数学III / 微分法の応用

微分法の応用 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. e^π と π^e の大小
  2. (1+1/x)^x が増加すること
  3. 接線型不等式から相加相乗平均へ
  4. 対数平均と幾何平均の比較
  5. sinx/x の単調性とジョルダンの不等式
  6. 減衰振動の極大値の列
  7. x log x の極限と 0 の 0 乗
  8. 曲線 y=eˣ と直線 y=x の最短距離

問1e^π と π^e の大小

最難関編大小比較関数の設計

問題

と の大小を比較せよ。

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指数どうしの比較は対数から。出てきた2つの量を「同じ関数に2つの値を代入したもの」と見られる形に整えられないか。そうできれば、その関数の増減で答えが決まる。

解答・解説

方針

両方とも巨大で直接は比べられない。対数を取って πloge と elogπ の比較にし、さらに両辺を eπ で割ると (loge)/e と (logπ)/π となる。これは同じ関数 f(x)=logx/x の2点の値の比較になっている。f の増減を微分で調べれば決着する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) どちらも大きな数で、直接計算はできない。累乗の比較は対数をとるのが基本で、 と の比較になる。

ここで両辺を で割ると、 と 。同じ関数 の、 と での値比べになった。あとは の増減表だけの話だ。比較問題は「共通の関数を自分で設計する」のがこつになる。

重要累乗の大小は対数化して「共通の関数の2点の値」に言い換える: ()

① 対数をとって言い換える。 どちらも正だから

② の増減。

よって で となり、 は で減少する( で最大値 )。

xyOx=ex=π
f(x)=logx/x は x=e で最大、その先は減少。e と π はどちらも山の右側にあり、f(e)>f(π) から e^π>π^e が分かる

③ 結論。 で、 は 上で減少するから

まとめ: 比較したい2数から共通の関数を見つけ出す。本問ならそれは だ。この関数は で最大になるので、 をまたぐ比較( と の食い違いなど)もすべてこの1本のグラフの上で説明がつく。

発展。 の山(頂上 )は、整数の比較も一望にする。(つまり )、 が整数で最大(つまり は で最大、)。「 と の大小は、 が のどちら側かで決まる」ので、この1本の曲線を見れば比較問題の答えが分かる。

答

別解

接線不等式で3行(グラフを描かない最短路)。 (。 の での接線より上)だけで落ちる。

を代入すると

(左の式に を1回掛けた。)両辺は正だから 乗しても大小は保たれ

増減表もグラフも要らない、3行の証明だ。本解の は「この型の比較全部を1本のグラフで見渡す」広角レンズ、接線不等式は「この1問を最速で射抜く」単発の矢。( と同じもの)がいろいろな場面で使えることが、この2問(本問と相加相乗)で分かる。

ポイント

  • 対数化 → vs 。
  • は で減少()。
  • より 。

よくある間違い

  • 、 という近似値の比較で「証明」とする(数値は検算にはなるが証明にならない)。
  • 対数を取った比較が同値である根拠( が増加関数)を書かない。
  • を「全域で減少」と誤る( では増加。 が両方とも山の右側にあることを使う)。

問2(1+1/x)^x が増加すること

最難関編単調性補題の設計

問題

で定義された関数 は増加することを示せ。

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指数に変数が乗る関数は、対数を取ってから微分する。導関数の符号がすぐには読めない形になったら、それ自体を「示すべき補題」として切り出し、置き換えで1変数の不等式に直せないか。

解答・解説

方針

累乗の形のままでは微分できないので対数を取り、g(x)=x log(1+1/x) の増加を示す。g' の符号はt=1/x とおくと「log(1+t) > t/(1+t)」という1変数の不等式そのものになる。この補題を差の微分で先に示しておき、2段階で証明する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の定義でおなじみの の関数版だ。累乗のままでは扱えないから、対数を取って の増加を示す方針にする。

