数学II / 積分の考え

積分の考え ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 定積分(展開して計算)
  2. 絶対値を含む定積分
  3. 放物線と直線で囲む面積
  4. 放物線と水平線で囲む面積
  5. 定積分を含む関数(定数型)
  6. 定積分を含む関数(上端 x 型)
  7. 上に凸な放物線と直線で囲む面積
  8. 絶対値を含む定積分(2次)
  9. 2つの放物線で囲む面積
  10. 定積分の最小値
  11. 3次曲線と直線で囲む面積
  12. 放物線と x 軸で囲む面積(6分の1公式)

問1定積分(展開して計算)

★★ 標準定積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

このままでは積分できないので、まず展開して多項式にする。あとは項ごとに原始関数を作って代入するだけ。

解答・解説

方針

積のままでは積分できない。まず展開して多項式にしてから、各項を積分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 積 のままでは、項ごとに積分する道具が使えない。

まず展開して多項式にする。それから各項を の公式で積分する。「計算の前に、計算できる形へ整える」という手順は、微分のときとまったく同じだ。

公式積は展開してから積分する

① 展開する。

② 原始関数を求める。

③ 代入して引く。

まとめ:積分でも「積は展開してから」が基本。 のように、通分をていねいに。

発展。 「積分区間の中で符号が変わっているか」は、この先もずっと使う確認事項だ。定積分の値が欲しいだけなら符号は放っておいてよいが、面積を聞かれたら負の部分を反転して足し直す必要がある。同じ式でも、問いが「定積分」か「面積」かで処理が変わる。数IIの積分では、この区別が要になる。

なお、この後の問題で学ぶ 公式を使うと、この形( 解をもつ 次式)の定積分は交点だけから素早く出せるようになる。

答

別解

答えの が「小さい正の数」になる理由を、グラフで見ておくと定積分の意味がつかめる。 は と で 軸を横切る放物線。積分区間 の中では、 を境に前半は 軸の下、後半は上にある。

定積分は「符号付きの面積」だから、下の部分はマイナス、上の部分はプラスで数える。実際に分けて計算すると

和は 。負の部分と正の部分がほとんど打ち消し合った「差し引きの残り」が だ。定積分 面積、と思い込んでいると の小ささに戸惑う。符号付き面積という見方を持つと、計算結果の妥当性を絵で確かめられるようになる。

ポイント

  • 積は展開してから項ごとに積分。
  • 分数の計算は通分をていねいに。

よくある間違い

  • 展開せずに と を別々に積分して掛けてしまう(積分は積をバラせない)
  • 展開で中間項( の )を落とす
  • 上端・下端の代入 で引き算の順序や符号を誤る

問2絶対値を含む定積分

★★ 標準定積分絶対値

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

絶対値は、中身の符号が変わる場所で場合分けして外す。積分区間をその場所で分割し、それぞれ計算して足し合わせる。

解答・解説

方針

絶対値は中身の符号で場合分けして外す。 は で負、 で正。区間を で つに分けて、それぞれ符号をそろえてから積分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 絶対値は、中身の符号が分からないと外せない。 は を境に符号が変わる。

だから区間 を で つに割る。前半は中身が負なので 、後半は正なのでそのまま 。「絶対値の積分 符号の変わる点で区間を分割」。分割してしまえば、あとはふつうの積分が 回あるだけだ。

重要絶対値は中身の符号で場合分けして外す。区切りで積分区間を分ける

① 符号で場合分けする。 は で符号が変わる。

② 区間を分けて積分する。

③ 足す。

xyO1
y=|x−1| と x軸、0≤x≤2 の面積(x=1で折れるV字)

まとめ:絶対値つき積分は「符号の変わり目で区間を分ける」。各区間で絶対値を外し、符号をそろえてから積分する。グラフでは面積の足し算になっている。

発展。 (絶対値なし)と を並べると、両者の違いが際立つ。前者は符号付きで打ち消し合い、後者は反転して足すから打ち消しが起きない。絶対値は「打ち消しを禁止する」記号だと読める。

