数学III / 微分法の応用

微分法の応用 ★★★ 応用の問題 全8問

入試標準レベル。複数の考え方を組み合わせる

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. グラフの概形(分数関数)
  2. 曲線上の点までの最短距離
  3. 方程式の実数解の個数
  4. 不等式の証明(2段階)
  5. 曲線外の点から引いた接線
  6. 媒介変数と速度(円運動)
  7. 変曲点と点対称
  8. 最大の面積(文章題)

問1グラフの概形(分数関数)

★★★ 応用グラフ極値変曲点漸近線

問題

関数 の極値、変曲点、および での漸近線を調べよ。

ヒントを見る

商の規則で 、もう 回で 。極値・変曲点・遠方の様子の 点セットを順に調べる。分母は常に正なので、符号は分子だけで追える。

解答・解説

方針

商の微分で を求め、極値を出す。 で変曲点。 での極限で漸近線。奇関数(原点対称)なので、片側を調べれば反対側も分かる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の概形をつかむには、道具を総動員する。

で極値、 で変曲点、極限で漸近線を調べる。さらに、この関数は奇関数(原点対称)だ。だから片側を調べれば反対側も分かる。対称性を使えば、調べる手間が半分で済む。

重要分数関数のグラフは「極値()+ 変曲点()+ 漸近線(極限)」で決める

① 極値を求める。 商の微分。

分母 なので符号は分子 が決める。 は 。

  • :正→負 で極大。。
  • :負→正 で極小。。

② 漸近線を調べる。 で分母 が分子 より速く増えるので 。よって ( 軸)が漸近線。

③ 変曲点。 を計算すると で になり符号が変わる。変曲点は 、。

xyO極大(1,1/2)極小(-1,-1/2)
y=x/(x^2+1)。極大(1,1/2)・極小(-1,-1/2)、漸近線 y=0

まとめ: は奇関数(原点対称)。極大 ・極小 で、 で に近づく山と谷が つずつ。分母が正なので の符号は分子だけで読める。

発展。 この関数は三角関数で表せる。()と置くと、 となる。

すると 。つまり は姿を変えた にほかならない。値が から までしか動かないのは、 が から までしか動かないからだ。極大 は 、すなわち に対応する。

奇関数であることも、 が奇関数であることの反映と見える。有理関数と三角関数が、 の置きかえ一つでつながる。

答

極大値 ()、極小値 ()、変曲点 ・、漸近線

別解

別解:値域を判別式で出す(得意な人向けの視点)。 微分をせずとも、極大値・極小値の「値」だけなら判別式で出せる。

を、 を定数と見て の方程式に直す。分母を払うと

が実数として存在するには、この方程式が実数解をもてばよい。 のとき 次方程式で、判別式 より

( のときは で成り立つので範囲に入る。)つまり の動く範囲(値域)は 。上端 は重解 、下端 は重解 で実現する。

これで極大値 、極小値 が微分なしで確定し、本解と同じ答え。ただし変曲点は「値域」からは出ないので、そこは が要る。

ポイント

  • 分母 で の符号は分子で決まる。
  • 奇関数(原点対称)。漸近線 。

よくある間違い

  • 商の微分で分子を の順に立てられず、符号を取り違える。
  • 変曲点を の まで求めず、原点だけで済ませてしまう。
  • 分母 は にならず垂直な漸近線はないのに、あると思い込む。

問2曲線上の点までの最短距離

★★★ 応用最大最小

問題

放物線 上の点で、点 に最も近い点の 座標を求めよ(方程式は立てるところまででよい)。

ヒントを見る

距離そのものより、距離の 乗を最小化するほうが計算が軽い(ルートが消える)。 乗を微分して とおくと 次方程式が現れる。

解答・解説

方針

放物線上の点 と の距離の 乗 を考える(距離そのものより 乗のほうが微分が楽)。 を解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 最短距離を求めたい。距離そのものを微分するのは骨が折れる。