微分すると 。符号が即読できない。そこで と置き換えると、示すべきは ()という1変数の補題になる。補題を先に微分で示してから本体に戻る、2段構えの組み立てだ。

重要補題: で 。証明は差 の と から

① 対数を取って微分する。 。積の微分で

② 補題を示す。 ()とおくと で

よって で 、すなわち 。

③ 本体に戻す。 を補題に代入すると

よって で、 は増加し、 も( が増加関数だから)増加する。

まとめ: 対数を取って微分し、現れた不等式を補題として切り出して先に証明する。単調性の証明でよく使う手順だ。この事実は、数列 が単調に に迫っていくことの関数版でもある。

発展。 対になる は逆に減少することが同じ道具で示せる。増加する と減少する はどちらも に収束し、 を両側から挟む: 。 の近似値を上下から保証するこの挟み撃ちは、 が無理数であることの証明などの基礎になる。

答

証明( を微分し、補題 ()に帰着させる)

別解

平均値の定理ですぐに示す(補題が要らなくなる)。 の第1項を、平均値の定理で読み替える。 に区間 で平均値の定理を使うと、ある ()があって

左辺は そのもの。そして だから

これで が即座に出る。補題の構築(本解の②)がまるごと不要になった。「 の差は ( は間のどこか)」という平均値の定理の使い方は、対数のからむ不等式でよく使う。本解の補題 は、実はこの の言い換えだったことも分かる。

ポイント

  • の符号が焦点。
  • 補題 を で。
  • 代入で → 増加。

よくある間違い

  • 対数を取らずに を直接微分しようとして詰まる(指数に変数が乗る形は対数微分)。
  • の第2項で合成関数の微分()の符号を落とす。
  • 補題の不等号の向きを逆に使う( は より大きい。 より小さい、と混線しやすい)。

問3接線型不等式から相加相乗平均へ

最難関編不等式の証明相加相乗

問題

(1) のとき が成り立つことを示せ。また、等号が成り立つ を求めよ。

(2) を2以上の自然数、 を正の実数とする。(1)を用いて、不等式

を証明せよ。

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(1)の不等式は「何を代入しても成り立つ」型だ。(2)では、右辺 の和がちょうど0になるような代入が設計できないか。平均で割った比という規格化に気づけるか。

解答・解説

方針

(1)は差の増減表。(2)が本番: (1)の x に「各 aᵢ を相加平均 A で割った比」を代入して n 本足すと、右辺が Σaᵢ/A − n = 0 に消え、左辺に log の和=積の log が残る。これで n 変数の相加相乗が一度に出る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 変数の相加相乗を2変数の繰り返しで示すのは、 が2のべきでないと面倒だ。

短く済むのは、(1)の接線型不等式 ( の での接線が )を部品として使う方法だ。 に各 を相加平均 で割った比を代入して足すと、右辺の和が と設計どおりに消える。

左辺には の和=積の が残る。指数に戻せば、相加相乗そのものだ。

重要接線型不等式 (等号は )に「平均で規格化した比」を代入して足す(右辺が消えるように代入を設計する)

① (1) を示す。 とおくと

で負、 で正だから は で最小となり 。よって 、すなわち で、等号は のときに限る。

② 規格化して代入する((2))。 とおく。(1)に を代入すると

本を辺々加えると、右辺は

③ 積の形に戻す。 左辺は の和だから

これが示すべき不等式である。なお等号はすべての で 、つまり のときに限る。

まとめ: 接線不等式に、右辺が消えるように規格化した比を代入する。凸性の使い方としていちばん短い形で、 変数の有名な不等式が微分1回の(1)から3行で示せる。等号条件も(1)の等号からそのまま受け継がれる。

発展。 同じ代入設計で重みつき相加相乗も出る。()のとき が成り立つ。(1)に を代入して 倍して足すだけで示せる。等重み が本問だ。この「凸関数の接線で押さえて重みつきで足す」方法は、イェンセンの不等式として一般化され、不等式証明でよく使う道具になる。

答

(1) で等号(証明) (2) (は相加平均)を代入して足すと右辺の和が消える(証明)

別解

2変数から育てる(コーシーの前進後退帰納法)。 歴史的に有名な、もう1つの道も紹介しよう。

前進: は から 。これを2回使うと :