中身が 次(たとえば )になっても方針はまったく同じで、符号の変わる点で区間を割る。変わるのは分割点の見つけ方(因数分解)だけだ。標準問題の後半でその形を扱う。

答

別解

この積分は絵を描けば計算なしで終わる。 のグラフは、 を谷にした V 字。区間 では、左右に直角三角形が つできる。

  • 左: 底辺 (区間 )、高さ ( で )
  • 右: 底辺 (区間 )、高さ ( で )

グラフが 軸より上にあるから、定積分はそのまま面積。折れ線の積分は三角形・台形の面積で読むのが最速で、場合分けの計算の検算にもなる。

ポイント

  • 絶対値は符号の変わり目で区間を分ける。
  • 各区間で絶対値を外してから積分。

よくある間違い

  • 絶対値をそのまま外して としてしまう
  • 分割はしたのに前半の符号反転()を忘れる
  • 分割点を中身の係数や区間の中央など、符号の変わる点以外に置く

問3放物線と直線で囲む面積

★★ 標準面積6分の1公式

問題

放物線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

交点を求めて『上 − 下』の定積分、が基本ルート。放物線と直線の囲む面積には、交点の 座標の差だけで書ける便利な公式もある。使うなら、前提(係数)を確認すること。

解答・解説

方針

交点を求め、区間で「上(直線)− 下(放物線)」を積分する。放物線と直線で囲む面積は、 公式 を使うと速い( は交点の )。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 囲まれた部分の面積は、「上の曲線 下の曲線」を交点から交点まで積分する。だから最初の仕事は交点探しだ。

を解いて 。この区間では直線が上にいる。

さらに、放物線と直線の囲む面積には 公式という近道がある。交点の 座標 さえ分かれば、積分を実行せずに面積が出る。まず正直に「上 下」で立式し、その結果として公式を確かめる、という順で身につけよう。

定理 公式:放物線と直線が で交わるとき、囲む面積 ( は の係数)

① なぜこの公式で面積が出るのかを確かめる。 放物線と直線で囲む面積は「(上の式)(下の式)」の定積分。その差は必ず ( は交点)の形になり、これを積分すると

となる(この積分は必ずこの値。展開して計算すれば確かめられる)。面積は正の大きさなので絶対値をつけて 。だから交点の の差を3乗して6で割るだけで面積が出る。

② 交点を求める。 より 、、。

③ 公式にあてはめる。 の係数は 、。

xyO(2,4)
y=x^2 と y=x+2 で囲む面積(1/6公式=27/6=9/2)

(ふつうに計算しても同じ:。)

まとめ: 公式の中身は「」という等式だ。上下の差が必ず になるから、交点の差 さえ分かれば展開・積分を丸ごと省ける。

発展。 公式の中身は という恒等式だ。面積が交点の幅 だけで決まることに注目する。直線の傾きを変えても、交点の幅が同じなら面積は同じになる。直感に反するが、公式からそう言える。

この「幅の 乗に比例」という構造は、放物線と接線・放物線どうし・面積の最小問題まで貫いて現れる。公式を暗記でなく「差関数の積分の閉じた形」として持っておくと、応用が全部つながる。

答

別解

「 本のグラフの囲み」を「 本のグラフと 軸の囲み」に言い換える見方を紹介する。上下の差を つの関数にまとめてしまう。

もとの図で「直線と放物線のすき間の縦の長さ」が、新しい図では「 の高さ」になる。だから求める面積は、 と 軸が囲む面積と完全に同じだ。交点 は の解に対応する。

は上に凸の放物線で、 で 軸の上。よって

曲線の問題はいつでも「差関数 本」の問題にまとめられる。 公式が「放物線と直線」でも「放物線 つ」でも同じ形で使えるのは、どちらも差が 次式だからだ。

ポイント

  • 放物線と直線の面積は (係数が のとき)。
  • は交点の の差。

よくある間違い

  • 公式の を と誤って覚える
  • 上下を逆に引いて面積が負になる(どちらが上かは区間内の 点で確かめる)
  • 交点の 座標でなく 座標を に使ってしまう