そこで『距離の 乗』を最小化する。 を考える。 乗にすれば根号が消える。微分がぐっと楽になる。

これがこの問題の核だ。

重要最短距離は「距離の 乗」を最小化する(平方根を避けると微分が楽)

① 距離の 乗を式にする。 放物線上の点は 。 との距離の 乗は

② 微分して とおく。

③ 解を求める。 を代入すると で成り立つ。よって 。 は判別式 で実数解なし。したがって 。

最も近い点の 座標は (点 )。

xyOA(3,0)P
y=x² 上で A(3,0) に最も近い点(距離²=(x−3)²+x⁴ を最小化)

まとめ:最短距離は「距離² を最小化」が基本(ルートを微分せずに済む)。 が 次方程式 になり、 が解。残りの 次因数は実数解をもたないので、 が唯一の候補だ。

発展。 点 を 軸上で動かしてみる。 からの最短点は同じ計算で を満たす になる。

この関係を「 を決めると最短点 が決まる」と読む。逆に と見ると、右辺は について単調増加()だ。だから ごとに最短点はちょうど つに定まる。

を大きくすると最短点 も大きくなる。 が右へ動けば、放物線上の最寄り点も右へずれていく、という自然な対応だ。 軸上のどこに を置いても最寄り点が つに決まるのは、この単調性によるものだ。

答

距離²=(x-3)²+x⁴ を最小にする x(2x³+x-3=0 の実数解 x=1 付近)

別解

別解:最短点で直交する条件を使う(得意な人向けの幾何視点)。 最短距離の点では、線分 が放物線の接線と直交する。この幾何の事実を使えば、微分の「距離²」を経ずに方程式が立つ。

放物線上の点を とする。 での接線の傾きは 。一方、 と を結ぶ線分の傾きは 。

が接線と垂直なら、 つの傾きの積が になる。

これは本解の と同じ 次方程式で、解は 。最も近い点は で、本解と同じ答え。「最短点では線分が接線に垂直」という見方は、放物線に限らず曲線一般で使える。

ポイント

  • 最短距離は距離² を最小化。
  • の 次方程式を因数分解して解く。

よくある間違い

  • 距離のまま を微分して式が複雑になり、根号で詰まる( 乗で扱えば消える)。
  • 次方程式 の残る 次因数 の判別式を調べず、実数解が複数あると誤解する。
  • 出た が最も近い点か最も遠い点かを確かめずに答えてしまう。

問3方程式の実数解の個数

★★★ 応用方程式極値

問題

を正の定数とする。方程式 の異なる実数解の個数を、 の値によって調べよ。

ヒントを見る

左辺の関数のグラフの概形(極大値と遠方での振る舞い)をつかめば、横線 との交点数がすべて読める。定数分離の考え方の数III版だ。

解答・解説

方針

のグラフと横線 ()の交点の個数を数える。 は で極大 、 で 、 で 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の解の個数を知りたい。

これは のグラフと横線 の交点の数に等しい。交点数を測るものさしは曲線の極大 ()と、両端での振る舞いだ。方程式を「関数と定数のグラフの交点」に分けて、極値で個数を判定する。数IIで学ぶ定数分離の発想を、数IIIの関数で使う。

重要解の個数 = と横線 の交点の個数

① 曲線の概形を押さえる。 ()は、 で極大値 。 で 、 で ( 軸に上から近づく)。 で 。

② 横線 ()との交点を数える。 の横線は曲線の「 の山の部分()」とだけ交わりうる。

xyOy=a極大1/e
y=(log x)/x と横線 y=a。0<a<1/e で交点2個
  • (極大より上):交点 個。
  • (極大の高さ):接する 個()。
  • :山を上りと下りで 回横切る 個。

