間でだけ、逆走(減少)が起きる。係数 を に変えた では で極値が消える。「振動項の係数が を超えるか」が、この形の関数の増減の分かれ目だ。

車輪の縁より外側の点が描く曲線(トロコイド)の 成分は の形になり、接地点の近くで少し後ろに戻る。これが今回の「逆走区間」にあたる。縁の上の点が描くサイクロイド では、後ろには戻らない。

答

(極小)、(極大)

別解

の符号の変化を、単位円の上で一周して読むと、増減表が絵になる。 の符号は「 が より大きいか小さいか」で決まる。単位円で となるのは、 座標が の 点で、角度は と だ。円周を一周しながら 座標(横の位置)を追うと

  • から : 円周の右寄りで なので (減少)
  • から : 左半分を回り なので (増加)
  • から : 再び右寄りで (減少)

減 増の切り替わる が極小、増 減の が極大。「 の不等式は、単位円の縦線 の左右で領域を分ける」という数IIの三角不等式の技術が、そのまま数IIIの増減表で使える。

ポイント

  • を三角方程式として解く。
  • 範囲内の解を拾い、符号で極大・極小。

よくある間違い

  • の解を だけとして を落とす(範囲は一周分)
  • の符号を の符号と混同する(比べる相手は )
  • 極小と極大を取り違える( の符号変化の向きで判定。 が極小)

問11グラフの概形(log x / x)

★★ 標準グラフ極値変曲点

問題

関数 ()の極値と、 での様子を調べよ。

ヒントを見る

極値は商の微分から。 の行き先は分子(対数)と分母()の成長の速さくらべで決まる。どちらが速いか。

解答・解説

方針

で極値、 の極限で漸近線を調べる。 では なので 。 では分母が勝って 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 極値と遠方の様子を調べて、グラフの大まかな形をつかむ。

商の微分で 。分母は正だから、符号は で決まる。、つまり を境に増加から減少へ変わるので、極大値は 。

遠方では の分母 が よりずっと速く大きくなるので、。 軸が右側の漸近線になる。「山がひとつ、右はすそ野」という地形だ。

重要 で (多項式 は対数 より速く増える)

① 極値を求める。 。 は 、。 で正、 で負。正→負 で極大。

② 両端の様子を調べる。

  • :、 なので 。
  • :分母 が対数 より速く増えるので 。 軸()が漸近線。
xyO極大(e,1/e)
y=(log x)/x。極大(e,1/e)、x→∞で0(x軸が漸近線)

まとめ: は で極大 。 で に近づくのは「多項式は対数より速い」から。原点近くでは に落ちる。極大 が全体の最大値でもある。

発展。 山の高さが であることから、方程式 (直線と対数の交点)の解の個数が読める。 でちょうど接して 個、 で 個、 で 個となる。原点からの接線の問題と同じ境界が、この山の頂上として再び現れる。

また ( が 回現れた)ことに気づいただろうか。 が同じ値をとる 点で、これが という有名な等式の理由だ。「 となる整数対」の問題も、この山の等高線の話である。

答

極大値 ()、 で (x軸が漸近線)

別解

この関数には有名な変装がある。対数の性質で

つまり で、「 の 乗」の対数だ。 は増加関数だから、 が最大になる場所と が最大になる場所は同じ。

のように整数で試すと 付近が最大で、真の頂上は にある。「自分の逆数乗」の チャンピオンが 、という覚え方ができる。

さらにこの山は有名な大小比較 の種でもある。両辺の対数をとって整理すると と の比較になり、山頂 から離れた の方が値が小さい。山の形からそのまま答えが出る。

ポイント

  • で ( 軸が漸近線)。
  • 極大値 が最大値。

よくある間違い

  • 商の微分の分子を と逆にして増減が全部逆になる
  • で「 も だから 」とする(分母の の方が速い)
  • の側()を調べ忘れ、グラフの左端を誤る

問12平均値の定理と不等式

★★ 標準平均値の定理不等式

問題

平均値の定理を用いて、 のとき が成り立つことの、右側の不等式 を示せ。

ヒントを見る

区間 で平均値の定理を書き下ろすと、 と の比が で表される。 の範囲から の大きさを評価すれば、不等式が従う。

解答・解説

方針

に区間 で平均値の定理を使う。()。 より を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 平均値の定理は「区間の平均の傾き どこかの瞬間の傾き」という保証だ。

、区間 で使うと

ここで の居場所の情報を使う。 だから となり、左辺も 未満で、分母 を掛ければ 。「 の値は分からないが、範囲は分かる」を評価に変えるのが、この定理の使い方だ。

定理平均値の定理: となる が に存在

① に平均値の定理を使う。 区間 。、。

すなわち 。

② の範囲から評価する。 なので 。よって

③ 不等式を導く。 なので両辺に をかけても向きは変わらない。

xyO(1,0)
y=log x は接線 y=x−1 の下にある(log b<b−1)

まとめ:平均値の定理は不等式証明に役立つ道具だ。「平均変化率 」の を、 の範囲()で上下から評価する。 から が出て、 が従う。

発展。 左側の不等式 も同じ 行から出る。 より なので、 の範囲の両端を使えば、 が と に挟まれる。 を代入して整理すると となる。 の定義に関わるこの有名な挟み込みも、この問題と同じ方法で導ける。

平均値の定理は「関数の差を導関数で見積もる」道具として、極限(はさみうちの材料作り)・数列の収束・誤差評価まで、数IIIの証明問題で使われ続ける。

答

f(x)=log x に平均値の定理を適用、f'(c)=1/c<1(c>1)から従う

別解

同じ不等式を、凸性と接線の絵で見ることもできる。 は なので、どこでも上に凸の曲線だ。上に凸な曲線はどの接線よりも下にある(接点でだけ触れる)。 での接線を求めると、 を通り傾き で

よって (等号は のみ)となる。 なら で、示すべき不等式そのものだ。

これは指数の不等式 (下に凸は接線の上)とちょうど鏡の関係にある。実際、 の両辺の対数をとる(または を に置き換える)と が出てくる。 つの基本不等式は つの事実を表と裏から見たものだ。

平均値の定理(本解)は「区間の傾きを瞬間の傾きで挟む」方法、凸性(この別解)は「曲線を接線で挟む」方法で、どちらも「分からない量を、分かる幾何で押さえる」評価の考え方である。

ポイント

  • 平均変化率 を の範囲で評価。
  • ()から不等式を導く。

よくある間違い

  • の存在範囲 を書かずに を使う(根拠は )
  • 平均値の定理の式の分母 の符号( で正)を確認せず不等号の向きを崩す
  • を具体的な値(中点など)と誤解する(定理は存在だけを保証する)