数学II / 三角関数

三角関数 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 扇形の周と面積の最大
  2. tan から sin・cos
  3. 三角関数の式の簡約
  4. グラフの振幅・周期・平行移動
  5. 三角方程式(2倍角)
  6. 三角不等式
  7. 2直線のなす角
  8. 2倍角・半角
  9. 三角関数の合成
  10. 合成を利用する最大・最小
  11. sinθ+cosθ の置換
  12. 積和の公式

問1扇形の周と面積の最大

★★ 標準弧度法扇形最大最小

問題

周の長さが の扇形のうち、面積が最大になるものの半径と、そのときの面積を求めよ。

ヒントを見る

周の長さの条件から、弧の長さを半径の式で表す。すると面積が半径だけの関数になる。その式の形をよく見れば、最大値の求め方はもう知っているはずだ。

解答・解説

方針

半径 、弧長 とおく。周は なので を で表せる。面積 を の2次式にして、頂点で最大にする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 変数が半径 と弧長 の2つに見えるが、周の条件 を使えば1つを消せる。

を面積 に入れると、 は の2次関数だ。あとは平方完成して頂点で最大。定義域( も も正、つまり )に頂点が入っているかの確認も忘れずに。

公式扇形の周 、面積 ( は弧長)

半径 、弧長 とおく。周が なので

面積は

の2次関数として、 のとき最大 。(このとき 、中心角 ラジアンで、扇形として成り立つ。)最大の面積は 。

rℓ
扇形:周=2r+ℓ、面積=½rℓ

発展。 最大の扇形の中心角は ラジアン。半径や周の長さを変えても、この「2ラジアン」は変わらない普遍の答えだ。弧度法だからこそ、こんなに簡潔に言える。

「周一定の図形で面積最大」をどんな図形の中で考えても、答えは円になる(等周問題)。扇形や長方形での最大化は、その問いの小さな場合にあたる。

答

半径 、面積

別解

「和が一定 → 積は半々で最大」の相加平均・相乗平均でも、展開なしで落ちる。面積は と、和の部品 と の積で書ける。(一定)だから、相加相乗より

よって 。等号は 、つまり のときで、範囲 に確かに入っている。答えの配分「半径2本ぶん()と弧()が周をちょうど半分ずつ使う」ことが、不等式の等号条件として分かる。花だんの面積の問題(2次関数)と同じ形だ。

ポイント

  • 周の条件で弧長を消し、面積を の2次関数に。
  • 扇形の面積は (弧長を使う形)が便利。

よくある間違い

  • 扇形の周を弧だけ()や と誤り、 にしない
  • 定義域 ( の条件)の確認を飛ばす
  • 最大時の中心角( ラジアン)まで問われたときに単位を度で答える

問2tan から sin・cos

★★ 標準相互関係

問題

が第3象限の角で、 のとき、、 の値を求めよ。

ヒントを見る

から出発するときに使える相互関係がもう 本あった( と を結ぶもの)。大きさが出たら、象限で符号を確定してから へ進もう。

解答・解説

方針

から の大きさが出る。符号は第3象限で決める()。 は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) から他の2つへ渡る橋は、相互関係 だ。

これで が出る。2乗から戻すときの符号は、式ではなく「第3象限」という情報が決める()。 は の掛け算で仕上げる。値の計算と符号の決定を、別々の仕事として処理するのが安全だ。

公式

を入れる。

第3象限なので 。

より

第3象限で とも合う。

xyO(−1/√5,−2/√5)
第3象限の点(cos<0, sin<0)。tanθ=2

発展。 が同じ値でも、角は第1象限と第3象限の2か所にある( の周期は で、・ の半分)。「象限の指定がなければ答えは2組」という構造まで見えれば、この型は完成だ。