まとめ:「方程式の解の個数」は定数分離して横線との交点数。 の極大値 がしきい値。 がこれより上で 個、等しいとき 個、下で(かつ ) 個となる。

発展。 解の個数が切りかわる に注目する。ここでは が境目で、これは曲線の極大値、つまり「いちばん高い所」の高さそのものだった。

ただし、境目になる高さは極値だけとは限らない。この曲線は で に上から近づくので、漸近線の高さ ももう一つの境目だ。実際、 を上から に近づけると つの解は左右に開き、片方は ( の点)へ、もう片方は減少する枝を右へたどって へ逃げていく。低い横線ほど、山のふもとの遠い所まで曲線と交わるからだ。

一般に、 の解の個数が変わる境目の高さは、 の極値の 座標か、端での極限値(漸近線の水準)で起こる。この関数では、極大 で交点が減りはじめ、漸近線 で交わり方が変わる。 種類の「特別な高さ」を意識すると、横線を上下に動かしたときの個数の移り変わりがひと目で追える。

答

のとき 個、 のとき 個、 のとき 個

別解

別解:置きかえて見慣れた形にする(苦手な人向けの視点)。 と置くと、 で、 に対し は全実数を動く。左辺は

だから方程式は に変わる。曲線 は で最大値 をとり、 で に近づく山型だ( の横線は 側とだけ交わる)。横線 との交点を数えると、 で 個、 で 個、 で 個。

を直接調べる本解と同じ結果。 は「べき 指数」の見慣れた山型で、 より形を思い描きやすい人には近道になる。

ポイント

  • 解の個数 = 曲線と横線 の交点数。
  • 極大値 がしきい値。

よくある間違い

  • 極大値 を境目にすることを忘れ、 の値によらず「 個」と決めつける。
  • で (上から)を見落とし、右下がりの枝での交点を数え損ねる。
  • (ちょうど接する)を「 個」や「 個」に含めてしまい、境界の 個を取り違える。

問4不等式の証明(2段階)

★★★ 応用不等式

問題

のとき、不等式 が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

差をとって微分すると、 つ手前の不等式( と の比較)が現れる。前段の結果をもとにして、 段階で証明する。

解答・解説

方針

とおく。 を示すには、(増加)を言えばよい。ところが の符号もすぐには分からないので、 にもう一度「差の最小」の考えを使う( 段階)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 不等式は「差をとって を示す」が基本だ。差を とおく。

ところが の符号がすぐには分からない。じつは は、標準的な不等式 に帰着する。 回の微分で足りなければ、導関数にもう一段の議論を重ねる。これが多段階の発想だ。

重要 の符号が不明なら、 にも「差の最小」を使う( 段階の微分)

① 差を関数とおく。 。

② を求める。

③ を示す。 これは「」()そのもの。 で (下の補足参照)なので 。よって は で増加。

④ 最小値を確認する。 は増加なので最小は 。

よって で 、すなわち 。(補足: は 、、 から。)

xyO(0,1)
y=eˣ は y=1+x+x²/2 の上にある(eˣ≥1+x+x²/2)

まとめ: の符号が直接分からないときは、 をさらに調べる( を使う、または既知の不等式に帰着)。ここでは が前段の不等式そのもので 。微分を 段重ねれば解ける。

発展。 この不等式は、最後に足す項の次数によって「成り立つ範囲」が変わる。

は、 が正でも負でも、すべての実数で成り立つ。ところが まで足した は、 でしか成り立たない。試しに を入れると、左辺 に対し右辺は で、不等号が逆になる。

さらに まで足すと、また全実数で成り立つ。 まで足すと、また だけになる。最後の項が奇数次なら全実数、偶数次なら に限る、という規則だ。

理由は切り捨てた残りの符号にある。 では残りはつねに正だが、 では最後の項の偶奇で残りの符号が変わる。どこで打ち切るかで、不等式が成り立つ範囲まで決まる。

答

g(x)=eˣ-(1+x+x²/2) について g'(x)=eˣ-1-x≥0(前問の結果)より g は増加、g(0)=0 で成立

別解

別解:差でなく比をとる(得意な人向けの視点)。 引き算のかわりに、 と多項式の「比」を作ると、 回の微分で符号がすっきり決まる。

とおき、 を考える。分母 は判別式 よりつねに正なので、 はどこでも定義できる。商の微分をすると、分子は 。ここで だから 。よって

、、 だから 。つまり は増加する。 だから、 では 、すなわち 。

差 を調べる本解では、 の符号にもう一手(第 次導関数か既知の不等式)が要る。比なら分子に が自然に現れ、 を経ずに1回の微分で符号が決まる。到達する結論は本解と同じ答え。