同様に と、 のべきすべてで成り立つ。

後退: で成り立てば でも成り立つ。 に、その平均 を 個目として足すと、 個の平均も のまま。 変数の相加相乗から

2のべきまで前進し、そこから1つずつ後退すれば、すべての に届く。接線不等式(本解)は3行で全 を扱える方法で、前進後退は「平均を自分に足す」工夫を使う方法だ。どちらも数学でよく使われる。

ポイント

  • ( で等号)は接線型不等式。
  • を代入して足すと右辺が0に消える。
  • → 相加相乗(等号は全部等しいとき)。

よくある間違い

  • (2)で規格化せずに を代入し、右辺の和が消えずに行き詰まる(平均で割った比にするのが決め手)。
  • の和を積の にまとめるとき、(分母が 個)を と書いてしまう。
  • 等号条件を書き忘れる。(1)の等号 がすべての で必要 → 。

問4対数平均と幾何平均の比較

最難関編不等式の証明1変数化

問題

のとき、次の不等式を示せ。

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と の2文字があると扱いにくい。両辺を何かで割って「比だけの式」にできないか。うまく置き換えると、根号も分数も消えた1変数の不等式が現れる。差の微分がきれいな平方になることも見どころ。

解答・解説

方針

2変数のままでは微分できない。両辺とも a, b を同じ倍率で拡大すると同じ倍率で変わる(同次)ことに注目し、比 t=√(b/a) だけの不等式 log t < (t−1/t)/2 に1変数化する。あとは差を微分して t=1 からの立ち上がりを見る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 右辺(対数平均)と左辺(幾何平均)は、どちらも を 倍すると 倍になる同次式だ。つまり、大小は比 だけで決まる。

そこで とおいて1変数化すれば解ける。整理すると、示すべきは

という素朴な形になる。差を微分すればぴったり平方 が現れて単調増加。 の等号から立ち上がる。

重要同次な2変数不等式は比で1変数化する。帰着先: で

① 1変数化する。 とおくと で

だから、示すべき不等式は

(途中、 と で割った。)

② 差を微分する。 とおくと で

③ 結論。 は で増加し だから、 で となる。すなわち①の不等式が成り立ち、もとの不等式が示された。

まとめ: 「同次式は比に落とす」ことで2変数の問題が1変数になり、「差の微分が完全平方」になるので単調性がすぐに出る。この右辺の量(対数平均)は と のあいだに挟まることが知られていて、もう半分()も同じ流れで示せるので、良い練習になる。

発展。 対数平均 は と、幾何平均と相加平均のあいだに挟まる(上側も同じ流れで、帰着先は 型)。この量は「温度差の平均」として、熱交換器の設計(対数平均温度差)でも実際に使われている。

答

証明( とおいて に帰着)

別解

対称に置いて双曲線関数につながる形にする(理由が分かる置換)。 とおくと、 は と幾何平均を中心に対称に書ける。すると

だから、示すべき不等式は

という、原点対称のきれいな形になる。差 は で

(相加相乗)等号は のみだから は増加し、 で 。本解の と同じ1変数化だが、指数で書くと「差の微分が相加相乗で片づく」ことも分かる。 と の組は数IIIの終盤で双曲線関数として再会する部品だ。

ポイント

  • で1変数化(同次性)。
  • 帰着先 。
  • 、 から立ち上げる。

よくある間違い

  • 2変数のまま偏微分的な操作を始めて迷子になる(まず同次性に注目し、比で1変数化する)。
  • への変形で、()を確認せずに割る。
  • の通分を誤り、完全平方 に気づかず符号判定で立ち往生する。

問5sinx/x の単調性とジョルダンの不等式

最難関編単調性2段の微分

問題

(1) のとき、関数 は減少することを示せ。

(2) のとき、不等式 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

商の微分の符号は分子で決まる。その分子の符号がまた読めないときはどうするか。(2)は新しい計算を始めるのではなく、(1)の「減少」をそのまま最小値の言葉に言い換えるだけで届く。

解答・解説

方針

(1)は商の微分の分子 g(x)=x cosx−sinx の符号で決まる。g(0)=0 と g'=−x sinx<0 の「端が0でそこから減る」2段の微分で g<0 を出す。(2)は(1)の系: 減少関数 sinx/x の [0,π/2] での最小は右端の値 2/π。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 。符号は分子 が握る。だが の符号も一目では読めない。