問4放物線と水平線で囲む面積

★★ 標準面積6分の1公式

問題

放物線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

水平な直線も直線の一種。交点を求めて、どちらが上かを確認すれば、あとは基本どおり。左右対称に気づくと計算が半分になる。

解答・解説

方針

交点を求め、区間で「上(直線 )− 下(放物線)」を積分する。 公式も使える()。偶関数の対称性で としてもよい。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 相手が水平線でも、話は変わらない。水平線 も直線の一種だからだ。

交点は から 。区間 では水平線が上。道は つある。 公式()か、左右対称を使って にするか。どちらでも同じ答えになる。面積問題では解き方を複数もっておき、速い方を選ぶとよい。

定理 公式:面積

① 交点を求める。 より 。

② 公式にあてはめる。 の係数 、。

xyO(-2,4)(2,4)
y=x^2 と y=4 で囲む面積(1/6公式=64/6=32/3)

(対称性で と計算しても同じ。)

まとめ:水平線 でも 公式はそのまま使える。交点の差 を 乗して で割るだけ。偶関数なら の対称計算も手軽だ。

発展。 アルキメデスはこの を「取り尽くし法」(弓形の中に三角形を無限に詰めていく方法)で証明した。三角形の面積が 倍ずつの等比数列になり、その無限和が 倍(内接最大三角形の)になる。無限等比級数(数III)と積分の原型が、紀元前の幾何にすでにあった。

偶関数の対称性 も、今回確かめた道具のひとつだ。計算量を半分にするだけでなく、奇関数なら とすぐに判断できる。こうして、定積分を「計算する前に構造で見る」習慣がつく。

答

別解

古代ギリシャのアルキメデスが(積分の誕生より 年前に)見つけた定理を使うと、この面積は暗算で出る。放物線の弓形(放物線と弦で囲まれた部分)の面積は、外接する長方形のちょうど 。

今回の弓形を囲む長方形は、幅 ( から )、高さ ( から )で面積 。だから

公式の答えと一致する。実はこの つは同じ事実の言い換えで、 に長方形の寸法(幅 、高さは放物線だと幅の 乗に比例)を入れると 倍の関係が出てくる。

「放物線は長方形の 分の を占める」と、グラフの膨らみ具合を数で覚えておくと、答えの検算がすぐにできる。

ポイント

  • 水平線でも 公式が使える。
  • 偶関数なら でもよい。

よくある間違い

  • 対称性で にしたのに、中身を「上 下」()でなく だけにする
  • 交点 の片方だけで積分区間を と誤る(対称利用と混同)
  • 公式で を (片側の幅)としてしまう(正しくは )

問5定積分を含む関数(定数型)

★★ 標準定積分で表された関数

問題

関数 が を満たすとき、 を求めよ。

ヒントを見る

積分区間が数字だけの定積分は、中身が何であれ『ただの定数』。それを文字でおくと の形が具体的に書ける。おいた文字が満たすべき等式を自分で作るのがいちばん大事なところだ。

解答・解説

方針

は について積分した結果なので、 を含まない定数。これを とおくと 。この式を使って を計算し、 の方程式を作る。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 式の中の をどう扱うか。これは について積分し切った結果だから、 を含まないただの定数だ。

見た目に惑わされず、 と 文字においてしまう。すると となり、 は「定数 を含む 次式」だと分かる。

あとは 自身の定義 に、この を代入する。 が両辺に現れる方程式ができて、 が決まる。「定積分は定数とおく」ことに気づけば解ける。

重要 は定数。これを とおいて方程式を作る

① 定数部分を文字でおく。 とおくと、与式は

② の式を作る。 この を の定義に代入する。

③ を解く。

④ を書く。 。

まとめ:上端・下端が定数の定積分はただの数。 とおけば が 入りの式になり、 の定義に戻して方程式を解ける。「積分の中身に未知の が入っても、計算すれば の 次式になる」のがポイント。