ポイント

  • が不明なら をさらに調べる。
  • (既知)→ 増加 → 。

よくある間違い

  • の符号がすぐ分からないのに、確かめずに「 は増加」と決めつける。
  • の条件を落とし、この不等式が全実数で成り立つと思い込む( では成り立たない)。
  • という起点の確認を省き、「 だから 」と飛躍する(最小値が の確認が要る)。

問5曲線外の点から引いた接線

★★★ 応用接線

問題

点 から曲線 に引いた接線の方程式をすべて求めよ。

ヒントを見る

接点を文字でおいて接線を作り、 を通る条件でその文字の方程式に。解の個数がそのまま接線の本数になる。

解答・解説

方針

接点を とおく。接線を作り、それが を通る条件から を決める。 が つ出れば接線も 本。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) から へ接線を引く。

接点を とおくのが出発点だ。傾きが分かれば接線が書ける。その接線が を通る、という条件で を決める。

が 個出れば、接線は 本。数IIの曲線外接線と同じ、「接点を未知数において解く」定跡だ。

重要曲線上にない点を通る接線は、接点 を文字でおいて を決める

① 接点をおき、接線を作る。 接点 、傾き 。

② を通る条件を書く。

③ 接線を書く。

xyO(0,−1)(1,1)(−1,1)
点(0,−1)から y=x² に引いた2本の接線 y=±2x−1

まとめ:「曲線の外の点から接線」は、接点 を文字でおくのが決め手。通る条件で の方程式を作り、その解の個数が接線の本数。 からは 本引ける。数II でも数III でも共通の技だ。

発展。 通す点を 軸上で動かして、 からの接線を考える。接点 の接線 が を通る条件は 、すなわち 。

これが実数解 をもつのは のとき。 なら で接線は 本、 なら で 本( 軸)、 なら 本。点が放物線の内側(上側)に入ると、接線が引けなくなる。

さらに、 つの接点は 座標がどちらも で等しい。だから 接点を結ぶ弦は水平線 になる。今の なら弦は 、接点は 。外の点の高さ が接線の本数も接点の高さも決めている。

答

、

別解

別解:判別式で「接する」を直接つかむ(苦手な人向けの視点)。 微分をせずに、接線を「重解をもつ直線」として求める。

を通る直線は傾きを として と書ける。これが と接するのは、 曲線がただ 点を共有するとき、つまり連立した 次方程式が重解をもつときだ。、すなわち の判別式を とおく。

よって接線は と で、本解と同じ答え。「接する 判別式 ( 重解)」は、微分を使わずに接線を出せる数IIの見方だ。

ポイント

  • 接点を とおく。
  • の解の個数 = 接線の本数。

よくある間違い

  • 接点を だと思い込む( は 上にない)。
  • の片方を落とし、接線を 本しか答えない。
  • 通る条件 を符号ミスして (解なし)としてしまう。

問6媒介変数と速度(円運動)

★★★ 応用速度加速度媒介変数表示

問題

座標平面上を動く点 の時刻 での位置が 、 で表される。速度ベクトルの大きさ(速さ)を求めよ。

ヒントを見る

速度ベクトルは各成分を で微分したもの。速さはその大きさで、計算すると時刻によらない値になる。その意味も考えてみよう。

解答・解説

方針

速度ベクトルは 。それぞれ で微分し、大きさ を計算する。 を使う。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 速さとは、速度ベクトル の大きさのことだ。