そこでもう一段微分する。 かつ なら、 は0から出発して減る一方、つまり負だ。「端の値が0+導関数の符号」で、1つ下の階から符号を持ち上げる型になる。

(2)は(1)ができればすぐに解ける。減少関数の最小は右端だから 。

重要2段の微分: 符号の読めない は と の符号で決める。減少関数の区間での最小値は右端の値

① 分子の符号((1))。 とおくと 、

よって は減少し、。したがって

で は で減少する。

② 右端の値で押さえる((2))。 では、(1)より

では両辺とも0で等号。よって 全体で成り立つ(等号は )。

xyOy=sin xy=2x/π
0≤x≤π/2 で正弦の弧(青)は弦 y=2x/π(赤)の上側にある。両端 x=0, π/2 で一致(等号)

まとめ: 「分子を切り出す → 端が0+もう一段の微分で符号を決める」が(1)、「単調性を最小値の言葉に言い換える」が(2)。正弦の弧が弦 の上に乗る、という図の事実の解析的な証明で、積分の評価などあちこちで部品として使われる不等式だ。

発展。 この不等式()はジョルダンの不等式と呼ばれ、のちに積分の評価でよく使われる。たとえば のように、「 を弦で置き換えると指数の積分が計算できる形になる」という使い方をする。弧と弦の隙間を評価に変える、幾何発の解析の道具である。

答

(1) 分子 が で負(証明) (2) 減少関数の最小は右端:

別解

「弦の傾き」と読む(凸性の幾何で全部見える)。 は原点と点 を結ぶ弦の傾きにほかならない。

は で上に凸()。上に凸な曲線では、原点から曲線上の点へ引いた弦は、点が右へ進むほど寝ていく(傾きが減る)。これが(1)の「減少」を図形で見たものだ。

(2)も同じ絵で読める。上に凸な弧は両端を結ぶ弦の上側にある。 と を結ぶ弦が だから、 で

等号は両端のみ。

答案では凸性の根拠()と「凸なら弦の上」の言い換えを添える必要があるが、2階微分1回で(1)(2)が同時に見えるのがこの視点の強みだ。本解の「2段の微分」は代数による方法、凸性は幾何による方法で、同じ結論に別の方向から到達している。

ポイント

  • : 、 → 。
  • は で減少。
  • 右端の値 で押さえて 。

よくある間違い

  • (1)で商の微分の分子 の符号を「明らかに負」で済ませる(もう一段の微分 が要る)。
  • (2)を独立に微分し始める((1)の減少を「最小は右端」と言い換えるだけで届く)。
  • の扱いを放置する( は で未定義。(2)は で両辺0の等号として別に確認)。

問6減衰振動の極大値の列

最難関編極値無限等比級数

問題

における関数 を考える。

(1) が極大となる をすべて求めよ。

(2) 極大値を大きい方から順に並べた数列が等比数列であることを示し、その公比を求めよ。

(3) 極大値すべての和(無限級数の和)を求めよ。

ヒントを見る

の零点と符号は、合成すると読み違えない。極大の位置が等間隔に並ぶとき、そこでの の値はどんな数列になるか。指数の肩が等差なら、値は何になるか。

解答・解説

方針

f'=e^{−x}(cosx−sinx) を合成で √2e^{−x}cos(x+π/4) と書くと、零点 x=π/4+nπ と符号の交代がすぐ分かり、極大は1つおきに現れる。極大値は e^{−x} の x が等差で進むため等比になり(指数の等差=値の等比)、総和は無限等比級数の公式で閉じる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 減衰する波 の極値は、微分の零点 から等間隔に並ぶ。ただし極大はその1つおきだ。符号の交代を見誤らないために、 と合成しておくのが安全になる。

極大値には が影響する。 が ずつ進むごとに、値は 倍。指数の肩の等差が値の等比を生む。

最後は無限等比級数で総和が閉じる。微分・数列・級数の3連鎖だ。

重要(合成で零点と符号が読める)。極大位置の等差 → 極大値の等比

① 極値の位置((1))。 積の微分と合成で

だから の符号は と同じ。零点は 、すなわち で、符号は正→負→正→…と交互に変わる。正から負に変わる(極大)のは

(負から正に変わる は極小。)