発展。 この問題の構造は「 の定義の中に 自身が入っている」自己参照だ。それでも解けたのは、自己参照している部分が定数 個に絞られていたからだ。未知の関数全体でなく、未知の数 つの方程式にまとまる。

積分の中身が や に変わると、定数のおき方が 個以上に増える(応用問題で登場する)。それでも「定積分の部分を文字でおく」方針は変わらない。定数が増えて、連立方程式になるだけだ。

答

別解

先に「答えの形」を読み切ってしまう見方もある。右辺は の形。だから は傾き の 次関数に決まっている。切片だけが未知だ。そこで とおく。もとの式に入れると

より 。よって 。検算もしておこう。 だから、右辺 となって左辺と一致する。自己参照の式をきちんと満たしている。

「積分の中身をおく」(本解)か「関数の形をおく」(この別解)か。どちらも未知を 文字に絞る発想で、複雑な積分方程式ほど、形を先に読んでおくことが役に立つ。

ポイント

  • は定数 → とおく。
  • を の定義に代入して を解く。

よくある間違い

  • を の関数と思って両辺を微分してしまう(上端が数字なら定数)
  • の右辺で、 の積分( がそのまま残る)を忘れる
  • を求めた後、 の 倍を忘れて とする

問6定積分を含む関数(上端 x 型)

★★ 標準定積分で表された関数

問題

関数 と定数 がすべての で を満たす。 と の値を求めよ。

ヒントを見る

両辺を で微分すると何が起きるか。左辺の形に注目する。もう つ、上端と下端が一致する を代入すると左辺が になる、という事実も使う。この 本立てで解く。

解答・解説

方針

つの関係を使う。(1) 両辺を で微分すると左辺は になる → が出る。(2) を代入すると左辺は → の方程式ができる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 上端が の積分方程式には、使える関係が つある。

つ目は微分。 を で微分すると に戻る。右辺も微分すれば、 が求まる。

つ目は代入。 を入れると左辺は 。だから右辺も になり、これが の方程式になる。

「微分して 、代入して 」の二段構え。未知が つ( と )だから、関係も つ使う、と覚えると忘れない。

定理、また

① 両辺を で微分して を出す。 左辺は公式より 、右辺は 。

② を代入して を出す。 左辺は 。

まとめ:「上端 の定積分 = 式」は つの方法で解く。微分すると被積分関数 が、下端 を代入すると から の方程式が出る。この 段が基本の手順だ。

発展。 「上端 の積分を微分すると中身に戻る」は、微分積分学の基本定理と呼ばれる、微分と積分が互いに逆であることの正確な表現だ。数IIでは道具として使うが、数III・大学ではこの定理そのものを詳しく学ぶ。

もし右辺が (実数の根なし)だったら、 を満たす実数 がなく、問題は成立しない。「 が存在するためには、右辺が実数の根をもつ必要がある」と問題の設計を逆向きに見ると、代入条件 の意味がいっそうはっきりする。

答

、 または

別解

の方程式 を解く場面を、因数分解の目で先取りできる。右辺を因数分解してみると

「 で右辺が 」という条件は、 が右辺の根であることと同じだ。因数分解した瞬間、 と が読み取れる。なぜ つとも正解なのかも、原始関数の目で見ると明快だ。 の原始関数のひとつを とすると

が になりさえすれば( でも でも )、右辺 と一致する。スタート地点 は か所のどちらでもよい。積分の下端は「どこから測り始めるか」を表していて、同じ高さの地点が つあるだけだ。

ポイント

  • 微分 → が求まる。
  • 代入 → から が求まる。

よくある間違い

  • 微分だけで満足して を求め忘れる(未知は と の つ)
  • の代入で左辺を でなく としてしまう( は幅 の積分)
  • の 次方程式の解の片方を根拠なく捨てる(今回はどちらも有効)