だから 、 を各成分ごとに微分する。その大きさを計算すると、時刻によらず一定になる。等速円運動だ。平面運動の速さは各成分の微分を並べたベクトルの大きさで求める。

公式速度ベクトル 、速さ

① 各成分を微分する。

② 速さ(大きさ)を計算する。

xyO速度 vP
等速円運動。速度ベクトルは円の接線方向、速さ=1で一定

まとめ:、 は単位円上の運動。速さが によらず一定 なので等速円運動。 より、速さが定数になる。位置は円周上をぐるぐる回るが、速さ(スピード)は変わらない。

発展。 半径と回る速さを一般にしてみる。、 は、半径 の円を角速度 で回る運動だ。

各成分を微分すると速度は で、速さは 。半径が大きいほど、また回転が速いほど、速さは増す。今の問題は 、 だから速さ だった。

加速度は 、つまり位置ベクトルの 倍。大きさ で、向きはつねに中心を指す。これが円運動を保つ「向心加速度」だ。速度は円の接線方向(位置と直交)、加速度は中心向き、と役割が分かれている。

答

速さ (等速円運動)

別解

別解:進んだ道のりから速さを読む(苦手な人向けの視覚ルート)。 成分を微分しなくても、円周上の運動として速さが読める。

点 は原点中心・半径 の円周上にある()。時刻 での位置の角度(中心角)は、ちょうど ラジアンだ。半径 の円で中心角 の弧の長さは 。つまり時刻 までに が進んだ道のりは そのものだ。

速さは「道のりが時刻とともに増える割合」だから、道のり を で微分して 。本解の と同じ速さ 。円周を一定のペースで回る等速円運動だと、絵で見て取れる。

ポイント

  • 速さ 。
  • で速さ一定(等速円運動)。

よくある間違い

  • 速さを の和や だけで求め、大きさ(各成分の 乗の和の平方根)をとることを忘れる。
  • を のように分けてしまう。
  • 「速さが一定」を「速度ベクトルが一定」と混同する(速さは一定でも向きは刻々変わる)。

問7変曲点と点対称

★★★ 応用変曲点

問題

関数 の変曲点を求め、グラフがその点に関して点対称であることを述べよ。

ヒントを見る

変曲点は から。点対称の証明は、変曲点から左右に同じだけ離れた 点での値の平均が、変曲点の値になることを式で示せばよい。

解答・解説

方針

から変曲点を求める。 次関数のグラフは変曲点に関して必ず点対称(奇関数的対称性)になる。これを で確認する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 次関数のグラフは、変曲点に関して必ず点対称になる。

まず から変曲点を求める。次に、その点を中心に対称であることを式で確かめる。 が成り立つかを見る。「 次関数の対称の中心は変曲点」という構造を、計算で検証する。

定理 次関数のグラフは変曲点( の点)に関して点対称

① 変曲点を求める。 、。 は 。前後で符号が変わる(変曲点)。。

② 点対称を確認する。 変曲点 に関して点対称なら、 と での値の平均が になるはず()。

で計算すると

(実際、 次の項と 次の項の の奇数乗が打ち消し合う。)よって に関して点対称。

xyO変曲点(1,0)
y=x³−3x²+2 の変曲点(1,0)。グラフはこの点に関して点対称

まとめ: 次関数のグラフは変曲点を中心に 回すと自分自身に重なる(点対称)。変曲点は の点で、 の係数と の係数から でも出る(ここでは )。

発展。 この点対称は 次関数すべてに共通の性質だ。一般の でも、 から変曲点の 座標は で、グラフはこの点に関して点対称になる。変曲点で横にずらすと の項が消え、奇関数に定数を足した形になるからだ。