② 極大値の列((2))。 だから、 番目の極大値は

よって は初項 、公比 の等比数列である。

③ 総和((3))。 だから無限等比級数は収束し

xyOM₀M₁
y=e^{−x}sinx。最初の極大(赤点、x=π/4)のあと波は急速に減衰し、次の極大(x=π/4+2π)は e^{−2π}≈0.0019 倍でほぼ見えない。この比が公比になる

まとめ: 「合成で符号を読む → 位置の等差 → 値の等比 → 級数」の4連鎖。微分・数列・無限級数が1本の関数の上でつながる、数IIIの縮図のような問題だ。公比は なので、波は1周期でほとんど消えてしまう。

発展。 振り子や音の減衰でも同じ構造が現れ、隣り合う山の比の対数 (本問の場合)は対数減衰率と呼ばれる実測量になっている。実験で山の高さを2つ測れば減衰の強さが逆算できる。「指数の等差=値の等比」は物理の測定にも使われている。

答

(1) () (2) 公比 (3)

別解

極大点の乗る「包絡線」を先に描く(構造が目に見える)。 極大値をひとつずつ計算する前に、極大点がどんな曲線に乗るかを見てしまう。極大の位置では (①より )だから、極大点はすべて曲線

の上にある。減衰振動の山々はこの指数曲線(包絡線)を等間隔 でサンプリングしたものだ。

指数関数を等間隔に読むと値は等比になる()。公比 も、初項 も、この1本の曲線から読み取れて、(2)(3)は「指数曲線上の等比サンプル」の一言に要約される。隣接比 ( の値は共通で約分)という直接計算を添えれば、答案としても完結する。

ポイント

  • 、極大は 。
  • (指数の等差→値の等比)。
  • 総和 。

よくある間違い

  • の解 を全部極大とする(1つおきに極小。合成 の符号交代で判定)。
  • の値を ごとに計算し直して混乱する(周期 で全部 )。
  • (3)で収束条件 に触れずに無限等比級数の公式を使う。

問7x log x の極限と 0 の 0 乗

最難関編評価不等式はさみうち

問題

(1) のとき が成り立つことを示せ。

(2) を示せ。

(3) を求めよ。

ヒントを見る

は、逆数で裏返すと「 とべきの競争」になる。 を のどんなべきで押さえれば、割ったときに0へ向かうか。(3)は指数の肩に(2)がそのまま現れる形に書き替える。

解答・解説

方針

x→+0 の x log x は 0×(−∞) の不定形。t=1/x と裏返すと (log t)/t (t→∞) の形になり、「log はべきより遅い」の定量化 (1) ではさめる。(3)は x^x=e^{x log x} と対数化して(2)を使うだけ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) ()は の不定形だ。 で裏返すと ()。「対数はべきより遅い」という競争の問題になる。

その定量化が(1)の だ。これで割れば とはさめる。(3)の は と対数化すれば、肩に(2)がそのまま乗っている。

重要()は、「対数はどんな正のべきよりも遅い」ことを式で表している。(対数化)

① (1) を示す。 とおくと で

よって は増加し 、すなわち 。

② (2) を示す。 に対し とおくと、(1)より

で だから、はさみうちで 。

③ (3) を求める。 で 。(2)と指数関数の連続性から

まとめ: 「不定形は裏返して log とべきの競争に直す → 評価不等式で定量化 → はさみうち」の3段。 は「0の0乗は1に見える」という有名な現象で、その根拠がこの小問の階段にすべて書かれている。

発展。 タワーを1段増やすと答えが変わる: で だから肩は 、よって 。さらにもう1段の は となり、段数の偶奇で と を交互に繰り返す。「不定形は、どの部分がどの速さで動くかで決まる」ことの愉快な実例だ。

答

(1)(2) 証明 (3)