問7上に凸な放物線と直線で囲む面積

★★ 標準面積6分の1公式

問題

放物線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

交点を求めて『上 − 下』。上に凸の放物線が相手でも、やることは変わらない。公式を使うなら の係数の絶対値に注意。

解答・解説

方針

交点を求め、 公式を使う。上に凸( の係数が負)でも、公式は の係数の絶対値 を使えばそのまま成り立つ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 放物線が上に凸( の係数が負)に変わったが、やることは同じだ。交点を求め、 公式に入れる。

公式の一般形は 。凸の向きは係数の絶対値をとることで処理される。交点は から 。今回は放物線が上、直線が下だ。どちらが上かは、区間内の 点(たとえば )で値を比べれば確かめられる。

定理 公式:面積 ( は放物線の の係数、符号は絶対値で吸収)

① 交点を求める。 より 、、。

② 公式にあてはめる。 の係数は なので 、。

xyO(1,3)
y=-x^2+4 と y=x+2 で囲む面積(1/6公式=27/6=9/2)

まとめ:上に凸の放物線でも 公式は使える。係数の絶対値 を使うのがコツ。放物線が上か下かは面積の値には影響しない( の差だけで決まる)。

発展。 「面積は と幅だけで決まる」を逆手に取ると、設計の問題が解ける。たとえば「 と の囲む面積が になる 」のような逆算は、公式を と読み替えて、幅 を作る条件に直せばよい。

また、直線を平行移動して放物線に接する極限では幅 、面積 。 公式は接する瞬間まで連続的に正しい。「接線とのすき間の面積」を扱う応用問題は、この極限の一歩手前を見ている。

答

別解

この答え は下に凸の基本問題( と )とまったく同じ値だ。偶然だろうか。差関数を見比べると種が割れる。

  • 下に凸の問題: 差 、交点 、幅
  • 今回: 差 、交点 、幅

次の係数の大きさが同じ()で、交点の幅も同じ()。 公式は面積を と言っているから、この つの数字が同じなら、見た目がどう違っても面積は同じになる。

凸の向き、頂点の位置、直線の傾きなど、図の印象を決める要素のほとんどは面積に影響しない。面積に影響するのは「差関数の曲がり具合と交点の幅」だけ。公式は面積を決める情報を つの数にまとめている。

ポイント

  • 上に凸でも 公式( を使う)。
  • 面積は の 乗で決まる。

よくある間違い

  • 上に凸だからと 公式に を符号ごと入れて面積を負にする(公式は )
  • 移項のとき を に直す途中で符号を崩す
  • どちらが上かを確認せず「放物線 直線」か「直線 放物線」かを勘で選ぶ

問8絶対値を含む定積分(2次)

★★ 標準定積分絶対値

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

中身の符号が変わる点が、積分区間の内側にある。そこで区間を割って、それぞれの区間で絶対値を正しく外してから積分しよう。

解答・解説

方針

の符号で場合分けする。 で負、 で正。区間を で分け、負の区間は符号を反転してから積分する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 絶対値の中身 の符号を最初に調べる。 だから、区間 の中で符号が変わるのは だけ( は区間の外)。

で負、 で正。だから で区間を割り、前半は 、後半はそのまま を積分する。中身が 次になっても「符号の変わる点で分割」の型は 次のときと同じだ。

重要絶対値は中身の符号で場合分け。 は で符号が変わる

① 符号で区間を分ける。 では、 は で負、 で正。

② それぞれ積分する。

③ 足す。

xyO1
y=|x²−1| と x軸、0≤x≤3 の面積(x=1で折り返す)

まとめ:絶対値つき積分は「符号の変わり目 で区間を分ける」。負の区間では中身を反転()してから積分する。分けさえすれば、あとはふつうの定積分だ。

発展。 と の差 は、負の部分の面積 のちょうど 倍。この関係を一般に書くと となり、絶対値の積分の仕組みを表す式になる。

グラフで言えば、 は の 軸より下の部分を上へ折り返したもの。「 倍」は、折り返しで面積が増える分を表している。式の補正と絵の折り返しが同じことを言っている。

答

別解

「まずそのまま積分し、あとで直す」という補正方式もある。絶対値を無視した積分は簡単だ。

この は の負の部分を「マイナスのまま」足してしまった値。正しい絶対値の積分ではその部分をプラスで数えたい。マイナスをプラスに直すには、その部分の大きさを 倍して足し戻せばよい( を にする差は )。