三角形で大きさ・絵で符号、という分業は数学I の鈍角の三角比から一貫している。単位円が座標平面の全象限に広がった今も、作法は変わらない。

答

、

別解

「絶対値は三角形、符号は絵」と分業する方法が、いちばんミスが少ない。 は「縦 ・横 」の傾き。辺の比 の直角三角形を描けば、大きさだけなら

と読み取れる(斜辺 分の、縦と横)。次に符号。第3象限は単位円の左下だから、 座標()も 座標()も負。

公式ルートと同じ答えだ。 が正なのに 、 がともに負という一見意外な組み合わせも、「負÷負=正」と絵で腑に落ちる。

ポイント

  • から は 。
  • 第3象限:、、。

よくある間違い

  • 符号を象限で決めず、正の値のまま答える
  • の左右を取り違える
  • の掛け算で、負×負の符号処理を誤る

問3三角関数の式の簡約

★★ 標準三角関数の性質

問題

を簡単にせよ。

ヒントを見る

つの項をそれぞれ単位円の対称性で書き換える。 型は と が入れかわるタイプだ。図で確認しながら 個ずつ処理する。

解答・解説

方針

それぞれを性質の公式で か に直す。 は に変わる。あとは足し合わせる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 角のずらしの公式は2家族に分かれる。、 の家族は関数名がそのまま。 の家族は と が入れかわる。

「 がらみは名前が変わる」とまず分類してから、符号を単位円で確かめる。3項をそれぞれ公式で書き直して足し合わせれば、打ち消しが起きて簡単な形に落ちる。

公式、、

それぞれを直す。

足し合わせると、 と が消えて

発展。 ずらしの公式は全部で十数個あるように見えるが、暗記は不要だ。単位円で「点がどこへ写るか」( は原点対称、 は 軸対称、 は直線 対称)を描けば、その場で全部復元できる。

さらに上の統一原理が加法定理だ。 を加法定理で開けば が機械的に出る。次の単元で学ぶ加法定理から、これらの公式はすべて導ける。

答

別解

公式変換の前に、具体角で「答えの値」を先に知っておく手がある。実験と証明の分業だ。 を入れてみる。

。答えは になりそうだ、と予想が立つ。あとは公式で各項を書き直して()、予想どおり を確定させる。

具体角の実験は変換の途中で符号を1つ間違えると、すぐに「予想とずれた」と気づける。この型の問題では、実験1回を先にやる習慣が符号ミスを大きく減らす。

ポイント

  • は が入れかわる。
  • 1つずつ直してから足すと、消える項が見える。

よくある間違い

  • 型(名前が入れかわる)と 型(入れかわらない)を混同する
  • 関数名は変えたのに符号の確認を忘れる(単位円で毎回確かめる)
  • 具体角での検算をせず、符号ミスに気づかないまま提出する

問4グラフの振幅・周期・平行移動

★★ 標準三角関数のグラフ

問題

関数 の振幅、周期を求めよ。また、 をどのように平行移動したものか答えよ。

ヒントを見る

振幅と周期は係数から読める。平行移動を読むときは、中身を『』の形にくくり直すのが原則だ。くくらずに読むと移動量を間違える。

解答・解説

方針

の形で読み取る。振幅は 、周期は 。中身を とくくると平行移動量がわかる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の形から、3つの情報を順に読む。

振幅は 。周期は 。平行移動だけは即読みできない。中身を でくくって と直すと、「 軸方向に 」が正しく現れる。 のままでは移動量を読み違える。

公式:振幅 、周期 、 軸方向に 平行移動

、、。

振幅は 。周期は

平行移動は中身を でくくる。

よって を 軸方向に (右へ )平行移動したもの。

xyO
y=2sin2θ(青破線)を右へ π/6 動かした y=2sin(2θ−π/3)(赤)

発展。 「中身の係数でくくってから移動量を読む」のは、2次関数 の軸が であるのと同じ文法だ。関数の種類によらない、置きかえの一般規則である。

と定数 が付けば上下の移動も加わる。振幅・周期・位相・中心線の4つは、音や電気の波を記述するときにも、そのまま使われている。

答

振幅 、周期 。 を 軸方向に 平行移動

別解

「波の出発点を追う」と、くくり忘れのミスが起きない。 の波は、中身が になる所から上りで始まる。この「出発点」を探そう。 を解くと 。つまりこの波は からスタートする。

比較対象の の出発点は 。出発点が から へ移っているから、平行移動量は 。これが答えだ。

「係数をくくる」代数の操作と、「出発点のずれを測る」波の観察は同じことをしている。グラフを描く問題では、この出発点(と、そこから周期の ずつ刻んだ山・ゼロ・谷)を打つのが実践的な描画手順にもなる。

ポイント

  • 周期は ( が横の縮み具合)。
  • 平行移動量は中身を とくくった 。

よくある間違い

  • 平行移動を とする( でくくった が正しい)
  • 周期を のままにする( で半分の )
  • 振幅を など符号つきで答える(振幅は )