別解

指数に書きかえる( の置換)。 の補題の代わりに、最初から指数で書く手もある。()とおくと

「 は よりずっと速い」を定量化する。 を2回使うと

よって

はさみうちで 。(3)は本解と同じく 。 側で押さえる(本解の )か、 側で押さえる()か。「接線不等式 を2乗して2次の評価を作る」小技は、指数がらみの極限で繰り返し使える。

ポイント

  • : 、。
  • 。
  • 。

よくある間違い

  • 「 と決まっているから」で(3)を済ませる( の極限の主張と、 の定義の話は別物)。
  • で である符号の管理を誤る(絶対値で と正に直すのが安全)。
  • (1)の不等式を の外()でも使ってしまう(裏返し で範囲内に収まることを確認)。

問8曲線 y=eˣ と直線 y=x の最短距離

最難関編最大最小距離

問題

曲線 上の点と直線 の距離の最小値を求めよ。

ヒントを見る

曲線上の点をパラメータで書いて、点と直線の距離の公式に乗せる。距離の最小化は分子の関数の最小化に置き換わる。最小になる点で、曲線の接線と相手の直線はどんな関係にあるはずか。

解答・解説

方針

曲線上の点 (t, eᵗ) と直線 x−y=0 の距離は |eᵗ−t|/√2。距離の最小化が g(t)=eᵗ−t の最小化に言い換えられ、g'=eᵗ−1=0 から t=0、最小値 g(0)=1。同時に eᵗ>t(曲線が直線の上側)も確定する。最近点では接線が直線と平行になることも確かめられる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 曲線上の点を とパラメータ表示し、点と直線の距離の公式に乗せる。距離は 。距離の最小化が1変数関数 の最小化に言い換えられた。

の最小値が正なら、絶対値も自動的に外れる(曲線が直線と交わらないことの証明を兼ねる)。幾何の直感では「最も近い点では、接線が相手の直線と平行」。微分の答えと最後に照合できる。

公式点 と直線 の距離

① 距離を関数にする。 曲線上の点 と直線 の距離は

② の最小。

で負、 で正だから は で最小となり、最小値は 。とくに常に 、つまり なので、曲線は直線の上側にあり、絶対値はそのまま外れる。

③ 最小距離。

等号は 、すなわち曲線上の点 のとき。このとき接線の傾きは で直線 と平行になる。「最近点では接線が相手と平行」という幾何の感覚とも一致する。

xyO(0, 1)√2/2y=x
y=eˣ(青)と y=x(黒)。最短距離を与えるのは点 (0,1)(赤)で、そこでの接線の傾きは 1 となり、直線と平行になる

まとめ: 「距離の最小化 → 差の関数の最小化」という言い換えだけで解ける。1回の微分で、最小距離・最近点・「曲線と直線が交わらない」ことの3つが同時に得られる。答えの検算(接線の平行)も図形の性質からすぐにできる。

発展。 と (互いに逆関数)は直線 について鏡映だから、両者の最短距離は「 と の最短距離の2倍」、すなわち になる(最近点は と )。逆関数のペアの間の距離は鏡 を経由して測ればよく、対称性を使うと計算が半分で済む。

答

(曲線上の点 のとき)

別解

平行条件で先に当てて、凸性で確定する(幾何を中心に考える)。 最短距離の点では、曲線の接線が相手の直線と平行になるはずだ(平行でなければ、接線に沿って少し動くと直線に近づけてしまう)。この必要条件から先に点を特定する:

候補は点 のみ。距離は 。これが本当に最小であることは、距離関数 ( は の最小値1から)が

で下に凸、極値は の1つだけ、から確定する(凸関数の唯一の停留点は最小)。

本解は「距離関数を作って最小化」するどんな場合にも使える方法で、本ルートは「幾何の必要条件で候補を1点に絞ってから確定」する方法だ。候補が先に見えると、計算量は半分になる。

ポイント

  • 距離 (点と直線の距離)。
  • は で最小1(同時に も確定)。
  • 最小距離 、最近点 では接線が と平行。

よくある間違い

  • 点と直線の距離の分母 を落として答えを とする。
  • 絶対値 を外す根拠(、 の最小値が )を言わない。
  • 「接線が平行」を十分条件のように使い、最小であることの確定(増減表か凸性)を怠る。