負の部分の大きさは

よって

分割方式と同じ答え。分割数が多い問題ほど「全体をまとめて積分 負の部分 」の補正方式が役に立つ。

ポイント

  • の符号の変わり目 で分ける。
  • 負の区間は中身を反転してから積分。

よくある間違い

  • 符号の変わる点を無視して と答える
  • も分割点だと思い、区間外まで場合分けして混乱する(分割点は区間内の符号変化だけ)
  • 前半の積分値 を符号反転せず のまま合計する

問92つの放物線で囲む面積

★★ 標準面積6分の1公式

問題

つの放物線 と で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

つの放物線の交点を求め、区間内でどちらが上かを 点代入で確かめる。差をとった式の の係数が、公式を使うときに必要になる。

解答・解説

方針

交点を求め、「上 − 下」を積分する。 放物線の場合も、引き算した式が 次式になるので 公式が使える(このとき は引き算後の の係数)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 相手が放物線 つになっても、面積の作り方は変わらない。交点を求め、「上 下」を積分する。

から交点は 。区間内では が上だ。引き算した差 は 次式。差が 次式なら 公式が使える。ただし には引き算した後の の係数()を使う。ここが放物線どうしのときの注意点だ。

定理 放物線でも、引き算した 次式の係数 で 公式:面積

① 交点を求める。 より 、、。

② 上下と差を出す。 で (上は )。差は

の係数は なので 。

③ 公式にあてはめる。 。

xyO(1,1)
y=x^2 と y=2x-x^2 で囲む面積(|a|=2、1/6公式=2/6=1/3)

まとめ: 放物線で囲む面積も、引き算した 次式に 公式。係数 は差の の係数(ここでは )を使う。上 − 下 で 次式が残れば公式圏内だ。

発展。 曲線の平均が直線になったのは偶然ではない。 の係数が と で、符号が逆で大きさが同じだから、平均で 次の項が消えたのだ。この条件を満たす放物線ペアの囲みは、いつも「中央の直線」で二等分される。

さらに、 つの放物線は交点の中点 について互いに点対称でもある。凸の向きが逆で形が同じ放物線は、回転させると重なる。レンズ形が釣り合って見えるのは、この対称性があるからだ。

答

別解

このレンズ形には、まん中に直線が隠れている。 つの放物線の「平均」をとってみる。

どの でも、 曲線のちょうど中間の高さは直線 の上にある。つまりレンズは直線 で上下対等に切られていて、上半分と下半分の面積が等しい。そこで半分だけ計算する。下半分は と の囲み(差は 、交点 )で

レンズ全体はその 倍で 。 公式の が担っていた「 倍」は、この対称性の 倍だったと分かる。図形の対称を先に見つけると、計算と意味が同時に手に入る。

ポイント

  • 放物線でも「上 − 下」の 次式に 公式。
  • は引き算後の の係数。

よくある間違い

  • 公式の に、引き算後の係数 でなく元の放物線の係数 を使う
  • どちらの放物線が上かを確かめず逆に引く(区間内の 点で値を比べる)
  • 交点を でなく片方の放物線と 軸で求めてしまう

問10定積分の最小値

★★ 標準定積分最小値

問題

定積分 を最小にする定数 の値と、そのときの最小値を求めよ。

ヒントを見る

で積分している間、 はただの定数。積分し終わると、今度は の 次式が残る。ここからは、考える変数が入れかわる。あとは 次関数の最小値の問題。

解答・解説

方針

まず を定数とみて積分を実行すると、結果は の 次式になる。その 次式を平方完成して、最小にする を求める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 見た目は積分の問題だが、 は積分の中ではただの定数。まず積分を実行してしまえば、 は消えて だけの式が残る。