問5三角方程式(2倍角)

★★ 標準三角方程式2倍角

問題

のとき、方程式 を解け。

ヒントを見る

左辺の を の式に直すと、両辺に共通の因数が現れる。割りたくなるが、割ると解を失う。移項して積の形にするのが安全だ。

解答・解説

方針

を2倍角で に開く。すると全体を でくくれて、因数分解 = 0 の形になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 左は 、右は 。角がそろっていない方程式は、まず角をそろえる。

と2倍角で開けば、全体が だけの式になる。移項して とくくる。ここで で「割る」と解が消える。「割らずにくくる」がこの型の合言葉だ。

公式2倍角 で次数をそろえ、因数分解する

① を開いて、両辺を同じ形にそろえる。 左辺の を2倍角で開くと、両辺とも を含む形になる。

② 移項して、共通の でくくる。 ここで両辺を で割ってはいけない。割ると の解が消えてしまう。移項してくくるのが安全だ。

③ 積が なので、各因数が の場合を解く。 または 。

  • ( 座標が 、単位円の真上・真下)から
  • (高さが )から
xyOπ/65π/6π/23π/2
cosθ=0 と sinθ=1/2 になる4つの角

4つを合わせて

まとめ: が混じったら2倍角で開き、共通因数でくくって「積 」に持ち込む。両辺を割って解を落とさないことが最大の注意点。

発展。 「割らずにくくる」は文字の方程式 で で割ってはいけないのと同じ原理だ。割る数が の可能性がある限り、割り算は解の削除になる。

別解の「 の2系統」は方程式の解を全部の実数から拾う一般解の考え方で、数IIIでも周期現象の解析でも標準の道具になる。範囲を に絞るのは、その一般解から窓で切り出す作業である。

答

別解

右辺を で表して、「 型」で解く道もある。 だから、方程式は

どうしが等しいのは、角が一致するか、 から引いた補角になるかの2通り( の自由つき)。

  • から 。範囲内で 。
  • から 。範囲内で 。

合わせて4解。因数分解ルートと一致する。「同じ の値になる角は2系統」という単位円の対称性を、一般解の形で使い切る解法である。

ポイント

  • を開くと が共通因数に。
  • 両辺を で割らない(解を落とす)。くくって積=0。

よくある間違い

  • 両辺を で割って、 の解(、)を消してしまう
  • 2倍角の展開先を 側にして、くくれず遠回りする
  • 解を求めたあと、単位円で個数(4個)を見渡す確認をしない

問6三角不等式

★★ 標準三角不等式

問題

のとき、不等式 を解け。

ヒントを見る

まず について解いた形に直す。単位円で『高さがその値以上』の部分を塗ると、 の範囲がそのまま読める。

解答・解説

方針

に直す。単位円で高さ( 座標)が 以上の角の範囲をさがす。境界は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) まず の形に変形し、三角関数だけを片側に残す。

単位円で は点の高さ( 座標)だ。「高さが 以上」の円弧を探せばよい。境界は となる と 。その間の上側の弧が答えの範囲になる。

重要三角不等式は単位円で、条件を満たす角の範囲を読む

を直すと 。単位円で 座標が 以上の点。境界 は と 。高さが 以上なのは、この2つの角の間(上側)。

xyOπ/65π/6
高さ 1/2 以上の角の範囲(π/6 〜 5π/6)

発展。 なら「横位置」の読みになり、範囲が をまたいで2つの弧(つなげれば1つ)になる。関数によって範囲の「割れ方」が変わることを、単位円の縦読み・横読みで体感しておきたい。

角が や になっている不等式は、まずその塊の範囲を解いてから に戻す2段構えになる。置きかえの型( の範囲を解いて戻す)がここでも基本になる。

答

別解

波形グラフで読む方法も同じ答えを別の絵で見せてくれる。 の波( の1周期)を描き、水平線 を引く。波が水平線の上に出ている区間が、答えの範囲だ。

波は で線を上に横切り、山()を越えて、 で下に横切る。だから

単位円は「角と値の対応」が正確に読め、波形は「範囲のつながり方」が一目で見える。不等号の向きが逆()になったときに範囲が2つに割れる様子も、波形なら間違えようがない。両方の絵を持って、問題ごとに見やすい方を選ぼう。