この対称の中心 には、もう一つの意味がある。 次方程式の解の和は (解と係数の関係)だから、その平均が 。つまり変曲点の 座標は「 つの解の平均」でもある。

いまの なら、 解は と 。平均は で、変曲点の 座標にぴったり一致する。対称の中心が解のまん中にくる、と見ると腑に落ちる。

答

変曲点 。グラフはこの点に関して点対称

別解

別解:変曲点を原点に移して奇関数にする(得意な人向けの視点)。 点対称を平行移動で「奇関数のグラフ」に帰着させる。

変曲点は 。そこで と横にずらす()。 を代入すると

右辺 は奇関数( を に変えると符号が反転する)。奇関数のグラフは原点対称だ。原点は - 座標での変曲点、つまりもとの 。だから、もとのグラフは に関して点対称。 を直接計算する本解と同じ結論を、「ずらすと奇関数」の一言で言い切れる。

ポイント

  • 次関数は変曲点に関して点対称。
  • 変曲点は の点。

よくある間違い

  • 変曲点を極値と混同し、 ではなく から求めてしまう。
  • の だけで即断し、前後で凹凸(符号)が変わる確認を省く。
  • 点対称( 回転で重なる)を線対称(左右反転)と混同する( 次関数は線対称ではない)。

問8最大の面積(文章題)

★★★ 応用最大最小文章題

問題

周の長さが の長方形のうち、面積が最大のものの面積を求めよ。

ヒントを見る

縦を文字でおくと、周の条件から横も同じ文字で書ける。面積はその文字の 次関数になるので、微分でも平方完成でも最大が出せる。

解答・解説

方針

縦を とすると、周 から横は 。面積 を微分して最大を求める。変域は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 周が一定の長方形で、面積を最大にしたい。

縦を とおくと、周の条件から横は に決まる。すると面積は 。 文字だけの式になった。あとはこれを微分(または平方完成)で最大化する。 変数を つに減らすのが、数Iから続く最適化の発想だ。

公式面積 = 縦 × 横。周の条件から 文字に減らして微分

① 面積を で表す。 縦を とすると、周 より横は 。

② 微分して最大を求める。

の前後で は正→負 なので、 で最大。

このとき縦 、横 の正方形。

縦 x面積 SO最大(12,144)
面積 S=x(24−x)。x=12(正方形)で最大 144

まとめ:「周が一定で面積最大」は正方形になる、という有名な結果。文章題は「量を 文字で表す → 変域を書く → 微分」。 は放物線で、頂点 が最大。数II の微分でも解けるが、数III の文章題の基本形でもある。

発展。 「周が一定で面積最大」の裏返しも正方形になる。面積を一定 に固定して周を最小にすると、縦 ・横 の周は 。これは 、つまり正方形のときに最小だ。

「周一定で面積最大」も「面積一定で周最小」も、答えは同じ正方形。得(面積)を増やすことと損(周)を減らすことが、同じ形で実現する。これは長方形版の等周問題だ。

周を に決めたときの最大面積は、辺 の正方形で 。 なら と、公式からも確かめられる。さらに辺の数を増やして正多角形、極限として円まで進むと、同じ周でより大きな面積が囲める。これは等周問題につながる。

答

面積最大 (縦横 の正方形)

別解

別解:相加平均・相乗平均ですぐに出す(得意な人向けの視点)。 微分をせずに、 数の和が一定なら積は等しいとき最大、という関係で片づく。

縦を 、横を とすると、和は でつねに一定。面積はこの 数の積 だ。相加平均・相乗平均の関係より

両辺を 乗して 。等号は 、すなわち のとき。だから面積の最大は で、縦横 の正方形。微分で を解く本解と同じ答え。「和が一定なら積は 数がそろったとき最大」という相加相乗の見方は、最大最小の暗算に強い。

ポイント

  • 周の条件で横を で表し、 文字に。
  • 周一定で面積最大 → 正方形。。

よくある間違い

  • 横を「」としてしまう(周は縦と横の和の 倍なので、横は )。
  • 変域 を書かず、 や負の値まで含めて考えてしまう。
  • 面積最大の長方形は細長い形だと思い込み、正方形になると気づかない。