つまりこれは「 の 次関数の最小値」という、よく知っている問題への変装だ。平方完成すれば頂点が読める。「積分を実行して、変数を つに減らす」のが、積分と最大最小の融合問題の定跡である。

重要積分を実行すると の 次関数になる。平方完成で最小を求める

① を定数とみて積分する。 。

② の 次式を平方完成する。

③ 最小を読む。 のとき最小、最小値は 。

xyO最小(a=1/2)
∫₀¹(x−a)²dx=a²−a+1/3。a の2次関数として a=1/2 で最小 1/12

まとめ:積分の中に文字 があっても、 を定数とみて積分すればよい。結果は の 次関数になるので、あとは平方完成で最小を求めるいつもの流れだ。

発展。 「距離 の合計を最小にする点を探す」考え方は最小二乗法と呼ばれ、データに直線を当てはめる回帰分析・測定誤差の処理・機械学習の学習則まで、現代の応用数学で広く使われている。今回の 変数版はその最小単位だ。

乗でなく絶対値 を最小にすると、答えはやはり だが、こちらは「中央値」の連続版。 乗で測れば平均、絶対値で測れば中央値になる。ずれの測り方によって、最適な代表点の意味が決まる。

答

のとき最小値

別解

答え が「区間 のまん中」なのは偶然ではない。 は「点 と点 の距離の 乗」。積分は区間全体でその距離 をかき集めたものだから、この問題は

「区間 のすべての点から、 乗の意味でいちばん近い場所 はどこか」と読める。答えは区間の重心(平均) だ。端に寄ると反対側の端との距離 が大きくなるので、まん中で釣り合う。

これはデータの分析で学ぶ「偏差の 乗和は平均のところで最小」とまったく同じ構造だ。あちらはとびとびのデータ、こちらは連続な区間という違いだけで、 乗のペナルティは平均が最小にする、という法則は共通している。

最小値 にも名前がある。区間 上の一様な分布の分散は である。統計の教科書に出てくるこの定数と、いま平方完成で出した値は同じものだ。

ポイント

  • を定数として積分 → の 次関数。
  • 平方完成で最小の と最小値を出す。

よくある間違い

  • を の 次式として平方完成してしまう(最小化の変数は積分後の )
  • 展開後の の積分を でなく とする( の積分が )
  • 最小にする だけ答えて最小値 を書き忘れる(またはその逆)

問113次曲線と直線で囲む面積

★★ 標準面積対称性

問題

曲線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

交点が つ出る。囲まれた部分は つできるが、図形の対称性に気づけば、片方だけ計算して済ませられる。

解答・解説

方針

交点を求めると つある。囲まれた部分は原点をはさんで つに分かれるが、原点対称なので面積は等しい。片側を求めて 倍する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 交点を求めると から の3つ。囲まれた部分は原点をはさんで左右に つできる。

ここで上下関係に注意。右側()では が上、左側()では が上。区間ごとに「上 下」が入れ替わる。

ただし も も原点対称(奇関数)だから、 つの部分は合同で面積が等しい。片側だけ計算して 倍すれば、入れ替わりの面倒ごと自体を避けられる。

公式原点対称な図形は、片側の面積を 倍する

① 交点を求める。 より 、、。

② 対称性を使う。 では (直線が上)。図形は原点対称なので、 の面積を 倍すればよい。

xyO
y=x^3 と y=x で囲む面積(原点対称、2∫[0→1](x−x^3)dx=1/2)

まとめ:交点が つある図形は、原点対称を利用して片側 × で計算する。(奇関数)と (奇関数)の差も奇関数なので、原点対称になる。

発展。 「対称だから片側 」と「そのまま積分すると 」は、同じ対称性の表と裏だ。奇関数の積分 は打ち消しの現れで、面積が欲しいときは打ち消される前に絶対値をとる()必要がある。定積分と面積の区別が試される代表例だ。