ポイント

  • は単位円で高さ 以上の角の範囲。
  • 境界の角を出し、円で上か下かを見る。

よくある間違い

  • 境界の角( と )の片方を取り違える
  • 不等号の向きを誤り、範囲の外側(2区間)を答える
  • の移項・割り算の段階で不等号の向きを崩す

問72直線のなす角

★★ 標準加法定理なす角

問題

2直線 と のなす角 ()を求めよ。

ヒントを見る

直線のなす角はそれぞれの傾きを とみなして『差の角』を作る発想で出せる。公式がうろ覚えなら、各直線が 軸となす角の差と考え直してみよう。

解答・解説

方針

2直線の傾きを 、 とすると、なす角の は 。これが有名角の値になれば角がわかる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 直線の傾きは、 軸となす角の だ。2直線のなす角は2つの傾き角の差である。

差の を計算する公式が の加法定理から出る。

、 を入れて値が になれば、 と確定する。

公式2直線(傾き 、)のなす角:

① なぜこの式でなす角が出るのかを押さえる。 直線の傾き は「その直線が 軸となす角 の 」に等しい()。2直線がそれぞれ 軸と 、 の角をなすなら、2直線のなす角はその差 。ここに の加法(減法)定理 を使い、 を入れると、上の公式になる(角の向きで負にもなるので絶対値)。

② 傾きを入れる。 、。

で なので

xyOθ
2直線 y=2x と y=−3x のなす角 θ

まとめ:公式の中身は「傾き= 軸となす角の 」+「なす角は角の差」+「 の加法定理」。丸暗記でなく、この3つの組み合わせと分かれば式を忘れても作り直せる。

発展。 分母 、つまり のとき は定義できない。これは、なす角が のときだ。おなじみの垂直条件 は、この公式の「分母ゼロ」に当たっていたのである。

数学Cではベクトルの内積 でも同じ角が測れるようになる。 経由と 経由、2つの測り方の使い分けはそこでの楽しみである。

答

()

別解

公式を忘れても、加法定理からその場で導けばよい。それがこの問題の本当の学びどころだ。2直線が 軸となす角を 、 とすると、、。なす角は差 (の絶対値)だ。

の加法定理(引き算版)に、そのまま流し込む。

が ということは、差の角は (鈍角側)。なす角は で測る約束だから、補角をとって 。公式の絶対値はこの「鈍角が出たら鋭角側に読み替える」操作を表していた。由来ごと理解すれば、絶対値の付け忘れというミスそのものが起きなくなる。

ポイント

  • なす角は 。
  • 傾きの積 なら垂直()。

よくある間違い

  • 公式の絶対値を忘れ、 のまま角を出せず止まる
  • 分母 が になる場合(2直線が垂直)を想定していない
  • なす角の範囲指定()を無視して鈍角で答える

問82倍角・半角

★★ 標準2倍角半角

問題

のとき、 と の値を求めよ。

ヒントを見る

を だけで表す形と、 を で表す形は、どちらも 倍角の式の仲間から作れる。半角の式は 倍角を逆に読んだもの、と思えば導ける。

解答・解説

方針

は だけで書ける2倍角の公式を使う。 は半角の公式(こちらも だけ)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 材料は の1つだけ。だから、 だけで書ける公式を選ぶのが方針になる。

には3通りの形があるが、 を選べば代入するだけで済む。 は半角の公式 。これも だけで書けている。「手持ちの材料で書ける公式を選ぶ」という道具選びの問題だ。

公式2倍角 、半角

: だけの2倍角を使う。

:半角の公式。

発展。 という「2乗を1次に下げる」変形は、次数下げと呼ばれ、数学IIIの積分()で必須の技になる。半角の公式はこの先の積分でも道具として使う。

加法定理を親とすれば、2倍角は子、半角と次数下げは孫。三角関数の公式群は1本の家系図に整理できる。系図の根元(加法定理)さえ確かなら、枝葉は全部その場で生やせる。

答

、

別解

半角の公式を「暗記」でなく、2倍角の逆再生としてその場で作る道を見ておこう。2倍角の公式 は、「角を半分にすると で書ける」と逆向きにも読める。移項すれば

ここで と置けば、 だから

半角の公式は2倍角の公式を移項しただけのものだった。 も同様に から出る。覚える公式は2倍角だけでよく、半角はすぐに導ける。公式を「どれからどれが導けるか」で整理すると、覚える量が大きく減る。