次曲線と直線の囲みには、 公式の親戚として 公式( 次と接線の囲み)や、今回のような 交点型の対称利用がある。「差の式の次数と根の配置」で使う道具が決まる、と整理しておくとよい。

答

別解

右側の面積 は、 つの「知っている面積」の引き算として絵で読める。

  • の下( から まで): 直角三角形で
  • の下:

囲まれた右側のローブは、三角形から曲線の下の部分をくり抜いた残りだから

全体はその 倍で 。「差の積分」を機械的に実行する代わりに、面積を図形の足し引きに分解する。三角形・長方形などの基本図形が混ざる面積問題では、この読み方で計算が軽くなり、値の妥当性(三角形 より小さいはず)も確認できる。

ポイント

  • 交点 つ、原点をはさんで つの領域。
  • 原点対称 → 片側 。

よくある間違い

  • を面積としてしまう(左右で符号が打ち消される。面積は片側 )
  • 交点を だけとして の左ローブを落とす
  • 次だからと 公式を当てはめる(公式は差が 次式のときだけ)

問12放物線と x 軸で囲む面積(6分の1公式)

★★ 標準面積6分の1公式

問題

放物線 と 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。

ヒントを見る

軸との交点を求めれば、囲む区間が決まる。 軸も『直線 』とみなせば、放物線と直線の面積の考え方がそのまま使える。

解答・解説

方針

軸()との交点を求める。 公式は「放物線と直線」で使えるので、直線を 軸()とみればそのまま適用できる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 軸と囲む」は「直線 と囲む」と読み替えられる。 軸も直線の一種だと見れば、 公式がそのまま使える。

交点は から 。もうひとつだけ確認。区間 で放物線は 軸の下にある(下に凸で両端が根だから、間では負)。面積にするには「上() 下(放物線)」の向きで立式する。公式なら 、幅 で即答できる。

定理 公式は「放物線と直線」全般で使える( 軸も直線 )

① 交点を求める。 より 、。

② 公式にあてはめる。 軸を直線 とみる。、。

xyO02
y=x^2-2x と x軸で囲む面積(1/6公式=8/6=4/3)

③ なぜ 軸の下でも正の面積が出るのか。 この区間では放物線は 軸の下にあり、ふつうに を計算すると と負になる(向きの符号)。しかし 公式は係数に絶対値 がついているので、この符号を吸収して面積の大きさ をそのまま返す。だから上下を気にせず使える。

まとめ:「放物線と 軸」は「放物線と直線 」と同じ。 公式は があるので、曲線が 軸の上でも下でも面積の大きさを正で返す。交点の差 を3乗して6で割るだけだ。

発展。 別解の平行移動は「積分の置換」の最も簡単な形だ。図形を動かしても面積が変わらないことを、式の上では という変数の付け替えが保証している。数IIIの置換積分では、この「付け替え」が伸び縮みまで含む形に一般化される。

また、 軸との囲みは「 つの根の間で符号が一定」という特別な状況でもある。根が つ以上ある高次式や、区間の途中で軸をまたぐ場合は、符号ごとに区間を割る。絶対値の積分と同じ注意が、そのまま面積問題でも必要になる。

答

別解

グラフを動かしてから積分する、という手もある。 の頂点は 。グラフ全体を左へ ずらして、頂点を 軸の上に載せる( とおく)。式は

軸との交点は 。左右対称になったから、面積は

平行移動しても面積は変わらない。軸対称の位置へ動かしてから積分すると、偶関数の対称性()が使えて計算が軽くなる。頂点の座標がきれいな放物線の面積なら、いつでも使える方法だ。

ポイント

  • 軸も直線()。 公式が使える。
  • 公式は面積の大きさを直接くれる(符号を気にしない)。

よくある間違い

  • 放物線が 軸の下にあるのを見落とし を面積と答える
  • 交点 と頂点の 座標 を混同して区間を誤る
  • 公式は「放物線と直線」専用と思い込み、 軸で使えることに気づかない