ポイント

  • ( だけで書ける形が便利)。
  • 半角 。

よくある間違い

  • の3つの形から、 が必要な形を選んで遠回りする
  • と の対応を取り違える(半角の右辺は 、2倍角の右辺は )
  • (2乗なし)を問われたときに符号の検討( の範囲)が要ることを忘れる

問9三角関数の合成

★★ 標準合成

問題

を の形に変形せよ(、)。

ヒントを見る

合成の手順は係数のペアから大きさを作り、 と がその比になる角を単位円で探す、の 段。係数の点 を図に打つと角が見える。

解答・解説

方針

。 を出し、、 から を決める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) の2項を、1つの にまとめるのが合成だ。

大きさは 。今回は 。角 は、、 を同時に満たすもの。、 から と確定する。片方だけで決めないことが大事だ。

公式合成 、、

、 なので

は 、 を満たす角、すなわち 。

(1,√3)r=2α=π/3
合成: 点(a,b)=(1,√3)、r=√(1+3)=2、α=π/3。sinθ+√3cosθ=2sin(θ+π/3)

発展。 合成は「2つの波を足すと、1つの波になる」という物理的にも重要な事実の数式版だ。同じ周期の波はいくつ重ねても振幅と位相の違う1つの波にまとまる。

係数の点 を距離と角で読む見方は、数学Cの複素数平面の極形式そのものである。合成の計算は複素数 を に直す練習にもなっている。

答

別解

係数を「点」として図示すると、公式が絵に変わる。係数の組から点 を座標平面に打つ。

  • 原点からの距離が :
  • 軸からの角が : 点 は 方向なので

このしくみは加法定理の逆再生だ。 を展開して係数を見比べると、 となり、極座標の関係になっている。「係数の点を打って、距離と角を読む」。この絵を1枚描く癖をつけると、 の象限を間違えるミス( や が負の場合)が消える。

ポイント

  • 、 は ・。
  • の係数が 、 の係数が 。

よくある間違い

  • と の対応を逆にする( が の係数側)
  • を とする()
  • を だけで決めて、象限(範囲 )の確認を飛ばす

問10合成を利用する最大・最小

★★ 標準合成最大最小

問題

のとき、 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

まず合成して つの にまとめる。まとまってしまえば、最大・最小はただの値域の話に帰着する。

解答・解説

方針

まず合成して の形にする。 は から まで動くので、最大は 、最小は 。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 2項のままでは、最大がどこで起きるか見えない。前問の合成で1つの にまとめる。

の値は から 。 が1周するとき、中身 も1周するから、 の両方に必ず到達する。よって最大 ・最小 。「合成 → 振幅を読む」の2手で終わる。

公式合成して にすると、最大 、最小

① 合成して、1つの にまとめる。 の係数は と 。 が前に出て、 は ・ から 。

② 部分の動く範囲を見る。 が から まで一周するので、中身の角 も一周する。角が一周すれば、 は から までの値をすべてとる。

③ 最後に 倍する。 はこの の 倍。 なので不等号の向きは変わらない。各辺を 倍して

よって最大値 、最小値 。

xyO
y=2sin(θ+π/3):最大2・最小−2

まとめ: の最大最小は、合成して にするだけ。角が一周するなら答えは 。範囲がついているときは中身の角の範囲を調べる。

発展。 範囲が などに制限されると、中身 の動く区間が全周に届かず、最小が より浅くなる。「合成 → 中身の範囲 → その区間での の値域」という3段が、制限つき問題の完全な型だ。

数学Cのベクトルでは、この最大値が内積 の最大として、「2つのベクトルが同じ向きのとき」と幾何の言葉で説明し直される。

答

最大値 、最小値

別解

式と証明で学んだコーシー・シュワルツの不等式で挟む、代数の道もある。

よって 。等号は が と平行のとき。単位円上にそのような点は確かにあり( 方向とその反対)、最大 ・最小 はどちらも達成される。

合成を使えば「どの で最大か」まで分かる。不等式は「上限の値」をすぐに出す近道だ。範囲が全周でなく制限されている問題では合成が必須になるので、主従を意識して使い分けたい。

ポイント

  • 合成 → で最大 、最小 。
  • が一周するなら 部分は必ず に達する。

よくある間違い

  • 合成の の計算を誤り、最大・最小の値がずれる
  • の範囲が制限された問題でも機械的に と答える(中身の角が に届くかの確認が要る)
  • 最大・最小をとる の値まで問われたときに、合成後の中身から逆算できない

問11sinθ+cosθ の置換

★★ 標準置換最大最小

問題

のとき、 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

と は無関係ではない。前者を 乗すると後者が現れる。この繋がりで全体を 文字の関数に直せるか。置きかえた文字の動ける範囲も忘れずに。

解答・解説

方針

とおくと、 と書ける。 が の2次式になる。 のとりうる範囲()で考える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) と が同居している。この2つをつなぐ橋が置きかえ だ。

だから、。 という の2次関数になる。あとは の動ける範囲を確定して、その区間での最大・最小を調べる。範囲を忘れた置きかえは間違いのもとである。

重要 とおくと 、範囲は

① 置きかえの準備をする。 とおく。両辺を2乗すると、まん中に が出る。

よって 。これで も で書けた。

② の動く範囲を出す。 を合成すると 。 部分が 〜 なので

③ を だけの式にする。 与式に代入する。

④ の範囲で2次関数の最大・最小を調べる。 は下に凸、頂点 。頂点 は範囲 の中にあるので、最小はここ。

最大は頂点から最も遠い端でとる。 から遠いのは 側なので、そこで最大。

xyO最小最大
y=(t+1)²−2(−√2≤t≤√2)。頂点 t=−1 で最小、t=√2 で最大

まとめ: と (や )が同居したら、 で1文字にする。忘れがちなのは の範囲 。範囲つきの2次関数は「頂点が範囲内か」「端はどちらが遠いか」で最大最小を決める。

発展。 の置きかえがうまくいくのは、(対称式)が で書けるからだ。数と式で学んだ「対称式は和と積で書ける」ことを、三角関数でも使っている。

なら と符号が裏返る。和か差か、どちらの置きかえが合うかは、式に現れる項の符号を見れば分かる。

答

最大値 、最小値

別解

の範囲 の出どころを、合成でなく「領域の目」で見ることもできる。 は、単位円上の点 に対する の値だ。「単位円上で はどこまで動けるか」という問いは、軌跡と領域で解いた「円と直線 が共有点を持つ の範囲」そのものである。

中心(原点)から直線 までの距離が半径 以下、つまり

合成 が出す範囲と一致する。三角関数の置きかえの範囲問題が直線を滑らせる領域の問題と同じだった。単元をまたいで同じ図が現れる例である。どちらの言葉でも範囲を出せるようにしておくと、検算が常に2重になる。

ポイント

  • → で1文字にできる。
  • の範囲 を忘れず、2次関数として端と頂点を調べる。

よくある間違い

  • の範囲を とする(合成すれば )
  • の導出( の展開)で の係数を誤る
  • の2次関数の最大・最小を、頂点が範囲内かを確認せずに決める

問12積和の公式

★★ 標準積和

問題

の値を、積を和に直す公式を使って求めよ。

ヒントを見る

指定された『積を和に直す公式』を使うと、 つの角の和と差が現れる。その和と差がどちらも計算しやすい角になっているのが、この問題の仕掛け。

解答・解説

方針

積和の公式 で、積を2つの の和に直す。角の和・差が特殊角になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) も も単独では値の出しにくい角だが、和は 、差は ときれいだ。

積を和に直す公式 を使う。

「角そのものは汚くても、和と差はきれい」という配置が、積和の公式のシグナルだ。

公式積 → 和:

、 を入れる。、。

計算して

発展。 積和の公式は加法定理の足し算・引き算から生まれる( と を足すと交差項が消える)。逆向きの和積の公式(和を積に直す)とペアで、どちらも加法定理の子である。

積和は数学IIIの積分( のような積の積分)で、「積のままでは積分できない」ときに使う。いま身につけた変形がそのまま将来の道具だ。

答

別解

と の特別な関係に気づくと、公式1つ違いの近道が開く。。余角の関係だから 。すると問題の積は同じものの積になり、2乗の形になる。

は半角(次数下げ)の公式で開ける。

積和ルートと同じ値だ。「まず角どうしの関係(和が か、差が特殊角か)を観察してから公式を選ぶ」。この観察の一呼吸が公式当てはめを1段賢くする。

ポイント

  • 積和の公式で、積を和に直すと特殊角が出る。
  • 。

よくある間違い

  • 積和の公式の係数 を落とす
  • の順序を逆にして の符号処理を誤る
  • などの特殊角の値の代入でミスする